ネタまとめ   作:髪様

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改定前の銀糸


銀糸 改定前
エセお嬢?


この世界には三人の王がいる。一人が銀糸、一人が異人、一人が天啓。銀糸のまたの名が傭兵王。異人のまたの名が勇者王。天啓のまたの名が冒険王。王といっても各人が国を持っていたわけではなく、その分野で特筆した能力を持ちその頂点を抑えるが故の王の異名である。これは後に銀糸と呼ばれる一人の少女?のお話である。

 

 

 

 

 

 とある戦場、ボロを纏いながらも可憐な少女がいた。そう、俺のことだ。皆さんこんにちは、気づいたら異世界にTS転生していた通称、屍漁りのミーヌです。只今絶賛死体あさりしています。

 ここは地獄?と言わんばかりの惨状、とりあえず帝国軍と魔王軍の合戦があった場所です。しかもまだ時折生きてる奴がいます。優しいい俺はしっかりと止めを刺してあげています。ここらでめんどくさい説明口調の敬語はやめるが、話を続けよう。

 魔獣と兵士、時折騎士の腐りかけた死体が転がる様は正しく死屍累々!そこから魔法剣やら魔剣やら魔法鎧やら、高そうなものを拾ってはアイテムボックスに突っ込んでいるのだ。

 

一本売るだけで豪邸が買えて、普通に暮らせば10年は遊んで暮らせる金額が、ポンと稼げるのが拾い放題。本来ならこんだけ美味しい仕事競争相手がめっさ居そうなものですが、なんと俺しかいねぇ!マジ最高。と言っても足がつくので一時の間は売ることなんてできませんけどね。まぁ、俺以外いない理由なのだが、死肉を喰らうために生命力の強い魔物が普通に闊歩しているのだ、つまりそういうこと。

 しかし何故俺はそんな危険地帯に行けるのかといえば、スキルレベルMAXと言っても過言ではない、死んだふりをするのだ。そんなスキルないけどな!でもほら俺は死体、だから襲われることはないのだ。

 

 え?死肉喰らうならそのまま食われるだろうって?そこはほら、甲冑着た奴の下に潜り込んでやり過ごすから大丈夫、多分大丈夫、きっと……大丈夫だといいなぁ~。

 ちなみにこの戦場に既に四日は篭って武器(ついでに財布も)を拾いました、やっふぉーい!これでボロキレともおさらばだーい。

 

 そんなこんなで二月(ふたつき)程の道のりを歩いて住処のある街まで帰る。間違っても魔王軍とそれに抵抗する帝国軍が篭った都市には向かわない。確実に死ぬからだ、強いて言えば、いや、強いて言わなくても街道で豚鬼(オーク)に会っただけでも死ねますってね。こちとら身なりは汚いが銀髪ロング姫カットでソバカスやら黒子やら全くない、強気系お嬢様風の顔を持っためっちゃ美少女ですから、しかし戦闘力皆無←ここ重要。

 ちなみに孤児で14歳、孤児仲間からは姉御とかで呼ばれる安定のポジを獲得しております。まぁ貧民なので普段が汚すぎて手を出す強者は同じ貧民以外にはいないです。つまり貧民にはウヨウヨいるという訳で、必死になって逃げております。何個かの拠点を街の外に作りそこを転々としているのだ。少し間違ったら、魔物さんこんにちは、はい、こんにちはと言わんばかりにパクリといただかれるが、今のところウチのメンバーに被害は出ていない。

 おそらくこれは俺のスキルが関係している。そのスキルの名は隠匿。隠れ家やら罠やらを発見し辛くするスキルである。ちなみにこれは死んだふりと違って実際に存在するし持っている。

 この他に持っているスキルは統率、疾走、突撃、守護、防衛、突貫、調理、撤退、騎乗、近接魔導、生存、剣術、槍術、弓術、収納術であるのだが、ほとんどが死にスキルだ。この中で統率と生存、調理、収納術以外はアクティブされていない。持っていはいるが使用不可なのである。詳しい奴に聞いたところ使用条件が整っていないのだとか。

 だが見よ、この脳筋的なスキル。軍で戦うために生まれてきたかのようなスキル群だが、ぶっちゃけ貧民に使う機会なぞないのだ。成り上がりなんて夢のまた夢だったよ、異世界の師匠(せんだつ)

 ちなみにこれを軍の内部で持っていたとする、功績なしに百人長に抜擢される能力である。

 

 

 ……あ、兵士に志願すれば良かったじゃん。

 

 

 さて過ぎたことをウジウジ考えても仕方がない。これより俺の異世界スーパータイムが始まるのだ。まとまった金額も手に入ったことだし、服飾とか色々買うことができるようになる。服が整えばまともなところで、ウチの子たちを働かさせてあげることができるようになる。夢がひろが……あれ?いやいや!ちゅうわ!これは俺のもんだ、孤児どものことなんぞ知るか!これで俺に合うような鎧を仕立て、魔法剣を操り、冒険者的魔物狩り、通称『調停士』になるのだ、だからこれは俺のもの、あいつら関係ない。よし決定。

