それぞれの思惑? チルノ、諏訪子、大妖精、リグル編
私はチルノである。いや、正確にいえばチルノに憑依した人間だ。
本来ならチルノの体であっても人間が扱うには大き過ぎる力を持っているはずだが、それもしっかりと扱えるようにコンバートされているらしい。
私は死んだ訳でもないのに、変な男に
チルノの野望 〜天昇記〜
ちなみに妖精であるこの身は不滅である。一回試した、というより同じく諏訪子に憑依している奴から、ぴちゅられた。
二時間ほどすると復活したことにより、死なない事が分かったのだ。自らの思惑と異なれど、まさに身を挺した挑戦である。
私が諏訪子と出会ったのは諏訪湖だ。ダジャレではない。この体に入ってからすぐに、男によって湖の真ん中にドボンっと落とされたのである。
そこには先にこちらに来ていたという洩矢諏訪子(笑)がいた。
彼女から力試しとしての弾幕勝負をした後に話を聞く事になるだが、諏訪子は4週間前に、私が出会った物とはこれまた異なる変態によって現代に落とされた揚句、徨い、この地に何か手掛かりがないかと考えここまで辿り着いたとか。
そこで諏訪大社の神職に自分が何者であるか、憑依した身であることは隠しつつ、肉体言語を含め説明して置いてもらえるように説得したらしい。
最初は大社の人間とも少々ぎくしゃくしていたらしいが、軽い奇跡をおこし人助けを繰り返すうちに神職の方々と仲良くなることができた、と彼女は微笑みながら本当に嬉しそうに説明してくれた。
諏訪湖に落ちた参拝客の子供をちょっと木を伸ばし救ったり、道に迷って困っている人を助けたり、目の前で起こったスリの犯人を祟って盛大にこかし、木に張り付けたり、中々の神さまっぷりある。
最近では近所のおばあちゃんに差し入れも貰えるようになったと喜んでいる。もちろん周囲の人間には彼女の事を広めないように口止めしているようだ。
ちっ、リア充め。
そんな正義感あふれる諏訪子に、私は出会ってすぐに弾幕で喧嘩を売った。彼女が本気を出すようにと、近くにいた参拝客の手提げを凍らせるなど、悪戯をした私にマジギレした諏訪子。
彼女は私の行動を付近の植物の枝や蔦で封じ逃げられないようにするとめいっぱいの弾幕を放った。それに対抗すべく私は、植物を凍らせ脆くした上で破壊し、すぐさまスペルカードを彼女に向けて使った。
「氷符、アイシクルフォール!」
「なっ!」
彼女が目を見開き驚愕するのが見えた。私は此処に来る前に男と出会った場所でスペルカードの事を思い出し、すぐにスペルカードを作っていたのだが、どうやら彼女はまだスペルカードを作っていなかったらしい。
作れるスペルカードは原作に登場するものだけで自作は出来ないという縛りもあるが、スペルカードはあるのと無いのとでは大いに戦力の違いが出るのだ。
やはり、中身が違えばチルノでもさいきょーになれるのである。
この時、私は勝ちを確信した。
……が、しかし、
「Easyかよっ!」
そこには前方全面がら空きであり、チルノが⑨扱いされる所以でもあるスペルカードと全く同じ物が発動されていた。
少々驚いて固まっていた諏訪子だが、私の失敗に気付くと、すぐさま此方に走り寄り、神力込めた拳で殴りつけてきた。
あれ?これって弾幕ごっこだったよね?
