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修行回です。
作者の持論が展開されてますので注意してください。
よう、俺ヤムチャ。
さて、俺があのバッティングマシーンで特訓を始めて早十数日が経過した。バッティングマシーンによる動体視力の増強は一応の成果を見せている。まだまだボールにはよく当たるが、躱せ始めていることも事実。着実に成長していることが感じられた。(調子に乗って250kmに挑戦し酷い目にあったことは内緒だ!)
さらにこのバッティングマシーンは痛み慣れという点でも一役買ってくれている。甘ったれた性根を叩き直すにはもってこいの物である。カラダ中ボロボロだがね。
そしてここにきて、俺の修行は佳境を迎える。
かのベジータが愛用し、自らのパワーアップの礎として使い続けたあの…重力室。
あの施設が、完成したのだ。
「ま、まさか本当に数日で作り上げてしまうとは…」
俺が今、前にしているのは言わずと知れたその重力室。ブリーフ博士が数日で作ってくれました。
アカンこの人…マジもんの天才や。
「50Gまでの重力を操作できるよ。あと音楽用のスピーカーを付ければ完成だ」
「あ、ありがとうございます!大事に使わせてもらいます!」
いらぬ事を言うとスピーカーはいらない。
重力室が完成したことによってやっと俺が前々から構想していたトレーニングメニューに取り掛かることができる。それでは説明しよう!
まず早朝は朝の景気付けにバッティングマシーンによる200km〜250kmの投球を躱す動体視力トレーニング。
朝食後は重力室での筋力トレーニング。ただひたすらに筋肉を痛めつけるのだ。これを昼少しまで続ける。
昼食後はかめはめ波、及び気弾系の考察と練習。繰気弾なんかも使えるようにしていかないとな。
夕食後はまた重力室に篭る。ただしこの時間は実戦を意識したトレーニングで、実際に動いて殴り、蹴り、かめはめ波を使っていく。
こんなもんかな。あと休日なんかはそれ限りじゃなく、ブルマとデートをしたり、プーアルやウーロンなんかと遊びに行くこともあるだろう。時には休みの日を設けることも大切だからな。その都度臨機応変に対応していきたい。
このメニューでの唯一の不満は組手をすることができないことだ。まあ仕方ないことなんだが。
だが俺はそこまでこれを危機には感じていない。悟空やクリリンなんかはひたすらに畑仕事や牛乳配達といった作業ばかりで実戦形式の練習はしていなかった。だが天下一武闘会ではあそこまで戦えていたのだ、かなりの実戦を経験していたであろうヤムチャ以上に。
恐らくクリリンなんかは予選で自分の力を試していたんだろうな。
そこらから考えるに俺は組手は無しでもいいという結論を出した。まあ、吉と出るか凶と出るかは天下一武闘会で分かるだろう。ってそこで分かっちゃ駄目だな。
さて、まずは2Gから試していこうか。
2G…身体の重さが2倍になるというわけだ。
つまりだ…今の俺の体重は63kgだから…126kgか!かなり厳しい修行になるだろうな。
だが退かぬ!媚びぬ!省みぬ!の精神で頑張っていこう。頑張れヤムチャ、栄光はそこにある!
「…いくぞ…!スイッチオ……っ?おぉぉぉぉ⁉︎」
重っ‼︎なにこれ重っ‼︎オフオフ!
「ふぅ…想像以上だな…まさかここまで重いとは…」
こういうところから悟空やベジータの化け物っぷりをひしひしと感じる。やべえよ…あいつら人間じゃあねえ‼︎…うんそだね。人間じゃあないね。
うむむ…思った以上にハードだな…。いや、ハードなのがいいんだよな。キツくなければそれは修行ではない、そんなもの、ただの娯楽か暇つぶしだ。
さて、実はいきなり5Gあたりから始めてみようとか考えていた俺だがもちろん予定変更。2Gからじっくり慣らしていくことにする。
仕切り直しだ…いくぞ!
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「ぜぇ…ぜぇ…ちょ…やば…」
ま、まさか重力室で死にかけるとは…。
重力がかかっている状態で無理し過ぎたら立てなくなってしまったのだ。最後の力を振り絞ってなんとか重力をオフにすることができたのだが…。
き、危険だな…。だがその分のパワーアップは見込めそうでもある。うん、ちょっとメニューを変更して、まずは重力室の中で普通に過ごすことができるくらいに慣れよう。まずはそこからだ。
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壊した筋肉の分まで栄養を補給することは大切だ。十分な素材と栄養があれば筋肉はさらに進化を開始するのだから。サイヤ人が大食らいなのはここらへんも関係しているのだろう。
それに従い俺はかなりの食料を摂取してゆかなければならない。だが俺は居候の身だ。それでありながら大食らいでは流石に迷惑だろう。なにより俺が申し訳ない。
しかし流石、天下の大企業カプセルコーポレーション。そんな大食らいの居候など余裕で養える財力があるらしい。
次から次に出てくる料理に俺は申し訳なさとともによからぬ考えが浮かばずにはいられなかった。
「(ブルマのヒモになれれば一生食って遊べるぞ…?修行に明け暮れるよりもこっちの方が……ッ‼︎こ、これか⁉︎ヤムチャが堕落した理由は⁉︎)」
正直、ゾッとした。
ヤムチャが噛ませ犬としての人生を歩むことを強いられることとなった原因の可能性の一つがこんな所に転がっていたのだ。以後気をつけよう。マジで。
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さあ、かめはめ波の練習といこうじゃないか!
