噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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遅くなりました。
時間があればなあ…。
サブタイトルを入れました


噛ませ犬の覚醒

 よう、俺ヤムチャ。

 現在通り悟空一行を追跡していたのだが…

 

「ドラゴンボール、盗られちゃったみたいですね」

 

「ああ、そうみたいだな」

 

 悟空たちはピラフの部下であるシュウとマイによってドラゴンボールを奪われてしまったようだ。

 

 まあこうなることは知っている。

 俺が参戦してドラゴンボールを守ってもよかったんだが今回は傍観することにした。原作からもズレるしね。

 

 ブルマは泣きわめいて駄々をこねている。正直いってかなり見苦しいのでここはさっさと助けてあげることにしよう。

 

「仕方ない。プーアル、ここは奴等を助けるぞ」

 

「そうですね。しかし大丈夫ですか?ヤムチャさま。女が一緒ですよ?」

 

 …まあ確かにそこんところがネックな問題ではある。

 しかしヤムチャは逃げなかった。なのに俺が逃げてどうする!勇気を出せヤムチャ(in俺)!結果とは己を賭した者にのみ与えられるんだ‼︎

 

「俺は…。俺は、女を克服したい!克服したいのだ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや〜?き、君たち。き、き、奇遇だねえ」

 

 極自然な演技で悟空一行に近づく…。

 頑張れ俺…。頑張れヤムチャ…。

 

「あらー!いいところに来てくれたわねぇ〜!」

 

「わひぃ⁉︎」

 

 ぶ、ブルマの野郎…急に飛び乗ってきやがった!

 ええい!近寄るな!

 

「ねえ、私たち車が壊れて困ってたのー。乗せてって〜?」

 

 な、馴れ馴れしい!鬱陶しい!

 なんだなんだ⁉︎最近の女の子はみんなこんな感じなのか⁉︎それともブルマがただビッ○なだけなのか⁉︎

 うおおおおお…車に乗せたくねー…。

 だ、だが我慢しなければ…。我慢我慢…。

 

「あは、ははは。い、いいよー」

 

「変な奴だなー」

 

 悟空五月蝿い!

 

 

 

 

 この後ブルマにほっぺたをスリスリされた。

 なんでだろう、とっても羨ましい展開のはずなのになんとも言えぬ…。

 俺、ブルマと付き合うことができるのだろうか…。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 荒野の先にかなりでかい城が見えてくる。ピラフの城だな。

 や、やっと着いた…。

 くそ、ブルマの野郎…おちょくりやがって。

 てか女を前にするとあがってしまうというヤムチャの特性?はストーリーの成り行きで本当に治るんですかねえ?

 やっぱりドラゴンボールの願いで治してもらった方が確実かなあ…。

 

 そしてなんだかんだで城の中までついて行くことに。

 扉を開けると中は真っ暗でありコウモリが群生しているようだ。定番っちゃ定番だな。

 

 ーーバサバサバサ!

 

「きゃああぁ‼︎」

 

「うひゃあぁ⁉︎」

 

 ドサクサに紛れてブルマが、抱きついてきやがった!

 も、もうやだ…。オウチカエリタイ、オンナコワイ…。

 

 

 薄暗い通路を進んでいく。中は迷路になっているんだが…。

 無駄に広いなこの城。そして人が住むにはかなり不便。

 こんな城を考案した奴はかなりの無能だな。ってピラフだっけ?

 

 しばらく進むと…。

 

 ーーゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

「な、なに⁉︎」

 

 唐突に城が揺れ始めた。

 ああ、こんな罠あったな。

 うーむ、細かいシーンは結構忘れてるんだなぁ。昔は全部覚えてたと思うんだが…。

 なんて感慨にふけてると壁や床から石柱が飛び出し俺たちに襲いかかる。

 

「い、いやあああぁ‼︎」

 

 ブルマが潰されかけるが、そうはさせん。

 

「はいやァァ‼︎」

 

 石柱を蹴り砕く。

 おおう、意外と馬力あるんだなヤムチャ。

 その後も石柱は飛び出し続けたがそれらは全て俺と悟空が対処した。見事な連携だった…とだけ言っておく。

 

 しばらくすると石柱は止まった。ひと段落ついたようだ。

 

「やったな悟空!」

 

「おう!」

 

 ……ジーンときた。なんか仲間やってるなあっていう変な感動が胸の内をこみ上てくる…!

