土「今年の倍率も、凄かったらしいな。」
ミ「えぇ、2,5倍でしたから。」
近「もう既に大学並みだな…。」
妙「まぁ、それもみんなのお陰なんですけどね。」
土「そんな黒い笑顔で笑うんじゃねーよ……。」
同じ方面の土方、近藤、ミツバ、妙は中学の時から、一緒に帰っていた。それは、付き合う前から。
話す内容は、他愛もない話ばかり。それでも、幸せな時間であることに代わりはなかった。
土「あれから、もうすぐ2年たつのか…。」
近「そうだな…。早いもんだな…。」
見上げなければ見えない、彼氏の顔。わずか1年会わないだけで、その成長ぶりには、驚いた。
それは身長のことだけでなく、剣道のことも同じだった。
ミ「2人を含めて、総悟先輩もみんなすごく上手になってましたね、剣道。」
妙「敵学校だったけど、高杉先輩もすごかったわよね!あの人がもし敵だったと思うと……、、、。」
そうだなー、と納得したような男子たち。
ミ「……あれ、そういえば中学3年生の時の中体連で、決勝で戦ったのって、空賊中学校じゃなかったですよね?」
妙「…そうよね、、、。空賊は準決勝じゃなかったっけ?」
最後の年の中体連。三連覇がかかった大事な決勝戦。
その相手も、かなりの強豪校だったのだが、どうしても思い出せない。
土「
ミ・妙「えっ……。」
土方が言った。普段聞かないような、低くて重い声。
土「俺らの中学最後の相手は、攘夷中学だ。
次に話した時は、いつも通りの声に戻っていた。
近「そうだぞー。真選組中学、開校以来の偉業達成だからな!!」
ミ「そ、そうですね。先輩方が卒業した後も、受け継がれていましたよ、伝説として。」
土「伝説って……れっきとした事実なんだけどな。」
こういう時ミツバは、切りこんで真相について確かめられない。どんなに相手が動揺していても、相手に都合の悪いことを自ら聞けない。
妙「龍先輩が剣道やめたのは、その中学校が関連してるんですか?」
それに対して、妙は気になったことはどんどん聞く。
そして、こうなった妙に嘘は通用しない。どんなに上手く嘘をついても、バレてしまう。
近「お妙さん…。」
妙「私たちはマネージャーだったのに、龍先輩の異変に気付けなかった、という事なんですよね?」
近「……。」
土「悪いが、それは俺らの口から言えねー。」
ミ・妙「……。」
土方が落ち着いた声で答える。
しかし、その顔は歪んでいた。
土「龍自身が1番つれーはずなのに、何も言わねーんだ。それに、マネージャーだけじゃねー、俺らも
ミ・妙「……。」
想像以上の衝撃で、黙り込んでしまうミツバと妙。
近「まぁまぁ、2人とも心配するな。」
そんな雰囲気の中、いつもと変わらぬ笑顔でいう近藤。
近「あいつの中でもまだ、整理がついてないんだろう。龍ならちゃんと話してくれるさ。それに、今までは1人で悩んできたが、これからは銀子がいるんだ。」
ミ「……そうですね。」
妙「銀子なら、支えになってくれるわよね。」
ウンウンと言いながら、笑顔で見守っていた。
妙「そういえば…、剣道部のマネージャーって毎年、あんなに希望者がいるものなんですか?」
妙が何か思い出したように聞いた。
土「あー、俺らが1年の時からだって言ってたな…。」
近「1つ上の代も人気だったみたいだが、10人ぐらいだって言ってたな。」
今日50人くらいいなかったっけ…?、と思うミツバと妙。
妙「その中から、私たちが選ばれていいんですか?何だか、男目当ての方は入れない、みたいな事を高杉先輩が言ってましたけど…。」
土・近「なっ……!?」
明らかに動揺する土方と近藤。
土「あいつ…、大事なところだけ何も言わなかったのかよ…。」
ミ「……?」
近「えーっと、その……ですね、、、。」
妙「近藤くん?ちゃんと説明してくださいっ!」
黙り込む土方と近藤の顔は、うっすらだが赤かった。
土「あの……だな。」
近「その……俺たちが頼んだんだ…。」
ミ・妙「頼んだ??」
見事にハモる。聞く度にどんどん疑問が増えていく。
土「だから、お前らをマネージャーにしたい、ってオレらが頼んだんだよ!」
ミ・妙「!?」
近「俺たち、お前らがいねーなら部活やめます、って脅してだけどな、。」
ミ・妙「!?!?」
驚愕、呆然、怒り……その他いろんな感情を通り越して、
ミ「なっ、なななななに言ってるんですか!?」
妙「バカなんじゃないですか!?」
真っ赤になり恥ずかしがる2人。
……というより、辞めるって脅したら、意見が通っちゃうのかよっ!!
土「高杉のヤロー、そこだけ言わなかったのか…。」
ミ「私は、十四郎さんの口から聞けて、……嬉しいですよ?」
土「なっ……!?」
妙「私も近藤くんから教えて貰ってよかった。」
近「い、いやぁ~、嬉しいんですけど……。」
「「「「((((恥ずかしいっ!!!!))))」」」」
真っ赤な4人が、並んで歩いた。
土「あー、そのあれだっ!」
ミ「はい??」
――――ギューー!!
ミ・妙「「!?!?」」
突然何を思ったのか、彼氏に抱きしめられる彼女。
土・近「入学おめでと、……待ってた。」
4人の淡い青春が、再び始まる。