噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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ypaaaaaaaaaaa‼︎
今話からあらすじに次話進行度を%で書きます。


あ、サブタイトルは誤字じゃないですよ!(^^)


呪!万年一回戦ボーイ脱却‼︎

 アナウンサーによる開始宣言とともに、桃白白はヤムチャに攻撃を仕掛ける。

 一般人からしてみれば神速の一撃、まるで桃白白がその場から消えたように見えただろう。それほどの超スピード。

 しかしヤムチャはそれをさらに上回るスピードで後ろに仰け反ることでこれを難なく対処。桃白白の開幕同時の一撃はから振ることになる。

 

 桃白白はから振った己の腕を不思議そうに眺めつつ、今起きた不可解な出来事にハテナを浮かべた。

 

「むぅ…?どうやらこの三年間で逃げ足だけは鍛わったようだな。しかしこんなマグレは2度も続かん!」

 

 足でリングを蹴り飛ばし、再び桃白白はヤムチャに攻撃を仕掛ける。憎しみを乗せた自身最高の一撃。桃白白は己の勝利を早くも確信した。

 

「死ねぇッ‼︎」

 

「ところがギッチョン、遅いんだよ‼︎」

 

 だがヤムチャ、上体を左に逸らし桃白白の手刀による横一閃を紙一重で回避。無防備な桃白白の腹に重いひざ蹴りを叩き込む。

 なすすべもなく上空へ吹っ飛ぶ桃白白。しかしヤムチャは力強く跳躍すると空へ吹き飛ぶ桃白白を悠々と追い抜かす。そして両手を組むと桃白白の背中に振り下ろしさらなる一撃を加える。

 

「ゴホォッ⁉︎」

 

 凄まじい速さで落下した桃白白はリングに叩きつけられ、肺に溢れる空気を体外に吐き出した。

 鶴仙流ならここでニードロップでもしてさらなる追撃を仕掛けるところだろう。それこそ原作で天津飯がヤムチャの足を明後日の方向にへし折ったように。だがヤムチャは亀仙流。もちろんそのようなことはしない。立ち上がろうとし、四つ這いに蹲る桃白白のすぐ隣に鮮やかに着地する。

 

「おいおい、そんな程度で終わりじゃないだろ?それとも、たった一人の武闘家すら倒すことができないのか?……やれやれだ。世界一の殺し屋も落ちぶれたもんだな」

 

 追撃はしなくとも煽りはする。それがヤムチャクオリティである。どうやらヤムチャとしても三年前に半殺しにされた恨みは多少なりにはあったらしい。

 

「ほらどうした?早く起き上がれよ。なんならもうリングから叩き落としてやってもいいんだぜ?」

 

「ぐ、ぐぐ…!貴様ぁぁ……‼︎くらえいッ‼︎」

 

 桃白白はリングに突いていた己の手を軸にし、ヤムチャに足払いをかける。だがヤムチャ、それを軽く飛び上がって回避。空中の整わない体勢から強烈な蹴りを繰り出し桃白白の顔を蹴り抜き、再び桃白白をリングに沈める。

 

「く、くそ!せいッ‼︎」

 

 桃白白は急いで立ち上がると腰を深く落とし、正拳突きを放つ。しかしヤムチャは中段払いで正拳突きを打ち払い、流れるようにカウンターの裏拳を桃白白の顎に叩き込んだ。

 これには桃白白、無様に回転しながらさらに再びリングに沈められてしまう。

 

 もはや桃白白は赤子扱いであった。

 そのあまりの試合展開に天津飯と餃子は己の目を疑い、鶴仙人はただただ呆然とした。

 だが鶴仙流一派の反応とは裏腹に会場からは大歓声が挙がる。特に女性の黄色い歓声が多い。ヤムチャは調子に乗り女の子に手を振るなどのパフォーマンスをしたが、とある方向から飛んでくるガールフレンドの視線に感付き、体を凍らせた。調子に乗りすぎるのも考えものだとヤムチャはいつになったら気づくのだろうか。

 

「はぁ…はぁ…殺す、殺してやる…!」

 

「反則負けになるぞ?いいのか?」

 

 殺気をあたりに撒き散らし、喚く桃白白。しかしヤムチャは軽々と返答する。ヤムチャ、すでに桃白白を敵と見ていない。

 そんなヤムチャの態度に桃白白の怒りはついに最高潮へと達した。袖の下からナイフを取り出しヤムチャに向ける。

 

『は、反則!反則です‼︎き、凶器の使用は固く禁じられています!桃白白選手失格‼︎よってヤムチャ選手の勝利ーッ‼︎』

 

「構うものかぁ‼︎元々こいつは殺す予定だった‼︎それが前倒しになっただけだ‼︎」

 

 すかさずアナウンサーが失格を言い渡すが桃白白にそんなものは関係ない。今、彼の頭の中にあるのはヤムチャを殺すことのみであった。

 

「死ねーーーーーーッ‼︎」

 

「……やっぱりそうくるか」

 

 ヤムチャはそう呟くと高速の蹴りを繰り出し桃白白の手首を蹴り抜く。ナイフは桃白白の手を離れ観客席の壁に突き刺さった。

 ヤムチャ、実はこうなる事を見越していたのだ。桃白白は追い詰められると何を使ってでも相手に勝ちに来る。戦士としては上出来だが、武闘家としては最低だ。

 

「やっぱりあんたみたいなのが武闘会に出るのは違うぜ。さっさと俺の前から消えろ、ぶっ飛ばされんうちにな」

 

「……認めん、認めんぞ…。この天下の俺様がこんな男に…」

 

「おーい?ちょっとー?」

 