 これからも…頑張ろう。

 

 ちなみにまたブルマが抱きついてきた。

 ここまでくると流石に引くよ?オロロロロ…。

 

「変な奴だなー」

 

 悟空、黙らっしゃい。

 

 

 

 

 さらに進む俺たち。

 すると悟空が床に描かれている矢印に気づいた。

 ああここは知っている。確かこの先に進んで閉じ込められるんだよな。

 うーん…わざわざ捕まりに行くのはなーんか癇だな。

 まあ、仕方ないが。

 

 

 

 

 

 で、捕まりました。

 

「やあっ!はあっ!」

 

「狼牙風風拳ッ!はいやァァァ‼︎」

 

 取り敢えず流れで悟空と一緒に壁に向かって攻撃するがビクともしない。今の俺と悟空じゃ当たり前か。

 その後、壁に取り付けられたテレビにピラフが映る。見れば見るほどこいつ魔族だよな。知らんが。自分を大王とか言ってるが痛々しいこと限りない。

 そしてなんだかんだでブルマが天井からぱかっと出てきた伸びーるアームみたいなのに連れて行かれ、投げキスを受けて帰ってきた。なんだかなあ…。

 

 その後ピラフは睡眠薬を投下。あえなく眠らされてしまうようだ。まあ、仕方ないね…うん……zzz

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 ふあぁぁ…。なんだ…?声が……へ?

 

「孫くん!起きて!孫くん!」

 

「ひゃああぁぁぁ‼︎⁉︎」

 

 起きたら目の前に谷間があった…。どうやらブルマが俺の横で寝ていた悟空を起こそうとしていたようだ。あー心臓に悪い。

 っとこんなことをしている場合じゃない!

 

「や、やつらは⁉︎ドラゴンボールは⁉︎」

 

「も、もうダメよ〜〜‼︎全部盗られちゃった〜〜‼︎」

 

 ま、まだ使ってねえよな?

 早く悟空にかめはめ波で壁に穴開けてもらってウーロン送らねえと。

 

「おい悟空!かめは…」

 

「ん?どうしたヤムチャ?」

 

 ……ここで悟空に頼ってもいいのか?

 いや実際は頼るべきだ。原作でもそうだったし、そっちの方が確実。ヤムチャは脇役だ。窮地で能力が覚醒するような主人公補正なんてない。

 

 

 だけど……だけど…信じてみてもいいかな、俺の…ヤムチャの、可能性を。

 亀仙人のかめはめ波を見てから、あの動きを何度も頭の中でデモンストレーションしてきた。手の動き、指の動き、体の重心をズラすタイミング、そして気の動き。全てが今も鮮明に俺の頭の中を駆け巡っている。

 悟空とクリリンは初見でかめはめ波を出すことが出来た。

 あの二人とヤムチャの間には絶対的基礎力の違いがあるのは確か。(クリリンとは時期の違いというのもあるが)

 だが、ヤムチャだってのちにかめはめ波を使えたんだ!俺にだって、ヤムチャにだって出来ない道理はない‼︎

 

「…皆、少し離れてくれないか?」

 

「や、ヤムチャさま…?」

 

「何をする気なの…?」

 

「ふぅー…。この壁を、壊す」

 

 全神経を集中させろ。プーアルやブルマが何か言ってるが関係ない。

 体の内に潜むものを感知するのだ。

 感じろ…感じろ…。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーきた。

 

 

 

 

 

 

 …ポワーとした何かが浮かび上がる感覚が体中に駆け巡る。

 これが…気なのか?まあいい。取り敢えずこれを気と仮定しよう。

 次に両手を伸ばし掌を合わせる。

 そして腰の位置まで手を持って行き玉を包み込むように構える。

 その際に体中の気を手に集中させ、凝縮していくのだ…。

 

「かー…」

 

 もっとだ。

 

「めー…」

 

 もっともっと気をかき集めろ。

 

「はー…」

 

 うちに眠る全てを

 

「めー…!」

 

 この一撃に‼︎

 

「波ァァァー‼︎‼︎」

 

 ーーズドォ‼︎

 

 俺の掌から出た光線が壁を…破壊した。

 

「で、出来た…のか…⁉︎俺は…かめはめ波を…、やった…!やったぞおおおおおお‼︎」

 

「す、すごいですヤムチャさまーー‼︎」

 

「ヤムチャさまも出せたのー⁉︎すごーいすごーい!」

 

「す、すげえなヤムチャも…」

 

「へえー。ヤムチャも使えたんか」

 

 ついに…ついに長年の悲願が、達成された…!

