噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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前半は故意的に低クオリティ。
理由は…まあ読んでくださいな。


クリリン死す!脅威のなんとかかんとか!

「宇宙もろとも、塵になれェーーッ‼︎ギャリック砲ォッ‼︎」

 

 激昂したベジータは空へと猛スピードで飛び上がり地上に向けてギャリック砲を放った。ゆうに地球を粉々にできるほどのエネルギーだ。

 それを迎え撃つは地球最強の戦士、ヤムチャ‼︎

 莫大なエネルギー波を見やり、微塵にも怯えを見せる気配はない。

 

「ベジータ、お前の好きにはさせねぇ‼︎地球は俺が守る‼︎超かめはめ波ァーーッ‼︎」

 

 ヤムチャが放ったのはかめはめ波。だが従来のものより一回りも二回りも大きい。

 荒れ狂うヤムチャの気の奔流はベジータのギャリック砲を易々と飲み込み消滅させた。

 

「な、なに⁉︎このオレのギャリック砲が、押され…!」

 

 そして、直撃。ベジータは空高く打ち上げられていく。

 

「クソッタレェェェェ‼︎このオレが、地球人ごときにぃ…‼︎」

 

 ベジータは叫んだが圧倒的な力の前にはあまりにも無力。なす術なく空のお星様となった。

 

「へ、綺麗な星じゃねぇか。あんたもそうは思わないか?フリーザさんよ」

 

 ヤムチャは捨て台詞を吐くと、何故か後ろにいるフリーザへと呼びかける。フリーザの形態はすでに最終形態である。

 

「ふん、猿野郎を一匹倒したところでいい気になるんじゃありませんよ。ぼくの不老不死を邪魔するのなら、死んでもらう!」

 

 フリーザはそう叫ぶとデスボールを放つ。地球を一瞬で木っ端微塵にするほどの一撃だ。だがヤムチャは退かなかった。愛すべき地球を守るために!

 

「よっと」

 

 ヤムチャが人差し指を突き出す。すると先ほどまで物凄い勢いで直進していたデスボールは反転し、フリーザへと牙を剥く!

 

「ば、馬鹿な⁉︎この、宇宙一であるこの、ぼくがァァァ…!」

 

 デスボールはフリーザに直撃し爆発。フリーザは粉微塵になった。ヤムチャはフッと自嘲げに笑うと…

 

「いるんだろ?セル。姿を見せろ!」

 

 誰もいない荒野の中で叫んだ。すると…

 

「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ…よくぞ気がついたなぁ、ヤァムチャ…」

 

 地中の中からセルが現れる。何故かパーフェクトな感じになっていた。

 

「ぶるぁぁぁぁ…お前が私のウォーミングアップに付き合ってくれるのかね?ブルァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ‼︎」

 

 セルが気を解放すると大地が揺れ、大気が割れる。セル圧倒的な戦闘力は地球を揺るがすのだ!

 だがヤムチャ、セルを一瞥すると超スピードでセルの懐に潜りこみ、重い一撃を打ち込む。

 

「ブルゥア⁉︎ブル、ブルァァ……」

 

「脆い…脆すぎるぞ、セル…」

 

「ば、馬鹿な…こんなはずでは…。まさか、お前はヤムチャではないというのか…?」

 

「ふっ……俺は、スーパーヤムチャだ。消し飛べェェ‼︎」

 

「ブルァァァァァァァァァァァッッッ⁉︎」

 

 ヤムチャが放った気功波によりセルは核ごと体を消滅させた。

 

「強すぎるってのも困りものだな。さて、あとはブウだけだが……面倒くせ。繰気弾、ブウを消し飛ばせ」

 

 ヤムチャは適当に繰気弾を作り出すとどこかに向かって放つ。するとどこからかブウの断末魔が聞こえてくる。

 ヤムチャの手により巨悪は去ったのだ‼︎

 

「やっぱヤムチャにはかなわねぇな。今度繰気弾を教えてくれよ‼︎」

 

 悟空からは師事を頼まれ、

 

「ヤムチャ、お前がナンバーワンだ」

 

 何故か生きているベジータからは賞賛され、

 

「おめでとう」

 

「おめでとう」

 

「おめでとう」

 

「おめでとう」

 

「おめでとう」

 

 Z戦士や仲間たちから拍手が送られる。ヤムチャは涼やかな笑顔を浮かべると、言った。

 

「ありがーーーー」

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 …知らない天井と知ってる顔だ。

 

「ヤムチャさまー!目を覚ましたんですね‼︎」

 

「……あー…うん」

 

 よう……俺…ヤムチャ…。

 

 なんなの今の夢。夢オチ乙?

