噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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2話目です



株式会社フリーザは遅刻もOK!

 よう、俺ヤムチャ。

 

 宇宙は広いぜ大きいぜ。

 

 ただ今俺たちはスラッグをガン無視して宇宙船の中だ。寝る間も惜しんでバリバリ修行中である。飯はもちろん全部仙豆。

 

 え、スラッグはどうしたかって?

 いやね、わざわざスラッグと戦う必要はないかなーって。そう、逆に考えるんだ……戦いたくないのなら戦わなければいいのだと!

 

 手順は簡単!

 さっさとドラゴンボールを集めてポルンガに「スラッグ一味の宇宙船の進路を太陽に変更してください」ってお願いすればいい!

 いやー、スラッグ一味も大嫌いな太陽にアタックできて幸せだろう(ゲスゥ)

 俺の提案を聞いたみんなは顔を引きつらせていた。なんでや! いい案やろ!

 

 んでもって残る二つの願いでピッコロを生き返らせればいい。ちなみにピッコロをナメック星に連れてくるかどうかは保留である。仙豆があるから悟空(とついでにラディッツ&ベジータ)をいくらでも強化できるんだよなぁ…。もしかしたらピッコロの出番はないかもしれん。

 

 俺? えっと…最長老さまがなんとかしてくれるよ。多分…きっと。

 一応ドラゴンボール集めに間に合わなかった時のために念には念を入れて、ブリーフ博士に大音量口笛スピーカーと紫外線照射装置の開発をお願いしたから恐らく大丈夫だろう。それほどの珍装備があれば国防軍でも十分スラッグ一味と戦える。

 ブリーフ博士は天才、はっきり分かんだね。

 

 

 さて、俺たちは30Gで修行を開始した。

 汗水垂らしてひたすら練磨の日々、重力に慣れればさらに過酷な環境へと自らを追いやってゆく。筋肉疲労は仙豆で即回復!

 

 サイヤ人のアレ(チート)とまではいかないが、傷ついた筋繊維が修復するたびに体はさらなる進化を遂げる。より強固なものへとなってゆくのだ。

 どうにも戦士たちにとってターレスという存在はいい燃料になったようだ。久しく戦った格上の敵の存在に闘争本能を触発されたらしい。

 やはり目標があればZ戦士たちは強くなれるのだ。かくいう俺もだがな。ありがとよターレス、たがお前のしたことは断じて許さん。

 

 ……しかし余談ではあるが、Aチームは俺以外がみんなハゲっていうのが……天津飯たちには悪いがほんの少しばかり居心地悪いな。

 といっても特攻サイヤ野郎Bチームの方はモッサモサだし…まさに両極端! あ、悟飯はおかっぱに切っていたっけ。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 道中変な宇宙船に遭遇したり、偽ナメック星に着いてしまったりと色々あったが別に何かあるわけでもなくさっさと問題を解決して旅路に戻った。

 偽ナメック星の時なんて餃子が一発で幻だと看破してくれたからな。持つべき物は仲間だとはこのことだぜ。いやしかし…仲間サイドに超能力使いがいるのってこんなに便利なのか。大抵超能力者ってのは敵サイドだからな。

 ん? グルド? そんなのいたっけなぁ…

 

 そんな感じで色々あった航路であったが、一週間後には予定通り全員無事にナメック星へと到着した。流石ブリーフ博士クオリティだぜ!

 

 最終的に俺たちAチームが克服できた重力は70Gだった。まあよくやった方じゃないかな?仙豆のおかげってのもあるけど。ちなみに界王拳を使えば100Gもなんとかいけるんじゃなかろうか。俺はいけた。

 しかしどうにもみんながやっていたイメージ戦闘なる技術が俺にはできん。頭の中で戦うって…お前らどこでそんな技術を身につけた…? はたから見たら結構危ない人だぜ?

 

 まあそんなこんなでナメック星だ。

 さーて…よく立ち回りを考えて動かないと詰んじまうからな…しっかりと計画を立てよう。

 まず俺たちがすべきことはドラゴンボールの確保である。一個でもこちらが手にしておけばフリーザが願いを叶えるという最悪の結果は防げるはずだ。

 まあ、ナメック星人が合言葉をフリーザに漏らすとは思えないが、念には念を入れておこう。

 

 あとは四身の拳なんかを使いながらフリーザとベジータを陽動しつつ、隙を見てドラゴンボールを奪う。またこの間に折を見て最長老さまの元へ行くのも忘れない。

 ……完璧だな。今回の俺はやけに冴えてるぜ。

 ふっふっふ…賢将ヤムチャは、依然変わりなく!

