よう、俺ヤムチャ。
粉々だぜ粉々。
誰がだって?俺だよ。
3倍界王拳からのヤムチャ流界王拳はマジでやばかった。仙豆がなければ即死でしたね!仙豆さん…マジありがとう。
さて、この通り俺は仙豆のおかげでピンピンだ。…その一方で俺の3倍ヤムチャ流界王拳の本気かめはめ波を受けたベジータちゃんなんだが…ちょいとばかしマズイことになってる。
一言で言うと…見せられないよ!って感じ。ちょっと言葉をオブラートに包みながら容体を説明すると…全裸の全身丸焦げになってピクピク動いている。髪の毛は勿論全て消し飛んだ。コヒューコヒューというダースベイダーみたいな呼吸音がなんとも痛々しい。
それでもなんとか原型を留めて、尚且つ生きているのは流石と言うべきだろう。ベジータの生命力と様々な要因が重なってなんとか命を繋いでいるのだ。
もしあとコンマ5秒くらい俺が爆発するのが遅かったらベジータは確実に死んでいたと思う。そんくらいギリギリの状態だ。
さて、ベジータはこのまま放っておいたら死んでしまうだろう。生かすも殺すも俺次第ってわけだ。まあ無論だが、俺の答えは…
「ほれ、仙豆だ。食え」
生かすに決まっている。
ベジータは…大戦犯とか厄病神とか色々言われてるけどドラゴンボールには欠かせない奴だしな。殺すわけにはいかん。
ブルマ?寝取り?……今は置いておこう。
それにしても仙豆大先輩はやっぱり凄い。皮膚、筋肉はともかく毛根まで生やしてくれるのだ!ハゲータにならなくてよかったな!
「うっ…ぐぅ…ハッ!?」
「よう気がつい、グヘェッ!?」
全快した全裸のベジータが襲いかかってきた。真っ裸のおっさんに襲われるというショッキングな体験に回避行動が遅れてしまったぜ。おお…痛い痛い。そして卑猥卑猥。流石の仙豆大先輩も服までは再生できないからな。
「…どういうことだ!ナッパを完治させた不思議な技を使ったのは分かっている!なぜオレを生かしやがった!!」
「さあね」
実はベジータを生かすのには特に意味がない。ていうかぶっちゃけてしまうと殺した方がこの後の物語はぐっと楽になるだろうな。フリーザとかセルとか魔人ブウとか。
まあ言ってしまうと気分的な意味が強い。一応俺も読者時代はベジータが一番好きだったしな……今思うとなんでだろ。
「チッ、とことんいけすかんヤツだ!だがオレは遥かに強くなった!さっきのようにはいかんぞ!」
「お、おう…全裸で戦うのか?」
まあベジータがそれでいいんなら俺もそれでいいんだが…うん。
しかしベジータの言う通り、奴はサイヤ人の特性という名のチートによってさらに強くなっている。手こずりそうだな……いや待てよ。
ヤムチャよ逆に考えるんだ…もう手加減しなくていいさ、と考えるんだ!
「いくぞッ!」
「…!来やがれッ!」
第二ラウンド、はじめっか!
……と言いたいところだったが、ここで俺にとって予想外の人物が到着した。
「なっ!?や、ヤムチャ…貴様生きていたのか!?で、ベジータはなぜ全裸…」
「なんだ生きてちゃ悪かったか?」
「…ラディッツか!」
ラディッツの野郎…結局来てくれてたのかよ。みんなと一緒にナッパと戦ってたのかな?まあなんにせよ今の状況では嬉しい誤算だ。
少し遅れて他のZ戦士のみんなも来てくれた。つまりナッパは撃破できたってわけだ。
「チィ!ナッパの野郎…殺されやがったか!!使えんヤツめ!!」
「「「(なぜ全裸…)」」」
これで5対1。
ベジータ四面楚歌状態である。しかし項羽とは違ってベジータはそれでも戦うつもりらしい……全裸で。締まらねえなおい。
「さあ行くぞ!雑魚が何匹集まったところでこのベジータ様を倒すことはーーーー」
「悪りぃみんな!待たせたな!」
「あれがサイヤ人…?(なんで全裸?)」
「ふん。大したことなさそうだな」
「なっ…カカロットか!?それにナメック星人まで…!!どんどん集まって来やがった…!」
勇ましくこっちへ飛びかかろうとしていたベジータだったが、タイミングよく悟空たちが普通に帰ってきた。あっちはもう終わってしまったみたいだな。
これで8対1。流石のベジータといえどもこの人数を一度に相手するのは無理だろう。ベジータはこれでもまだやるつもりなのだろうか?
