よう、俺ヤムチャ。
この仙豆栽培キット。かなりの優れものだ。
まずこの装置、放っておいてもカプセルの中で仙豆を育ててくれる。必要な気温、必要な栄養分を適度に与え、最高品質の仙豆を作り出すのだ。まあ一度に採取できる数は限られてるし育つにはそれなりの時間を要する。
しかしだ、ここに存在するとある設備を使えば即成長、即回収の効率的な回しができるのだ!
そのとある設備ってのは……もちろん精神と時の部屋だ。
精神と時の部屋に仙豆栽培キットを放置しておくだけ!そうすると…あら不思議!10日後には仙豆を採取が可能!
管理する側に必要なのは定期的な装置へのエネルギーの補給と100日単位でのメンテナンスのみ!100日単位のメンテナンスと言ってもあっちじゃ100年経ってるんだけどな。
さてこの仙豆栽培キットと精神と時の部屋を併用した凄さを分かってくれたかね?
これによってこれから先の仙豆不足は即解消!いくらでも使い放題というわけだ!
うーん…ヤムチャさんマジ賢将っていう声が聞こえてくるぜ。荒野のクレバーウルフとはこのことだ。
取り敢えず仙豆栽培キットの使い道と精神と時の部屋との併用による効率性について神様に説明する。
「ーーーーというわけです。どうでしょう?」
「うーむ…考えついたこともなかった…。確かに仙豆があればピッコロとの戦いも有利に……というより何故お主が精神と時の部屋のことを?」
「あー…すみません。ノーコメントでお願いします。こっちにも色々と事情がありまして…」
ホント…こればかりは誤魔化しようがなかったんだ。
神様は俺にそのことをさらに追求したり、暫く俺を見つめてむぅ…と唸っていた。何してんだこの人。
「…わかった。それ以上は聞かないことにしよう。お主に精神と時の部屋を使用する権利を与える」
「ありがとうございます、神様。その寛大な心に感謝を」
さてと……やったぜ!!
早速置きに行こう!
「なあヤムチャ。どういうことなんだ?オラさっぱりわかんねぇぞ」
「あー…いつかしっかり教えてやるよ」
精神と時の部屋に仙豆栽培キットを置いて任務完了。
管理の方はミスター・ポポが請け負ってくれるらしい。俺がやるつもりだったから思わぬ申し出にラッキー!
その後少しだけ二人から悟空とともに稽古をつけてもらい、動きの改善点や、気のさらに精密な感知の仕方を教えてもらった。
そこらへんはちゃんとメモっておく…。
「それでは…今日は本当にありがとうございました。今日教えてもらったことや仙豆は必ず世界の平和のために活用していきます」
「うむ。お主のこれからの活躍に期待しておる。またいつでも来るといい」
「ポポ、いつでもお前に稽古つけてやる」
二人の好意はとても嬉しい。この2年の間に行くかは分からないけど…もしもの時はよろしく頼もう。
「じゃあなヤムチャ!2年後の天下一武闘会じゃぜってー負けねぇからな!」
「ふっ、俺もだ。じゃあな悟空。サラダバー!」
そして俺は某エルシャダイのイーノックさんの如く、さらに言えば北斗十字斬を受けたシンの如く、空へ身を投げ出した。
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さてさて天下一武闘会まであと1年を切ったある日のことだ。
あと1年ということで今日を境にクリリンたちは独自で修行を始めることにしたらしく、世界中に飛び立っていった。
まあみんなで一緒に修行してちゃ新技を練習できないし、仕方ないな。うん。
というわけで、今日は久々に修行は休憩してブルマとショッピングデートだ。
ウーロンが付いてこようとしていたが勿論丁重にお断りしておいた。
変装もオッケー、身嗜みもオッケー。
そんな感じで結構ルンルン気分で出かけたんだが…
「ホント、力の強い彼氏がいるっていいわね〜。荷物持ちがラクチンよ♪」
「はいはいそうですね」
案の定、荷物持ち安定でした。
今の俺は相当虚ろな目をしてるんじゃないかな。
24時間テレビのおかげで忍耐力はそれなりに鍛わったと思っていたんだが…どうやら思い過ごしだったようだ。やっぱり俺に忍耐力とか精神力を求めるのはダメだということがようやく証明できたよ。
「あ、これ見てよヤムチャ!似合う〜?」
「おうおう、似合う似合う」
どうでもいいんだがブルマさんや。そのネックレスさ、額の桁がおかしいんじゃないかね?世界一の富豪の一人娘は唯我独尊だ。………あれ、ブルマって一人っ子だっけ?姉ちゃんとかいたっけな?
まあ、どうでもいいや…
ーーパパパパパパンッ!