ぴちゅ〜ん。
復活した後、なんだかんだする内にその日から二日が経ったが、その間私は常に⑨を演じ続けてきた。
どうやら諏訪子には中身も本当の馬鹿になったと勘違いされているようだ。その日の内にに大妖精とルーミア、ミスティア・ローレライ、更にはリグル・ナイトバグまでこの地にやって来た。
彼女?達もこれまた違う変態に落とされたクチらしい。本来どうかは知らないが、二次創作では馬鹿扱いの奴らしか集まって来ていないことに、諏訪子は本気で落ち込んでいた。
バカルテット+大ちゃんがそろった時、彼女達がこの先どういった風に生きて行くのか知らないが、私は一つの作戦を立てた。
その名も貢物作戦である。
いずれは東方projectも廃れて行くだろう。どれほど人気であってもいずれ10年、20年もたてば流石に時代の波に呑まれ消えて行く。
私たちは一応、衣食住全てがいらないのでお金が実際に必要になる事はない。だが、この世界は娯楽を得る為には何をするにしてもお金が必要となる。
故に、私は東方の人気が冷めきらぬ内に行動することにした。
大々的に私たちの存在をアピールするような事件、——いや私達らしく異変と呼ぼう——を起こし、この地に様々な客を呼び込むのだ。
そうすればアホな日本人だ、私達に対して様々な利益をもたらしてくれるだろう。
更に二日が経った時、伊吹萃香がやって来た。その隣には東方信者らしき三人組。彼らにも私達の存在を広めてもらう事にしよう。そしてこの後、湖で一つやらかすのだ。
ふっふっふ、この前ピチュられた時に、若干一部の知識とか記憶が大きく亡くなった気がするが、
これからは誰にも馬鹿とは呼ばせない。
私の野望せいじゅ(※)まで後少し!
※せいじゅではなく成就です。
▲▽
私こと洩矢諏訪子がこの地に降り立って一月は経とうかという時期。元々私は洩矢神社に住み着こうと考えた、が小さくてとても人が住めるような神社ではなかった。
その後、諏訪大社を訪れ、置いてくれるように頼みこんだ。もちろん白い目で見られ、児童委員を呼ばれそうになったりもしたが、
それは流石に肉体言語と神の御技で阻止した。大社に身を寄せてからはちょっとした結界を張ったり、小さな人助けをしていた。幾分か時が経つと諏訪大社には様々な東方キャラがやって来た。
最初はこのオタクはびこる日本で生きて行くには少々不安であったが、チルノ達が諏訪大社を訪れたことにより、自分だけではないということで気持ちは幾分マシになった。それが例え何か含み笑いをするバカばっか、だとしてもである。
しかし、来るやつ来るやつ全員ロリキャラだけしかいないの?
諏訪子の神様譚 〜辛くても私は今日を頑張る〜
原作で実際に幼女と言及されてはいないが、今ここに居るのは全部ロリ体形……。このままいくとこの地には、この先一度でも幼女キャラ扱いされた奴しか来ないだろう。
おぜう様、妹様、橙、春告精、プリズムリバー三姉妹、ぴょん、山田、メディ、さとりん、小傘、サニー、ルナ、スター、ナズーリン、てゐ、妖夢、萃香、秋姉妹等々。
……あれ?まともなのほとんど居ネェ。
いたとしても、えーき様とナズーリンぐらいだよ。いや、けーねが実はロリ巨乳の言う噂もある。
どうなるかわからんが、もし来るならまともで知的な誠実キャラが良い。妖精や、妹様でも来てみろ、本気で泣く自信が私にはある。ん?そもそも東方projectにまともの奴のほうが少なくないか?