 夢とは無意識の意識。つまりあれは俺の願望…?ないわー。

 

 ってか腕痛い!これ下手したら原作以上にボコボコにされてんじゃん俺!

 くそ…ギョウザの野郎…やってくれやがったぜ。勝てたかどうかは別としてちょっと残念な終わり方だったよな。

 取り敢えずひと段落したら原作の大まかな内容を紙に書いておこう。うん、忘れちゃいけない。

 

 まあ俺のヤムチャプランは一つ目から躓いてしまったわけだが、まあ支障はない。俺が懐に隠し持ってた仙豆を食べればこの傷も回復する。そんでもってあのなんとかとか言う魔族を倒してクリリンを救う。よし、完璧だ。

 

「よしプーアル。今試合はどんな感じになってるか教えてくれ」

 

「ああ、試合なら終わりましたよ。結果は優勝者なしってことになったんですけど…」

 

 ………は?終わった?え、優勝者なし?どゆこと⁉︎

 

「俺ってそんなに寝てたのか⁉︎てか決勝の試合の内容を教えてくれ!」

 

 天津飯って俺との試合で結構手の内を見せたし、ダメージも残ってたからもしかしたら悟空が勝つかなー…なんて思ったりもしたが。

 優勝者なしは予想の斜め上をいったぞ…。

 

「えっと…まずは、悟空とクリリンさんの試合は悟空が勝ちました」

 

「ああ、それは分かる」

 

 クリリン御愁傷様。やっぱ俺と修行したくらいじゃ悟空には勝てねぇよな。

 

「で決勝は……あの、ヤムチャさまと戦ったときに使った手が四本になる技があるじゃないですか。その技でヤムチャさまの…繰気弾でしたっけ?あれを二つ作って攻撃したりしてました」

 

「ファッ⁉︎」

 

「四本腕で狼牙風風拳とかも使ってましたよ」

 

 俺氏マジガクブル。天津飯ェ…、なんでお前が原作で付いてこれなくなったのかが分かんねぇ…。それほどまでにこれから先のインフレは厳しいものなのか。いかん、萎えてきた。

 てか技盗まれた。俺が三年かけて生み出した技を一瞬で盗まれた。ヤムチャ超ショック。

 …取り敢えず先のことを聞いておこうか。

 

「……で?」

 

「はい。それで二人とも全く互角ってくらいの勝負だったんですけど時間が経つごとに悟空の方が優勢になっていきました。けど急に悟空が苦しみ出して…それでしばらく天津飯さんが悟空をボコボコにしてたんですけど、急に観客席に向かって怒鳴ったんです。『技を止めろッ‼︎』って」

 

 ああ気づいたのね。そりゃよかった。

 

「でなんだかんだあって鶴仙人は亀仙人さまにどっかに飛ばされちゃったんです。その後天津飯さんが餃子さんを利用していたって告白して…ヤムチャさまとの戦いにも茶々を入れたって…」

 

 へぇー…告白したのね。見直したぜ天津飯。

 

「で、天津飯さんは試合を放棄したんです」

 

 ……うんなるほど。あいつ真面目そうな奴だからな。責任を感じたのか。結局気功砲は撃たなかったんだ。

 

「なるほど、だいたい分かった。そんでもってなんで優勝者はなしに……いや、言わなくていい。なんとなく分かった」

 

 悟空は納得しなかったんだろうな。「そんなんで天下一になっても嬉しくねぇ!」みたいな感じか?

