加速する太陽   作:サカマキまいまい

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初めまして、おはこんばんわ。まい2です。天道SUGEEE!!な二次小説が書きたくて書きました。初めて小説を書きます。至らない点だらけですが、思ったことがあれば(出来れば優しく)指摘して下さるとありがたいです。
あらすじに一々注意点(この二次小説が見切り発車であり、着地点を考えていないとか)を書きたくなかったので、活動報告のほうに載せてます。お手数ですが、そちらも目をざっと通して頂くとありがたいです。
長々と失礼しました。ではっ!


天の道を往き総てを司る男
RISING SUN


密集した木々に覆われた場所で、戦う二つの影がある。

 

「フッ………!!!」

 

低く、気合のこもった声と共に振り下ろされた双剣が空を切り、シュッと鋭い音をたてる。

腕が完全に振り下ろされ、体が硬直した一瞬を狙って、対峙する影が双剣の主のがら空きの脇腹を、鎧で覆われた腕で殴り付けた。

 

「ぐッ……?!」

 

ハンマーで殴られたかのような衝撃が脇腹を起点として全身に広がり、後方に吹き飛ばされる。しかし、双剣の主は柔らかい地面と彼の昆虫のような関節を利用し、衝撃を受け流すとそのまま綺麗に着地し、即座に構えを取った。5メートル程離れ、構えながら対峙する両者の間に沈黙が下りた。

 

ここはバーストリンカーがポイントを巡り争う、通常対戦フィールドであり、緑に生い茂る木々がフィールドを占める、通称、密林ステージと呼ばれる場所だ。

鮫の歯のように波打つ刃を持つ双剣を逆手に構えているのは、レベル3のM型デュエルアバター、ターコイズ・マンティス。青と緑の中間色のアバターであり、手数で勝負出来る双剣、可動域の広い関節と、関節を除く全身を覆う表皮を利用した、爆発的な攻撃性、敵を翻弄する俊敏性と多少の攻撃ならば体のどこで受けても凌ぐタフネスを兼ね揃えた、攻・速・守とバランスのとれたそれなりに知名度の高いアバターである。

 

対するもう一方のデュエルアバターはレベル1でありながら、確認されている15戦全てに於いて未だ負け無しというM型アバターである。

恐らくここ1ヶ月ほど前に誕生した新米デュエルアバターであると推測されているが、古参バーストリンカーにも劣らぬ程戦い慣れた様子が見受けられる、謎の多いアバターだ。彼の性格、アバター、戦闘技術により、古参バーストリンカーを含む多くのバーストリンカーが彼を様々な感情を持って注目している。

 

全身は薄く桜色に染まった銀色の鎧に覆われており、強化外装(パワードスーツ)を纏っているようにも、無手のロボットの様にも見える。構えを取るマンティスに向けられた顔は青いバイザーで隠され、如何なる表情も読み取ることが出来ない。

 

両者の間に訪れた沈黙をマンティスが破った。

 

「いやー、噂以上ッスねえ。正直、レベル1と侮ってました」

 

剣を持つ手で器用に後頭部を掻きながら、そうボヤいたマンティスに対して、鎧のアバターは何処か余裕のある雰囲気を醸し出しながら答えた。

 

「フ、当然だ。お婆ちゃんは言っていた。本当の強さは数字(データ)では測れない。そして俺は既に、レベルなどという概念を超越している」

 

「ア、アハハ。噂通りのとんでもない自信家っスね、なら………」

 

マンティスは相手の発言のアレっぷりに脱力したが、やがて構え直しぐっと体を緊張させた。

 

「古参(おれたち)の実力を教えてやるよ、ひよっ子(ニュービー)

 

ガラリと雰囲気を変えたマンティスが昆虫のような関節を利用して斜め左右に前進しつつ、重心をずらしながら相手を肉薄する。

 

左に移ったかと鎧のアバターが顔を向ければ、マンティスは既に、細い脚をしならせ、バネのように跳ね右に移っている。

 

マンティスの俊敏さに鎧のアバターが翻弄される中、彼は冷静に思考を進めていく。

 

(さっきまでの戦闘を考えると、ヤツは見た目通り、硬いが重いのテンプレアバター。恐らく(のろ)いヤツが狙っているのは接近した俺の攻撃に耐えつつ、動きを封じ、重い一撃をキメるカウンターだろう。ならばこっちは速さで翻弄させるのみ!)

