噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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今まで酷い扱いだった劇場版がやっと日の目をみる!


全員生存→ターレス編がアンロックされました

 よう、俺ヤムチャ。

 

 今眼下には不毛の地が広がっている。俺の記憶が正しければここは肥沃な密林地帯が広がっていたはずだ。しかしそれは数日で滅びた…あの聳え立つ神精樹によって。

 不気味に生い茂る枝の隙間より毒々しいまでに赤い点々がチラチラ見える。恐らくアレが神精樹の実…神のみが食すことを許された禁断のドーピングアイテムか。

 

 地球に迫っている危機のスケールのでかさに先ほどまで気楽な雰囲気だったみんなが絶句している。かく言う俺もだ。俺から言えることはただ一つ。てめえら来るの早スギィ!!お前ら時期的にはナメック星中盤だろォ!

 …クラッシャー軍団とかいう鬼畜集団には聞き覚えがあるんだよ。ドラゴンボールヒーローズじゃお世話になったもんだ。記憶が確かなら手下全員が悟空・ピッコロを除く原作Z戦士を倒せるほどの戦闘力を有していたはずだ。恐ろしい。

 

 そして肝心のボスといえば…言わずと知れた悟空似のちょっぴり黒いサイヤ人、ターレスさんだ。純粋な戦闘力は最下級戦士並みらしいが、神精樹の実を己の体にドーピングすることによってフリーザ(第一形態)に匹敵するほどの戦闘力を得ることに成功したんだってな。

 たく…ドーピングとは情けない。漢なら己の拳ひとつで闘えよ!……けど神精樹の実を食べたら強くなれるのか…。うーん…。

 

 さて今回の戦いの難易度だが…ぶっちゃけハードを通り越している。むしろルナティック。ベジータが可愛く見えるレベルだ。

 ていうかこの頃の原作の敵は戦闘力が原作の方で示されているから大体の目安ができていた。しかし今回は劇場版。公式の戦闘力などというものは存在しない。つまり敵の強さが半ば未知数なのだ。

 

 ターレス編はインパクトが強いからな。部下たちの名前は分からないが、戦闘スタイルとかならある程度覚えている。…みんなナッツ系の名前だったと思うけどどうだったか。

 眉毛がない奴は確か一番戦闘力が高いとかなんとか。巨漢の赤い奴はナッパみたいな戦い方だっけ?双子みたいな奴らは分裂とかしたと思う。「ンダ…」とか言ってるロボットは俺をボコボコにした奴だ。

 劇場版の部下的立場の連中にしてはかなりポテンシャルが高い。数もほぼこちらと互角…しかもそれ以上にマズイのがターレスだ。

 ヤバイ、ヤバイぞこれは…。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 神精樹の根元へ到着したZ戦士たちは、早速樹を除去すべく各々一斉に気弾を神精樹に向かって放つ。しかし地球の栄養という莫大なエネルギーを取り込んだ神精樹には全く通じなかった。そして逆に神精樹を見張っていたクラッシャー軍団を呼び寄せてしまったのだ。

 

 Z戦士と神精樹を遮るようにして上空から4人(正確には5人)の荒くれ者が現れた。全員がベジータやナッパのようなコスチュームやスカウターを装着、凄まじいまでの莫大な気に皆の顔が一様に焦燥へと染まってゆく。

 

「や、やつらのコスチューム…あれってサイヤ人のじゃないか?」

 

「いや尻尾がない…しかし嫌な予感がするぜ…」

 

 そんな戦士たちの様子を見たクラッシャー軍団はニヤつきながら唐突な宣戦布告を告げた。

 

「俺たちの神精樹をどうにかしようってならタダじゃおかねえぜ。こんな風になっ!!」

 

「来るぞみんなッ!」

 

 クラッシャー軍団とZ戦士は同時にその場から消えた。乱戦は互いに分が悪い。各々が各々の相手を見つけ戦闘にもつれ込んだ。

 

