噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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シリアス回とでも思っていたのか?
残念、ギャグ回のようなつなぎ回だ!

なお名前が漢字に変わってますが気にしないでね!諸事情あっただけですから!これまで通り石投げの名人トルビスをどうかヨロシクゥ!!


最初のライバル・最後のボス

「いやー死ぬかと思ったな!いやホント…死ぬかと思ったぜ!いやマジで!」

 

『…』

 

 よう、俺ヤムチャ。

 

 今回は三途の川に片足突っ込んだ。うん、死んだって思った。

 まあ、なんとか死ぬ前にクリリンが仙豆を俺の口の中にぶち込んでくれたおかげで事なきを得た。

 仙豆先生にはマジ感謝だ。あとクリリンマジありがとう。

 

 さて気を取り直そう。俺にとっては雲の上に等しかった決勝戦だ。悔いのない戦いをしたい。

 

「まあ何はなんでも俺の勝ちだ!さあ悟空、天下一を決めようじゃーーーー」

 

「何言ってんのよバカーっ!!」

 

 意気揚々と決め台詞を決めようとしていた俺の頬へブルマの右ストレートが炸裂。

 俺は先ほどのピッコロのように水平にきりもみ回転しながら吹っ飛んだ。痛い…下手したらピッコロの剛拳より痛かった。

 

「いて、てて…何するんだグヘッ!」

 

「バカバカバカっ!!死んだかと思ったじゃない!!」

 

「そうですよ!ヤムチャさまのバカ!!」

 

 プーアル参戦。

 ちょ、ブルマさん!馬乗りサンドバッグはやめて!仙豆をもう一個使っちゃう!

 そして殴られること数十発、しばらく俺を殴ると気が済んだのかブルマは不服そうな顔をしながら離れた。ふぅ…助かった。

 と思ったその時である。

 俺の脳天、腰あたりに衝撃が走った。この手応えは…

 

「な、なんだよ天津飯…クリリンまで」

 

「バカかお前は。何をしているんだ!」

 

「いやー…今回ばかりはオレたちからも言わせてもらいますよ。ヤムチャさん、なに無茶をやってるんですか」

 

 二人からもお説教…。な、なんでだ?俺って今頃ピッコロを倒したことを称えられて英雄凱旋をやってるはずなのに…。

 

「いやだってアレを使わないと厳しかったんだよ!一か八かの勝負ではあったけど勝てたんだからいいだろ?結果オーライってやつだ」

 

 そうだよ、俺は勝てたんだ。世界に平和が戻ってきたんだぜ?もうちょっと喜んでくれても…。

 

「反省の色なしか。餃子、やれ」

 

「はい天さん」

 

「は?………うご、うごごごごごごご!?は、腹が…!!餃子…てめぇ…!!」

 

 ヤムチャに大ダメージ!

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 説明しよう。

 俺が使ったのは…界王拳のような何かだ。

 なぜ界王拳と言わないのかというと…これは界王拳と原理を同じくしているんだろうが、それによって効力を出すためには界王拳よりも段違いに高いリスクを覚悟しなければならないからだ。

 

 人には誰にでも”気”がある。それこそ人間から動物、植物に至るまでの全てに気というものは存在する。無機物は…わからん。

 そしてその気を自在にコントロールできるようになると体を強化したり、手から気弾やら気功波やらを出すことができるようになるわけだな。

 さて、その際には体中の気を一点に集中させなければならないが、そんな時に気が通る道…というのが体には存在する。例えるなら…ほら、白眼を通して見たチャクラの流れみたいなやつだ。

 

 気は体の隅々にまで血液のように行き渡り、循環している。生命の源…と言っても良い存在だ。

 循環している…そこに目をつけた。これを高速で流動させたらどうなるのだろうかと思った。

 血液を高速で流動させたならギア2みたいなのになるのかもしれないが、気はわからない。もしかしたらそれが界王拳への道標になるかもしれない。

 俺はそんな飽くなき探究心に押され、試してみたのだ。気の流動というのは中々の技量を必要としたのでしばらく試行錯誤を繰り返し続けた。

 そんなある日のことだった。ついに気の流動を実現することができたのだ。

 そして自身の身体能力の強化に歓喜し、爆発した。なんと俺の気が通る道…気脈とでも呼ぼうか。気脈が耐えきれなかったのだ。もしもの時のために口の中に仙豆を仕込んでいたので事なきを得たが一歩間違えればあの世行きだった。

 技の開発中に爆死って…そんな死因だと悲しすぎる。

 

 どうも気脈を強くしないと俺の体が耐えられないみたいだ。気脈の強化方法については今の所まだ不明である。気の総量をただ多くしていけば良いのだろうか?