オウ、前提からして悲しい事実しかないことに気が付いた。今ですら若干苦労しているのにこれ以上増えたらどうなるのだろうか……。
話は変わるが、あのバカルテット、五人で遊んでいるうちは良いのだが、奴らが各々で勝手に動き出したら本気で駄目だ。
なんて言うか、手がつけられない。
……主にチルノが。
被告チルノは、時々含み笑いを行い何か企んでいる様子を見せる節がある。
本人は隠しているつもりのようだが、独り言でその日にやろうと思っている悪戯を呟いていたり、たまに突然「やっぱり、あたいの頭脳ったら、かんぺきでちょーさいきょ−ねっ!」とか大声で言っているのだ。
確かに残念な方向に最強だな、とかしか言いようがない。とりあえず私は本当に賢いつもりなのかとか、本人に聞いてみたかったりする。
ミスティアは外で諏訪で披露されている神楽に歌を付けたり、東方二次ソングを歌ったりしているだけでで大人しいのでこれはいい。
時々、諏訪湖の方で鰻を捕って来ては蒲焼きにしていたり、野ゴイを鯉こくにしたりしてふるまってくれるが、これは許容範囲であろう。
密漁であることに目をつむっていれば、と頭に付くが……。
ルーミアは道行く人に「貴方は食べていい人間?」と聞いて歩いているが、大ちゃんが喰うのは流石にやばいと考え、全力で阻止してくれているので今のところの被害は出ていない。
本気で人を襲うようになったのなら、紫檀の檻を強化して諏訪湖にでも沈めようと思っている。ルーミア曰く、「つい欲求に負けそうになったのだー」と言っているが、こちらとしては冗談ではない。
リグルは一日中、石をひっくり返したり近くの森の中に入ったりして虫、いや、蟲を集めている。しかも彼女が集めるモノが全て、ムカデやゲジゲジ|(本来の名前はゲジ)蜘蛛や蜂などである。
それらが諏訪大社の付近で群体していた。当初、本気で駆除を頼みそうになったが彼女が泣いて許しを乞うため、今では見えないところに隠すように育てるよう言っている。
リグル曰く、「この体になってから、虫がとてつもなくかわいく見える」だとか。しかも、「蜂蜜もとれるようにミツバチも集めるからねっ!」満面の笑みで言ってきた。
一部を除いて馬鹿や食人鬼の相手を四六時中をさせられる私が、こいつらを本気で滅っしたいと思って誰が責められよう。
といっても妖怪は頑丈だし、妖精はほぼ不死でしかも倒しても復活するので実際には対処が難しい。
これらの事を踏まえ、様々な今のままではどうしようもない事に対応するために、私もスペルカードも作っておくことにした。今後手がつけられない奴がやって来た時には容赦なく撃退せねばならないだろう。一度スペルカードをチルノが使って来た時は——その際は当たらなかったが——本当に焦った。
そう言えばあの時思わず殴ってしまった、彼女は弾幕ごっこのつもりだったとあの時聞いた。そんな話初耳だったが、そう言う事であったのならば少々可哀想な事をしてしまったなと思う。
勝負を受けたかどうかは別にしても、普通に悪戯などせずに弾幕ごっこをなぜ挑まなかったのか非常に不思議であったが彼女の事だ、おそらくそこまでは考え付かなかったのだろう。
しかし、今回はスぺカを使ったのがチルノだったから良かったものの、もっとおっかない奴は他にも大勢いる。
妹様とか妹様とか妹様とか。
神としての人助けを行う傍ら、与えられた様々な能力の把握に努めた。その他にもヤバい奴らがこの地にやって来た時の為に、警報としての役割の他に悪意ある妖怪の弱体化の効果がある結界陣を大社の周りにびっしりと敷いた。その前にも敷いていたのだが、いつの間にか壊れていた。まあ、妖精共の仕業ではないかと思うが次は内側からでも強くしたので簡単には壊れないだろう。
すると次の日には早速警報がなり響いた。
様々な事が一息ついて安心した翌日のことである。たまには休まして欲しいと切に願った。
境内には怪しい?三人組と伊吹萃香らしき角が見えた。彼女がどういった性格かは知らないが、よからぬ事を企んでいる可能性もある。彼女の真意を確かめる為に少々攻撃的に話を伺おうと考えた。となりでギャアギャア騒ぐ羽虫が居るがここまで来たら気にしない。
