噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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敗北にとらわれない主義。
成長したなヤムチャ…!




Zの夜明け 弱虫アニキは頑張れる?
ピッコロはツンなのかデレなのか


 よう、俺ヤムチャ。

 

 まさかの準優勝で天下一武闘会は幕を下ろした。いや、正直やっちまったなーって思う。

 優勝…できたかもしれなかった。悟空に勝てたかもしれなかった。だがこれらのことはもし、ならの世界だ。俺が悟空に負けた、ただそれだけの結果。

 

 ………よし、この話はやめよう。

 気分を切り替えて次の戦いに備えなきゃな。

 それでは少しばかり世間の反応を教えよう。

 

 マスコミは翌日、俺がピッコロ大魔王の生まれ変わりを倒したことと天下一武闘会で準優勝だったことを報道していた。

 世界の人々はピッコロ大魔王の復活と俺が決勝戦で敗北したことに驚いていたようだが「ピッコロ戦の後なら疲労的な意味で仕方ないな!」という感じで収まった。なんか都合よく解釈されすぎだよな…俺も、後のサタンも。

 

 この前の生放送はまた死にかけた…とだけ言っておく。俺に人権なんてないんや…。

 

 俺はもう一度修行法を見直した後に強くなるための手段を片っ端から試している。重力室は勿論のことだが、時々天界に行ってミスターポポから上手い気配の読み方や体の使い方なんかを習ったりな。

 それに突発的にクリリンや天津飯、時々悟空の元を訪れて「おーいクリリーン!組手やろうぜ!」と中島風に誘ったり、「おい、組手しろよ」と決闘者風に誘ったりした。俺が突発的に組手にくるもんだからみんな欠かさず修行してるみたいだしいい傾向である。あ、悟空はなんか色々忙しいみたいだが。はいはい新婚新婚。

 

 と、いう風にみんなの元へ組手を仕掛けているのだが…実は組手の相手は別に不足していないのだ。向こうからいっつもいきなりなんの脈絡もなく来るからな!

 誰がだって?ショタッコロの野郎だよ!

 確かにあいつと別れる時に「いつでも挑戦しに来いよ(キリッ)」みたいなことは言ったけどさぁ…。一ヶ月とか半月に一回の頻度で来るのはやめてくれないかなぁ!?最初のうちはピッコロを怖がってたブルマたちが今やあいつと無駄口叩いてるからな?ブルマのかーちゃんなんてピッコロにお茶渡してるし!

 

 しかも負けたら俺あいつに殺されるらしいし…いつも命懸けだ。おかげで修行に身が入る!やっぱり周囲に身の危険があれば人って強くなれるんだ。嬉しいような辛いような…いや辛いなこれは。

 戦う場所は西の都からそれなりに離れた荒野。移動の際にこっそりピッコロを観察して舞空術の訓練もしている。こいつ舞空術が上手いんだよホント。

 

 今のところはその戦いにほとんど勝っている。もちろん仙豆は口の中にスタンバイだ。命懸けてんだから卑怯とか言わないでくれ。

 実はつい先週…一度だけ負けかけた。ピッコロからの顎へのアッパーで仙豆を噛み砕いてしまってさ、マジやばかった。まあその時は死ぬ気で戦ってなんとか勝ったが…。

 

 …今思い出したけどピッコロって口笛が弱点だったっけ?スラッスラとかそんな感じの名前のナメック星人が来た時になんかそんな事言ってたよな?うほっ、こりゃいいことを思い出したぜ!明日からは楽勝だな!

 

 

 [*ピッコロは口笛で痛い目を見てからは耳栓をして来るようになりました。みんな、奥の手は最後まで隠し持っていようね!]

 

 

 

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「…ちっ、今日はこれぐらいにしといてやる。次こそは殺してやるからな」

 

「はいはい、無駄口叩いてる暇があったらさっさと帰って修行しな!俺に負けてるようじゃ悟空の足元にも及ばんぞ」

 

「負けてなんぞないッ!!」

 

 ピッコロさんは今日も悔しそうに歯ぎしりするとどこぞへと飛んでいった。あの人どこに住んでんだ?

 いやーしかし今日のピッコロも強かった。てかピッコロは悟空に挑む気はないのだろうか。今のあいつが悟空と戦ったら色々とやばいと思う。

 

 そうそう、悟空といえば…あの野郎ついに子供が出来やがった!