 

ザンッ

 

相手の正面にまで接近し、右手と左手の剣の動きを同調させ、左から右へと袈裟斬りに切り降ろす。相手は鎧で覆われた腕を顔の前でクロスし、防御体勢をとった。

しかし、並ぶ二つの剣はその腕に当たることなく通り過ぎる。

────── フェイント。

 

前に傾いた勢いを利用して、相手の横へ、更に体を捻りながらバネのように上体を浮かせて、相手の背後を取った。

そして比較的守りの薄い、鎧のつなぎ目部分目掛けて双剣をクロスを描きながら振り下ろす━━━!!

 

ギィン………!

 

しかし、左右それぞれの一撃は腕の重さによる遠心力を利用し、回転してきた相手の腕に防がれた。

 

硬い物同士がぶつかり合い、耳障りな金属音が辺りに響く。そして、

 

「ハッ、これで決まりだ(....)

 

突如、相手の腕と鍔迫り合いをしていたマンティスの握る双剣が、刃の中程で外側に折れた(...)

 

「!?」

驚く相手を余所に、そのままノコギリ状の刃が相手の両腕を挟み拘束する。

 

力を込め、振り払おうとする鎧のアバターだが、鎧の凹凸部分にギザギザの歯が噛み合い、その拘束を容易には外せぬものとなっていた。

 

そう、マンティスの武器は双剣ではなく双鎌であった。それも農具の鎌のような一撃で広範囲のものを仕留めることを目的としたものではなく、彼のアバター名が示す通り、カマキリのカマのような相手を固定することを目的とした武器だ。

───では、カマキリの獲物を仕留める武器とは何か。

 

「マンティコア・ジョーォォォ!!!」

 

マンティスが叫ぶと、彼のアイレンズが赤く輝いた。 逆三角形のマンティスの顔の口吻部分から左右に、白く輝く鎌が展開される。これが彼の必殺技ゲージ4割を消費する大技。一撃で相手の命を刈り取る死神の鎌(グリム・ザ・リッパー)

 

これがマンティスの必勝パターンである。彼は双鎌による手数で相手を圧倒するインファイトも得意ではあるが、緑、メタルカラーのアバターのような防御力の高いタイプや同じ接近戦タイプである青に対してはこの必殺技による一撃で勝利を収めてきた。

 

どれほど堅牢な鎧を身につけていようと、脆弱な箇所はデュエルアバターである限り必ず存在する。相手を把握するのに必要な、目、耳、鼻といった感覚器官や動く上で重要な関節部分。━━━そして首。

古参バーストリンカーでありながら、上位に登ることなくレベル3であり続けた「首狩」の異名は伊達ではない。

 

「あーあ。彼、マンティスに捕まっちゃったよ」

「まあ、レベル1にレベル3を相手すんのはきついだろ。寧ろあんなナリで今まで勝ってきたことがスゲーよ」

「それもそっか。ていうか、ねえ、あんなに硬いのに緑じゃないってことはやっぱり彼ってメタルカラーなのかな?」

 

今まで黙って観戦していたアバター達が、このデュエルの決着を予感し、デュエルの邪魔にならないよう話し始めた。

「でも、原子表にあんな名前の金属あったか?」

「だよな。でもあの単語ってどっかで聞いたことあるんだよなあ」

 

一方で、マンティスも又、己の勝利を確信していた。

脆弱な部分を狙われた相手のアバターにとって、硬い鎧など最早、彼を固定する枷でしかなかった。相手の首を刈らんと死神の鎌が迫る。

だが、淡々とした声が勝利を確信したマンティスの耳に入った。

 

 

「成程、だが甘いな」

 

両腕を拘束されたまま彼は冷静に言った。

 

 

━━━━━━キャストオフ

 

マンティスは見た。彼の鎧の各パーツのジョイントが次々に外されてゆき、生じた鎧の隙間から紅い光が漏れ出すのを。

ガコンと鎧がアバターから浮く。

 

━━━━━━Cast Off!!!

 

マズイッと咄嗟に避けようとするも、技は既に発動してしまっている。

硬直するマンティスにアバターから解き放たれた銀の砲弾が次々と衝突した。

 

ガガガッ!!!

 

マンティスの全身に衝撃が走り、堪らず体が宙に浮いた。

 

「ぐあああああああああああ!!」

 

体勢が崩されたことで必殺技はキャンセルされ、マンティスはそのまま吹き飛ばされ地面に転がった。

 

「な、何が………」

 

呻きながら顔を上げたマンティスの視線の先に居るのは、装着していた分厚い薄紅の装甲がパージされた、今までの鎧の姿とは全く異なる出立ちのアバター。

内部で燃えているかのように紅く輝く、薄いプレートアーマーが動きを阻害しない程度に、黒いライダースーツの上から体の各所に付けられている。胸の前で刺叉状に展開された突起が、顔の前まで持ち上がり、そして顔の中央で固定された。

 

否、それは刺叉では無く、

 

「…………カブト」

 

マンティスの言う通り、それは王である事を誇示するかのような、紅いツノであった。

 

 

━━━Change Beetle!!!