 

 まあそんなこんなで仙豆を犠牲にしながら検証を続けた結果、パワーアップ状態が持つのは最大で20秒ということがわかった。なおその後はもれなく爆発する。

 それがヤムチャ流界王拳の全貌だ!

 俺はそれをドヤ顔で説明した。凄いだろ?

 

「なんつー技を使ってるんですか…」

 

「呆れてものが言えんな…」

 

 ボロクソ言われた。

 クリリンと天津飯って結構辛烈なことを言うのね。悟空からもダメ出しされたし…反省反省。

 ……そういえば

 

「ピッコロは?」

 

「あ、言われてみれば……?」

 

 ふとピッコロの方を見てみると…神様がピッコロにトドメを刺そうとしていた。自殺する気満々じゃねーか!

 急いでピッコロと神様の間に割って入る。仲間たちは「ピッコロ大魔王だーっ!!?」なんて言っていた。神様は今出てきたのだろうか。

 

「そこまでですよ、神様」

 

「ぬ!?ヤムチャか、そこをどけ!!」

 

 どけと言われてどくバカはそうそういない。勿論俺はどかない。なぜならバカじゃないからだ。

 

「神様が自殺なんてしちゃいかんでしょう。あなたはまだ死ぬ時じゃないんだ」

 

「ピッコロを生かしておくわけにはいかん。こやつをこのまま生かしておいてはまた再び世界を恐怖に陥れようとするはずだ。ここでケリをつけねば…」

 

「ほれピッコロ。仙豆だ、食え」

 

 神様の話をガン無視してピッコロに仙豆を食わせる。背後から仲間たちの悲鳴が聞こえた。神様は絶句してるのかな?

 全快したピッコロはカッと目を開くと俺から急いで距離をとった。そんなに怖がらなくてもいいんだぜ?

 するとピッコロは急にバカ笑いする。何が可笑しい!!

 

「ふは、ははははははははっ!!バカめ!その甘さが命取りになるのだ!今日のところは見逃してやるが必ず貴様と孫悟空を殺し、世界を手に入れるからな…」

 

「まだ言ってんのかよお前…まあいいけどな。戦いたくなったらいつでも俺のところに来るといいさ。俺は逃げも隠れもしないからな!あ、その代わり不意打ちはやめてくれよ?街とか吹っ飛んだら困るし」

 

「そんなことオレ様が知るかッ!!せいぜい楽しく暮らすんだな!!」

 

 ピッコロはそう吐き棄てると笑い声を上げながら遥か空の向こうへ消えていった。できればサラダバー!って言って欲しかったなー。

 

「や、ヤムチャ…お主なんということを…!?自分が何をしたのか分かっているのか…!?」

 

 神様が俺の肩を掴んでグラグラと揺らした。

 みんなも目を見開いてポカーンとしている。呆れてものが言えないとはこのことか。ただ悟空だけが納得するようにうんうんと頷いていた。流石悟空、やっぱりお前とは話が合うな。

 取り敢えず神様を宥めないと。

 

「神様にはとてもじゃないが返しきれないほどの恩があるんですよ。見殺しになんでできません。それは俺でも、悟空でも同じだったはずです」

 

「恩…じゃと?」

 

 俺はみんなの方を振り返り、そして神様に告げた。

 

「あなたがドラゴンボールを作らなければここにいる全員は出会わなかった。俺は多分盗賊を続けていたし、天津飯と餃子は殺し屋を目指していただろうし、悟空とクリリンは今ほど強くなってなかっただろうし、ブルマは西の都でボーイフレンドを追っかけ回していたでしょう」

 

「後で覚えときなさいよ?」

 

 ヒェッ…!