話を聞くと若干戦闘狂な気が感じられたが、しっかりと話が通じる奴だった。弱体化はしていないようなので悪意はないのであろう。戦闘になったら大社の修復が非常に面倒だったのでこれは嬉しかった。
これから彼女を日中にお世話になっている社務所へとつれて行き、話をしてみようと思う。
▲▽
「もしも自由に外を歩けたら何をしたい?」
わたしは初めてそんな事を聞かれました。みんな、わたしが歩くどころか立つことすら出来ないって知っているから。いつもわたしが見る景色は病室の窓から見える空だけ。
その空が、微笑みのような綺麗な青空を浮かべることを知っています。
その空が、泣き顔のように寂しい曇天を浮かべることを知っています。
でも私が直に見上げる物は、いつも変わらぬ天井ばかり。
この天井《そら》はあの空のように異なる景色を浮かべません。
ただ、そこにあるのはいつも同じ光の蛍光灯と、いつも同じのまだら模様だけ。
だから私は、この空の下を歩けるようにしてくれた彼に感謝したいです。
……なんてことは、一切なかった。
大ちゃんの大逃走 〜命を大事に〜
現実はもっと単純で、俺はただの受験が来年に迫る何処にでもいるモブAの高校二年生だった。
のはずだが、何を間違ったのかいきなり目の前に現れたメタボなおっさんに、よく分からない事を言われた揚句大ちゃんボディに突っ込まれた。
クソデブ曰く、
我、大妖精が大好きなり。
我、紳氏ゆえに少女を犠牲にして大妖精を創る事は忌避せりなり。
故にお前を大妖精にするなり。
この際中身が男だと言う事には目をつぶるなり。
感謝するなり。
もはや何がなんなのか、意味が分からない。
「いや、もうお前ホント黙れよ」とか思った俺は悪くないと思う。つうか、流石の俺にも今の話の何処に感謝する場所があったのか全く持って分からない。あんたは、「それでいいのか」と全力で思わないでもなかったがこの際気にしないことにする。
知ってるか?大ちゃんって公式設定もほとんどないし、スペルカードもないんだぜ?出来るのはリリーホワイトと同じ妖精スキルの瞬間移動だけ。貰ったものは死ンでも復活な妖精ボディと三角定規だけ。三角定規なんていらねぇよ。貰ってどうしろと?
所詮中ボスな雑魚扱い……、いやルナティックならボス並みになれるハズだ、きっと。
それでも他のルナティックなボスには劣るなんてのは禁句なんです。
でだ、まあ納得はできなかったが起こっちまったものは仕方がない。俺が最初に落とされたのは名古屋市だった。
考えてみろ、グリーンヘアーの羽根付き美少女が大都市をふわふわ浮いて闊歩してみろ。しかも、結構な人間が知っている東方キャラだ。
現代入りなんて言葉もある。もうホントに見つかったらヤヴぁいと思ったね。ヤバいじゃなくてヤヴぁいね?←ここ重要。東方を知らない人から見ても痛い子扱い確定で、俺涙目。
むしろ知らない人間がいても、知っている人間に普通につながる可能性がある。大体20~30人に一人か二人ぐらいはいるのではないだろうか?
此処からは路地裏に隠れつつ、「聞くも涙、語るも涙」の大脱出だね。
とりあえず、人が通らないような道を選択し、丑三つ時の流石に飲み帰りの奴もいなくなった時を狙い、木曽川の河川敷を歩いて上流へ。
途中、道を間違えながらも木曽川から道を外れ、奈良井ダム、そして贄川、木曽平井方面に。道の駅木曽ならかわの大衆便所で一夜を明かしている時に、同じくトイレを訪れたミスティア
此処までで計二日。
ミスティアが取って来た岩魚を三人で森の中に入って焼いて食べたが久しぶりの食事に泣けた。とりあえず見つからないように結構奥に入って小さな火を扇ぎながら煙を散らす。河原から取って来た小石を焼いて岩魚を大きめの湿った葉っぱに包んで包み焼き。これ全てミスティアの御業なり。
貴方の中身が男でも、一生貴女について行きます。
で、各自が三匹ずつ平らげた後に、どこからともなく突然EXルーミア登場。
原作の仲良しバカルテットだからと思ってフレンドリーに行けるかと思っていた。だが残念、そんなに現実甘くない。
岩魚の匂いに連れられやって来たルーミアは封印の札なし、つまり馬鹿じゃない。しかも中身はやっぱり別人なので、やっぱり友好的でなし。
あれ、このままほのぼので行くんじゃないの?
