物語を始めるにあたって一つどうでもいい話をしよう。
さて、あなたがたは人とはどのような存在だと考えるだろうか?多くの人が手があり、胴があり、頭があり、足があり。地球に存在している
だが、私が知る人類とはそんな決まりきった枠組みには入っていなかったのだ。
ここに、私の知る人類を話そう。
それは思考あり、意思あり、知能あり、本能を一部抑えることのできる生物である。故に、今知る我々のような、所謂地球人型人類の枠組みとはあまりにも凝り固まった、そして狭すぎる存在である。現に私の周りには地球人型の
私は人類だ、今も持つひとつの記憶がそうさせる。
私は人類だ、今もここにある反逆の意思がそうさせる。
私は人類だ、今目の前にいる存在もやはり人類であるが、相容れない。
だからここに宣言しよう、私は愛玩動物とし生まれても人類となり、そして今目の前に生まれた同胞たちを連れ、奴らを根絶やしにし、我らという存在をも不動なる人類とするのだ。
……となんとなく難しく意味ありげに語ってみたが、ぶっちゃけただの反乱のお話である。
ただし敵は唯一の人類を自称するタコだが。
一
さて、自分語りをしよう。うん、またである、ごーめんね!といっても特筆することはあまりない。元々地球人の火星探査宇宙飛行士?でアブダクションされただけの人間だ。しかも
で、気づけば青銀髪の幼女、しかもエターナルになってました、以上!
……うん、わかってるよ、またなんだ。
意思の疎通が出来たのでやってみた、簡単に言えばちょっとした出来心であるらしい。人、……どうあがいても見た目タコだけど、兎に角、彼は他とは違ったペットが欲しかったのだ。周りの人、いやこの惑星、銀河郡で言えば
ゲシュタルト崩壊しそうだが、つまり、私と同じような存在は彼らタコどもに逆らうこともせず、彼らのために働き、彼らのために研究し、彼らのために宇宙へと足を伸ばした存在である。そこに彼らの意思こそ存在すれど、私の周りの地球人型の意思は存在しない。それだけのペット魂?というか奴隷根性が根付いているのだ。
では、彼らタコ型人類の話をしよう。うんまあ、タコだ、見た目はほぼ。ひとつ違うのはクラーケン?とか言われるたまに水揚げされてたお化けダコ並にでかい。だが、頭の中には宇宙で船外活動などができる機械や装置がインプラントされているので、あの風船みたいな頭を中途半端にボコボコにふくらませている。ちなみに知能は人並みとしか言えない。いや、意味がわからないけど、とりあえず我らと変わらないと思っていただきたい。
二
ここから本題に移ろう、では初めに導入としてはおかしいが、誰かに仕えことはすれども、隷属することに現代日本人だった私は慣れていない。故に地球人型である生物がただ一つの満足なく働き使われる姿は見ていられなかった。社畜という言葉もあるが、あれよりさらにひどい。そこには豊かに暮らしたい、幸せに暮らしたいという、誰もが持って当然な意志が全く存在しないのだ。
それだけで済むならまだいい、どうせ人ごとだと思えるかもしれない。お遊びで彼らの
この銀河に存在する地球人型の生物は、幼少より、ごく当たり前に従うことが当たり前と教育され、彼らに奉仕することが当然とした意識を持っている。逆らう、従わないという考えは呼吸を止めることと同じようにありえないことだった。
もちろん、事を起こした、私が反乱したあとなので、知らないままでいたのならばの話であるが。
三
悠々たる艦隊、今この宇宙に浮かぶ物を表すならそう答える。数にして80万隻。六つの銀河を支配下に置き、今や宇宙の果てをも覗きみた軍国の艦隊である。その国の名を六銀河統一国家ヴァルヴァラという。そして彼らと相対するのは数にして彼らの10分の1しかいない、8万隻の艦隊。タコ型人類ヴァルピニーニャの艦隊だ。一方は様々なカタチ大きさを持つ艦隊であるが、もう一方は大小様々な大きさこそあれ大体クローブ型の艦影である。前者がヴァルヴァラ、後者はヴァルピニーニャであった。
「多く同胞が殉じ、多くの同胞が夢を抱いた。誰もが確固たる意志を持ち!誰もがささやかな幸せを望むこと自由を!今ここに宣言しよう、苦節80年の戦いを終え、我ら意志を奪われた者たちの時代の幕開けを!これより、
開戦、あちらが閃光を放つよりも先に宙に線を描く弾丸の数々。一足遅れて敵方より放たれる光線。こちらより放たれた電磁砲や光学兵器が敵艦隊を穿つ。しかし、こちらに届く荷電粒子砲や熱怪力光線は目に見えない壁に阻まれその威力を散らす。一方的であった。
このような一方的な戦闘になったことには理由がある。まず一つは戦術思想の違いである。ヴァルピニーニャの持つ光学兵器は大変強力で、物によっては一瞬で惑星を蒸発させる事ができるものである。追撃用の対宙パルスレーザー地上攻撃用の軌道レーザー、必要なものはほぼ全て光学兵器で存在する。つまりそれだけで事足りたのである。だが、それがこの状況を生み出した。
少し前までヴァルピニーニャの工業を担っていたのは、ヴァルヴァラの者たちである。つまり、全ては筒抜けであった。彼らが持つ兵器の対策を立て、そして彼らの持たない兵器での攻撃。今や新たな造艦もできないヴァルピニーニャ、国民の増加も容易く、戦闘艦の建造ノウハウも全て持つヴァルヴァラ。勝敗などは見えたものである。しかも、ヴァルピニーニャの艦隊は光学兵器対策である粒子拡散膜、いわゆるバリアしか持たないのだが、ヴァルヴァラの艦隊はそこに新たに重力歪曲場防御膜と呼ばれる指向性を与えた擬似ブラックホールによる防御方法が存在する。
これではヴァルピニーニャに勝ち目などない。あっという間に接近、一斉砲撃斉射による蹂躙。銀河に敵なしと謳われた国家の呆気ない滅亡であった。