ぶっちゃけ今回の天下一武闘会ではそれほど使わないと思うが、かめはめ波を学んでいくにあたって気のコントロールを上達させることも急務である。
気や力には緩急が必要だ。マラソンでも最初から全開でとばしちゃバテるのは目に見えている。ああ、あれだ。セル戦時のトランクスのようなものだ。
ドラゴンボール序盤でこいつは何を言ってるんだ?と思うかもしれないが、序盤でも気や力の緩急という技術はかなり必要だと思う。本来の筋力以上に力を張るのにも気は必要だろうしな。
「…ふぅー…かー、めー、はー、めー…波ァーッ‼︎」
ーーーーバシュウッ‼︎
よし出るな。次は…。
「かめはめ波ーッ‼︎」
ーーーーパシュッ!
うわ、小せえな…。まあ、何故かは予想がつくが。
動作を速くすればするほど気の込め方が疎かになるんだろう。それで威力が下がった…と。
しかし裏を返せば気を込めるのを疎かにすれば動作を速くできるから小回りに応用させていくことができるんだよな。消費する気の量も抑えることができるし。
うん、勉強になった。次は…気弾の練習か。
練習といってもまだ使えないけどな。
気弾についての考察は中々難しい…。何故ならば物語が進むにつれ、皆練習描写無しで使えるようになっているからだ。てかヤムチャなんて気弾よりも繰気弾の方を早く覚えてるしな。
作中の描写を見る限り気をそのまま放出するって感じじゃなくて…なんか、こう…ポンッて感じで出してるよな。
試してみるか?そい!
ーーーーポンッ
あ、煙が出た。気が足りなかったのか…?
…いや、違うな。気が拡散してしまったようだ。
…かめはめ波は両手で玉を包み込むように構えて気を放出する技。つまり両手が気を逃さないようにうまく受け皿として機能しているんだ。
あ、だから修行が必要と言っても比較的簡単に使うことができるのか?
それに引き換え、気弾は受け皿の無い状態で気を球状に発射する技術…。だから先程は気が拡散してしまったと思われる。
要するに俺の気のコントロール技術はまだまだという事だ。精進しないとなあ…。
さて、まだまだやっていくぞ‼︎
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「ただいまー」
お、ブルマが学校から帰ってきたようだ。という事はもう3時程度か…早いな。
「ヤムチャ、あんたずーっと修行ばっかね。こんなかわいい彼女放っておいてさ!」
う…痛い所ついてくるな…。確かにその通りだけども。
「わ、悪い…。けど、俺は」
「孫くんに追いつく…でしょ?分かってるわよ、修行は止めないわ。
その代わり!休日はちゃんと付き合ってよね!」
ぶ、ブルマ…!こんなロクでも無い居候の俺を…!
本当にすまない…。いつかこの借りは返す…!
「あ、そうそう!今度の休日に亀爺さんの所訪ねるけどあんたも来る?孫くんにも会えるわよ?」
ああ、確かこれ空振るんだっけ?どうしような…。うーん…ま、いっか。悟空には会えないが海水浴を楽しむとしよう。
「いいぜ。ウーロンやプーアルも来るんだろ?それなら皆でついでに海水浴も楽しんでいくか」
若干休み過ぎのような気がしないでもないが…まあ、いいよな?慌てない…慌てない…。
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よく動き、よく学び、よく休む…。
ヤムチャは知らず知らずのうちに亀仙流の教えを形にしていたのだった。
今、地球上で一番伸び代のある戦士は誰か…。それは恐らく悟空かヤムチャ、クリリンの三人だろう。
黙々と亀仙人から言われた事をこなし続ける悟空とクリリン、独自のトレーニングで己の限界を目指すヤムチャ。
佳境を迎える三人の修行。その成果は天下一武闘会で発揮できるのだろうか。そして優勝は一体…誰の手に…。
最後のブルマとの会話のシーンはなけなしの原作成分です。
気弾
これどう解釈すればいいのかいまいち分かりません…。見方によってはビッグバンアタックとか元気玉も箆棒にでかい気弾ですし…。
うーん…考えれば考えるほど気円斬とか魔空包囲弾の仕組みがこんがらがってくる…。一番の謎はナッパさまのクンッ!ですけどね。
次回は時間が若干とびます。