 こんなに…、こんなに嬉しいことはない…‼︎

 

 っとと!今は感慨にふけてる場合じゃない!開けた穴からウーロンとプーアルを送り込まねえとな!

 

「プーアル、ウーロン!俺が開けた穴から早くーーーー」

 

 

 

 

 この時俺は、信じられないものを見た。

 

 壁に、穴は…。

 

 空いていなかった…。

 

 ただただ小さな小さな窪みが壁にできているのみだったのだ。

 

 ……なるほど。威力、不足、か…。あは、ははははは…。

 

 ちくしょう…。

 

「…悟空、かめはめ波頼む」

 

「おう」

 

 悟空は簡単に壁に風穴を開けました。

 めでたしめでたし。

 

 

 

 ぢぐしょおおおおおおおおおおおおお‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 …その後ドラゴンボールの力によりウーロンの願いは叶えられ神龍は消えていった。

 そして現在俺たちは捕まっている。

 どうやら明日の朝になれば天井に設置されたレンズから太陽光からの反射による太陽光線が発射され、俺たちを焼き殺すという。

 そうならないことは知ってるけどね。

 それにしてもテンションが上がらない。

 こんなのってあんまりだろ…?

 子供の頃からの夢だったんだぞ?

 なのに…あんな…。

 う、うぅ…、また泣いちゃおうかな…。

 

 うん、泣こう。思いっきり泣こう。そして明日からもまた頑張っていくんだ。

 よし、いこう。せーの…

 

「あァァァんまーーーー」

 

「きゃあぁぁ⁉︎孫君が化け物にぃぃぃぃ⁉︎」

 

「ぢぐしょおおおおおおおおおおおおお‼︎」

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 そして朝。

 大猿化した悟空をサクッと元に戻した。

 

 嘘です。めちゃくちゃ頑張りました。

 だってこの頃の悟空の戦闘力を20と仮定しても200だもんな。天津飯ぐらいなら殺れるレベルだぜ?俺よく頑張ったよ。尻尾に掴まってただけだったりするけどな?

 

 そして…いつの間にか女が平気になってた。

 なんでだよ、克服フラグも何も無かったじゃん。あっさりすぎると思うんだ。なあヤムチャボディ?

 まあいいけど。

 そしてなんやかんや成り行きでブルマと付き合い西の都に行くことに。

 本当にどうしてこうなった?

 と、いうわけで全国の非リア充の皆さまごめんなさい。私ヤムチャはリア充になりました。今後ともよろしく。

 

「行くか」

 

 ホイポイカプセルを投げ飛行機を出す。

 

「じゃあな。武天老師に負けん男になれよ」

 

「おう!ヤムチャは来ねえんか?」

 

「ああ、今はな。しばらくは自分一人の力でやってみようと思う」

 

 いずれ教えを受けに行くだろうが。

 

「そっか」

 

「じゃあね孫君!またみんなで会いましょ!」

 

 

 

 こうして俺たちは悟空と別れ西の都へ。

 ドラゴンボール探しの旅は終わった。だが俺の闘いはこれからだ。

 これからはもっともっと自分を鍛えていきたいしかめはめ波の威力も上げたい。

 それにブルマとせっかく付き合ったんだ。良好な関係を築いていこう。

 まあ取り敢えずの第一目標は天下一武闘会一回戦突破だ。

 万年1回戦ボーイなんて言わせない。

 相手が悟空だろうと、ジャッキーチュンだろうと勝ってみせる!

 俺たちの摩訶不思議アドベンチャーは、これからだ!

 

 

 

 

  第1部 荒野のハイエナ ヤムチャ完

  東方トルビスの次回作にご期待ください。




最終回じゃないぞよ もうちっとだけ続くんじゃ。
こ、いうわけでようやく第1部完!
天下一武闘会から原作とずれた展開になっていく(と思います)ので乞うご期待!大まかな部分はもう考えてるんですけどね。


ピラフ一味
ズッコケ三人組。作者がとても好きなキャラ達です!うちの小説では一度も台詞がないけど。
ピラフの特技は天才的頭脳らしいけどドラゴンボールの念波を妨害する箱を作ったり、合体型戦闘ロボを作ったりできるあたりレッドリボン軍やブルマに匹敵する頭脳を持っているんですよね。
最近のマイは…作者はいいと思いますよ?かわいい。


ちなみにヤムチャがかめはめ波を出すとき心の中で考えていたことは作者の想像です。


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