噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

2 / 71
原作開始です!


荒野のハイエナ現る!

「ん……?」

 

 俺は気がつくと椅子に座ってラーメンをすすっていた。

 とりあえず周りを見渡す。

 ……えっと……モンゴル風? 中東風? な感じのインテリアが閑散と置かれた部屋だ。

 ……いや、部屋っつーより洞窟だなこりゃ。ヤムチャの部屋だ。きてしまったのかドラゴンワールドに。

 来れたんだよな? ドッキリでしたーとか泣くぞ? まじで。

 まあ、原作のヤムチャ編開始はこういう始まりだ。確かこの後……

 

「ヤムチャさま‼︎カモですよ! カモ‼︎」

 

 そう、こーやってプーアルが窓に掛けてあるハシゴから下りてくるんだ。

 正真正銘のドラゴンワールドだった。

 ……がんばろう。

 てかプーアル飛べるよな? なんでわざわざハシゴを使うんだ? 

 まあいいや。

 しかし流石初代ドラゴンボールのマスコットキャラ。モフモフしててめちゃんこ可愛い。オマケにヤムチャに対して健気ときた。こいつぁたまらん。

 

「……? ヤムチャさま? どうしました?」

 

 おっと、見とれすぎたか。イカンイカン。

 

「すまん、なんでもない。カモだな? 久々の獲物だな」

 

 おおう、いきなり自分から○谷さんボイスが出てビックリした。

 さて、悟空とのファーストコンタクトといこうかね。

 おっと、行く前に……

 

「すまんプーアル、鏡に変化してくれないか?」

 

「はい! 変化‼︎(Pom!)」

 

 鏡(プーアル)を持って顔を確かめる……うん、小憎たらしいイケメンフェイス。正真正銘の生ヤムチャだ。なんか確かめとかないと落ち着かなかった。

 

「すまない。やはり襲うのなら身だしなみはちゃんとしとかないとな」

 

「なるほど‼︎流石はヤムチャさま‼︎」

 

 プーアル、お前かわいすぎるだろ……。ヤムチャの記憶からもプーアルへの愛情を強く感じるしな。

 

「さて、行くか」

 

 俺は扉から出ようとする。すると

 

「あれヤムチャさま、刀は持っていかないんですか?」

 

 プーアルからのツッコミが入る。あ、刀使ってたっけな。

 

「わるいわるい。忘れてた」

 

 刀……? サーベル? を腰にかけ準備オッケー。

 

 外に出ると……見えた。少年と今懐かしきアニマルタイプ。悟空とウーロンだ。ブルマは……多分原作通りどっかの岩の日陰にいるんだろうな。

 

「なるほど、子供が一人と豚が一匹か。めぼしいものは持ってなさそうだ」

 

「しかしホイポイカプセルを持ってるかもしれませんよ!」

 

「よしプーアル。ジェットモモンガを用意しろ」

 

 そーいやヤムチャのあのバイク擬はジェットモモンガって名前だったなー。

 今回はちゃんと不自然ないようにヤムチャの記憶を見ておいた。これからも心掛けておこう。

 エンジンをいれるとジェットモモンガはその車体を浮かび上がらせた。この世界の科学ってすげー。反重力装置とかまじパネェな。

 さあ、この世界での初陣だ。主人公相手にどこまでやれるか……! 

 

 

 

 ──────────────────────────────ー

 

 

 

 悟空・ブルマ・ウーロンは次なるドラゴンボールを求めフライパン山を目指していた。

 しかし移動用の乗り物がない一行は歩きでの荒野横断を強いられた。

 そのハードさにブルマはギブアップ、一旦休憩となる。

 

「俺もう腹減っちまった……」

 

 そうぼやくウーロンに悟空は食べ物を獲ってくると言う。

 

「あ、おめえ豚肉好きか?」

 

「好きなわけないだろ‼︎」

 

 豚型のアニマルタイプであるウーロンに対して豚肉の好みを聞くのはブラックジョークである。

 もっとも純粋な悟空にそのような意図はないが。

 その時である。ウーロンが異変に気付く。

 

「お、おい。なんだあれ……」

 

