《神楽side》
爽「2・3年!休憩終わりだ!練習始めんぞ!!」
「「「はいっっ!!!」」」
総「なっ!?……てめぇのせいで、休めなかったじゃねぇか!」
神「うるさいネ!お前が絡んできたから悪いんだロ!!ごちゃごちゃ言ってないで、早く行くヨロシ!」
…………もう何ネ!あいつ!!
昨日初めてあった奴と、なんでここまで喧嘩しなきやならないネ!?ってか、昨日の帰りの優しさは、どこいったアルカ!?
―――でも…………、ちょっとダケ嬉しかったナ。
こんなしゃべり方してたら、誰とも話せないかと思ってたケド…、
銀ちゃんに妙ちゃん、ミツバちゃん、また子ちゃんも優しく話しかけてくれるし、剣道部の人も、…………まぁ一応あのドSも絡んでくれるネ。
龍「神楽。」
神「……うわぁ!?龍先輩!?」
この人も……、私の初恋の人。
龍「悪ぃ…、そんな驚かすつもりじゃなかったんだけど……。」
神「あっ、……いやっ、大丈夫ですっ!」
沖田龍。あんのクソドSと双子だなんて、考えられないネ…。
神「龍先輩、新部員の方は……」
龍「ん?あぁ、2・3年の練習見てこーい、って言って来た。」
……さすがネ。
龍「…………。」
ン…?なんで黙っちゃったネ?私、なんか悪いこと言ったアルカ!?
神「龍…先輩……?」
龍「お前……、標準語で敬語使えんの?」
神「へっ……!?えっ…、あっ、はい。」
人間関係は大事だから、って唯一パピーが教えてくれたことアルナ。
特に先輩に対しては気をつけろ、って言ってたから、頑張って覚えたネ。
龍「……総悟には、使わねぇんだな。」
神「えっ…、あっ、いや……その、、、すいません。」
怒られると思ったケド……
龍「謝んなって。いい事だ、めちゃくちゃ。」
いい事?どこが?何が??
龍「総悟には使わなくても、普通に話せんだろ?」
神「えっと……、まぁ……。」
龍「なんで?」
神「…………、、、」
―なんで?……なんでアルカ??
なんであいつには、使わなくても話せるアルカ??
龍「フッ……まぁ、そのうち気づくだろ。」
――気づく?何に??
龍「それに……、標準語の敬語じゃない方が、神楽っぽいと思うぜ。」
―――私っぽい…?
龍先輩。私は馬鹿だから、言ってることが全然理解出来ないアル。
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龍「でさ、神楽。
お前、総悟の型が自己流だってわかったな。お前、一体何者なんだぁ?」
神「へっ!?」
龍の質問の意味が理解出来なくて、素っ頓狂な声を出す神楽。
その声に笑いそうになるのを耐えながら、龍は話を続けた。
龍「くくっ……、総悟の型はさ…自己流でしかも2重に習得してんだよ。それに、根底にある型すらも独特だから、見抜けるやつあんまいねぇんだよ。」
普通の人は『流派』というものを受け継いで、決め技とか守り技とかを祖先から学んで戦う。
しかし、龍が言うには総悟の場合、1個目に学んであろう型の上に、更に今の型を学んだらしい。
そしてその中全てに『流派』は無く、全て自分で考えたのだ。
いや、“自分で考えた”と言うと語弊があるかもしれない。
神「根底にある型は自己流じゃないんですか?」
龍「お前、ほんとよく聞いてんな、、、。
あいつの根底にある型は、父親の自己流の型なんだ。だから、自己流じゃなくて独特。」
神「ドSと龍先輩のパピー……」
神楽が思い出すのは、昨夜の総悟との会話。
昨夜の話が正しければ、“父親”というのは、『殺されたパピー』のこと。
その話を聞いたからこそ、素直に見たいと思えない。
龍「……総悟から聞いてねぇ?俺らの父親の話。あいつなら、神楽には言ってるだろ。」
神「…どういうことですか?」
龍「聞いてねぇの?」
二度の龍からの質問に、折れてしまった神楽だった。
そりゃあ、意識してる異性から、顔を近づけられて疑問をぶつけられたら、正直に答えるしかない。
神「聞きました。2人の『殺されたパピー』の話。」
龍「そうか…、そこまで言ったのか……あいつ。」
なぜか満足気な顔をして、練習する総悟を見る龍。
少し練習を見ていた後、龍は再び神楽の方を見た。
龍「あいつの基本の型…、俺らの父親の型はな、自己流のくせにすげぇ綺麗な型だった。舞を踊るような感じで、流れるように戦う感じ。
総悟自身もそれに惚れて、習得しようとしたし、それを習得した時はめっちゃ喜んだ。
あいつは元々強くて結構名前が知れててな。だから、その綺麗な型も総悟の名と共に知れ渡っていったんだ。」
神楽は自分が聞いていいような話じゃない気がした。それでも聞いてしまっているのは、きっと龍先輩が話してるからだ、と自分に言い聞かせた。決して、総悟の為に何かしてあげたいなんて、思ってないからナ!、と1人で戦っていた。
龍「でも、今その型を知ってるやつ…、覚えてるやつなんて極少数だ。」
神「どうして…、あんな雑な型で消しちゃったんですか?」
龍「…………あいつが自分で望んだんだ、
両親が殺された日に…な。」
神「!?!?」
龍「総悟がもう見たくねぇ、って言って封印したんだ。
そっからだよ、総悟が個人戦で万年3位になっちまったのは。」
神「万年3位??」
龍「俺がまだ剣道してた頃な、個人戦の試合は、俺、土方、総悟の3人で争うことが多かったんだ…小6の頃まではな。」
神「小6……」
さすがの神楽でも、ここまで聞けばその意味がわかった。
龍「その頃に両親が殺された。それで、今の型になった。
明らかに前の型よりも雑で、すきの多い型だからな。総悟は決勝まで上がってくることはなくなった。俺と土方の一騎打ちが当たり前の光景になったんだ。」
そんなことになっても、土方に万年負けっぱなしになっても、元の型には戻さない。
それほど、総悟にとっては『両親が殺されたこと』は辛い出来事だった。その日から、龍でさえもその型を見たことがなかった。
龍「それでも、それを問いただせば総悟が壊れちまいそうだから、誰も言えない。」
神「壊れる……?」
龍「両親が死んでから、総悟は変わった。表面上は強いけどかなり脆い、そんな感じだ。
でも……神楽なら…………な。」
神「……??」