 原作とは違う展開になっちまったが…そこまで変わらなかったと言えば変わらなかったのか。

 んで、試合の後は……

 

「……なあプーアル。悟空たちは今何をしているんだ?」

 

「ご飯を食べに行くみたいですよ?和解した天津飯さんも一緒に…………ヤムチャさま?」

 

 俺は直ぐに起き上がってブルマに電話をかけた。ブルマは電話にワンコールめに出てくれた。

 

『ヤムチャっ⁉︎あんた大丈夫なの⁉︎』

 

「ああ大丈夫だ、心配かけたな。ところでそこにクリリンはいるか?いたら代わって欲しいんだが…」

 

『クリリン?クリリンならさっき孫くんの如意棒と四星球を取りに行ったけど……あら?ヤムチャー?』

 

 俺は会話の途中にもかかわらず、病院を出て天下一武闘会会場に走った。足を折られなかったのは不幸中の幸いと言える。

 距離はそれなりにあったが、俺の脚力ならあっという間に到着することができた。道行く人々を押しのけ一直線に目指す。

 急いで会場に入る。そこには…

 

「悟空……」

 

「ヤムチャ……クリリンが…殺された」

 

 クリリンの亡骸を抱き抱える悟空の姿があった。クリリンの亡骸を見てどうしようもない、やるせない気持ちになった。クリリン……助けてやりたかった…。

 生き返ることはできる…それでも、辛い。

 

 側には重傷を負ったアナウンサーの人。そして〈魔〉と書かれた紙が寂しく風になびいていた。

 

「ヤムチャ?なぜここに…」

 

 後からぞろぞろと皆が入ってくる。俺の姿を見た天津飯と餃子が辛そうな顔をしているが話すのは後だ。

 

「クリリンが殺されました。犯人は…」

 

 武天老師様に〈魔〉の紙を見せる。すると武天老師様の顔は青ざめた。犯人の正体が分かったのだろう。

 

「こ、これは…まさか…」

 

「恐らく…武天老師様の予想は正しいと思います。クリリンを一撃で殺すことのできる奴なんて相当絞られますが…その手の者だと考えるなら納得できる…」

 

 皆何が何だかよく分からない状況になっているが、クリリンを殺されたという事実は変わりようがない。

 だが、皆が恐怖に慄く前に、悟空が動いた。

 

「ちくしょう!ちくしょうちくしょう‼︎こい筋斗雲‼︎」

 

「待て悟空!今のお前じゃ無謀だ!せめて…」

 

 だが悟空は俺の制止を振り切り、ブルマからドラゴンレーダーを奪うと筋斗雲に乗って魔族を追いかけて行った。

 ちくしょう…できれば今の状態の悟空を送り出したくなかった。試合を見ていない俺には悟空が今どれほど疲弊しているかが分からない。怪我の具合によっては殺されてしまう可能性だってある。せめて残る一つの仙豆でも渡しておければ…

 

 ………待てよ?悟空はあの魔族に負けてヤジロベーの元に落下する。その後例の魔族を倒した後にピッコロ大魔王との戦いになり、敗北する。その後体力を回復するために仙豆を食べにカリン塔へ向かう……………あ。

 やべぇ、悟空に仙豆がカリン塔にあることを教えてない!仙豆の効力しか教えてなかったぞ⁉︎

 三年間の間に一回だけ悟空がカリン塔に来たが、仙豆を食べる暇もなく修行をクリアしちまったし……。

 これじゃ悟空が負けた後にどこにも行きようがない‼︎

 

「ブルマ!ドラゴンレーダーの予備はあるか⁉︎悟空を追いかける‼︎」

 

「な、ないわよ…二つもいらないし…」

 

「なら即興で作ってくれ!壊れやすくても見にくくてもいい!時を争う!」

 

 ターボ君は車の部品でドラゴンレーダーを作れたんだ。ブルマにも今ある部品で作ることができるかもしれない。

 

「分かったわよ…」

 

 ブルマは渋々といった感じでドラゴンレーダーの製作を始める。頼むぞブルマ…!

 

 

 

 

 

 作られるまでの間に武天老師様が皆にピッコロ大魔王について説明をした。

 結構ショッキングな内容だったが俺はドラゴンレーダーの完成の方が気になって仕方がない。

 

 

 

 

 

 

「できたわー‼︎」

 

 流石天才ッ‼︎30分で作っちまったか!