 

「つまりですね…あなたが作った7つの球から冒険が始まって、みんなが出会い、強くなり、最終的には世界を救ったんですよ。今も、これからも」

 

 そう、神様がいるからこそ『ドラゴンボール』という題名があるのだ。この人から物語は始まったと言ってもいい。

 足元がお留守とか色々やったけどちゃんと恩は感じてるんだよ?本当だよ?

 

「…」

 

 神様は暫く目を閉じ、深く考えていた。しかし途中で眉をひそめ、「んぅ?」と唸った。

 どうしました?

 

「ならば魔封波で封じ込めるなりすればよかったのではないか?敢えて回復させてやる必要もなかろう」

 

「……あ…いや…えっと…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

 一同無言であった。

 いやだって仕方ないじゃん!ピッコロがいないとこれから先どうなるか分からないじゃん!後から仲間になるんだしさぁ!

 なんてことを言うことはできない。何言ってんだこいつという目で見られるのがオチだ。なんとか誤魔化すしかないか…!

 

「…あれだよほら…その場のノリっていうかなんというか…。てへぺろ?」

 

「やれ餃子」

 

「はい天さん」

 

「うごごごごごごご!?」

 

 ヤムチャに大ダメージ!

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

『さあ皆さんお待たせしました!大荒れの準決勝でしたが特に問題はありません!!構わず続けていきます!!決勝戦は孫悟空選手vsヤムチャ選手です!!』

 

 プロ根性で最後まで逃げ出さなかったアナウンサーのおっさんが前口上を叫ぶ。

 観客も俺や悟空の仲間たちしかいないのによくやるもんだ。ここまでくると尊敬の念しか出てこない。

 

 さて…俺の目の前に立つは主人公の孫悟空。

 まさか主人公が俺の最後の壁になるとは…。ぶっちゃけ一番戦いたかった相手であるし、一番戦いたくなかった相手でもある。それほどまでにこの孫悟空という名の壁はでかく、堅く、高い。

 俺と悟空は抜いて抜かされの力関係だった。かなり昔のことだが最初は俺が勝ったし次は俺が負けた。今思うとあの戦いも懐かしいものだ。

 おもむろに悟空が口を開いた。

 

「今思えばヤムチャはさ…オラが二番目に負けたやつだったんだ。オラにとって最初のライバルはヤムチャだった」

 

 二番目…なるほど、一番目は孫悟飯さんか。

 

「まあ、その後はお前に歯を折られたけどな。お前は…最初っから俺より強かったんだよ」

 

「そうかもしれねぇ。けどヤムチャはそれからもどんどん強くなっていってさ、オラがピンチの時はどっからか助けに来てくれて、ホントうれしかった」

 

 まあ物語上、手を貸さなきゃいけない場面が桃白白とピッコロ大魔王の時以外は多々あったしな。

 

「へへ…実はよ、ヤムチャに勝つことはオラの昔からの目標だったんだ」

 

 …うわぁ…めちゃくちゃ嬉しいですわ。けど主人公の目標が噛ませ犬って色々とマズイよな。なんか変な罪悪感が湧いてくるじゃないか。

 まあそれは置いといて、俺からも一言。

 

「奇遇だな、俺もだ。お前に勝つことが俺の目標だった。お前に今日、この場面で勝つために必死に努力した!」

 

 胸の内を吐露しながら闘志を漲らせ、構える。その構えは長年俺を支え、俺の代名詞となってくれた…狼牙風風拳の構え。

 

「さあ決めようぜ。どっちが天下一なのか、どっちが世界最強なのか!!」

 

「ああ!オラはぜってぇ負けねぇ!!いくぞヤムチャッ!!」

 




ヤムチャが死ぬはずないでしょう?彼を殺せるのはサイバイマンだけですよ。
実はvs悟空はとばしてしまおうと思ってたんですが…やっぱり書きます(笑)さて次話執筆、がんばるぞい!


何が可笑しい!!
魚沼宇水さん魂の一言。実写版でのその扱いに涙したのは作者だけではないはず。涙しながら思わず笑ってしまいました。
(#眼Д心)< 何が可笑しい!!




3つ目ぐらいの伏線。気づかなくても大丈夫!回収はフリーザ編ぐらいかな?わかって感想欄に書いても作者はノーコメントです!




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