龍「ところでお前、名前は?」
神「あっ……か、神楽アル。」
赤い髪を2つのお団子に縛ったの女の子が答えた。
龍「神楽……?お前、日本人じゃねーの?」
神「違うネ、中国で生まれたアルヨ。」
へー、と興味深そうに言う龍。
龍「家に誰かいるか?」
神「へっ!?あっ、いや……兄貴がいるネ。」
龍「そうか……、」
龍は少し考えてから、
龍「じゃあ、一旦学校の保健室戻るか。」
神「……なんでヨ?」
龍「……バレてないと思ってんのか?右の足首、捻ってんだろ。無意識かもしれねーけど、床につけないようにしてんだろ。
それに、未遂ですんだとはいえ男に拉致られたから手当してもらう、なんてこと家族に言えんのか?」
確かに言えない……、ってかなんでバレた!?、と言いたげな神楽の顔。それまでも読み取ったように、
龍「俺一応、医者志望だから。」
神「なるほど……、って人の心読み取らないでヨっ!!」
龍「わりぃ、わりぃ。」
そう笑って答えた龍に見えないように、神楽が赤くなってたのを、龍は知らない。
龍「ん。」
神「??」
龍「そんな状態じゃ歩けねーだろ。おぶってやるから、乗れって。」
神「なっ……!?!?」
赤面する神楽。そんな恥ずかしいことできるわけない。しかし、自分で歩けもしない。
神「う~~~~~~~~っっ///」
龍「そんなに嫌がんなくてもいいだろ。」
嫌がってるわけじゃない!、なんて否定できるほどの余裕は、神楽になかった。
―――――――――――――――――――――――
龍「失礼しまーす。……誰もいねーな。」―――ガチャ
神「!?勝手に入っていいのカ!?」
龍「ん、いいんだよ。医者志望だっつたろ。」
おぶっていた神楽をソファにおろし、慣れた手つきで薬品棚をいじる。
龍「手当てすっからな。」
これまた慣れた手つきで、神楽の傷の消毒、包帯を巻くなどの手当を行った。
――――コテっ
龍「……おい、ってはぁ?」
手当する手を止め神楽を見ると、何故か寝ていた。
龍「まじかよ……、ったく……。」
神楽を、ひょいと持ち上げた、……お姫様抱っこで。
そのままベッドに寝かせ、布団をかけてやる。
――――ガチャ
?「誰だ、勝手に入っておるのは。」
龍「俺だよ。いーだろ、別に。」
?「なんだお主か。……誰だ、その女子生徒は?
……まさか、お主っ!!」
龍「んなわけあるかっ!!俺は助けてやった側だ!!
大体、
月「お主は、『先生』をつける気は無いのか?」
月詠と呼ばれた女性。彼女は、養護教諭の先生であり、龍に保健室の使用を許可した人物でもある。
龍「残念だがねーな。いいだろ、手伝ってやったりしてんだから。」
月「はぁ……。」
龍はよく保健室の仕事を手伝っている。
高校2年生とは思えないほどの医学に関する知識量と、それに見合う技術。
夏などの保健室の利用者が増える時は、お願いすることが多かった。
月「で、その女子生徒はどうしたのだ。」
龍「男に拉致られてるとこ助けた。男、春高の制服だったしな。」
月「そうか……。お主は、大丈夫なのか?」
龍「ん、大丈夫だ。鉄パイプ持ってたしな。」
月「なっ!?鉄パイプで戦ったのか!?」
龍「……誰も殺してねーからいいだろ。全員、気絶させてきた。」
月「そういう事ではないっ!お主の身体が「それ以上言うな。」……!!」
月詠の言葉を遮った少し殺気のこもった言葉を発した龍の顔は、暗く沈んでいた。
龍「!!!わ、悪ぃ。」
月「いや、わっちも何も考えずにすまない。」
気まずい雰囲気が流れる保健室、
――――コンコン
?「すいませんっ!部活中に怪我をして、手当して欲しいのですが!!」
月「入れっ!!」
――――ガチャ!