 

システムガイダンスが変化の完了を告げ、燃えるような全身とは対照的な青いアイレンズが冷ややかに輝いた。

 

 

約5分後にデュエルは決着した。観戦していたアバターはどよめきながら先程のデュエルについて互いに言い合う。

 

「………マジか。レベル3相手に勝っちゃったよ、彼。こりゃクロウに続いて加速世界(ここ)に新しい風を運んでくるんじゃねーの」

「でもレベル3っても相手は表彰状止まり(ステイ・サード)だろ。大したことねーよ」

「いやいやマンティスはレベル5とも渡り合えるって。古参は伊達じゃねえよ」

 

観戦していたアバター同士で話していたバーストリンカーの1人が勝者に声を掛ける。

 

「ナイスファイト!凄かったね、さっきの試合!!久しぶりに興奮するデュエルだったよ」

 

今まで観戦していたアバター全員が、彼に話しかけることを躊躇していた中、1人の勇敢なF型アバターが声を掛ける。

自然とその場に居る全員の視線が彼に集まる中、彼は堂々と立ち、左手を腰に添え、右手をかざし、人差し指で天を示した。

 

「フ、当然だ。なぜなら太陽は全ての命に輝きを与える。お婆ちゃんが言っていた。俺は━━━━」

 

 

◆◆◆

 

ハルユキがバーストリンカーとなって1ヶ月が過ぎた。木々の葉は緑から黄、紅へと移ろい、四季に恵まれた日本らしい美しい景観を生み出す一方で、開けられた窓から時折校舎へと入り込む秋風が、これから訪れる冬の寒さを思わせる。

 

しかし、そんな肌寒い空気とは裏腹に、ハルユキの生活は極めて良好だった。

 

ブレインバーストにおいては唯一の飛行アバターである性質を利用し、戦績を順調に伸ばしていた。また、デュエルの時に空へと舞い上がり、地上を見下ろす爽快感は、ハルユキをブレインバーストの虜にさせた。

 

リアルに於いても、幼なじみであるシアン·パイルこと黛拓武とは先月の黒雪姫を巡る1件以降、再び親交を取り戻し、昔よりも友情を深められていると思っている。

タクムは時折、影のある表情を見せるし、二人で話しているとむず痒い気持ちになることもあるが、そこには確かに互いを思う気持ちがあったそれに。気軽にブレインバーストについて話せる友を得たことも大きい。

 

同じく幼馴染である倉嶋千百合は、バーストリンカーでこそないがハルユキに対するイジメがなくなって以降は自然に笑い会えるようになった。

 

そしてハルユキの最も憧れる人物であり、最愛の師にして「親」である目の前のヒトに出会えたことは、自分の人生を一転させたとハルユキは本気で思っている。

 

「おーい。ハル、どうかしたのかい?」

 

横から声を掛けられ、ハルユキははっと我に帰った。

 

「い、いや。なんでもない。ちょっとぼーっとしてた」

 

アハハと誤魔化すと横にいるタクムから呆れた顔をされた。

 

「フム、この時期は風邪をひきやすいからな。体調が悪かったら直ぐに言うんだぞ?」

 

ぐいっと目の前にいた人物の顔が近づけられ、胸の動機が激しくなりながら、慌てて身を引く。因みに、病気と思われるほどボーっとしていたのか、僕と傷ついたことは秘密である。

 

「い、いえ。全然平気です、僕。確か、ブレインバーストのことで話があるんでしたよね」

 

そう、ハルユキ達は黒雪姫に呼び出され、昼休みにこうして、黒雪姫の根城である生徒会室まで足を運んだのだった。

 

「本当かい?キミは放っておくと直ぐに無茶をするからな。親としては心配なんだよ。………まあいい。そう、今日は君たちに最近、バーストリンカーの間で噂になっているあるデュエルアバターのことについて話そうと思ってね」

 

へえー、そんな人が居るんだ。とハルユキが呑気に考えている横で、タクムが最近掛け始めたメガネのブリッジを中指でくいっと押し上げ、口を開く。

 

「それってハルのことじゃないんですか?」

「えっ、ぼく?!」

 

ぜんぜん他人事じゃなかったと慌てるハルユキを見て、黒雪姫が笑いながら否定する。

 

「ウム、残念ながらハルユキ君のことではないな」

 

よかったーと胸を撫で下ろすハルユキ。

 

「因みにキミがウワサになっているのは本当だぞ、ハルユキ君」

 

しかし、あんしんするにはまだはやかった!!