「オラァ強盗だ!有り金と宝石全部よこしな!」
「ひひひ、てめぇら全員人質だぁぁ!!」
扉を蹴り破り天井に向けて発砲。そして金品を要求する二人組がご来店。はい出たよ強盗。俺が街に出るとすぐこれだ。
これは西の都の治安がクソ悪いのか、なんか俺に変な補正でも入ってるのか…某眼鏡の少年探偵みたいに。
「もう…うるさいわね!ヤムチャ!」
「はいはい……おい強盗ども、そこまでだ」
変装用の帽子を脱ぎ、サングラスを外す。
俺の顔を見た瞬間、強盗はみるみるうちに青ざめていき、店内の聴衆たちはワッと歓喜の声を上げた。
「「げえ!ヤムチャ!?」」
「おう俺だ。取り敢えず銃を降ろしてくれるか?」
少しずつ…ゆっくりと強盗に近づいてゆく。できるだけ威圧感を表に曝け出すのがポイントだ。
「く、来るんじゃねぇ!それ以上近づいたら撃つぞ!いいのか!?」
「ほう…銃を向けたからには覚悟しろよ?それは脅しの道具じゃないんだ。常識だろ?」
不敵な笑みを浮かべながら無防備に体を曝け出し、敵さんを挑発する。
ここまでくると敵さんの行動パターンは二つに絞られる。
観念して銃を降ろして降伏するか。
そして…
「し、死ねぇぇぇぇぇぇっ!!」
ーーパパパパパパンッ!
こんな風にマジで撃ってくるか。今回は後者のパターンだったようだ。
まあ、どっちを選んでも関係無いが。
「よっとっと!」
眼前に迫った銃弾を一つ残らずキャッチしてゆく。もはや銃速なんざ俺の動体視力を持ってすれば幼稚園児とのキャッチボールよ!
そしてドラゴンボールお決まりの…掴んだ銃弾をパラパラと下に落とす。俺も結構板に付いたもんだな。
「まだやるか?」
「「すみませんでした」」
強盗二人組を警察に引き渡して俺の仕事は終了だ。
やっぱ俺は出かけるべきじゃ無いんだよ。西の都の平和のためにもね。
そんなことを考えながら店内にいたファンに握手をしたりサインをしたりしていた時だ。なにやら寒い視線を感じると思ったらブルマが怖い顔をしてこちらを見ていた。やだ怖い。
「す、すまない。今日はここまで!」
『えーーーー!』
取り敢えず人ごみから脱出してブルマと合流する。
すると開口一番に「はいはい、世界の英雄さんは彼女よりもファンの方が大切ですね」なんて言われた。そりゃ真っ赤な誤解ですわ!
「いや違うんだってブルマ!これはな…」
「ふんだ!」
その後、ブルマの機嫌を直すのにかなりの時間と労力を消費した。
まあ、こんな感じで修行の休憩日は過ごしている。……あれ、休憩?
他にもハイキングと称してみんなでパオズ山に行ったりしたな。(ちなみに悟空の一人用のポッドはちゃんとその時回収してブリーフ博士に渡している。これでナメック星に行く宇宙船の早期開発、大量生産が成るはずだ)
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さて、月日が過ぎるのはホント早いもので…。ついに天下一武闘会開催日当日となった。
結局克服できた重力は10Gまでだった。まあ15Gは難しいよな。
新技も欠陥こそあるもののなんとか完成。使い所を誤ればあっという間に負けてしまうだろう。しかしうまく行けば格上の相手にも勝てる、そんな必殺技だ。
リスクが高い分、その技の練習では多くの仙豆が俺の口の中に消えていったものだ。
パパイヤ島の天気は生憎の雨であったが今日にも晴れるということで…まあ気にすることじゃないな。
ブルマたちとともに受付へ向かうと武天老師様とランチさんがいた。二人とも全く変わりがないな。ブルマなんて結構変わったと思う。ウーロン?プーアル?こいつら妖怪だから。
「しっかし…ヤムチャよ。お主は少し目を離すとドンドン実力を付けていきよるのう…。もうワシなんか足元にも及ばんぞ」
「いえいえ、そんなことはないですよ。武天老師様のフルパワーには多分敵いません。ははは…」
「…そうかのう」
実際のところ分からん。だってさ、武天老師様のフルパワーと戦ったことないもん。実際かめはめ波で月を壊せるかと言われても厳しいし…。
「じゃが…お主3年前と全く容姿が変わっておらんな。若いのはいいことじゃ」
「そうですかね?」
まあ確かに顔に傷が付かなかったし、髪も長髪は都ではダサいというわけでちゃんとカットしていたから…容姿的には3年前とほぼ一緒なんだろう。
しかし俺の中でのヤムチャのイメージは長髪か悟飯擬きの短髪なんだけどなぁ…。
ヤムチャの容姿、変化せず。
まあサイバイマンまでに髪伸ばしときゃいいでしょ(暗示)
サラダバー
シン。やっぱピッコロが言わないとね。
脅しの道具じゃない
シャンクス。やっぱシャアが言わないとね!