新・ギルガメッシュ叙事詩   作:赤坂緑語

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この間出来上がった作品を投稿したのですが、パソコンを買い換えた影響なのか書いた覚えのない文章が混入するというおかしなバグが起こってしまい多大なご迷惑をおかけしました。

今回は保存していた作品を念入りに確認して文章を少し変更してから投稿していますがそれでもバグが起こっていた場合は連載中止も考えなくてはなりません。

よって作者が願うことは一つ。正常に投稿されて私の作品!



変わらぬもの

「カリスマ」とは、一部の常軌を逸した人物が持ち合わせている目に見えない性質のことで特に歴史上名高い人物がその力を発揮し、数多くの民衆を引き付けてきたという。

 

ここで我らが王、ギルガメッシュのカリスマスキルのランクを思い出してみよう。

 

≪A+≫

 

驚異のランクである。間違いなく人類最高峰と言っても過言ではないだろう。というかここまで来るともう呪いとか洗脳の域に達している。

 

ちなみにこの驚異のカリスマスキルを所有するギルガメッシュが本気で人の心に語りかけた場合、何が起こるか皆さんには想像できるだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

遠坂時臣は頭を抱えていた。

 

「........最近ギルガメッシュの言う通りに事が運び過ぎている気がするな。これではどちらがマスターなのか分からない。.......昨夜の私もどこかおかしかった。親交も何もない魔術師の家に桜を預けるなどと。......そして最後のギルガメッシュの言葉。まさか魔術師である私の心があんなにかき乱されるとは.....魔術でも使ったわけではないだろうに..........ん?まさか!?」

 

 

昨夜はギルガメッシュの言葉を受けて心を大きくかき乱された時臣だが流石に一晩過ぎればギルガメッシュの作戦の穴にも気づく。そしてギルガメッシュの恐ろしさにも。

 

「......カリスマスキルA+か。昨夜は少々精神が弱っていたとはいえこうもたやすく心を掌握されるとは.......魔力の流れも全く感じなかった。これは恐ろしいスキルだな。」

 

時臣はようやくギルガメッシュの保有するスキルの中で最も危険なスキルに気が付いた。なにせこのスキルをギルガメッシュが本気で使えば最悪マスターを自分の傀儡に出来る可能性もあるのだ。

完全に死にスキルと思っていただけにその衝撃は大きかった。

 

「これは迂闊にギルガメッシュを喋らせる訳にはいかないな。.........いっそのこと令呪で口と理性を閉じさせるか?........いやしかし、あの理性がなくてはギルガメッシュの理知的な戦法は取れないな。どうしたものか......」

 

ギルガメッシュにばれたら間違いなく殺されそうなことを思案する時臣。彼はやはりどこまで行っても魔術師だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......しかし、実はこの時臣の危ない思考も全ては目の前で起こっている謎の現象から目を背けるためのものだった。

 

 

「わーい!はやーい!ほら、桜もいっしょに!」

 

「........わーい」

 

現在、時臣自慢の娘たちは立派な鬣の神獣にまたがっていた。

 

 

 

.......もう一度言おう『神獣』にまたがっていた

 

 

 

実は昨夜のうちにギルガメッシュは宣言通りにこの遠坂邸を要塞へと変貌させていた。

 

極力魔力消費の少ない結界宝具を選び、それを屋敷の外に張り巡らせている。対軍宝具くらいならば数発耐えれるとギルガメッシュのお墨付きだ。

さらに自動防御宝具も設置し、所有権を一時的に時臣へと変更させていた。

 

 

 

ここまでなら手厚い英雄王の加護で喜んでいただろうが残念ながらノリノリの英雄王は止まらなかった。

 

 

「さぁ出でよ!ライオンさ......