「あらあら?自分達だけお食事なのかしら?お友達なのに私の分はないのね?ふ〜ん、まぁいいわ。貴方達で我慢する事にするから」
「ぴっ!?私は骨ばっかりでおいしくないよ!」
「ひっ!妖精だから味はしないと思います!」
「えっ!私は蛍だし、甲虫だし、中身ないよッ!」
我ながら、というか全員なにげに無理がある言い訳だと思った。でも、それだけ必死だったんだ。考えてみてください、漆黒の翼にルーミア自身の背丈よりでかい大剣ですよ?
それを突き付けられて不気味な笑みでにっこりと。しかも絶対に彼女、瘴気纏ってたね、あれは。
話が通じそうにないと分かった瞬間に全員そろって同じ方向に全力逃走。一晩走った、走り続けた、飛び続けた、息が切れても、力が入らなくても。
後ろで「その程度なのかしら?」とか、「あらあら、もう少しで追いつくわよ?もっと楽しませてね」なんて聞こえた。とりあえず、生きた心地がしなかった
で、夜が明ける寸前に諏訪大社が見えてきた。なぜ、諏訪大社なのかって?それと洩矢神社以外に東方の聖地知らねぇんだよっ!
元々の目的地が諏訪大社だったんだよ。今思えばここにきても助かるって決まっていた訳でもないのにな。結果的にいえば助かったので良かったが、考えなしの逃げでした。
そこから境内に飛び込んだ、つうか、三人ともそこで力尽きた。
ルーミアも来るかと思った、もう終わったと思ったが、後ろを三人で振り向くと彼女は鳥居のところで立ち止まっていた。何故?とか神社が苦手なの?とか考えてたら鳥居をくぐろうとした。
でも、そこまで。
「バチィッ!」って大きな音がしたかと思うと彼女の頭に赤いリボンが付いていた。三人で泣いて喜んだんね。もうホントにこの時ほど神様に感謝した事はない。
そうこうしているうちに境内に鈴の音が鳴り響いて上社の方から諏訪子様とチルノがやって来た。若干組み合わせに疑問を覚えたが、この際気にしない。
EXルーミアがルーミアになった理由は簡単、諏訪子様が張った結界が元々存在した封印を活性化し復活させたらしい。
元々あったのに何で解けたの?そこら辺は本人に聞いてみたが、「いつの間にか解けていたのだー」の一点張り。若干顔をそらしていたのでおそらくこれは嘘だろうと思う。でも、あの恐怖を忘れてはいないので深く追求するのは止めておいた。
今では時々人間を捕食しようとするのをおっかなびっくり止める毎日である。
「お願いですから!ホント止めて下さい!」
考えなしの他の妖精みたいに生きれない事に俺涙目。
▲▽
蛍なのにG呼ばわりな可哀想なリグルです。
元々は社会人一年生です。
男です。でも今は女です。
私がリグルになった経緯を話します。
目が覚めたら山奥に居ました。
必死こいて山を下りました。
結構大きめな街に出てきました。
Gもどき扱いされて写メを取られました。
見せてもらいました。
リグルでした。
ポケットにはママな味のミ○キーが四つだけありました。
手紙がありました。
「選別ミル○ー、体は(私の)趣味で出来ている」
……えぇぇぇぇー?
