凍結魔法―――それは究極にして至高の魔法である。
その放たれる魔法は時の呪縛から切り離されたように景色を止め、刹那の風景を永遠に変える。紡ぐ出される氷結は無から有を生み出し、森羅万象総てを形作る事が可能とする。そこから生み出される光景はもはや究極の
つまり、誰がどう見ても分かる真理であり、
「―――凍結魔法こそ最強の攻撃魔法であると!」
「―――爆裂魔法こそ最強の攻撃魔法であると!」
世界の真理を高らかに宿屋の窓の外に広がる世界へ宣言していると、横からとても不愉快な言葉が聞こえた気がした。
顔を横に向けると、そこには紅い瞳の幼い容姿をした少女が同じように首を傾げながらこちらの言い様に疑問を持っていた。この少女こそ我が憎き宿敵、紅魔族であり爆裂魔法などという二流魔法を最強などとほざくアークウィザード、めぐみんである。
「はぁ……あのな、めぐみん。何度も言っているだろう、最強の攻撃魔法は凍結魔法だって。お前は何常識知らずなことを大声で叫んでんだ? 頭大丈夫か?」
「ゼロさんの方こそ、何をトンチンカンな事を世間に言いふらしているのですか? 爆裂魔法に勝る魔法など存在しないというのに、ましてやただ凍らせる凍結魔法如きが最強? 寝惚けているんですか?」
……ほう、凍結魔法如き、だと? 爆裂魔法風情が何を偉そうに。
眉間に皺を寄せて怒りに震えていると、めぐみんも頬を引き攣らせながら怒りを露わにしていた。
「あんな周囲に被害を出すところか二次災害まで引き起こす爆裂魔法が最強? あれは単なる醜い暴走って言うんだよ。それに比べて凍結魔法はどうだ。一瞬で敵を凍らせ、周囲に被害を出さず一瞬で砕くことも可能。それに凍結魔法から生み出される氷像はまるで時を止めたような美しさ……あれこそまさに究極のアート! 敵を倒すだけではなく、無から有さえも生み出すことの出来る凍結魔法こそ最強にして至高の攻撃魔法だろうが!」
「何を言っているんですか! あの一瞬の煌めきの中にだけ見せる輝き……それこそが爆裂魔法の美しさです! それに凍結魔法は周囲の気温を急激に下げて周りの人々の行動を妨げますし、そして何より威力が低いじゃないですか! その程度で最強を名乗るなどおこがましいにも程があります!」
「笑止千万! 貴様は凍結魔法の素晴らしさを理解できないからそんな事が言えるんだ!」
「そっちこそ! 爆裂魔法の真髄が分かればとてもそんな口がきけるとは思えませんね!」
ぐぬぬぬ! と至近距離でメンチを切り合う。数々の凍結魔法の侮辱に我慢の限界を迎え、互いに杖を手に取る。
「いいだろう、ならばどちらが真の最強の攻撃魔法であるかここで白黒はっきりつけてやらァッ!」
「望むところです! 爆裂魔法の真髄、その威力を骨の髄にまで刻むがいい……!」
魔力を魔法に乗せ、いざ最強の魔法を放とうとして、
―――グギュウウウウウウウウウウウゥゥゥ……!
共に胃からまるでこの世の地獄のような呻き声が聞こえ、同時に膝を付いた。
「……とりあえず、休戦にして朝飯食いにいかね?」
「そうですね……よくよく考えれば、昨日から何も食べていませんでした」
よろよろと杖を足代わりにしながら、俺とめぐみんは荷物を背負って宿屋を後にするのだった。
宿屋から出て、いつものパン屋さんで一番安くて歯ごたえのあるパンを二つ買い、近くのベンチに座る。片方をめぐみんに渡し、もう片方を口で齧りながら懐から財布を取り出し縁を外してひっくり返す。上下に振ってやれば、落ちてくるのは埃だけだった。
「とうとう無一文になっちまった……」
所詮歯ごたえがるといっても売れ残り程度の大きさでしかなく、三口で食い終わると両手で頭を抱える。何故だ、どうしてこうなった。
本来ならばこんなはずではなかったのだ。アークウィザードとなり凍結魔法を極めたこのゼロの輝かしい冒険譚が待っていたはずだ。それが気が付けばどのパーティーからもたらい回しにされ、否応無く同じ売れ残りだった爆裂魔法などという二流魔法が最強だと自称するめぐみんという紅魔族のアークウィザードとパーティーを組むはめになり、
何故だ、どこで間違えたらこんな転落人生になるんだ! 神よ、俺がいったい何をしたというんですかッ!