 天津飯と餃子は分裂したビーンズ星人の双子の兄弟、レズンとラカセイと。クリリンは巨躯なナッツ星人の戦士、アモンドと。ヤムチャは強化サイボーグのカカオと。そして悟空はターレスを除くクラッシャー軍団最強の男、ダイーズと戦闘を開始した。

 悟飯は悟空の指示で心配そうに戦局を見つめる。

 そしてそれとは別に戦士たちの戦いを値踏みするように観察するもう一つの視線があった。

 

 

 

 *◆*

 

 

 

「ほらほらほらぁ!さっきまでの勢いはどうしたぁ!ええ〜?」

 

「ぐ、くそっ!」

 

 つ、強い…!下手したらこの前に戦ったサイヤ人、ナッパ以上だ…!オレと奴の体格は遥かにオレの方が大きい。近接格闘戦であればオレの方に分があるだろう。

 だが奴の主体戦闘スタイルは気弾による遠距離攻撃。そうなれば的の大きいオレの方が不利になる。だからと言って奴のパワーが弱いわけではない。時折気弾に紛れて繰り出してくる不意打ちはこの上なく厄介だ。

 先ほど逸れてしまった餃子が心配だ。恐らく奴らの片割れと戦っているんだろうが…早く助けに行かねば…!

 

「どどん波ッ!」

 

「ひっひっひ、どこを狙ってやがる!」

 

 おのれ…ちょこまかと…!

 

 

 

 *◆*

 

 

 

「チビが調子にのるんじゃねえ!!」

 

「ひっ、うわ!」

 

 天さんと逸れてからもう片方の奴と戦いになった。身体能力じゃあいつに敵わない…だから超能力主体で攻めることにしたんだ。

 前のことがあって腹痛を誘発する超能力には不安があったんだけどなんとか奴には効いた。けど予想外だったのはそれからで…腹痛に苦しみながらも奴は変なカプセルみたいなのを呑んだ。そしたらあっという間に超能力が効かなくなってしまった。

 

 今はなんとか奴の気弾を躱してるけどこれも時間の問題…。界王拳を使えばなんとか戦えるようにはなるかもしれないけど、界王拳は要所要所に使わないとすぐに体にガタがきちゃうから気をつけなきゃいけない。

 もう天さんのお荷物にはなりたくないのに…

 

 

 

 *◆*

 

 

 

「気円斬ッ!」

 

「へぇ…おもしれぇじゃねえか!オラァ!」

 

 オレが気円斬を放つと同時に奴は回転し、気円斬のようなカッター状の気弾を放った。結果は相殺、両方の技が自分に跳ね返ることになった。

 

 はは…参っちゃうよなぁ…オレこの技一生懸命考えたんだぜ?こんな簡単に破られちまうなんてさぁ…。

 あいつには2倍界王拳じゃ勝てない。3倍界王拳を使えばなんとか拮抗できるか?けど奴の戦い方はあのサイヤ人とよく似ている。つまり界王拳を使うオレたちにとっては相性が悪い。

 

「プラネットボムッ!」

 

「うあぁあっ!?」

 

 くそぉ…オレっていっつも運悪いよなぁ…。

 

 

 

 *◆*

 

 

 

「繰気弾ッ!」

 

「ンダ!」

 

「ふごぉ!?」

 

 や、野郎…繰気弾を真正面から突っ切ってきやがった!いくらサイボーグと雖も頑丈すぎるだろ!?

 チッ、奴には並大抵の攻撃は通じねえな。しかも気功波系に対する耐性が思いの外高いときた。とてもじゃないが素の戦闘力で戦っている場合じゃない…早くみんなを助けに行かねえと!いつターレスが出てくるかもわからないしな!

 

「うおぉっ!!狼牙風風拳ッ!」

 

「ンダダダダダダッ!!」

 

 

 

 *◆*

 

 

 

「邪魔だァァァァッ!!」

 

「うがぁああぁ!?」

 

 なかなか強かったけどなんとか倒したぞ!近くじゃヤムチャが戦ってるけどそこまで苦戦もしてねえみてえだ。

 今のとこ一番苦戦してるのは…餃子か。けど天津飯も敵に対処できずにいる。クリリンも意外と押され気味…オラはどう動けば……っ!?