ホタルの作る墓 〜戦友よ、永遠に〜
何処だか分かりませんが、公園のベンチで不貞寝しました。
次に目が覚めたら目の前で蜂用の防護服に身を包んだ人間が居た。聞くところによると、休息所の屋根に出来たスズメバチの巣を駆除するらしい。で、休息所に来てみると私が寝ていたので起こしたとか。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ−!」
「キミ、速やかに逃げた方がいいよ。慌てずゆっくり蜂を興奮させないようにね?」
くもぐった声ですぐさまこの場所を離れるように言われる。声の落ち着いた話からして、おそらく40〜50歳ほどだろう。
そして始まる、大虐殺。
風に流された殺虫剤が薄らと流れる。その場所から退いて40mほど離れており、本来の人なら気付きもせず、体にも害がない程度の量の殺虫剤。
私は今現在リグルです。虫は友達、殺虫剤は弱点です。ええ、もちろん少し死にかけましたよ。吐き気がして胃の中には何も入っていないもんだから胃液を吐いて。
するとなぜかスズメバチ達が人間に特攻を開始。殺虫剤を噴射していた大型噴射機の穴を集団で塞ぎはじめました。人間は普通の行動と違うスズメバチに大変驚いていました。
一匹が力尽きて死ねば更に一匹がその場所を埋め、殺虫剤の効果を弱める。その時は特攻する蜂の一匹と目があった気がしました。そしてその目はこう語っていました。
『お前は生きろ、我が同胞《とも》よ』
助けてくれたスズメバチを殺されるのは無性に悲しくなりましたが、命には変えられません。私は泣く泣くその場を後にしました。
▲▽
〜〜その頃の激戦区ww〜〜
『くそ!ジャップめ!増援を呼べ!林の中に
『ですが、大佐。奴らとは今領地問題で敵対し合っております!』
既に巣から飛び立った部隊の七割が消滅した。幸い、女王蜂は一足先にリグルに肩にこっそりと人間に見つからないように止まり、脱出している。
大勢の戦友が
『閣下の御身が危ういのだぞ!女王殿下には私が許可を取る。閣下の為だ奴らも理解してくれるはずだ!』
彼には分かっていた、生きて
しかし、殿を任せられた指揮官の立場から弱音を吐くことはできない。今も命を燃やし散っていく、味方の為にもそのような事は出来ないのだ。
『大佐、
そんな絶望の中、一筋の光が刺す。少し、ほんの少しであるが彼らにとって今はそれだけで十分だった。
増援としてやってきたのは(石の下ムカデ共和国)総計40匹にわたる陸戦部隊である。
『よくやった、奴らの体に這い上がって時間稼ぎするようにお願いしろ』
『了解!』
スズメバチの数が次々と減っていく頃、公園から飛び立つ影があった。
アシナガバチ林駐屯地所属、ワスプ連合である。一匹のスズメバチが奴らの放火を抜けて命からがら辿り着いたのだ。しかし悲しいかな、
スズメバチはアシナガバチの女王に救援を要請し終わるや否や力尽きてしまった。その身を挺した戦士の行動に甚く感動した女王は敵対国家への増援要請を受諾したのである。
<往きなさい、我が子らよ。奴らに我らの勇を魅せつけるのです>
<<<承知!>>>
<アシナガバチ飛行連隊、テイクオフ!>
<イケ、イケ、イケ!
<各機、散開、敵を各自撹乱せよ。>
<bee1、了解><bee2、了解><bee3、了解>
『た、大佐!駄目です、後ろに獲りつかれた。ぎ、ぎゃぁぁぁー』
『エルダ2、エルダ2、応答しろ!ちっ奴も落とされたか、面白い奴だったのにな』
(ムカデ中隊、奴らに取りつく事が出来ました。)
(しかし到達までに四部隊ほど奴らに踏みつぶされた!)