 早速サーチにかける。すると四星球がとある地点で止まっていた。しかもボールがもう一つ近くにある。これはつまり…

 

「悟空がここで戦っているのか…それとも敵の親玉んとこに着いちまったのか…」

 

「むぅ…判断できんのう…」

 

 その時だった。四星球は再び動き出した。俺たちとは逆の方向に。

 

「悟空が…負けた…のか」

 

「やられてしもうたか…!なんということじゃ…」

 

 ……まだ死んだとは限らない。取り敢えずさっきまで四星球が止まっていた地点は地図に丸印を書き込んでおいた。その真下が恐らくヤジロベーのいるところだろう。

 早速向かうことにしよう。

 

「俺はここに行って悟空の生死を確かめてきます。武天老師様たちはこのドラゴンレーダーでドラゴンボールの回収を」

 

「しかし…ヤムチャ。お主腕は大丈夫か?」

 

「…その件についてだが…ヤムチャ、本当にすまなかった…」

 

 突然天津飯と餃子が俺に土下座をする。

 

「お前との試合で卑怯な勝ち方をするだけでなく腕を折り、武闘家としての生命を…!すまない、本当にすまない…‼︎」

 

「ごめんなさい…」

 

 …んー…試合に茶々を入れられたことはともかく、腕については別にいいか。原作の俺風に言わせるなら、殺されなかっただけマシ…ってやつだ。

 それに…

 

「腕は別にいい。これがあるからな」

 

 そう言って俺は懐から仙豆を取り出し食べる。するとみるみるうちに俺の折れ曲がった腕は治っていった。

 周りの皆は目をむいていたが。

 

「な?腕に関しちゃこの通りだ。そこまで気を病むことじゃないさ。そこまで思い詰めていてくれたなら十分だ。試合の件については…また後日埋め合わせってことで、どっちが強いか決めようぜ」

 

「…‼︎ああ!」

 

 ヤムチャまじぐう聖って聞こえてきそうだな。

 まあいいのさ、本当に気にしてないんだから。

 

「それでは俺は行きます。ドラゴンボールを探す際ピッコロ大魔王と鉢合わせないように気をつけてくださいね。天津飯たちも協力してくれ。頼むぞ」

 

「ああ、任せてくれ!」

 

「お主の方こそ気をつけるのじゃぞ」

 

 

 俺はホイポイカプセルからジェット機を出すと急いで発進し地図の丸印の場所を目指すのだった。流石に「ヤムチャ、いっきまーす」とか言ってる場合じゃない。

 悟空…生きててくれよ…

 

 

 

 

 てかプーアル病院に置きっ放しだった…。ごめん。

 

 




感想欄にてヤムチャが修行の割に弱すぎるとの指摘をいただいたので少し説明しようと思います。
作者はドラゴンボールにおけるインフレの要因の一つとして

修行をする→強くなる→よりハードな修行になる→さらに強くなる

という循環がインフレを加速させているものと見ています。
例えばヤムチャの戦闘力が20だった場合、2Gの重力まで耐えることができると仮定します。修行の結果戦闘力は50となります。
次に戦闘力50の状態で3Gの重力下で修行します。その結果戦闘力は100まで伸びます。
2Gで修行した場合と3Gで修行した場合で伸び幅に20の差がありますね。
なぜならば2Gで修行するよりも3Gで修行した方が過酷だからです。つまり戦闘力が多ければ多いほど過酷な修行に耐えることができ、結果最初の頃の修行に比べ大幅なパワーアップを果たすことができる…ということです。
もちろんドラゴンボールのインフレには種族の違いなどもあります。しかし序盤は皆の戦闘力は軒並み低く、描写的には圧倒しているように見えても実はそこまで戦闘力は変わらないのです。フリーザさまから見たらドングリの背比べですし。
つまり、ヤムチャの成長はこれからです。
ちなみに言いますと流石に戦闘力でサイヤ人勢とタメを張ることはヤムチャには難しいです。だからこその技です。

説明が下手で申し訳ありません。しかし理解しておいて欲しいことはヤムチャは原作よりもかなりのパワーアップを果たしているということなのです。


最後になりますが毎度感想、評価ありがとうございます!作者の生きる希望です。結構マジで。
あ、毎日投稿はもう勘弁(^^;;

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