Z組からの俺らの人生   作:ゆう☆彡

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初めまして、初恋の相手

 

 

夕焼けが綺麗な時刻。人通りの少ない、空気の綺麗な場所。

長く伸びる影が一つ。

 

龍「ふぅ……。」

 

入学式を終えた龍は1人、河川敷に腰を下ろしていた。

 

龍「……はぁ。」

 

龍は、久しぶりに会った彼女、銀子のことを思い出していた。

 

龍「(女って、1年であんなに変わるもんなのか…。ぜってー、ほかの男だってちょっかい出すよな…。)」

 

入学式、在校生代表で話した時に見つけた銀子。

中学生の時から既に、周りより可愛かったが、今日見た銀子の姿は、中学生の時とは比べ物にならなかった。

 

彼女が、とんでもなく変わってしまう1年は、龍にとってもとてつもなく長い時間だった。

 

 

もし、別の男に乗り換えてしまったら…

 

もし、自分のことを忘れてしまっていたら…

 

何より、剣道をやめた自分をどう思うだろうか…

 

会うのは楽しみだった反面、不安要素も盛りだくさんだった。

今の時間は、部活見学の時間だろう…。つまり、自分がやめていたことが、バレている。

 

龍「明日から、どんな顔して会えばいいのやら…。」

 

そんな不安をよぎらせ、ため息をついてる龍の耳に、入ってきた言葉。

 

 

 

?「やめっ……!!やだっ!!」

龍「……??」

 

それは小さすぎる声だったが、確かに聞こえた。

 

都会とはいえ、ここは都心から少し離れており、ドラマでいう『連れ込まれる路地裏』なんていうのは、たくさんあった。

それに加え、夕日が沈む頃。裏につれ込めば、既にそこは漆黒だった。

 

なんとなく気になった龍は、こっそりついて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「やっ……!!やめてヨ!!離せっっ!!!」

「まぁまぁ、お兄さんたちと楽しいことしようよ。」

?「やだヨ!!離せヨっ!!私は帰りたいネっ!!」

「いやぁ、そうやって強がるのも好きだわ〜。」

 

立ちの悪い現場だ。

 

めんどくさい、と思っていたが、やはり見逃すことは出来ない。

それに気になった。

 

龍「あの制服……うちの制服だよな…?」

 

女子生徒の着ている制服が、銀魂高校のものだったのだ。

それに加え、

 

龍「男の方は、春高かよっ。」

 

春高、春雨(はるさめ)高校。不良たちのたまり場と言われるほどの、立ちの悪い高校で有名だった。

そう呼ばれるに相応しく、ケンカも強いやつばかり。一般人なら手を出したくない現場だった。

 

龍「……ちっ、」――――カラン

 

近くにあった、鉄パイプを握る。

着ていたパーカーの帽子を深くかぶり、大きく息を吸う。

 

龍「よしっ。」

 

 

普通なら無謀だと思うだろう。しかし、枯葉元とはいえ全国優勝までしたほどの剣道の腕を持っているのだ。

 

龍「おめーら、女の子1人に何人もの男でたかって。恥ずかしくねーのか?」

「あぁ!?」

「舐めてんのかっ!?」

 

――――別に舐めてねーよ。

 

そんな反論をしながら、鉄パイプを向ける。

暗くてよく見えてなかったが、正面に立つとわかる、その人数の多さ。10人はいるだろうか。

こんなたくさんの男達に囲まれた、奥で小さくなっている女子生徒。

『守ってあげなきゃ』と思うのは、俺の進路のせいか?