 彼方から土煙をあげ、何かが近づいてきている。

 その正体は近づくごとに見えていく。

 近づいてきていたのはジェットモモンガという乗り物に跨り、山賊風の着こなしをし、土煙に長髪をたなびかせ、小さなお供を従えた凛々しい男であった。

 その男は悟空とウーロンの前まで来るとジェットモモンガを旋回させ止まる。

 

「……よう」

 

「誰だおめえ?」

 

 悟空の問いに男は少し笑うとどこか嬉しそうに答える。

 

「俺はこの荒野を根城にするハイエナ、ヤムチャってもんだ」

 

「僕はプーアルだぞ!」

 

「ガキ相手じゃ様にならねえが、生きてこの荒野を出たくば金かホイポイカプセルを渡すんだな」

 

 

 

 ──────────────────────────────ー

 

 

 

 言った──‼︎ヤムチャの迷言言っちゃったよ‼︎

 そして生悟空‼︎俺、マジ感激……‼︎

 

「プーアル! お前泣き虫プーアルじゃないか‼︎」

 

「あー! ウーロン‼︎」

 

 おっと、この二人は知り合いだったかな。

 

「知り合いか?」

 

「はい。昔、南部幼稚園に通っていた頃、僕を虐めてたウーロンです」

 

「弱いものいじめはいけねえぜ。プーアル、俺がしっかりと仕返ししてやるからな」

 

 こんなにかわいいプーアルを虐めるなんて正気じゃない。矯正してやらないとな? 

 

「ひいぃぃ! 弱いものいじめはダメなんだろう⁉︎」

 

「ヤムチャさま! ウーロンは女の先生のパンツを盗んで幼稚園を追い出されたエッチなやつです‼︎」

 

 なんだそりゃ……。幼稚園児でパンツを盗むって……こいつは何歳の時から悟ってるんだ? 

 

「しょうがないやっちゃな……」

 

「おめえ今も昔もかわってねえなぁ」

 

 全くだ。まあそれは置いて、グダッていても仕方がない。原作をドンドン進めていこう。

 

「さて、命が欲しくば金かホイポイカプセルを寄越すんだな」

 

「お前らに渡す金はねえ! とっととおうちに帰んな‼︎」

 

 ウーロンのやつ悟空がいるからって調子に乗ってるな? 面白いから脅しをかけてやるか。

 

「ほう? 貴様らそんなに天国を旅したいか?」

 

 刀を引き抜き日光の反射でギラつかせる。ふふ……いい感じに怯えてるな。

 

「ヤムチャさま! そんなやつけちょんけちょんにしてください‼︎」

 

「ご、悟空! あとは任せたぞ‼︎」

 

 ウーロンとプーアルが引っ込む。さあ、始めるか……‼︎

 原作ではヤムチャはこの時、鞘を投げて注意をそらし攻撃した。だが悟空には全く通じなかった。

 まずヤムチャに剣の心得はない。ならばさっさと狼牙風風拳を決めてしまったほうがいい! 

 俺は刀をしまうと構えをとる。

 

「あり? それつかわねえんか?」

 

「ああ。少々気が変わった。一気に俺の必殺技で決めさせてもらうぜ‼︎」

 

 端から見たら大の大人が12歳の子供に向かって何言ってんだって感じだが、相手は戦闘民族サイヤ人。どーたら言える話の相手じゃない‼︎

 

「はあぁぁぁぁ……。狼牙、風風拳ッ‼︎」

 

 狼の如き速さで悟空に肉薄する! 対する悟空は腹の減りが気になって油断している! いける! 

 

「ほあぁぁぁぁ‼︎いやァァァ‼︎」

 

 まず悟空に飛び蹴り! その後はひたすら顎、首、鳩尾と相手の急所を連打‼︎

 

「ハイッハイッハイッハイッハイッハイッ‼︎」

 

 そして最後に両手で、渾身の一撃‼︎

 

「ハイィィィィッ‼︎」

 

 悟空はその一撃で吹っ飛び、ぶつかった岩に埋もれてしまった。

 うん、強いよ狼牙風風拳。実力が拮抗している相手にはかなりの有効打になりそうだ。……足元のアレをどうにかすれば。

 

「流石ですヤムチャさまー!」

 

「まあな」

 