 

『天地制す覇来の獅子(レオ・レクス)!』」

 

ギルガメッシュが叫ぶと同時に見たこともないような眩い黄金の波紋が空中に広がり、その中から悠然と百獣の王が歩み寄ってきた。

 

全身からあふれ出る濃い神気。数多の戦いを潜り抜けてきたであろう立派な体躯。そしてその身を包む数多の宝具。

間違いなく目の前にいる獣こそがギルガメッシュと共に激戦を勝ち抜いてきた女神イシュタルの随獣だろう。

 

現代の魔術師たちが見たら取り敢えず3回位気絶しそうな位高い神獣の背中には、逆に凄過ぎてその価値が分からないのか無邪気にはしゃぐ凛と未だに感情を取り戻せない桜が棒読みのハイテンションでまたがっていた。

 

その常識を逸脱した光景に、妻の葵もまたその価値が分からないのか嬉しさと悲しさがブレンドされたような顔で微笑み、時臣は取り敢えず無意識に顎鬚を数本抜き、そして元凶たるギルガメッシュは満足そうに高笑いしながら時臣の酒を飲んでいた。

 

 

 

.....というかあのギルガメッシュの表情を見るに昨夜話していた内容は全てこの光景を見たいがための発言に思えてきた。

 

 

 

「はぁ.......。仕方がない桜については今後じっくりと考えるとしてカリスマスキルには付け焼き刃かもしれないがギルガメッシュと話す時は精神を魔術で補強しておこう。」

 

今まで以上にギルガメッシュを警戒し始めた時臣は手元の令呪をしっかりと見つめてから桜とコミュニケーションを取るために........もとい一生拝めるチャンスなどないであろう神獣を間近で見るためにライオンさんへと近づいて行った。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

カリスマスキルがそんなに危険な代物とは全く知らずにいる英雄王ギルガメッシュは今現在、大変ご機嫌だった。

理由としては友達は未だにできていないものの目的の一つである人間観察をすることが出来ているからである。

 

 

「フッ、酒の味というものは思いの外化けるものだな。」

 

無邪気に笑っている凛もとい幼女を肴にして酒を楽しむ英雄王。

どっからどう見ても危ない人である。

 

しかし、本人から言わせてもらえば仕方のないことらしい。

なにせ「人間」を見に来たというのに出会うのは人間の形をした顎鬚に爺さんの形をした虫けら、影のような形をしているくせに影の薄いバーサーカーと目の死んでる幼女ときた。

 

 

え?雁夜おじさん?まぁあの泥臭く足掻いている感じは人間らしくて嫌いじゃないけど今は身体を治すのが先決なので相手してくれないだろうし完治した頃には聖杯戦争は終わっている可能性が高いので現世に留まるかどうか決めてない身としてはやはり雁夜おじさんは残念ながら人間観察リストには載せられない。

 

 

となれば一体誰がこのギルガメッシュの欲求を満たしてくれるのか?

 

ウルクの民ほどではなくていいから「人間」として確かな輝きを放つ「個」の持ち主が現代にいないのだろうか?出来れば近くに。

 

 

 

.......いるじゃん。

 

 

 

という訳で凛をこちらに招いたのだ。

 

最初出会った時は変わり果てた桜の様子に愕然としていたものの直ぐに我を取り戻して心の底から激怒し、本気で泣いていた。

血は繋がっているものの他人である桜のために自分のことのように怒って泣ける凛をギルガメッシュは称賛した。

 

さらにギルガメッシュは驚嘆することになる。

 

 

実は時臣の妻子をこちらに移すにあたって、魔術師殺し衛宮切嗣を最大限に警戒していたギルガメッシュは隠蔽宝具を多用して葵と凛をここまで警護してきたのだ。よっていつもよりはいささか物騒な気を漂わせていた。

 

しかし、タイミング悪く変わり果てた桜を見た凛はそんなギルガメッシュを敵と見なし、こう言い放ったのだ。

 

「あんた誰よ!もしかしてあんたが桜をこんな目に合わせたんじゃないでしょうね!だとしたらそこに直りなさい!この遠坂凛があんたを成敗してやるんだから!」

 

