春、始まり
?「ふぁ〜…………。ねみぃ……。」
気持ちの良い春の風が頬をなでる。風が眠気を誘う。
一つ上の階では、新しい制服に腕を通した、興奮気味の生徒たちがたくさんいるんだろう。
?「その下の階は、いつも通りの空気だっつーの。」
勲「んぁ?高杉ー、どうかしたか??」
高校生とは思えないキレイな紫の髪の高杉晋助。
優しい面持ちの近藤勲。2年Z組の生徒。
……どちらも世でいうイケメン。
晋助「なー。」
勲「ん??」
晋「俺らも歳とったんだな。」
勲「……何言ってんだ!?まだ、16だろ俺ら!?」
想像以上にいい反応をする近藤が面白い。
高杉は、ククク…と喉を鳴らして笑った。
晋「そうだな……。!!それに、まだクソ元気な奴らもいるしな。」
そう言って、窓の外を指す。
勲「……あいつら…。」
晋「珍しいな。片割れは別としても、あいつが遅刻ギリギリとは。」
勲「あいつの事だ、今日ぐらいはちゃんと時間通りに行け!とか言ったんだろ。」
晋「ククク……、違いねーや。」
そんなゆるーい雰囲気、
「「「「「「「キャーーーー!!」」」」」」」
……に似合わぬ黄色い声。
見れば、教室のドアの前で、たくさんの女子に囲まれる男が一人。
晋「あー、今日あいつの担当だったか。」
勲「いーや、今日は龍じゃなかったか?」
あーー、と何か納得したような二人の顔。
?「あいつ!来たら、ぜってーぶっ殺す!!」
「「「「「キャーーーー!!」」」」」
「私を殺してください!!」
「私でお願いしますっ!!」
「私もっっ!!」
晋「……最近の女はわかんねーよ。」
勲「同感だな、殺して欲しいって……どういう事だ??」
そんな話をしている間も、女子たちはどんどん彼を囲んでゆく。
?「ってめーら!!ちょっとは助けやがれ!!」
晋「ミツバちゃんに見られたら、困るからかー?」
勲「大丈夫だぞ、トシー。1年生は、一つ上の階だからなー。」
土方「そういう事じゃねーよ!!」
近藤と高杉にいじめられた、女子に囲まれてる男子生徒。前髪がV字の髪型が特徴のキレイな黒髪を持つイケメン、土方十四郎。
――――ガラっっ!!
総「ギリギリセーフでさぁ。」
土方の光景を面白がって見ていた二人の教室に、……これまたイケメンな男子生徒が一人。
勲「おぉ、総悟。おはよう。」
晋「珍しくはえーじゃねーか、沖田ァ。」
総「おはようでさぁ、近藤、高杉。龍のやつが叩き起こしやがったんでぃ、ったく、カノジョに会いたいのに、俺を巻き込まないで欲しいでさぁ。」
亜麻色の髪に赤い瞳の沖田総悟。今回、土方があんな目になっている元凶、……間接的だけど。
晋「まっ、それが本命の理由かは、怪しいがなぁ。」
総「はっ?」
そう言うと、高杉が教室のドアの方を指さす。
総「あー、今日って龍が担当でしたかぃ?」
勲「そうらしいな。
……というより、その龍はどうした??」
総「置いて来た。」
晋「……お前、アホだな。」
それを聞いてた土方が怒鳴る。
土「総悟ォ!今すぐ、あのヤロー連れてきやがれっ!!」
総「嫌でさぁ、大事な兄様を売るような、ひでぇ弟じゃないんでねぃ、そのまま死ね土方。」
なんていう、悪口が飛ぶ。
あのヤロー来たらぜってー殺す、とか
そのままオメーも死ね、とか
もう俺知らねー、とか
俺もー、とか
それぞれが思い思いのことを口にする、朝から騒がしい3階の一番端の教室、『Z組』。
?「ったく、総悟!置いてくんじゃねーよ。」
「「「あっ……。」」」
そんな教室が一瞬にして静かになる。
先生が来たから?――違う
カネが鳴ったから?――違う
そんなものよりも、もっと破壊力の大きいものが来たから。
土「おせーんだよっ!オメー、明日俺と変われよ。」
龍「えー、嫌だ。明日の担当はトシだろ!」
土「今日、テメーの代わりにやっただろうが!!」
龍「今日は今日、明日は明日だ!」
沖田総悟に顔がそっくりな……蒼い瞳のイケメン沖田龍が教室にやってきて、教室さ静かになったのだ。
そこでのんきな話をしている2人に、警告が投げられる。
晋「土方ァ、そいつから離れた方がいいぜー。」
近「タイミング、悪いな……。」
総「いーや、逆にナイスタイミングでさぁ。」
土・龍「「やばっ……。」」
「「「「「「キャーーーー!龍くーーーん!!」」」」」」