「こうなったら、新たなパーティーを作るしかありませんよ、ゼロさん!」
「……はぁ?」
自分の不遇に絶望していると、唐突に何を思ったのかめぐみんが叫びだした。本人は物凄いドヤ顔を決めているが、先ほど食べたパン滓が口の周りに付いて非常にアレである。
「おまえな、それ何度も失敗して結局お前と組むはめになってんだろうが。そりゃ凍結魔法を操るこの俺が選ばれないのは世界の真理並の謎だが、いまさら俺らと組んでくれるパーティーがいるのかよ」
「確かに爆裂魔法を操るこの私が選ばれないのは究極の謎ですが、今はパーティーを探すことが先決です! 大丈夫、私を信じて下さい!」
何を根拠にそう言い切るのかは不明だが、そう告げて胸を張って満面の笑みを浮かべるめぐみん。そのパンくずのついた間抜け顔に思わず苦笑してしまった。
「……まあ、とりあえずクエスト探すために結局ギルドに向かわなきゃ行けないし、ついでに探してみるか。あとその口周りのパンくずいい加減落とせや」
「はわぁっ!? こ、これは違いますからね! あの、その、そう! ズバリこれはあなたを欺く為の演技だったのです!」
「いや何を欺くんだよ全然欺けてねえだろうがむしろお前がアホだとしか分かんねえよ」
◇
冒険者ギルドにきた俺達はそのままクエスト欄が並ぶ掲示板の前に立つと、それぞれが出来そうなクエストを探すことにした。無一文の身としては、ここで何か見つけられなければ今夜は野宿をするはめとなる。それだけは避けなければ……!
「しっかし……ここ最近魔王軍のせいか禄なクエストがねえな。ジャイアント・トード狩りとかマンティコアとグリフォン狩りとか。前者は敵の数が不定数で一発しか放てない俺やめぐみんじゃ無理だし、後者はそこまで行く旅費がそもそもねえし……参ったなぁ」
究極を極めるとは、そう安々なことではない。長い年月を掛けてそれのみを追求してようやく到れる極致だ。ならば余計な遠回りなどしている暇などなく、もし本当に凍結魔法を極めたいのならばただそれだけを駆使していく他ないだろう。たとえ身体が耐え切れず、魔力が足りないとしても。
そもそも俺、凍結魔法以外嫌いだし。
とりあえず何とか俺でも出来そうなクエストを上位だろうが下位だろうが何でも構うことなく探す。
「む……これは湖の浄化クエストか。報酬は三十万エリス、か。これなら俺の凍結魔法で一度湖の水を凍結させて浄化させれば……ああいや、そうなると凍結を解除したら湖の水が消滅しちまうな。ならめぐみんの爆裂魔法で溶かして貰えば……いや、そもそもあいつの爆裂魔法風情じゃ俺の凍結魔法を溶かすなんて百年あっても無理だな。うーん、どうするか……」
「ゼロさん! ちょっとこっちに来て下さい! はーやーくーッ!」
何かいいクエストはないか重なっていないかクエスト紙を捲ったりしながら探していると、先ほど別れためぐみんが何やらこちらを大声で呼びながら忙しかけてくる。俺は見つからなかったが、もしかしたら何かよい物件でも見つけて来たのかもしれない。
「何かいいクエストでも見つけたのか?」
「クエストではありませんが、見つけましたよ! 見てください!」
「ん、もしかしてパーティー募集の張り紙か? どれどれ……」
まるで答えが解った生徒が先生に自慢してくるように見せてくる張り紙を受け取り、中に書いてある文章を読む。
そこには、
『急募!アットホームで和気藹々としたパーティーです。美しく気高きアークプリースト、アクア様と旅をしたい冒険者はこちらまで!』
パーティーに加わったAさん
『このパーティーに入ってから毎日がハッピーですよ。宝くじにも当たりました』
同じくBさん
『アクア様のパーティーに入ったおかげで病気が治ってモテモテになりました』
『採用条件、上級職に限ります』
「…………………………うわぁ」
怪しい、溢れた感想はその一言だった。詐欺師でもここまで疑って下さいという文章は書かないだろう。
これにホイホイ付いて行くような輩は間違いなく知力が低い奴だろう。もしそんな輩がいるなら是非一度この目で見てみたいものだ。
「上級職なら私達は大丈夫ですね! さっさく話を伺いに行きましょうか!」
居たよここに、しかもパーティー内に。
人を疑うという事を知らないのか、めぐみんは純粋な笑顔を浮かべてパーティー募集の張り紙を眺めている。