 

再び慌てるハルユキを見て微笑みながらタクムが言う。

 

「と、すると『彼』についてですか、マスター」

「ほう、流石はタクム君だ。情報収集はお手の物だね」

 

ハルユキとは違い、話の流れを読む術に長けたタクムの発言に黒雪姫は感心した。

 

「いえ、彼については結構噂になっていますから」

「それを知らない俺って一体……」

 

タクムは古き良き日本文化、KENSONを使った!

 

タクムのひょうかはさがった!タクムのいんしょうはぐーんとあがった!

 

相対的にハルユキの評価はがくっとさがった!ハルユキのひょうかはこれいじょうさがらない!!

 

ハルユキはがくっと膝をついた。見かねた黒雪姫がハルユキにフォローを入れる。

 

「まあ、そう気を落とすな。君には君の長所がある。……さて、ハルユキ君の為に説明しておくと、だ。タクム君が私達のレギオン、ネガネビュラスに加入した頃から密かに注目されていたバーストリンカーがいたのさ」

 

ハルユキはそこで疑問を覚えた。黒雪姫やタクムが言うように自分が噂になっているならば、それは自分が加速世界唯一の飛行型アバターだからだろう。では、

 

「どうして彼は初めから注目されていたんですか?」

やはり、自分と同じく何か特別なアビリティを持っているのだろうか。しかし、「密かに」とはどういう事か。ハルユキの疑問に答えたのは黒雪姫ではなく、タクムだった。

 

「それはね、ハル。彼のアバター名に存在するはずがない名前があったからだよ」

「存在するはずがない?」

 

「うん。彼の名前には━━」

 

眼鏡をキラリと光らせたタクムを見て、 あ、これは拓武先生の授業が始まるなとハルユキが覚悟した時、黒雪姫がタクムを遮った。

 

「まあ、詳しい話は放課後にでもすることにしようじゃないか」

 

やや不服そうにしながらも渋々従ったタクムを見て、満足げに頷いて黒雪姫は話を続ける。

 

「そのアバターは目覚しい活躍を遂げていてね。今まで確認されているデュエルにおいては1戦も負けていないらしい。その活躍ぶりと彼のキャラクター、先程タクム君が言ったアバターカラーから彼に注目するバーストリンカーは新規、古参を問わず多い」

 

ハルユキはへえ、と思った。というかそうとしか思いようがない。興味はあるがそれを僕達に聞かせてどうしようというのか。ハルユキの疑問をタクムが代わりに言った。

 

「それで、マスター。僕達にわざわざそのバーストリンカーについて教えた理由は何ですか?」

「ウム、いや、ただそのバーストリンカーについて何か分かれば教えて欲しいと思っただけさ」

 

黒雪姫は僅かに逡巡(しゅんじゅん)するそぶりを見せたが、やがて首を振り笑った。

 

ハルユキは黒雪姫の様子を不審に思いつつ、そのバーストリンカーと戦うことがあれば、憶えておこうと思った。

 

「あれ、そう言えばそのバーストリンカーの名前は何ですか」

 

「ああ、未だ言っていなかったな。そのバーストリンカーの名前はヒヒイロカネ・デイ。神話の金属の名前を冠するデュエルアバターだよ。本人曰く、」

 

黒雪姫はそこでくすりと笑った。

 

 

━━━天の道を往き総てを司る男、らしいぞ。

 

 

なんじゃそりゃとハルユキ達が思った事は言うまでもない。

 

 

 




天道SUGEEE!!に見せかけて、カマキリカッコイイよ回。
ターコイズマンティスは僕の未練で出来ています。カブトは僕が小学生の頃やっていたのですが、日曜日が来る度に、「カマキリ!カマキリぜクター来い!!」って祈ってました。スコーピオンぜクターが来た時の、お前じゃNEEE感よ……。つーか、昆虫じゃないやん。節足動物門じゃん。
いや、好きですけどね。ぼっちゃま。じいやも好きです。

最後に、勝利フラグを尽く叩き割ったマンティスさんに敬礼!!

………本当はもっとかっこよく出したかった。

ではまた次回(不定期)
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