「……ちくしょおォォォォ!!覚ていろォ!」
ベジータは叫ぶとどこぞへと飛んでいった。
………え、逃げた!?
みんなはよく状況が掴めておらずポカーンとしており、その隙を突かれベジータをまんまと逃してしまった。満月を探しに行ったのかとも考えたが生憎今は真昼間だ。
勿論すぐに総員でベジータの後を追ったが…ヤツが降り立ったのは満身創痍のナッパが転がっている場所だった。
ベジータはナッパの懐からリモコンを取り出し、何やら忙しそうにボタンを押しまくっている。
すると空から二機のポッドが降りてきた。あ、そのリモコンって両方のポッドを操作できるのね。知らなかったよ。
「さっさと乗りやがれクソ野郎!」
「す、すまねぇベジータ…」
ベジータが動けないサイヤ人になってしまったナッパをポッドに詰め込んでいる。あ、殺さないのか。まあ…流石にこんな状況じゃ爆散はしないよな。
慌てふためいているベジータを尻目にみんなは逃げようとしているあの二人をどうするか話し合っていた。結果悟空とラディッツと悟飯は生かす、ピッコロは殺す、他俺たち地球人組はどっちでもいいということで生かすに決定した。
殺すに決定してたらどうしようかと思ったぜ。
「チッ…貴様らの甘さには反吐がでるぜ」
ピッコロは不服そうだ。なんか気も立ってるみたいだし…あっちで何かあったのだろうか。
一方でナッパのポッドを先に打ち上げたベジータは…
「今回は見逃してやる。だが次はないぞ!次こそは貴様ら全員皆殺しにしてやるからな!!」
俺たちへと捨て台詞を残すと同時にポッドに乗り込むと宇宙へと帰っていった。ベジータェ…。傍でラディッツが酷くショックを受けた表情をしていた。まあ気持ちは分かる。
サイヤ人を撃退できたことは喜ばしいのだが…特に怪我したメンバーもおらず、肝心のサイヤ人すらあのザマなのでなんとも言えない微妙な雰囲気が辺りを包み込んだ。あー…うん。やりすぎちまったな。
少し遅れてヤジロベーが岩陰から出てきた。なんでも隙をついて斬りかかる予定だったとのこと。ホントかよこの野郎。
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その後侵略者を退けたとして凱旋パレードが行われた。ヤムチャBが死んだ際に世界中の人々がパニクったらしいがサタンの激励により持ち直したとかなんとか。……すごい漢だ。やっぱりサタンは持ってるな。
俺たち地球人組は相も変わらず重力室で筋トレだ。みんなは今回界王拳に頼りすぎたからとまた鍛え直すんだとか。まあ鍛えれば鍛えるほど界王拳の効果は高くなるし、さらに高い倍率を出せるようになるから必須のことではある。俺もどんどん鍛えてるぜ。
悟空も最近さらによく重力室に来るようになったな。界王様の判断で元気玉も教え込んでいるらしい。ちなみに俺はパスした。せいぜい盗み聞くぐらいにすませている。色々と忙しいんでな。
悟飯は遅れた分の勉強を取り戻そうとガリガリと勉学に励んでいるらしい。チチさん…この子5歳やで…。
ピッコロはすぐにどこかへと飛んでいってしまった。悟空に聞いた話によるとDr.ウィローとかいうやつに操られて悟空と戦った際にボコボコにされてしまったらしい。悟飯の声で意識を取り戻し事なきを得たらしいが…そりゃ屈辱だわな。なおDr.ウィローはピッコロの魔貫光殺砲で一撃だったそうだ。南無。
ラディッツは…来季に向けての畑の仕込みとかなんとか言って今も畑に閉じ籠っている。アウトドア…いや、インドア?どうにもナッパを倒した事に満足してしまったんだとか。少し見直したらこれだよ!