龍「あっ……、
彩「えっ!?龍くん?」
妙「龍……先輩?」
龍「妙……!?……ってことは、けが人って剣道部のやつかよ。」
龍に彩先輩と呼ばれた女子生徒、3年剣道部のマネージャー
彩「打ち合いしてたら、違う2組がぶつかっちゃって…。もう1人来るから、お願い!どっちかというと、
月「わかった。龍、お主は軽傷者の方を見てくれ。」
龍「わーった。」
驚く妙を他所に、テキパキと動く龍と月詠先生。
一旦落ち着き、軽傷者が運ばれてくるのを待っていると、妙が話しかけた。
妙「龍先輩、何してるんですか??」
龍「あぁ?保健室の手伝いだろ、どー見ても。」
妙「そういうことを聞いてるんじゃないっ!!わかってるんじゃないんですか!?」
妙が突然、大きな声をあげた。
龍「シーー、保健室ではお静かに。」
妙「っっ!!!……銀子、全然元気ないんです。みんなに心配かけないように無理して笑ってるけど、龍先輩がいなくて、すごい寂しそうなんです。……どうして辞めちゃったんですか、せっかく「失礼しますっっ!」……。」
龍「おぅ、そこ座らせろ。」
ま「は、はいっす!」
龍は指示を出してから、妙の方を向く、
龍「銀子のこと頼むわ。俺からちゃんと話すけど、何かあったら慰めてやって。」
そう言って、困った顔で笑った。
龍「……って、お前かよ。何やってんだ、高杉。」
高「俺だって、こんぐらい大丈夫だって言ったわ!!でも、そこの奴がな…、」
ま「だっ、だって!大会近いんですよ!?もし重症だったら、どうするんすか!!」
――――なるほどね、女の子は高杉のこと好きなわけだ。
そんな、煽るようなツッコミを、龍は心にしまった。
龍「高杉、女の子の言う通りだ。大会ちけーんだから、気をつけろ。蒼先輩の代わりはいるかもしれねーが、テメーの代わりはいねーんだぞ?」
高「ちっ……、わーってるつーの。」
そう言うと、龍は手当していく。
ま「あっ……、右足……ってあれ?あたし、もう言いましたっけ?」
高「こいつはそんな事言わなくても、わかるからいーんだよ。」
ま「へぇ、すごいっす!」
龍「凄いのは、お前の方だな。
あの高杉を、保健室に連れてくるとは……。」
高「なっ!?おいっ!!」ま「へっ……??」
龍「何でもねーよ。」
やはり沖田総悟の兄だ。人が焦る姿が大好きな、ドSである。
現に龍は、いたずらが成功した子供のように笑っていた。
?「失礼します。先輩方の荷物持ってきました。」
高「おぅ、そこ置いとけ。」
?「はい。蒼先輩は、お家に連絡入れておきました。」
蒼「あぁ、ありがとう。」
女子生徒は要件だけ伝えると、そのまま出て行こうとしたが、
龍「銀子……??」
銀「……、、、龍??」
聞きなれた声に振り向いた。
龍「おめー、もう働いてんのか。」
銀「……………んだよ……。」
龍「……??」
銀「何やってんだよ!剣道部行っても龍だけいないし、聞いたらもう辞めたって、何だよもう!!」
龍に掴みかかった銀行は泣いていた。
龍「……悪かった、ごめん銀子。」
そう言って、優しく銀子の涙を拭う。
龍「帰り、一緒に帰らねぇ?ちゃんと話すから。」
銀「後、1時間以上あるけど。」
龍「わーってる。待ってるから。」
銀「……わかった。」
2人が別々の方へ歩き出す。
高「急にいちゃつき出すんじゃねーよ!」
龍「どっちかと言うと、修羅場だろ。」
高「彼女の顔が真っ赤になってたことにも気づかないくらい、追い詰められてんのか?」
龍「なっ……!?うるせーよ。」
相変わらず不安は募るけど、少し安心した龍だった。