 さて、次はウーロンだな。

 俺は媚びへつらっているウーロンに近づいていく。

 するとウーロンはハエに化けて逃げようとするがハエ叩きに化けたプーアルにはたき落される。GJ‼︎

 

「さあ、これ以上痛い目にあいたくなければ金かホイポイカプセルを渡すんだな」

 

 ……そろそろか。

 ウーロンが俺にホイポイカプセルを渡そうとした時、崩れた岩山から悟空が出てくる。

 一応全部急所を狙ったんだかなあ……。

 

「よくもやったなー‼︎」

 

「ほう小僧。俺の狼牙風風拳を受けて立つとは中々だな」

 

「こうなったらジャン拳出しちゃうもんねー!」

 

 悟空は構えをとる。さあ、ここからが本番だ‼︎

 

「ハイィィィィ‼︎」

 

 俺は悟空に飛びかかる。対して悟空は

 

「じゃんけん……グー!」

 

 殴ってきたのでこちらも殴って迎撃、結果相殺だ。

 さあ、ここまでは原作通り。次からだ! 

 

「チョキー!」

 

 悟空は目潰しを狙う‼︎だが俺は悟空の手を残った左手で払う! 今の俺には本来できない芸当だが、相手の行動が分かるならそれは意外と容易い。

 

「パー!」

 

 最後は顔を狙った張り手。俺はこれをしゃがんで躱し、悟空の足を払う! 

 さらに寝転んだ悟空に追撃のエルボーッ‼︎俺の肘は完璧に悟空の首を捉えた。

 

「うぅぅ……。腹が減って力が出ねえ……」

 

 悟空は倒れたまま動けなくなってしまった。

 俺は悟空に……、原作に、勝った……のか? ……いや……微妙だな。だが山場を抜けたのは確かか。

 

「うーん……。うるさいわねぇ……眠れないじゃないの」

 

 ここでブルマが目を覚ます。

 ……ダメか。ブルマを、女を見たらドキドキして動けなくなった。俺は俺でありヤムチャであるからな。人格が変わってもここは変わらなかったか。くそ、ヤムチャのヘタレ! 

 

「ぷ、プーアル、ここは一旦引き上げるぞ……!」

 

「は、はい‼︎」

 

 ジェットモモンガに乗り、颯爽と去っていく俺。

 

「待っていろー! 必ずカプセルをいただきに行くからなー!」

 

 もちろん捨ぜりふを吐いて。

 初戦は上々! ヤムチャでもいけるな! 

 不服だがまず1勝! これで明日満腹の悟空に勝てば最高だ‼︎

 

「ヤムチャさま? ご機嫌ですね? 女に会ったのに、どうしたんですか?」

 

「くくく、まあな‼︎わはははは‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在ヤムチャ 1勝 0敗




読んでくださり恐縮の至りです。
主人公は原作を壊さないように、かつヤムチャをある程度活躍させることを目標に頑張るつもりです。

それでは補足

プーアル
ヤムチャのお供。かわいらしいマスコットキャラクター。ていうかプーアル舞空術が使えるんですよね…。どこかでプーアル最強説というものを聞いたことがあります。
ヤムチャが主人公なので最後まで出る予定です。

孫 悟空
言わずと知れたドラゴンボールの主人公。このころの悟空は本当、純粋でしたよね…(遠い目)
今回は空腹のあまり倒れてしまったが次回は?乞うご期待。
あと関係ありませんが作者はクズロットが大好きです。

ウーロン
豚型アニマルタイプ。無印の頃はアニマルタイプいっぱい出てたのに結局Zまで出てこれたのはウーロンとキングキャッスルの国王ぐらい。
パンツに対して並ならぬ執念を持ってますが、何が彼をここまで動かすのか、作者には分かりません。パンツは履かれている状態でチラッと見え(ry

ブルマ
カプセルコンポレーションの令嬢。初代ドラゴンボールのヒロインかつおいろけ担当。あのM王子とくっついた時はかなりの衝撃を受けたものです。しかし、まあ、ヤムチャとくっつかなくて安心したおれがいる。

狼牙風風拳
ウルフハリケーン。どんどん使っていきます。ヤムチャから狼牙風風拳をとったらなにが残るんですか?繰気弾くらいでしょう?かめはめ波?ああ、うん。それで?



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。