 

 

 着陸する宇宙船AとB。

 久々のシャバの空気に俺たちAチームは大きく深呼吸した。……空気がうまいッ! やっぱり星の色からして酸素が豊富なんだろう!

 

 一方の特攻サイヤ野郎Bチーム。ウキウキ顏の悟空とは対照的にラディッツと悟飯の顔色は優れなかった。あっ…(察し)

 しかし流石はサイヤ人といったところだろう。この一週間でかなり地力を伸ばしている。これだからサイヤ人は(以下略

 ラディッツも悟飯も、こんなに立派になっちゃって……俺は猛烈に感動している!

 どちらとも最初はヘタレで弱っちくてなぁ。天国にいるだろうピッコロもこれにはにっこり!

 ……それにしてもなんでピッコロって天国に行けたんだろうか。すでにそこまで浄化されちまったのかねぇ。地球おそるべし。

 

 

「しっかしいいところですねー。時間があったらゆっくりバカンスでも楽しみたいくらいですよ。空気はうまいし気候もいいし……なにより邪悪な気を一つも感じない」

 

「ああそうだな……だがオレたちには時間がない。急いでドラゴンボールを回収しよう。時間が余ればバカンスでもなんでもすればいい」

 

 相変わらず天津飯はお堅いなー。

 しかしクリリンの言う通り、思った以上にナメック星はいいところだ。

 こんな星がこれから戦場になるなんて……ああ無情。フリーザ断じて許すまじ。悟空に倒されるんだな! 俺ではないぞ。

 

 ………あれ、何かを忘れているような…。

 

 

「そんじゃ取り敢えずまたチーム分けすっか!みんなで別々にドラゴンボールを集めた方がはえーもんな!」

 

「ああそうだな。オレはカカロット以外で頼む」

 

 ラディッツよ……一体何があった。

 

 しかしチームを分けすぎるのも良くない。そうじゃないと敵に遭遇した時にどんなことになるか分からんからな。

 せめて1班に太陽拳を使える奴が一人と、ドドリアザーボンに勝てる奴が一人は欲しいな。

 そうすると……[悟空、悟飯、クリリン][俺、天津飯、餃子、ラディッツ]ってとこか? 戦闘力のバランスも良くなるだろうし。

 

 てか今の俺たちって戦闘力どんくらいなんだろう。スカウターを持ってくるのを忘れちまったからなぁ。

 取り敢えずドドリア、ザーボンあたりの気と比べて目星をつけるしかあるまい。えーっと、ドドリアさんドドリアさん…………あれ?

 邪悪な気を一つも感じない……え?

 

 おかしい、おかしいぞ……この頃にはフリーザがナメック星人大虐殺を始めていたはずだ。嫌でもその邪悪な気を感じるはずなんだが。

 

「な、なあ……ナメック星に邪悪な気はないか? それもバカでかい感じの……」

 

「ああ、ピッコロみたいなのがいないかってことですか? 今のところは一つもそんな気は感じませんし、ナメック星人って案外温厚な種族なのかもしれませんねれ

 

 いや違うんだクリリン。そうじゃない。

 俺が言いたいことはそんなことじゃ――――

 

 

 

「…ッ! お前ら、気を抑えろォォ!!」

 

『ッ!?』

 

 先ほどまでと態度を一変させたラディッツが突然叫んだ。俺たちはそれに一瞬だけ困惑し、固まってしまったがすぐにラディッツの言葉の意味を理解し気を消す。

 空からとてつもない気が飛来してきたのだ。それも邪悪で、バカでかい。

 

 あのターレスと同格……いや、それ以上の邪悪さと強大さにみんなの顔が焦燥に歪んでいく。

 そして空に出現したのは巨大な円盤型の宇宙船。そのスケールのでかさに度肝を抜かれた。

 ラディッツなんて呆然としている。そりゃ上司の上司だもんな。

 そして俺もまた驚愕せざるをえなかった。

 

 フリーザ様遅刻しすぎィィィィ!?

 え、なんだ…何が起こったんだ!? なんでここで歴史が変わってんの!? 誰のせいだ……俺か? ベジータか? ……ターレスか?

 くそッ、頭がこんがらがって…!