 桃白白はうわ言のようにブツブツと呟いていた。ヤムチャも少しはやり過ぎたか…と反省し、再度桃白白に語りかけようとした、その時だ。

 

「認めんぞーッ‼︎‼︎どどん波ッ‼︎」

 

 ほとんど予備動作なしに桃白白がどどん波を放つ。狙いは三年前と同じくヤムチャの胸であった。

 ヤムチャはまず避けようと考えた。しかしそれは自身の後ろにはなんの心得もない一般人が多数いる。避けることはできない。

 ならば弾くのは?これも却下。ヤムチャはまだ自分の防御面に関してはあまり自信を持ててない。ここで受けるのは危険と判断した。

 ではどうする?ヤムチャが選んだのは…

 

「波ァーーーーッ‼︎」

 

 相殺であった。ヤムチャもまた予備動作なしにかめはめ波を放ち、どどん波と相殺させようとする。だがそれはヤムチャにとっていい意味で裏切られた。

 かめはめ波はどどん波を打ち消し桃白白へと向かっていった。

 

「ば、バカな…!俺様の、どどん波がぁ…‼︎」

 

 そのままかめはめ波は桃白白を飲み込み、なお直進を続けた。

 

「く、そぉい‼︎」

 

 ヤムチャはかめはめ波を無理矢理捻じ曲げ軌道を上にズラす。結果、桃白白を飲み込んだかめはめ波は観客の頭上すれすれを飛び、遥か彼方の空へ消えていった。

 

『た、大変なハプニングがありましたがヤムチャ選手の勝利に変わりありません。大会を続行します‼︎次の選手はーーーー』

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 よう、俺ヤムチャ。

 

 少しの苦戦も考えてたんだが…全く桃白白が相手にならなかったな。新技どころか狼牙風風拳すら使わなかったぞ。それほどまでに俺のこの三年間は大きかったんだろう。その結果桃白白が俺の噛ませっぽいことになってしまっていたが…まあ、いいよね!

 桃白白は犠牲になったのだ…俺が目指すヤムチャ最強街道……その犠牲にな…。

 

 しっかし三年でここまでとは…この世界の空気にプロテインが含まれてるっていう仮説は結構マジなことなのかも。

 まあなんにせよ晴れて一回戦突破、二回戦進出だ。まず第一の目標である万年一回戦ボーイの汚名は返上できた。ふっふっふ…勝ち癖が付いてきたかな?この調子で一気に優勝してしまうとしよう。天津飯なんてもう相手じゃないね!第22回天下一武闘会の優勝者は天津飯ではない……このヤムチャだっ‼︎

 

「ふぇー!ヤムチャ、おめぇすっげぇ強くなってんだな!」

 

「や、ヤムチャさん…さらに腕を上げましたね」

 

「まあな。だがこんなもんじゃないぜ。まだまだ隠し玉はたくさんあるんだ、あの天津飯とか言う三つ目野郎も軽く倒して決勝戦でお前たちとやれるのを楽しみにしてるぜ」

 

 そう得意げに悟空とクリリンに言い放ち選手控え室に戻る。そういや桃白白はどこまで飛んで行ったんだろうか?殺してたら後味悪いしなぁ…。

 

「ヤムチャよ、見事じゃったぞ。この一年の間でもさらに磨きをかけおったか。あの桃白白を倒すとはな」

 

 ジャッキー・チュンに扮した武天老師様が話しかけてきた。三年前に俺が正体を看破したからな。俺にだけはこの姿(ジャッキー・チュン)でも普通に接してくれる。

 

「それほどでもありますが、悟空や…多分クリリンでもいけたんじゃないでしょうか。俺なんてまだまだですよ」

 

 と言葉ではこう言うものの、最近は自分の力に自信を持ててると思う。付け上がってるわけじゃない……よな?

 

「謙虚なことはいいことじゃ。じゃがな、お主は少し他の者と自分を比べすぎておる。無理に他の者と力や技を比較しなくともよい、お主にはお主の強みがあるのじゃよ。よいな」

 

 …そんなことまで分かるんですか。本当に凄い人だ。

 少し武天老師様の表情が和らいだ気がする。

 

「それではワシの出番じゃ。行ってくるとしようかの。老人にどこまでできるかはわからんが…」

 

「いえいえ、武天老師様もさらに腕をお上げになられてるじゃないですか。もし二回戦であたることになったら…負けませんよ」

 

 武天老師様は俺の言葉に頷き返すと、リングへと向かっていった。俺としては武天老師様とも戦ってみたいんだが……どうなるのか。

 途中天津飯が横切り、物凄い形相で俺を睨んだ。おお…怖い怖い。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 第二試合、ジャッキー・チュン対天津飯の戦いは先ほどの俺と桃白白の戦いが霞んでしまうような激しい試合だった。

 両者ともに凄まじいまでの達人だが特に天津飯が際立った。一つ一つの動作にかなり気合がこもっていたと思う。桃白白の件で鶴仙人から何か言われたのだろうか。

 時折、武天老師様が語りかけると天津飯はそれを激しく否定した。何を話しているんだ?

 

 一進一退の攻防は続いたが、それは唐突に終わりを告げる。

 天津飯が俺の放ったかめはめ波を見よう見まねで再現すると武天老師様は満足したのか、自らリングを降りて棄権してしまったのだ。

 

 やはりここは原作通り天津飯の勝利に終わったか…。つまり俺の相手は天津飯。

 恐らく桃白白のようにはいかないだろう。気を感じなくても奴から漲る闘気を感じればよく分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤムチャ現在 8勝2敗




というわけで桃白白噛ませ回でした。
桃白白は犠牲になったのだ…。

感想、評価ありがとうございます。一つ一つが作者のモチベーションと生きる希望になっています。

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