新・ギルガメッシュ叙事詩   作:赤坂緑語

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強いサーヴァントほど扱いが難しい。これ聖杯戦争の鉄則。

ギルガメッシュはまだまだギャグモード。
彼をシリアスにできる状況はやって来るのか!?


英雄たちよ、集え!

セイバーとランサーを誘き出し、決闘を仕掛けさせた張本人、英雄王ギルガメッシュはある倉庫の上で優雅に足を組んで座っていた。

 

勿論その姿をセイバーたちが捉えることはできない。

 

『神隠しの外套(インビジブル・ゴッド)』

 

ギルガメッシュが召喚時から羽織っている赤いマントは神々との戦いでも多用した姿を隠す認知阻害の宝具である。

 

神々の眼すら欺いたこの宝具は姿を隠すと言うよりも存在そのものを隠蔽することができる。

さらにこの宝具の便利な点は使用者だけではなく、その持ち物までも隠蔽できることだ。

 

 

そしてこの宝具を使ってギルガメッシュが何をしているかというと......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!行けー!そこだセイバー!」

 

セイバーとランサーの決闘を肴に神酒を飲んでいた。

 

 

.........どっからどう見ても野球観戦をしながらビールを飲む休日の親父であった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

ギルガメッシュの酒の肴にされているとも知らないセイバーはたった今ランサーに切られた左手の痛みを堪えながら初戦から誇り高い騎士と出会ったことに感謝していた。

 

ディルムッド・オディナ

 

ケルト神話に名高いフィオナ騎士団が一番槍。その伝説と違わぬ槍捌きは身をもって体験したばかりだ。

間違いなく左手を奪われた今のセイバーでは苦戦は免れないだろう。

 

 

しかし、セイバーに恐怖や不安はなかった。寧ろますます滾る闘志に身体を持て余すくらいだ。

 

このランサーに正面から打ち勝ってこそ聖杯への道が近づくというものだ。姿を見せぬ臆病者など恐れるに足りず。

 

いざ!

 

 

 

そして突然鳴り響いていた雷鳴に決闘は中断となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

ウェイバー・ベルベットは冬木大橋の鉄骨の上に張り付いている中確かにライダーの呟きを聞いた。

 

「う~む。いかんなぁ。これはいかん、奴ら相当に熱くなっておるな。どこぞで見張っている奴の思惑通りになっているではないか。」

 

何やらとてつもない気配を感じ出所を探した結果、この大橋からセイバーとランサーの決闘を眺めることになったわけだがライダー曰はく、あの気配の持ち主は間違いなくこの近くからあの二人の決闘を眺めていると言うのだ。

 

「あの二人を死なすのは惜しい!さらにどこぞで見張っている奴も気に食わん!となればやることは決まったな。」

 

立ち上がり戦車を呼び出すライダー。

 

ウェイバーの忠告も空しくセイバーとランサーの決闘を邪魔する形で現場へと駆け付けることになった二人。

 

 

 

そこで真名をばらしたり、敵対するサーヴァントに誘いをかけたり........ケイネスから庇ってもらったり。

 

色々初っ端からやらかしたこのライダーは遂に状況を動かす言葉を放った。

 

「おい!どこで覗き見をしているのかは知らんが......隠れ潜んでいるのは分かっておる!我々を誘き出した者よ、姿を見せよ!なおも顔見せを怖じるようならば、この征服王イスカンダルの侮蔑と怒りを免れぬものと知れ!」

 

辺り一面に響き渡るライダーの大声による挑発。

 

戦車の上のウェイバーは遠い目をし、

 

コンテナの上で事の顛末を見守っていた切嗣は呆れ、

 

地下に引きこもっている時臣は胃を抑えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう大声で喚くな。十分に聞こえている。」

 

 

 

ーーそして声がした方向に皆が驚愕に眼を開いて顔を向ける。

 

何時の間にか倉庫の上に赤いマントを羽織った青年がいた。

 

 

 

 

それはランサーのよりも整った冷たい美貌の持ち主だった。

 

人ではあり得ない完璧な顔立ちに黄金そのもののような金髪、そして妖しい輝きを放つ神秘的な紅い瞳。

 

だが美しいだけではなかった。

 

その身に纏う王者としての覇気が辺りを威圧している。

その圧倒的な存在感にサーヴァントたちは気配の持ち主が倉庫の上に座っている青年であると確信した。

 

 

「思ったよりあっさりと出てきたのぉ。その覇気、どこぞで王を名乗っていたと見るが.......貴様何者だ?」

 

ライダーが腰の剣に手をやりながら尋ねる。

 

 

「俺の名か?.........一度しか言わぬからよく聞いておけ。」

 

まさかの真名暴露英霊二人目に驚く倉庫に集った者たち。

 