 考え事をしていると真下から気弾が飛んできた。結構速えスピードだったけど躱せないほどではなかったからでえじょうぶだ。

 

「へっ、何よそ見をしてやがる!貴様の相手はこの俺様だ!でやあああ!!」

 

「く!いい加減しつけえぞ!」

 

 みんな…もう少し待っててくれよ…!

 

 

 

 *◆*

 

 

 

 心配そうに戦いを見つめる悟飯。

 戦いが嫌いな悟飯ではあるが、自分だけが何もできないこの状況に口を噛み締めていた。

 見れば餃子がラカセイにやられそうになっている。居ても立っても居られない。父の言うことを破ることに負い目は感じるがそれよりも自分の意思を優先したい。いざ助け向かおうとした、その瞬間だった。

 何者かに腕を掴まれた。驚き急いで振り返るが、そこに居たのは…

 

「…あれ、おとうさん?」

 

「…ほう、カカロットはオレに似てるか」

 

 自分の父がいた。しかし父は今も敵と戦っている。それに目の前の父はいつもの亀道着ではなくプロテクターを身に付けていた。

 何より別人とする証拠はその目だ。いつものような優しい、全てを包み込むような柔和な目ではない。冷酷で、残酷な目だ。

 

「お、お前はおとうさんなんかじゃない!あいつらの味方だな!」

 

「へっ、そう人を邪険にするなよ。同じサイヤ人同士、仲良くしようや…!」

 

 父似の男に殴りかかる悟飯だったが攻撃はいとも簡単に抑え込められ、逆に手痛い一撃を腹へと受けた。あまりの衝撃と苦痛に腰を折り悶え苦しむ。

 

「小僧…中々いい腕をしているじゃないか。どうだ、このオレと一緒に来る気はないか?宇宙を気ままにさすらい、うまい飯を食いうまい酒に酔う…こんな楽しい生活はないぜ…?」

 

「ごほ、かはっ……だ、誰がお前なんかと…一緒に行くもんか…!」

 

「そうか…残念だなッ!」

 

 残念そうに思う素振りを全く見せることなく悟飯の脇腹を蹴り上げ、仰向けに転がった悟飯の腹を足で踏みつけ、その存在を消そうとエネルギーを掌へと込めてゆく。同じ同族といえども自分に従わないのならその利用価値はゼロに等しい。消すに限るのだ。

 

「…死ねっ!」

 

「おい」

 

 ターレスの肩へと手が置かれる。何事かと振り返ったターレスを迎えたのは強烈な顔面へのパンチだった。これにはターレスも耐えきれず前方へと吹っ飛んだ。

 悟飯は半開きの目を見開くと、喜色を含んだ声で己を助けてくれたその人物の名前をかすれかすれながらも叫んだ。

 

「…ピッコロさん…!」

 

「…よう、久しぶりだな」

 

 ピッコロ参戦。いつものマントを翻しターレスへと相対する。頼れる師の登場に悟飯は安心したように座り込んだ。

 ターレスはピッコロを見やると口から流す一筋の血を拭い不敵に笑う。

 

「なんだお前は。このオレに、勝てると思うか?」

 

「さあな。だが取り敢えず貴様はオレにとって目障りだ。死ね!」

 

 二人の拳が交錯する。

 

 

 

 

 

 そして吹き飛んだのは…ピッコロだった。




ヒント→舐めプ

補足しておきますとZ戦士たちの戦闘力は劇場版よりもやや低めです。その代わり界王拳があります。明確なパワーダウンは悟空。

感想を返せなくて申し訳ねえです。いつも参考にさせてもらったり、ヒヤッとさせてもらったり、笑わせてもらったりしています。この前のナルトスは効きました。アレは俺に効く…やめてくれ。
時間があるときに返していきたいのですが…。


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