 

 「ふぅ~、どうしてこうなった」

 

 俗世界的な言い方にすると、「子供には勝てなかったよ」てっか?結局郊外のアジトの一つに帰り着くとその時は拠点を移している最中なのか誰もいなかったが、街の中で目ざとく俺のことに気づいた一人が伝達したらしく、総勢65人の孤児が俺の元にやってきた。

 

「姉様!生きていたのですね!良かったです」「心配しておりました、お疲れでしょう、これ食べてください」「姉上、聞いてください、姉上がいない間にロウェンの奴が……」「ご無事で何よりです、姉様の身に何かあっていたらと思うと、夜も眠れぬ日が続きました!」「嘘つくなよ!カール、てぇめぇ毎日日暮れと共に爆睡してたろ!」「姉上がいない間にでた被害者もいません、何よりも姉上が傷一つなく帰ってきたことが、」「姉様、ゲールのやつようやく野うさぎ用の罠を作れるようになったんですよ!」

 

 そしてこれである。正直全員が一度に喋るものだから、誰が何を言っているのか既に判断がつかない。まぁいい、気にしても仕方がないだろう。聞き捨てならない内容は後ほど尋ねるとして、ため息をつきながら、少々大きな声で静かにするように頼む。

 ここに居る孤児は俺と同じくらいか俺以下の年齢の者しかいない。これは年上だと無駄な軋轢を生む可能性と、俺がアゴで使われるのを嫌っているからである。つうか、普通の孤児の仕事とか靴磨きとか、窃盗とかだしやってられるかボケといった感じだ。

 俺のまとめる集団は郊外での野生動物の狩りやら、ちょっとした野菜の栽培などで暮らしている訓練された孤児の集団である。

 こいつらには今日は休むことを伝える。流石にいつ死ぬかもわからぬ場所に長時間いたし、精神的に疲れたのもある。それではと。自分用に少し多めに藁を集めた寝床で就寝する。こいつらも移転中なので物資は移転先にあるだろうから、そちらに帰るだろう。そのあとはこっそりずらかろう、そう思って寝た。

 

 だがしかし、そうは問屋が卸さなかった。日が暮れる前だったということもあり、彼らは人海戦術ですぐさまに俺が眠るアジトに移転してきたのである。目が覚めた頃には既に包囲網(笑)が出来上がっていたのだ。生き残るためとはいえ有能に育てた自らが憎い。

 まぁ、待て、金なら潤沢にある、ならばこいつら囲って俺が死に難いように盾として育てるのもありであろう。行け盾共、ヒャァッハー!みたいな?

 

 言うは易し、行うは難しとあるが、為せば成るとも言う。とりあえず、五人程を連れ立って服の購入である。まずは下級服店、ここで少し傷んできた古着を何着か購入、服装をボロをちょっと貧乏かな程度に変更。すぐさま少し離れた中級服店で、状態の良い古着を購入する。

 さて、一気に中級服店に向かわなかった理由であるが、ぶっちゃけ言えば盗人として扱われ、ほぼ確実に店の人間より金銭を取り上げられるからである。下級であればギリギリ孤児の中でも金銭を稼ぐことに有能な者が訪れることもあるので、疑われることもないのだ。

 

 そのまま、身なりをそこそこ整えた俺たちは上級服店に向かい、受注生産の服を購入する。出来上がるまで一週間、これを今ここにいる孤児に2着、俺の分を5着用意する。最後に俺以外の人間を何度も入れ替え、服飾店を梯子して同じことを繰り返し全員分の服を揃える。この時注意するのは、あまり一度に買いすぎないこと、同じ店には行かないことである。

 

 これにはもちろん理由がある、孤児が纏まった金を持っていると知れ渡ると、同じ孤児やギャングに狙われる。この他にも都市の駐屯兵に気づかれた場合全てを取り上げられることがあるのだ。疑わしきは罰せよ、この街で盗みを働いていなくても俺たちが金を持つこと自体が許されぬ環境なのである。そのため、身なりを整えて、少しほど小銭を持っていてもおかしくない様にするのだ。

 幸い、うちの連中は俺が臭いや汚れを嫌うことを知っているので、最低二日に一遍は川で垢を落とすし、安物であるがハサミを手に入れて髪型等を整えそこそこ見れる容姿に整えている。普段のボロ着さえどうにかすれば孤児には見えない。金がないので服だけはどうしようもなかったが、これでいくらかの問題も解決した。これで今までできなかった店での買物も行えるようになるし、少し収入の良い仕事にもありつけるようになるのである。

 

 本来ならここで終わることが最高なのだろう。危険もなく、そこそこ普通に生きていける環境も出来上がった。住居の問題も65人もいれば郊外であれば家を建てることもできよう。でも、俺は止まらなかった。ここは異世界なのである。剣も魔法も、嘘かまことか龍も神も存在する異世界だ。立ち止まることなんて出来やしなかった。