 名前は勿論、孫悟飯。後にドラゴンボール最強議論の台風の目になる男の子だ。

 悟空の元にちょくちょく通っていたので俺はちゃんと把握済みだぜ。逆にいえば俺以外の誰も悟飯生誕を知らない。教えてもいいが…5年後へのサプライズとして取っておいた方が面白そうだ。

 孫夫婦には祝いの品を渡しておいた。決して呪いの品ではないぞよ。弟分のおめでたはしっかりと祝ってやりたい。

 

 ん?俺は強くなったかだって?

 大きな変わりようといえば…ヤムチャ流界王拳の持続時間が25秒になった。凄いだろう?それだけだ。…それだけだ…。

 まあしゃーない。重力室はバンバン利用しているが重力を段々と上げていくしか強化されている実感が掴めないんだ。気はどんどん大きくなっているから強くなれてるんだろうが…。

 

 

 カプセルコーポレーションに着くとシャワーを浴びて自分の部屋へ戻る。そしておもむろにデスクの中から一枚の紙を取り出した。

 この紙には俺が覚えているだけの原作知識が書き写されている。あんなに好きなドラゴンボールを忘れるわけがない…そう思っていたんだが10年という月日は残酷だった。大まかな流れは覚えているがところどころの細部がよく思い出せない。

 ビビディだっけ?バビディだっけ?っていうレベルだ。まあインパクトのある敵キャラは忘れないだろうがね。

 

「あと5年で…最下級アニキか…。早いもんだな…」

 

 思わずポツリと言葉を漏らした。

 凄まじい速さで時は流れてゆく。

 5年後には原作のピッコロや悟空よりも5倍は強いラディッツ。その1年後にはほぼ1ラディッツのサイバイマンが6匹に約3ラディッツのナッパと約12ラディッツのベジータ。その数ヶ月後には第一形態で約353ラディッツのフリーザ。記憶では最終形態で8万ラディッツだったはずだ。

 いやに凄まじいペースでインフレが進んでゆく。俺は食いつけるのか?無難に食いつく方法はある事にはある。神龍に頼んで「サイヤ人にしてくれー」ってな。だけど…それは違うんだ。俺はこの体一つで生きていくのだから。

 俺は地球人だ。その誇りは決して捨てない。

 俺として食いついていくのだ。

 

 

 

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 最下級アニキ襲来まで残り4年。

 今日は天下一武闘会会場にやってきた。だが俺は出場しない。スペシャルゲスト…来賓としての出演だな。

 アナウンサーとかメディアとか天下一武闘会関係者は残念がってだけど…仕方ない。

 理由は主に二つ。一つは簡単に優勝出来てしまうから。そんな大会で優勝しても何にも嬉しくない。二つ目は…あの男を盛り立てるためである。

 

 俺とピッコロや悟空の戦闘で原型から消えてしまった天下一武闘会会場は完全リニューアルされ、さらに空前の格闘技ブームによってメディアなんかもこぞって押し寄せるようになった。

 んでもって俺がいるのは武技台を中央から見渡せる解説席のようなところだ。

 隣にはいつもの金髪グラサンアナウンサー。まごう事なきプロの解説者である。

 

『いやー天下一武闘会リニューアル最初の大会ですけども!ヤムチャさん、注目の選手とかいますでしょうか!?』

 

 眠っちまいそうなほどの低レベルな試合を欠伸しながら観戦していた俺にアナウンサーがそのような事を聞いてきた。そりゃ勿論…

 

『あの…サタンっていう人ですが…あれはすごいですね。この俺でもちょっと勝てるかわかりません』

 

 サタンである。今のうちにこの英雄ポジションをサタンに丸投げ大作戦だ。こういう立場は絶対俺よりサタンの方が向いてるからな。俺ってマイクパフォーマンスとか下手だし。

 

 大会は色々あってサタンが優勝。常人の中ではぶっちぎりであった。んー…ナムとかチャパ王よりは劣るって感じか。まあ強いっちゃ強い。

 メディアは俺のコメントの事もあり、サタンに大注目。英雄のお墨付きとか言われてた。

 俺はスペシャルゲストとして優勝トロフィーをサタンに授与する役である。

 

 なお授与後、休憩室でサタンに出くわした。

 

「いやーヤムチャさん!実はわたくし、第22回天下一武闘会の頃からヤムチャさんの大ファンでして!」

 

「あ、ども」

 

 第22回天下一武闘会?天津飯の時のやつか?その頃からって…結構見る目があるじゃないか!

