噛ませ犬でも頑張りたい   作:とるびす

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さっさと天下一武闘会に持っていきます。
別にトレーニングの内容がこれ以上思いつかないとかそんなんじゃないからね!
今回はつなぎの回なので若干短めです。


修行の完成と敗北の恐怖

 よう、俺ヤムチャ

 最近髪を切った。ブルマ曰く、「西の都じゃそんなダサい髪型はモテない」とのことで。

 まあ、そんな事はどうでもいいか。

 修行のことについて話そう。

 

 継続は力なり、とはよく言ったものだ。

 日々の実感こそはないものの、修行の結果、目に見えるレベルまで自分の体が進化してきていることが分かる。

 以前の俺ならば時速200kmの豪速球を躱すことなど絶対にできないし、自分の体重が126kgになる空間の中で生活…さらには訓練などできないを通り越して不可能だ。

 しかし俺の肉体は修行に順応するため日々強化され続け、ついには…

 

「235…236…237…ッ!」

 

 2Gの重力室でここまでの修行をできるようになった。今は腕立て伏せを行っているが、他にも腹筋・スクワットなどの筋トレメニューをこなし、最近は狼牙風風拳のさらなるスピードアップを行うため2G空間の中で狼牙風風拳を連発している。あ、今思いついた。盗賊時代に使っていた剣で素振りをするのもいいかもしれない。

 

 バッティングマシーンの修行についても進展を見せている。2カ月ほど前からだろうか。200kmほどの速さの球なら安定して躱すことができるようになり、最近は230kmに挑戦している。まあ、痛い目にはあっているが最初の頃よりは断然いい。

 

 かめはめ波は当初少し伸び悩んでおり、どうしたものかと頭を抱えていた。だがある日のこと、いつものようにかめはめ波を出そうとしたんだ。我ながらその時のかめはめ波はかなり適当に出したものだったと思う。しかし俺の手から飛び出したかめはめ波は今までのものとは比べ物にならない威力であり、カプセルコーポレーションの一画を壊してしまった。(めちゃくちゃブルマに怒られた)

 その後、俺はしばらく頭を捻ってなぜ適当に撃ったかめはめ波にあれほどの威力が出たのかを考えた。やがて、俺は自然体だったから。という答えを導き出したのだ。

 逆に言えば、今までは力み過ぎていたからかめはめ波にたいして威力が出なかった…という事になる。

 結果、気は捻り出すよりスムーズに出した方が大量に放出できる…という結論に達した。

 

 このように各修行はそれぞれかなりの成果を出してくれた。かなりのパワーアップではないかと思う。

 

「300…ッ‼︎ふう…腕立て終わり!次は腹筋!」

 

 だが俺はそれに妥協することなく、さらに、さらに己を鍛え上げていく。これでもまだ足りないくらいなのだ、あの……あの主人公、孫 悟空と肩を並べるというのは。

 

「1…2…3…ッ」

 

 天下一武道会、開催まであと二週間…。勝つ、勝つ、勝つ…!ジャッキー・チュンに…!悟空に…!

 

 噛ませ犬なんて…言わせない…!

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 〈二週間後…〉

 

 

 

『強い!強いぞジャッキー選手!ヤムチャ選手、全く相手になっていません!』

 

「はあ…はあ…。くそっ…!」

 

 ヤムチャは押されていた。というより全く相手にされていなかった。修行してもなお、ヤムチャとジャッキー・チュンとの間には絶対的な差があったのだ。

 

「かなり実戦で感覚を鍛えているようじゃな。体の鍛え方も中々のものじゃ。しかし動きに無駄がある。惜しいのう…」

 

「うおおおおおおッッ‼︎狼牙風風拳ッ!」

 

 追い詰められたヤムチャは流れを取り戻すべく己が最高の必殺技、狼牙風風拳を繰り出し流れを引き戻さんとす。

 飢えた狼の牙がジャッキー・チュンに襲いかかる!

 ……が

 

「ほっ」

 

 初撃をいとも簡単に躱されてしまう。

 空を切る己の手に唖然とするヤムチャ。狼の牙は容易くへし折られてしまった…。

 

「そんな…嘘だ…!嘘だこんなことぉぉ‼︎」

 

 今までの努力を全て否定されたような気がした。結局、原作を変えることなどヤムチャにできるはずがなかったのだ。突きつけられた現実にヤムチャの目の前は真っ暗になっていく。

 

「ご褒美に爽やかな風をプレゼントしよう。ほれ」

 

 ーービュオッ

 

 ジャッキー・チュンが腕を振ると突風が発生、ヤムチャを悠々と吹き飛ばす。

 ヤムチャの視界が回転し次の瞬間、背中に衝撃を受け地面に倒れ伏す。

 

『決まりました!ジャッキー選手、ヤムチャ選手を一蹴し2回戦進出です‼︎』

 

 ーーワーワー‼︎ワーワー‼︎

 

「へ、ヤムチャの奴負けちまったぜ」

 

「ヤムチャなっさけなーい!」

 

「ヤムチャさま…」

 

 聞こえてくる仲間からの失望の声。

 ヤムチャはふと悟空の方を見てみる。悟空の瞳に……ヤムチャは、映っていなかった。

 

「あのじいちゃんつえーなー!オラたたかってみてーぞ!」

 

「(ああ、そうか…。お前に俺はもう…)」

 

 ヤムチャの目の前が、真っ暗になった…。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ーーーーさま、ヤムチャさま!」

 

「ん…う…ハッ⁉︎」

 

 ………?ゆ、夢…か…。こんな時に…なんつー夢だよ。

 

「す、すまない…。起こしてくれてありがとうなプーアル」

 

「大丈夫ですか…?今日から天下一武道会ですが…。凄くうなされてましたよ」

 

 プーアルの言う通りだ。今日、待ちに待った天下一武道会が始まる。

 俺たちは参加受付を済ませた後、明日に備えホテルで就寝した。どうやらブルマとウーロンは朝早くから場所取りに出かけたみたいだ。そしてプーアルは俺が起きるまで待ってくれていた…と。

 三人とも俺の戦いをこれほどまでに楽しみにしているのだ。ますます負けられない。自分たちのためにも、みんなのためにも。

 

 なのに…なんなんだあの夢は。何かを暗示しているようでとても気になる…。

 …くそっ!モヤモヤするぜ…。

 いや、これは恐怖か…?敗北への、恐怖なのか…?

 

「……いや、ダメだな。心構えがなっていない」

 

 負けるのが怖いからと言って何か変わるわけじゃない。こんな夢に惑わされるようじゃ俺もまだまだということだ。今日は勝つ。絶対に勝つ。今日ジャッキー・チュンに勝ち、悟空に勝ち、証明するのだ。ヤムチャでもやれると。

 積み重ねたものは決して無駄にはならない。無駄にはしない。

 

「行こうプーアル。俺は優勝する。誰が相手だろうと関係ない!」

 

「はい、ヤムチャさま!」

 

 

 万年1回戦ボーイなんて言わせない。

 

 噛ませ犬なんて言わせない。

 

 

 

 




ヤムチャ、闘気ムンムンです。

最近ポケモンの小説を始めました。並列してやっていくので少しペースが落ちるかも…?
取り敢えず1週間以内での投稿をしていきますので何とぞ…!

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