しかし、名乗られたその名に今回の聖杯戦争の参加者たちは凍り付くことになる。

 

 

「我が名は『英雄王ギルガメッシュ』此度はアーチャーのクラスで現世に降臨した。........さぁ、俺に挑む最初の英雄は誰だ?」

 

 

 

 

 

≪英雄王ギルガメッシュ≫その名を知らぬ者はこの聖杯戦争の参加者の中にはいないだろう。

 

神秘は古ければ古いほどにその力を増すこの世界において人類最古の英霊であるというだけでも十分なアドバンテージであるというのにこのギルガメッシュはその個人の武勇伝だけでも他の英霊を圧倒している。

追従しているのはヘラクレスぐらいではなかろうか?

 

そんな化け物が目の前に立っている。

 

 

 

ウェイバーはギルガメッシュであるという発言を嘘と信じてステータスを覗き...........絶望した。

 

 

筋力:A

耐久:A

敏捷:B

魔力:A

幸運:A+

宝具:EX

 

 

お前アーチャーだろ!?といわんばかりの高性能っぷりにウェイバーは心の中で突っ込む。

 

だがまぁ知名度を考えればこれくらいが妥当なのかもしれない。

 

 

と、ウェイバーはどこか諦めの混じった思考をしていた。

 

勝てるわけがないあんな化け物に。

なにせ姿を見ただけでウェイバーの手の震えは止まらなくなっているのだ。

 

 

この場は取り敢えず撤退を.......

 

そう言おうとライダーを見上げると、彼の手もまた震えていることが分かった。

 

 

 

.......まぁ無理もない相手が悪すぎた。にしてもこいつでも怖がることあるんだな。

 

 

 

 

 

なんて少し共感を覚えていたのも束の間、ライダーは身体を大きく震わせると大きな声で笑い始めたのだ。

 

 

 

「ハハハハハハハハハ!英雄王ギルガメッシュとな!?元祖征服王である『エルマドゥス』が父、ギルガメッシュか!やはり余はついておる!」

 

理解不能なことを言い出したサーヴァントにウェイバーは思わず突っ込む

 

「何がついてるだ!お前勝てるのか!?あの英霊に?」

 

「ふむ...........分からん。」

 

なんじゃそりゃ!?

 

「だがだからこそ挑む価値があるのだ。あの男を倒せば余は世界を手に入れたも当然よ!漠然とした世界征服よりよっぽど手っ取り早いだろう?」

 

もはや何語を話しているのかさえも分からなくなってきたウェイバーにライダーはさらに追い打ちを掛ける。

 

「いや!勿論世界征服もちゃんとするから安心せい!ただその前にあの男を越えなければならんというだけのことさ。」

 

 

ライダーは獰猛な笑みを浮かべながら手綱を握った。

 

 

「..........ふむ。征服王イスカンダルか。世界を我が物にしようと東へ突き進んだ覇王だったかな?我が息子には及ばぬもののその偉業は称賛に値する。いいだろうお前を俺に挑む最初の英雄として認めよう。」

 

 

そしてライダーとウェイバーのやりとりを黙って見ていたギルガメッシュが口を開き、片手を挙げた。

 

 

するとギルガメッシュの背後の空間が歪み、その中から数多の武器が顔を見せた。その数三十以上。

 

剣があった。槍が、斧が、槌が、矛が、さらには用途の分からない武器まであった。

確かな輝きを放つその神秘の群れのどれもが破格の魔力を宿した英雄の象徴、本物の宝具に他ならない。

 

思わず息を飲むサーヴァントとマスターたち

 

 

 

「まずは三十だ。耐えてみせよ英雄.........ん?」

 

 

 

 

ギルガメッシュが宝具を放とうとしたその瞬間、あらぬ場所からおぞましい魔力が吹き荒れ、新たなサーヴァントが現れた。

 

甲冑に覆われた影のようなその姿にギルガメッシュは胸の内で呟いた

 

 

 

 

 

...............こいつのこと忘れてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『神隠しの外套(インビジブル・ゴッド)』

本作オリジナル宝具。神々の眼すら欺く認知阻害の宝具。
存在そのものを隠蔽するため声を出しても酒を飲んでもばれない。

ただしこれと併用して別の宝具を使うことはできない。(宝具を外に出しておくだけなら可能)

着方はアルジュナの霊基3段階みたいな感じで羽織る。

ちなみに余談だがウルクで行われたスーパーかくれんぼ大戦ではこの宝具を使ったギルガメッシュが圧勝だった。



ちなみにもっと余談だがこのかくれんぼ大戦の鬼はエルマドゥスで父上を見つけられなかった彼はガチで泣いた。そしてさらに父を尊敬した。
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