きりーつ、れーー!
「「「「「さよならー。」」」」」
今日も1日が終わる。……と言っても、部活生はこれから始まるようなものだが。
総「龍ー、今日の晩飯なんでぃ?」
土「てめぇの頭ん中は、食い物ん事ばっかりだな。」
高「お前ら、新婚夫婦かよ。」
日常通りの会話。部活のない龍は、晩ご飯の準備をして待っているのだ。……高杉の突っ込みも正しい。
その日のメニューによっては、全員が沖田家に集合して食べて行くこともある。それぐらい、龍のご飯は大好評。
龍「悪ぃ、今日の飯、手抜き。」
総「はぁ!?なんでだよっ!」
龍「……なんでキレてんだよ、、、。」
総「龍の飯食えないとか、1日が終わんねぇ。」
無意識に、なんとなく褒めているので、言い返せない龍。
龍「うん、なんかありがとう。
ってか、作れねぇのお前らのせいだからな。」
総・土・高「はぁぁ??」
見事にハモる3人。
龍が3人に携帯の画面を見せる。
龍「彩先輩からLINE来た。」
近「あー、去年と同じ仕事か。」
龍「多分な。」
あー、他の3人も納得した様子……そして、思い出したように土方が口を開く。
土「……お前が辞めたこと、1年は?」
龍「知らないんじゃね?」
高「1年の女どもは?」
龍「もっと知らねぇだろ。」
………………………………。
総「今日は終了だぜぃ。」
ため息をつく3人。
龍「なんで俺のせいみたいになってんだよっ!頼まれちまったんだから仕方ねぇだろ。」
近「去年、力発揮しちゃったからなー。」
近藤が笑いながら、言う。
最悪だー、とか言いながら廊下を歩く5人。嫌でも目を引くメンツ。
この5人は見た目以上に、惹かれるオーラみたいなものがあった。……5人でいると、それが更に際立つ。
―――ガラガラガラガラ
妙「こんにちわ。」
近「お妙さーん!お疲れーー!!そして……今日はごめん…。」
苦笑する近藤。
2年生と違って、授業ではなく決め事の多い1年生は、今の時期は少し来るのが遅い。2年生と3年生は既に着替え終わっている人が多い。
神「うーーー!ハァ……ハァ……ハァ……。」
総「おぉ、チャイナ。何やってんでぃ。」
神「こっちが聞きたいネ!!なんでまた、女の子たちがあんなにいるアルか!?」
剣道部の部活動見学は昨日のみ。マネージャーも選手も募集を終えた剣道部に、見学に来ても全く意味が無い。
総「何言ってんでさぁ。あんなのいつものことだぜぃ。」
神「はぁ!?……大変アルな。」
それでも、いつもギャラリーの多い剣道部メンバーは慣れているらしい。特に気にも止めていない。
総「まぁ、今日は男子もいるし、いつもよりは多いんじゃねぇの?……つか、どっから情報漏れてんでさぁ。」
神「何の情報ネ?」
あれ、と言って総悟が指を指す方向を見てみると……、
神「あっ……お前の兄ちゃん…………。」
総「あいつは、学校超えて有名だからな。しばらくはあんな感じだから、覚悟しとけぃ。」
神「……なんでいるネ?剣道、出来ないんダロ。」
神楽の疑問は、普通のもの。
総悟は一瞬、戸惑った。……がすぐに元に戻り、
総「すぐ、わかりまさぁ。」
そう言って、総悟は練習に戻り、神楽も準備を始めた。
《土方side》
去年の4月。俺らが1年の時もギャラリーはこうなった。
龍が剣道できねぇのは、顧問の松平も先輩も知ってたから、部室にいる時は焦った、……去年は。
そして、
「なぁ!あれって、龍先輩だよな?」
「やっぱりそうだよな!?沖田龍だよな!?」
「マジで本物かよ!?」
これも変わらず。
事情の知らねぇ奴らが、龍の事を珍しそうに見る。
そりゃあ、中学で全国優勝の立て役者だったやつが、ずっと剣道の世界から消えていて……同じ剣道部の男子の間では、高校ではやらない、っていうのは有名な話だった。
そんな伝説に近い選手が目の前にいれば、誰でも興奮するよな。
そんな伝説のやつが何をするのか……、それは『調整』。
部員数が2学年で60人を超える剣道部。実は、本当はもっと沢山いた。2年生は、80人いた。
さすがにそんな練習をする場所はない、と困っていた時に松平が呼んできたのが龍だった。
後から龍に聞いた話によると、
松『お前の判断に任せるから、この人数半分にしろ。』
っていう指示だったらしい。
まぁ、つまり。人を見るのがうまい龍に、人選をしてもらったというわけだ。それで40人になった2年の部員。それでも、きつい練習に耐えれなかったやつが辞めていき、今の人数に落ち着いた。
今年は最初から45名と少し少ない。どんなふうになるのか……、
そろそろ始まるな……。
この試験では、龍の凄さがよく分かる。
龍「とりあえず全員で素振りやれ。2年も3年もな。」
……普通、部員でもねぇのに、こんな素直に指示に従わせるなんて無理だろ。
嫌でも、龍の凄さを目の当たりにするっつーわけだ。
去年はこの素振りで、25人くらい落とされたな。
今年はどうなるか……。
……………………。
龍は一つも口を開かない。
俺らの竹刀を振る風を切る音と、掛け声のみが響く。
その隙間を縫うように歩く龍。
去年は、肩を叩かれた生徒は強制退部だった。そんな恐怖な調整、やりたくねぇ。
龍「いいぞ、終わって。」
結局、誰も叩かれることなく素振り終了。
龍「お前とお前と……後お前ら3人と…………。」
その後すぐに1年生全員を2つのグループに分けだす。
龍「お前ら5人は、3年生の先輩方が引退した後から、すぐにつかえる。ほかの奴らは、まだダメだな。
まぁ、去年と違って遊び出来てるやつはいねぇみたいだから、全員残留でいいんじゃねぇの?」
そう、ここでいう調整とは、人数調整と実力調整、そして練習調整の3つの意味がある。
龍「後で、少し教えてやるから来い。特にそっちの5人は。」
「「「「「はいっっ!!」」」」」
龍が教えてくれる、貴重な期間。1年生だけでなく、2・3年生も興奮する。
龍「今年はお前らみたいなのは、いなかったわ。」
土「だから、今年はねぇのか。『高体連出場可能組』が。」
龍「出したら負けると思うけどいいか?」
土「んなわけあるか。」
去年も、『調整』を行った龍。そこで、俺と近藤、総悟、高杉はすぐにでも使える、つって選ばれた。実際、去年の大会に俺らは出てる。個人戦にも、団体戦にも。
俺と龍のところに来たこの人は、3年の爽良先輩。剣道部の部長。
中学の時から、龍と同じぐらい有名だったらしく、めっちゃ強い。
龍「いえ、お役に立てたなら、俺も嬉しいですから。」
爽「そうか。じゃあ、もう一つ考えて欲しいことがあるんだが…。」
龍「何でしょうか?俺に出来ることなら、構いませんけど。」
爽「実はだな、お前に剣道部のコーチをやって欲しいんだよ。」
龍「はっ……?」
土「えっ……!?」
あっ、部員全員に聞かれたよ。
「「「「「「「「ええぇぇぇぇぇぇ!?!?」」」」」」」」
また1つ、なにか起きそうな予感がする。
爽良先輩…銀魂高校3年、剣道部部長