 

 

 お嬢様風の服装を身に付け、ささやかなアクセサリーで飾った俺と、連れ五人にはサイズは違えども同じ騎士風の服装、戦場で拾った長剣を背中に背負わせ、さらにその中の二人には短槍で武装させて鍛冶屋に向かう。振るうことのできない長剣を身の丈にあったものに変えるためである。

 

「失礼します、ご主人はいらっしゃいますか?」

 

 鍛冶場兼武器屋と言っても過言ではない場所に到着した俺は槍持を外に配置し、長剣と短剣を装備させた一人に入口を封鎖させる。調停士が店にやってきたならば通していい旨を伝えてあるが、それを含めてはどんな人間でも警戒しろと伝えてある。つまりは、金持ちの従者らしく振舞えと伝えたのだ。ボロが出ないように一般的な槍の使い方は彼らに練習させてある。元々簡単ながらも槍や弓で狩りをさせていたのだ。そこらの従者には負けることはあるまい。もちろん年の頃が同じと注釈がつくが。

 

 「はいはい、何で御座いましょう」

 

 店から出てきたのはドワーフの鍛冶師、手もみしながら出てきたはいいが、口調は商売人のそれではない。一応のことそれっぽいことをやってはみているが、堅物な彼らには上手くモノにできていないのだろう。

 

 「剣を誂えて欲しいのです、リオン来なさい」

 

 連れの一人を呼びつけ、長剣を手渡すように手招きする。あらかじめ、彼リオンにはこれから行う事の内容を伝えている。無駄なことは喋らず、従うようにも話しているのだ。彼より受け取った剣をドワーフに手渡す。

 

 「これと同じものが結構な数存在するのですが、ご覧のとおり私の従者には宝の持ち腐れです」

 

 俺の部下的な彼らは、鍛えているといっても所詮は子供。長剣など振るえやしない。現にリオンも背中から剣を外したときその重さで少しバランスを崩した。これでは意味がない、魔物を狩れるはずもない。そのために今回は何本かの長剣を鋳潰して彼らや俺にも使えるものを誂えるのである。

 

 「既に言わずともお分かりになるでしょうが、彼らが子鬼(ゴブリン)程度に負けることのない装備を打っていただきたいのです。数は80本、幸い必要のない長剣が我が家には余っておりますのでそれを鋳潰して打っていただきたい、もちろん下等剣ですので何本か無駄になるでしょうので余分にお渡しします、どうでしょう?」

 

 ここまでボロは出ていない、どこからどう見ても騎士ごっこにはまった、物好きなお嬢様そのものであろう。この世界に本当に、そんな酔狂な者がいるかどうかは知らないが、孤児とは思うまい。

 

 「もしや、お求めは鍛造剣ですか?少々割高になりますぜ?」

 

 どれほどの価格になるかは知らないが、中古の鍛造剣で銀貨2枚程度。オーダーメイドといえど、手持ちの金貨80枚を使い潰すことはないだろう。

 

 「おいくらでしょうか?できれば今日中に支払いも現物も渡してしまいたいので」

 

 コトは早いほうがいい。子鬼(ゴブリン)を狩れるようになれば、楽に銅貨程度の小金は稼げるようになる。しかも、異世界スタートとしては少々遅めの始まりなのだ。慌て過ぎもいけないかもしれないが、この程度であれば大丈夫であろう。

 

 「長剣も鋳造ではあるがそこそこの物だ、インゴットの代金がいらないのなら手間賃だけだ。そうだな一本450銅貨、だから80本で」

 

 「72銀貨ですね、ではこれで」

 

 1銀貨=500銅貨、1金貨=2500銀貨である、計算は少々めんどくさいができないことはない。すぐさま銀貨用意する。ドワーフの彼の前で財布袋から一枚づつ数えて取り出し、十枚ごとにカウンターに並べる。これで文句のつけようもないだろう。

 

 「いや、なんだ。流石に計算も金勘定も上手いな。こちとら頭が悪い種族で有名だから、割を食うことも多いんだ、感謝する」

 

 「いえ、これから長い付き合いになるかもしれません、貴方とは快く付き合っていきたいとこちらも考えていますので。それにもう少し成長したのなら槍斧や鎧も誂えてもらいたいと、こちらは考えているのです。仲良くしないわけにはいかないでしょう?」

 

 ここで毎晩練習した、お嬢様的微笑み。後ろの方で三人の流石姉御的な目線を感じる気もするが、あえてスルー。別に騙したわけでもないのだから良いのだ。こちらは丁寧に対応しているだけで、あちらが勝手に上流階級に勘違いしているのだ。悪いことなど何一つしていない。

 

 

 こうして両者が気持ちの良いまま商談を終了させ、俺たちは拠点に帰った。

 

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