ちっぽけな宝石片手に万夫不当の英雄王に挑む幼き女子。

先ほども言ったがギルガメッシュは今少々物騒な気を放っている。臨戦態勢一歩手前くらいの気を。

 

そんな英雄王の気を受けてなお立ち向かおうとする現代の若き魔術師。

 

「凛!何をしている!直ぐにその宝石を仕舞いなさい!この方は.....」

 

無粋なことを言い始めた時臣を目線で黙らせてから英雄王ギルガメッシュは勇気ある魔術師に向き直った。

 

「我が名は英雄王ギルガメッシュ。此度はアーチャーとしてお前の父に呼ばれた。

さて、俺がそこの小娘をその状態にしたかどうかだったな?残念ながら違う。そこの小娘はな俺が拾った時からその状態だったのだ。眼は曇り、心を閉ざしてこの英雄王を前にしても畏怖することも敬うこともしなかった。まったく、最近の子供は礼儀がなっとらん。

だがそのまま英雄王ギルガメッシュの偉大さを知らずに死にゆくのも哀れでな、この家に持ち帰った次第よ。

 

どうだ、この話を信じるか?それとも信じずに俺に挑むのか?

俺はどちらでも構わんが挑むというのなら......受けて立とう。」

 

そしてギルガメッシュは臨戦態勢に入った。常人ならば気絶してしまうであろうその圧倒的な覇気を前にして流石の凛も怯んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、寸前で踏ん張った凛は不遜にも英雄王ギルガメッシュを見極めるように睨み続けていた。

 

これには流石にギルガメッシュも驚いた。訳のわからない衝動に任せてこの少女を試してみたのだがまさかこんな反応が返ってくるとは........

 

「.......あなたの言う通りみたいね。何故かあなたの言葉は頭にスッと入ってきたしそれに、あなたとても真っすぐな目をしているんだもの。いいわあなたじゃないって納得してあげる。それから........桜を助けてくれたのね?疑ってごめんなさい。」

 

やがて自分の中で結論が出たのか凛は堂々と言い放ち、ぺこりと頭を下げて素直に謝った。

 

英雄王に対して相変わらず不遜な口調だがギルガメッシュはそんな凛を好ましく思っていた。

 

 

 

.......ちょっと膝が震えているのもポイント高い。

 

 

 

 

 

「...........ふむ。凛とか言ったな?いいぞ気に入った。お前には特別に我が相棒の背にまたがる栄誉をやろう!」

 

 

 

こうして召喚されたライオンさんに現在凛は大はしゃぎでまたがっている。

表情がコロコロと変わるところを見るにやはりまだまだ子供か。

 

 

にしてもこの少女はどこかウルクにいた子供たちを思い起こさせる。

あのギルガメッシュを本当に敬っているのかどうかよく分からない生意気さも、無邪気に笑いながら遊びまわる姿もあの頃のままだ。

 

 

 

「わーい!ありがとう、王様!」

 

 

「........変わらないものもあるのだな。」

 

 

「え?何て言った?」

 

 

「何でもない。それ、次は空中を走ってもらえ。」

 

 

「うん!」

 

 

 

 

.......あぁ、あの子供の笑顔というものはウルクから変わらんのだな。

 

 

 

 

 

 

胸の内で呟いたギルガメッシュは手に持っていた赤ワインを口に流し込んで一言呟いた。

 

 

「.......美味い。」

 




『天地制す覇来の獅子(レオ・レクス)』

遂に宝具として登場したライオンさん。
その戦闘能力は極めて高く、空中戦に加えて全身をギルガメッシュが面白がって付けた宝具が覆っているので並大抵のサーヴァントではまず勝てない。

数千年の時を超えて再びギルガメッシュと戦場に向かうのかと思いきや、まさかの子守。
さらにライオンさんは遺憾ながらギルガメッシュ不在の間、イシュタルと共にエルマドゥスの子育てをしていたので子供の扱いに慣れてしまっている。
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