さて無事に全員生存してのサイヤ人編終了となったが、今更になって俺を悩ませる事柄が一つある。
そう、ナメック星にはどういう理由で行こうかって話だ。ちなみに行かないという選択肢はない。
フリーザ編をすっぽかすことによって発生する弊害をまとめてみると
・悟空がスーパーサイヤ人になれない→詰み
・ベジータが仲間にならない→俺の苦労…
・最長老様に力を解放してもらえない→辛い
・ピッコロが強化されない→セルゥ…
・フリーザ存命→最悪地球に来る
・ナメック星人と親交なし→面倒くさい
考えつくだけでこれだけの問題が浮上する。はっきり言ってフリーザ編なしにこれからの物語を生き抜くのは無理と見ていい。
だからと言って上手くいかないのがこの世の中だ。原作ではピッコロが死んだことによりドラゴンボールが消滅し、ナメック星のドラゴンボールでみんなを生き返らせようって経緯でナメック星をめざそうとしていたはずだ。
しかし今回は死傷者ゼロ。非常に喜ばしいことではあるのだが…逆に言えばナメック星に行く理由がない。ブリーフ博士は宇宙船の大量生産を実現しているのでみんなでナメック星に行くことは可能なんだが…困ったものだ。
今も刻一刻とタイムリミットは迫ってきている。どういう理由をこじつければいいんだ…。俺がピッコロを闇討ちして「ピッコロが誰かに殺られた!ナメック星に行ってピッコロを生き返らせよう!」みたいな展開に持っていくか?…俺ってかなり外道だな、却下だ。
こうして何をするでもなく時は無情にも流れてゆく。季節が変わった頃だろうか。そろそろ出発しないとフリーザがナメック星についてしまうんじゃないかってくらい時間が経ってしまった。いや詳しい時期は知らんけども。こうなっては最終手段を使うほかない。
少々無理矢理なんだが「この前ユンザビット高原で宇宙船みたいなのを見つけたんだ!神様に聞いたらさ、なんでも神様が地球に来る時に乗ってきた宇宙船らしいぜ!ナメック星のデータがあったからバカンスにでも行こうや!」作戦で行くしかあるまい。ラディッツは来ないだろうな。聞かずとも分かるぞ。
悟空は来てくれるとして、もしかしたらピッコロも里帰り的なもので来るかもしれないな。この二人がいればどうとでもなる!
さあいざ宇宙の旅へレッツゴー!!
ってできればよかったんだけどなぁ。
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ラディッツとピッコロを除くサイヤ人撃退チームが西の都、カプセルコーポレーションに集結した。皆異様に浮かない表情を浮かべている。理由は、今地球で起きている謎の天変地異の事だ。
もはや外を見ればその異変は一目瞭然であった。
空は暗黒に曇り、心なしか暑い。そして風は吹かず植物は次々に枯れ果ててゆく。誰がどう見ても異常な事であった。
そしてその異変の原因を察知した界王様がZ戦士をここに集結させたのだ。
一番離れた場所にいた悟空・悟飯親子が到着したのを見計らい界王様は話を始めた。
「この異常気象の原因は…クラッシャー軍団と呼ばれる連中の仕業じゃ」
クラッシャー軍団…その単語に心当たりのある者はヤムチャの他にいない。
ヤムチャは頬より汗を流し、難しい顔をする。
「クラッシャー軍団というのは恐ろしい連中での…銀河のいたるところで暴れまわり、神精樹と呼ばれる植物を育てて星のエネルギーを吸い尽くすと、用済みと言わんばかりに星を破壊する…とんでもない奴らじゃ」
「てことは今の異常気象は…」
「クラッシャー軍団が地球に神精樹を植えたのだろう。地球はエネルギーを吸われ続けておる。このままでは…地球は滅びるじゃろう」
突然の緊急事態にZ戦士たちに緊張が走る。しかし彼らにはサイヤ人を撃退した事で得た自信があった。負ける気は毛頭ない。
「ははっ、そんな奴らボクたちがあっという間にやつけてやりますよ!なあみんな!」
「ああ、勿論だ!」
クリリンの意気込みに天津飯も大きく頷く。
しかし…それとは対照的にヤムチャの顔色は優れなかった。
ヤムチャ現在12勝4敗
ベジータがナッパを生かしたのは一人での地球攻略は難しいと判断したからです。動けないサイヤ人は必要ないけど使えるサイヤ人は必要なのです。
ベジータ
厄神。ベジータがいなければZはかなり楽だった説はかなり有力。やはり厄病神か…。超のベジータとブロリーベジータはおそらく別人。散々イラつくことをやっているはずなのに嫌いになれないという中々難しいキャラクターをしているおっさん。作者は大好きです。
一つ言うと作者はベジブルが大好きです。ヤムチャごめんな。