 

 

「……な、なんなんだ今のは!? なんなんだ今の奴らはッ!?」

 

「と、とてつもねえくらいに邪悪でデカい気だった……。へへ…こりゃ…流石のオラでもワクワクできねぇや…」

 

「ば、バカな……もしドラゴンボールのことを耳に入れていたとしても、まさかフリーザ自身が出てくるとは…!」

 

「なに、知っているのかラディッツ!?」

 

 自然な感じでラディッツに話を振った。俺の演技も板がついてきたなーと思う。

 ラディッツは額から汗を流しながらフリーザのことについてポツリポツリと語り始めた。

 

「奴は……紛れもない宇宙最強だ。その戦闘力はベジータですら足元にも及ばん。そして奴の厄介なところは、その圧倒的暴力とサイヤ人をも超える冷酷さだ」

 

 ラディッツは震えている。恐らく子供の頃からのトラウマなんだろう。

 俺も子供の時に53万なんかに会ったらトラウマを通り越して気絶するわ。失禁もんだわ。

 

「な、なんでそんな奴がここに?」

 

「ドラゴンボールのことをどこかで聞いたんだろう。奴は宇宙を斡旋している……その情報力も桁違いだ。そして、奴の狙いは恐らく永遠の命。宇宙を永遠に自分のものにする気なんだろうな……! ちくしょうめ!」

 

 ラディッツは悔しそうに地を踏むとくるりと反転して宇宙船へと戻っていった。

 ……え?

 

「お、おい……お前、行かないのか?」

 

「バカ野郎! フリーザ様の野郎がドラゴンボールを集めるということはオレたちの願いはもう叶えられないも同然だ! 奴らに見つかる前に地球へ帰るのが最善策だろう!」

 

 ……ま、まあ普通に考えたらそうだよな。

 だが俺たちに帰るという選択肢はないのだ。

 スラッグをどうにかしなければならないし地球を元に戻さなくてはならない。

 なにより悟空を強化してもらわねえと。

 

「けどよぉ兄ちゃん、オラはそんな奴らほっとけねぇよ。それに兄ちゃんの自慢の畑もめちゃくちゃなままじゃねえか」

 

「むぅ、確かにそれはそうだが……。い、いや、オレには無理だ! 仮にお前たちがドラゴンボールを探すとしてもオレは行かん、行かんぞ! オレはここに残る!」

 

 ラディッツェ…。

 悟空の言葉にも耳を貸さないラディッツは宇宙船へと戻っていってしまった。

 ……あいつは宇宙船の守りってことでいいかな。壊されても困るし。

 あーあ、ラディッツのせいで悟空以外のZ戦士の士気がだだ下がりだよ。

 

「……ラディッツは放っておいて俺たちはドラゴンボールの確保を急ごう。一つでもこっちが持っておけば奴らが願いを叶えるってことは無くなるはずだ。あとそのフリーザっていう脅威をナメック星人に伝えないと」

 

「だな!」

 

「は、はい!」

 

「…そうですね」

 

「ああ」

 

「う、うん」

 

 各々から力強い返事が返ってきた。絶望したり、戦意を失ったりしている者はいないようだ。それでこそ戦士だぜみんな!

 取り敢えず俺が先ほど考えたチーム分けからラディッツを外したものを発表する。確か……[悟空、悟飯、クリリン][俺、天津飯、餃子]だったか。

 

「いいか、戦おうとするなよ? 親玉には勝てないんだからな。運悪く出くわしてしまったら太陽拳で急いで離脱しろ」

 

「うーん…オラはあの親玉に勝てそうな気がするんだけどなぁ」

 

「いや絶対逃げろよお前!?」

 

 悟空が何やら恐ろしいことを言っていた。確かに今のお前なら第一形態になら勝てるかもしれんが……残念! フリーザはあと3回変身を残しているのだ!

 

 無理にフリーザを刺激するのもあまりよろしくないからな。できれば隠密行動を心がけたいところである。ギニュー特戦隊のこともあるし。

 あ、デンデは確保しとかねぇとな。

 

 俺と悟空がドラゴンレーダーを持つ。

 あともう一つあったドラゴンレーダーは一応ラディッツに預けておく。まあ予備の管理ということでね。宇宙船にいるラディッツは筋トレを継続していた。その筋肉を今使わないでいつ使うんだよ。

 

 全員が仙豆をパンパンにいれた袋を腰に下げて準備完了! 取り敢えず俺が音頭をとる。

 

「いいか、敵に感づかれることのないように気を抑えて気配を殺すんだ。もしかしたら全宇宙の命運は俺たちにかかっているかもしれないんだからな。勝てなくてもドラゴンボールを7つ揃えれば俺たちの勝ちなんだ。そこらへんを忘れるなよ!ドラゴンボールを一つ確保したら宇宙船に集合だ!」

 

「よっしゃ! みんな、行くぞ!」

 

 悟空の掛け声とともに全員が行動を開始した。

 

 

 

 ちなみに移動中のことだった。

 少し遅れて2機の一人用のポッドが離れたところに落ちた。2機? ああ、ナッパか。

 

 そしてさらに遅れてもう1機が飛来した。えっと……汚い花火の人かな? ご愁傷様だ。

 


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