 

「あのお下げ野郎を見事に倒した姿には実に感動しました!できればサインなんかを…」

 

「あーはいはいどうぞ」

 

 サインを書きながら少し考えた。桃白白の時からねぇ…。桃白白とサタン…なんか接点あったっけ?うーん…思い出せん。ま、大した事でもないだろうし別にいっか。

 

「それでは、今後ともよろしくお願いします!」

 

「あ、どうも」

 

 サタンはおもしろおじさんと思ってたけど普通にいい人だった。今後とも仲良くやっていきたいものだ。

 

 

 

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 最下級アニキ襲来まで残り1年くらい。

 ピッコロをあしらいつつもそろそろZに向けて準備をしようと思う。

 最下級アニキ戦はどうなるか知らないけど取り敢えずドラゴンボールは集めておいた方がいい。

 …悟空を見殺しにするかどうかはまだ悩んでいるんだが…取り敢えずドラゴンボールは集める。うん。

 

 まずは悟空の家へ向かう。

 悟空の元には四星球がある。確かそれを悟飯の帽子につけていたはず。それを少しばかりこちらに預けてもらうだけだ。

 そしてただいま悟空を説得中。

 

「な?悟空。少しの間だけでいいんだ。神龍は使わないし、どっかにボールをやったりもしないから」

 

「…ヤムチャが言うんならいいけどよぉ、じっちゃんの形見だかんな。返してくれよ?」

 

 若干渋った悟空であったが最後には快く渡してくれた。サンキュー悟空。さて、次は西の都に戻ってドラゴンレーダーを取りに行こうかね。

 とその時だった。

 

「あ!ヤムチャさんこんにちは!」

 

「お、悟飯か!大きくなったな」

 

 とてとてと悟飯ちゃんがやって来た。うーん…いつ見ても可愛いもんだ。ショタッコロさんの気持ちがわかる。

 

「ちゃんと勉強も護身術も頑張ってるか?」

 

「はい!」

 

 護身術というのは…まんま武術のことである。チチは「勉強だけ頑張ればいいべさ!」とか言って悟飯を頑なに修行させようとしなかったのでなんとか説得して護身術という建前で少しばかり修行させている。悟空は息子を鍛えれるから普通に喜んでた。

 チチはそれでも反対だったようだが「自分の身を守れるくらいには力は必要ですぜ」だとか「有名な学者になったら恨みを買いやすくなるでガンスよ。路地裏で刺されないためにも護身術ぐらいはやった方がいいでゲス」とか言って説得した。実際悟飯くんスポポビッチに刺されてるからな?

 

 だってさ、悟飯が修行したらぶっちゃけ原作だけなら楽勝なんだもん。ちょっとだけでも今のうちから強くなっていて欲しい。

 あまり効果はないかもしれないけど、少しでもピッコロが悟飯を鍛えやすいように…と思ってね。

 

「それじゃあな悟飯、頑張れよ!地球のためにもな!」

 

「…?」

 

「じゃーなーヤムチャー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうこっちゃ…?」

 

 帰って早速ドラゴンレーダーを使ってみると…既に別の場所でドラゴンボールが6個集まっていた。

 よくよく気を感じてみるとバカみたいに邪悪な気が幾つかある。うわぁ…誰だこいつら。

 原作にこんな展開なかったよな?マジでなんなのこれ。バタフライ?バタフライなのか?念のためZ戦士に召集をかけたほうがいいのか?

 やべぇ、テンパってきた。

 

 よし、まずは悟空あたりを呼びに行こうと思ったその時だった。

 邪悪な気のうちの一つが俺の元へ。つまり西の都へ向かってきている。

 むむむ…帰ってくれとか言って帰ってくれる連中ではなさそうだし…取り敢えず西の都を決戦の場にするわけにはいかんな。

 四星球を掴んで即退避。荒野の方へと飛んでいく。すると邪悪な気の持ち主も俺を追いかけて荒野へと向かってくる。

 ふむ…狙いはやはりドラゴンボールか。

 

 待つこと数分。

 俺の目の前に焦げ茶色の魔族っぽいのが現れた。

 

 俺からは一言…誰だこいつ。




最後のやつはオリキャラではないですよ!
ヒント→おれの名前を言ってみろぉ


ピッコロさん来襲
ピッコロさん実は悟空とヤムチャの試合を見てました。内容に唖然としていたようです。
ひとまずはヤムチャへのリベンジを目標にする模様。月日はナメック星人を丸くする。

サタンはファン
サタンと桃白白の関係について、知らない人はググってくださいな。恐怖の対象を圧倒したヤムチャはさぞかし輝いていたのでは?一応英雄だし(棒)

1ラディッツ
=1500


なお今話にはブルマの出演がありませんが普通に喧嘩したりしてます。ヤムチャは鈍感じゃなくてその…なんなんだろうね?

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