<奴らにとって俺達は虫けら同然って訳かっ!>
<隊長、既にハチ小隊が壊滅。撤退を具申いたします>
【こちら、
『おお!コックローチ群か!助かる!』
【なに、我らの装甲にかかれば早々簡単にやられはせんよ】
<黒光りの悪魔の力、見せてもらうぞ>
『奴らの弾も、無限じゃない。ここが踏ん張り度ころだぁ、ぐ、ぐぁぁぁぁ!』
『隊長!』<ホーネット!?>(くそ!奴も落とされたか!)
【ちっ!後は任せて逝け、戦友】
こんなことがあったとか、なかったとか。
▲▽
あの場からなんとか脱出し、再び町中の人があまりいない場所へとやって来る。本来なら近くに設置されている自動販売機で一息つきたいところだが、ほぼ着の身着のままなのでお金は持っていない。近くの塀に体を寄せて溜息をつく
「ふ、ふぅー」
『大丈夫ですか?』
……?何今の頭に響くような女性の声は?
もちろん人がいないところを目指して走っていたので、辺りを見渡して誰もいない。目指してと言うか、人を見かけたら方向転換違う所へ走ったのだ。
『どうかなされましたか?』
更にきょろきょろすると肩に止まってるおっきな、スズメバチ。
……ハ、ハチが喋ったぁぁぁ!
尻餅をつくほどに驚いた私は、目の前を飛ぶハチを指さし心の中で叫んでいた。
うん、ここで大声、しかも内容が内容なので頭の中身を疑われる様な事を叫んだらヤバいので、何とか飲み込んだ。
そして、落ち着く頃に彼女?の話を聞くことに成功した。なんでも、私が居た休息所に巣をつくったオオスズメバチの女王らしい。
本来ここまで彼女らに知能はないのだが、私の能力の一環で少々の知能アップがあったとかなかったとか。話をするうちに彼女は私に付いてくることになった。この後彼女とはそこそこ長い付き合いとなる。
気を取り直した歩くことにした。
全く見知らぬ土地でどこかも分からず、街に至る所に設置されている地図も読むことができない私は、適当に彷徨っていた。すると、スズメバチの彼女(今後、鈴子と呼ぶことにする)が何かを見つけた。
「……ミスティア・ローレライ?」
そう、私の目の前に居たのは車も人も全く通っていない道路にかかる歩道橋に腰をかけ、鼻歌を歌う東方キャラ、しかもリグルの友人という扱いのミスチー。
ミスチーの本物だったら殺し合いに発展する可能性もあるが、それはないという直感に従い、思い切って声をかけることにした。
話をしてみると案の定、彼女も同じ境遇だった。彼女はどうやら私より早くこの地に落とされ、様々な東方の聖地を巡っていたよう。「現代入り」扱いされ家に連れて行かれそうになった事もあるらしい。その時は警察に言わないことを条件にしっかりと口止めしたとか。
本当に、ご苦労様です。そして話を進めるうちに次の目的地は諏訪大社である事を聞いた。私は逝く当てもないのでついて行くことにした。
……そこからが大変だった。
滋賀県(みすちーにとの会話で分かった)から岐阜、そして長野で大ちゃんと遭遇。もちろん、お仲間だったので勧誘した。その夜、食事(実際には摂る必要はないが)をした後に、
いつものごとく雑談をしようとした所に悪魔爆誕。まさに外道なルーミアに遭遇した私達は必死に逃げる。
ルーミアはすぐに捕まえることができるはずの私達をワザとギリギリに捕まえず、追いかけ続けた。だが、そのお遊びのおかげで私達は諏訪大社の中に逃げ込むことができ、命を拾う事が出来た。
今でも諏訪大社にケロちゃんが張った結界がなかったと思うと本当にゾッとする。
私は忘れない。
封印された今も彼女が猫を被っている事を……。
「ねぇ?これからは貴女、私じゃなくて僕って言いなさい、命が惜しければね?」