ヴ、ヴ、ヴ、ヴィイイン━━━━
ゼロ号の装甲の表面に走る回路に流れるエネルギーと共に、天道が流した血が全身を駆け巡っていく。それと共に黒き装甲は深紅に染まり、闇の中で輝きを放ち始めた。
それはまるで、闇を照らす太陽。
『……………………』
じっと佇む姿は一見隙だらけに見えるが、グリロタルパワームはその姿に圧倒され、地面から起き上がって尚、その次の行動を決めかねていた。
ジャリ
何を見ているのかも分からなかったゼロ号がワームに向き直った。
「ぐっ……………」
ワームは有り得ない程のプレッシャーを感じ、黄色いバイザーの奥にある瞳が己を捉えたのを悟る。
「う、うおおぉ!!」
気圧された心を奮い立たせるように叫び、その重い体を動かそうとした。
ヴン
「なっ?!………ギッ!」
だがその瞬間、目の前にいたその存在を見失う。直後顎に鈍い衝撃が走る。
体の重心を低くし、滑るように体をワームの正面に動かしたゼロ号がワームの死角となる顎の下からアッパーを食らわせたのだった。
ガッガッガッ!!
よろめくワームの防御の薄い腹に容赦なく連撃を与えていく。
堪らず背後に後退するワームに距離を取らせず、悠々と近づき確実にダメージを蓄積させていく。
(こいつッ!俺を地面を逃がさないように?!)
ゼロ号と距離を置く為に、多少のダメージを覚悟で腕による大振りな一撃を振るうが、その攻撃をゼロ号は首を軽く捻るだけで躱す。
先程の重い鎧を身につけていた戦い方とは全く異なるゼロ号の戦闘スタイルに、ワームは戸惑うばかり。
それに反し、ゼロ号はやすやすとワームの攻撃を見切り、最小限の動きのみでカウンターによる一撃を重ねていった。
だが、
ブシュウウ!
薄い装甲の繋ぎ目から鮮血が迸り、ぐらりとゼロ号がよろめいた。
(今だッ…………!)
その隙を逃さず、ワームはがら空きの腹にぐるんと1度振り回したシャベルを叩きつけた。
『ガッ?!』
吹き飛ぶゼロ号に追撃することなく、ワームは地面に潜っていった。
◆◆◆
「天道くんッ!」
吹き飛ばされたゼロ号はその勢いのまま大きな木に衝突し、木をへし折りながら地面に転がった。
体の各所から地を滴らせながら起き上がるゼロ号の姿に、悲鳴じみた叫びをあげ、日景が駆け寄ろうとする。
『……来るな!』
それを鋭い声で制止したゼロ号は腰に
━━クナイガンの使用申請を承認。
━━アックスモードでの使用を推奨。
(出しゃばるな、システム如きが。俺に従え)
天道のアクションに敏感に反応し、メッセージを表示してくるライダーシステムを抑え、従わせた。
━━イエス、マイ・ロード。クナイガンをガンモードに移行。
キュインキュインキュイン!!
そして、ガンモードで辺りの地面に次々と発砲した。
「きゃ?!……天道くん?なにを………」
『黙っていろ』
そしてゆっくりとゼロ号が前に踏み出し始めた直後、ゼロ号の背後の地面に亀裂が走った。
『!!』
その微かな音すら聞き逃さず背後を振り向いたゼロ号はしかし、その体を切り裂かれる。
『ぐぅ!』
ゼロ号が地面に転がった隙に、ワームは再び地面へと潜っていった。
『………………』
どさりと崩れ落ちたゼロ号の体からどろりと血が溢れ、地面を黒く染めていく。
倒れ伏したゼロ号の姿は最早、見るも無残なものとなっていた。だがそれも当然だろう。天道自身もシステムも、とうに限界を迎えていたのだから。
「そんな………」
その姿を見て、崩れ落ちそうになった日景の視界にきらきらと輝くものがあった。
「え?」
キィンキィンキィン………
澄んだ音が響き渡り、銀色の氷が空に幾つも浮かび上がった。
『………なる程な。そういう事か』
その低く滑らかな声にはっとゼロ号を見ると、ゆっくりと立ち上がっていた。
感想、評価、批評 待ってます。よろしくです。あと1章を終わらせた後は全面修正を考えてます。詳しくは活動報告をば。