 

「黙ってねーで、何とかいいやがれ!」

 

そう言って、龍に向けられたのは怪しく光るナイフ。それも全員が持っている。龍はあっという間に囲まれた。

 

龍「何とか。これで満足か?」

 

完全に男たちの怒りを買った龍。

 

「舐めてんのかぁ!この糞ガキがぁぁぁ!!」

 

突っ込んでくるひとりの男。真ん中で、鉄パイプを振り上げる。

 

龍「だから、舐めてねーって言ってんだろーが。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《?side》

 

なんで入学初日から、こんな目に…。

 

初めて訪れた“日本”という国をもっと知りたくて、寄り道した。

確かに、ちょっと浮かれてたのもあるケド。

 

「なぁ君、1人?」

 

突然後ろから話しかけられた。明らかに怪しい…。

シカトして歩き続ける。

 

「なぁなぁ、シカトしなくてもいいだろ〜。」

 

突然腕をつかまれた。

 

?「やめっ……!!やだっ!!」

 

普通の女の子より力は強いし、ケンカも強い自信はあった。それでも、男2人と私じゃ、明らかな差があって…。どんどん路地裏に連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「やっ……!!やめてヨ!!離せっっ!!!」

「まぁまぁ、お兄さんたちと楽しいことしようよ。」

?「やだヨ!!離せっ!!私は帰りたいネっ!!」

「いやぁ、そうやって強がるのも好きだわ〜。」

 

強がるのが好き?気持ち悪すぎるネ。

 

心の中で強がってみても、男達の腕は振り切れない。

路地裏には、更にたくさんの男たちがいた。

 

 

 

 

 

 

 

どうしよう……コワイ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

助けてヨ……、誰か……。

 

龍「おめーら、女の子1人に何人もの男でたかって。恥ずかしくねーのか?」

 

誰……?助けてくれるの……?

 

「あぁ!?」

「舐めてんのかっ!?」

 

全員が見知らぬ声の方を向いた。

 

暗くてよく見えないケド、何か棒状のものを男たちに向けた。

 

「黙ってねーで、何とかいいやがれ!」

 

そう言うと、全員がナイフを向けあっという間にその人を囲んだ。

 

龍「何とか。これで満足か?」

 

……。

こんな時に、そんな古いギャグいらないネ!!

 

「舐めてんのかぁ!この糞ガキがぁぁぁ!!」

 

完全に怒った。危ないっ!!

 

そう思った瞬間、その人は持っていた棒状の武器『鉄パイプ』を振り上げた。

 

龍「だから、舐めてねーって言ってんだろーが。」

 

深くかぶられたフードから見えた目。

男たちをまっすぐ前から見るその目は、青く光っていて、綺麗だと思った。

 

 

 

――――ガンっ!!!

 

――――キーンっっ!!!

 

――――シュンっ!!!

 

 

暗闇に響く、争いの音。怖くて目を閉じた。

 

自分のせいで巻き込んでしまった、見知らぬ人。

取り返しのつかないことになったら、どうしよう…。怖くて、目を開けれない。そんなふうに逃げる私を許してくれるカ…?

 

 

 

?「おい。目、開けろって。」

 

話しかけてきた声。さっき聞いた、朝も聞いた気がする声。目を開けた前には……

 

龍「大丈夫か?どっか痛ーとこねーか?」

 

怖い口調の割に、優しいことを聞いてくる、黒縁メガネをした男。

さっき見た、綺麗な青い瞳の人だった。

 

その人の後ろを見れば、倒れている男たち。

 

?「あいつら……、」

龍「あぁ、大丈夫だから、気ぃ失ってるだけ。

 

……っつーか、あいつらの心配より自分の心配しやがれ。」

?「あっ……、大丈夫ネ。ありがとうアル。」

龍「……アル?

 

……おめーまさか、朝、総悟にぶつかった奴か?」

 

朝……?ぶつかった……??

 

 

 

 

 

 

 

あぁ!思い出した!!朝、学校に行く前に周りを走って見ていたら、ぶつかった人がいた!

 

?「あの時の……。」

龍「あん時は悪かったな。ってか、遅刻しなかったのか?お前は。」

?「車で送ってもらったネ。大丈夫アル。」

龍「あー、そりゃあ、新入生だもんな…。」

 

 

ふぅ、と一呼吸おいてこっちを見る。

 

龍「とにかく間に合ってよかったわ。」

 

そう言って、少し笑った。

 

 

 

 

 

不意にやられたからカ?

いや、それだけじゃないネ。

一目惚れってこういうことなんだナ、って思ったんだ。

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