地割れが起きるような、悲鳴に近い歓声。あっという間に囲まれる、二人の生徒。
龍「トシィ、ちゃんと追っ払っとけよ。」
土「それが出来た試しねーから、担当作ったんだろーが!」
龍「いやいや、今日のは俺悪くねーよ。悪いの総悟だから。」
囲まれてもなお続く、口喧嘩。
土「カネなるだろーが!早く何とかしやがれ。」
龍「はぁ……、わーった、わーった。だから、そんな瞳孔開くなって、こえーから。」
ふぅ、と一息ついて、にやりと笑う。
慣れた手つきで、自分の黒縁メガネに手をかける。
龍「みんな、もうカネ鳴っちゃうからさ、そろそろ戻ろっ?」
――――ズッキューーーン
全員の女子生徒の心が撃ち抜かれる、キレイすぎる『営業スマイル』。
追い討ちをかけるように、「ねっ?」と困った顔で言えば、女子生徒たちの骨抜きは完了。
「龍くーん!そんな困った顔しないでー!」
「いやっ!困った顔も可愛んだけどねっ!」
「ごめんね、龍くんっ!」
龍「わかってもらえて、よかった。ありがとうね。」
再び放たれた『営業スマイル』。満足したかのように、頬を染めて戻っていく女子生徒たち。
そんな彼女たちの背で、黒縁メガネをかけ直した……また、色っぽいその仕草を見て、教室の女子生徒は「キャア!!」とか叫んでいるが。
そんな男子生徒の表情は、さっきの『営業スマイル』とはうってかわり、クールなすまし顔。
龍「ったく、総悟が全然起きねーから悪いんだかんな!!」
総「人のせいにするのはいけねーでさぁ。どさくさに紛れて、『担当』サボるのは、ダメでぃ。」
彼らのいう『担当』。
それは、朝集まってくる女子生徒たちの相手をすることである。
彼ら5人。よく一緒につるんでいる彼らは、全員がかなりのイケメン。加えて、勉強もできて運動もできる。そんな彼らを、女子生徒が放っておくはずもない。
その女子生徒たちを…、話してもいいし、追っ払ってもいい。……追っ払うのは、かなりの至難の技だが…、その担当のことである。
今日は龍の担当だったのだが、なかなか来ないので外が騒がしくなり、イライラした土方が代わりに出てったというわけだ。
放っておけばいいって?そんな事できたら、初めからそうしている。というより、初めは全シカトだったのだ。しかし、そうもできない理由がある。彼らの『成績』だ。
全員が成績優秀。将来の期待が大きい彼らは、今からその障害を作るわけにはいかないのだ。
彼らが……、というより真選組中学校時代から、まぁ……主にイケメンで有名だった、高杉以外の4人。彼らが同じ高校に行くという情報は、あっという間に出回った。銀魂高校のその代の倍率はまさかの2倍を超えた。
そして元々、都内でも進学校だった銀魂高校には、財界のお偉いさんの息子・娘、医療関係のお偉いさんの息子・娘、金持ちの息子・娘。とにかく、国にかなりの影響を与えている息子・娘が多かった。
自分たちもいつかは、その世界に入っていく。そのことを考えると、大事な息子さん・娘さんを傷つけて、その親たちを怒らせるわけにはいかない、ということなのだ。
晋「ったく、親の顔が見てみてーもんだぜ。」
それでも毎日、あんな目にあっていれば、疲れてくる。
土「っつーかよ、オメー追っ払えんなら、全員を毎日追っ払ってくれよ。」
龍「嫌だよ、俺目当ての子しかいないならいいかなぁ、とか思うけど、んなことねーんだから。それに……これからは、銀子と来る
し。」
突然出てくる、女子の名前。驚く一同……という訳ではなく、
土「んな事言ったら、俺だって……なぁ!!!」
総「何、急に照れてんだ、テメェ。」
晋「今さらだろ。」
近「俺もお妙さんと行くぞぉぉ!」
龍「朝、泣きついてくんなよ。」
普通に会話は続く。
龍くん、慰めてよ…と泣きつく近藤。
――――キーンコーンカーンコーン
朝のカネが鳴る
―――ガヤガヤガヤガヤ
もう少しで入学式が始まる。
もう少しで……会える。
窓の外を見て、つぶやいた。
龍「1年かぁ……、はえーな。」
総「浸ってんじゃねーよ、リア充。」
春、再会の季節。
春、出会いの季節。
それぞれの人生が、
――――今、動き出す。
総悟と土方と近藤と高杉と総悟そっくりの兄ちゃんが、窓際の机でみんなで喋ってるとこ、想像してみてくださいっ!
かっこよくないですか??♡