どうしよう、こいつの行く先が物凄く不安になった。いつか騙されて借金の保証人とかになりそう。
だが、実際の話もう俺達には後がないのが事実である。ここは死地に自ら飛び込む覚悟も必要だろう、いざとなればこの俺の凍結魔法で何とかすればいいだけの話だし。
「まあ、とりあえず話だけでも聞きに行くとするか。パーティーを組むかどうかはそこで決めればいいんだし」
「何を言っているのですかゼロさん! アークプリーストなんて上級職とパーティーを組めるチャンス滅多にありませんよ。ここは意地になってでもパーティーを組んで我が爆裂魔法の偉大さを知らしめる時です……!」
「俺はお前の行末が不安になってきたよ。あと凍結魔法の偉大さには劣るだろうがな」
とりあえず張り紙に書かれてあった集合場所に向かうと、そこにはテーブルに屈伏しながら頬を膨らませて文句を言う青髪の少女と、何処かここらでは見慣れない緑色の衣装に身を包んだ黒髪の少年がいた。
あれがおそらくメンバーを募集していたパーティーなのだろう。
「募集の張り紙、見させてもらいました」
どうやって声を掛けるか悩んでいると、横に居ためぐみんがズイッと身を乗り出して背中に背負っていた赤い外套を翻しながらそう宣告した。その声に反応するように彼らは振り返る。
「我が名は、めぐみん! アークウィザードを生業とし、凍結魔法など目でもない、至高にして究極である最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操るもの! 貴方達とのこの邂逅を私は那由多の果てまで待ち望んでいた!」
―――ほう? いったい、何が、最強の、攻撃魔法、だってぇェイ?
「……えっと?」
「随分と都合のいい妄想をしているじゃないかめぐみん。いったい、何が、最強の、攻撃魔法だと? 寝言を言っていいのは寝ている時だけなんだぞ? 見ろ、お前が常識知らずな事を言うからそちらの人が困っているじゃないか」
困惑する少年に向かって手助けをするために声を遮る。全く、子供が自分の夢を語るのは勝手だが、いい加減現実を見て欲しいものだ。振り返れば俺が手助けした少年が困惑した表情でこちらを見ている。なるほど、どうやらこの俺が誰だが知りたいようだな!
「おっと、自己紹介が遅れたな。我が名は、ゼロ! アークウィザードを生業としている、
決まった……! これ以上ない素晴らしい自己紹介文。きっと目を開けて少年の方を見ればこれ以上ない憧憬の表情を浮かべているに違いないな!
「…………うわぁ、また変なのが増えた」
なんか凄い面倒臭そうな声が聞こえてきたが、たぶん気のせいだろう。
「えっと、とりあえず行くか? ジャイアント・トード狩りに」
そんな訳で、俺達は即急のパーティーを組んでカエル狩りに向かうのだった。
◇
場所は変わって街から離れた広い草原。蒼い青空の下、どうやらこの付近でジャイアント・トードが出現するそうだ。俺は自慢の蒼球が付いた杖を握り締めると獰猛な笑みを浮かべる。
ここならば誰にも迷惑を掛けることがない。ここでこそ俺の凍結魔法の真髄が発揮される時……!
「よし、それじゃあ俺とアクアが時間を稼ぐからその最強魔法を頼んだぞ」
「フッ、任せろ」
「はい、任せて下さい!」
……ん? こいつは何を言っているんだ?
「ここは俺の凍結魔法の素晴らしさを見せつける場面だろ? お前は下がってろって」
「いえいえ、ここは我が爆裂魔法の真髄をお見せするところでしょう。ゼロさんの方が下がって下さいよ」
「あ゛ぁ?」
「はぁ?」
ピシリ、と顳かみに皺が奔る。いつもいつも人の邪魔ばかりするコイツだが、流石に今回ばかりは俺の図太い堪忍袋の緒が切れた。最強魔法っていったら当然凍結魔法、つまり俺の出番だろうが。それがどうしたら二流魔法である爆裂魔法しか操れないド三流であるめぐみんの出番と勘違いするんだ馬鹿か?
「じゃあさ、いっそ両方撃ってみればいいじゃない」
グルル、と額がぶつかり合う距離で睨み合っていると、ふと思いついたように肩をぐるぐる回しながら準備運動していたアクアが提案してきた。その提案に俺達の背後で稲妻のエフェクトが奔り抜ける。
「おい、そんな事を言ったら―――」
「フッ、いい加減貴様とは白黒はっきり着けたいと思っていたところだ。いいだろう! 凍結魔法と爆裂魔法、どちらが真の最強攻撃魔法であるのか今ここで雌雄を決っしようじゃねえかッ!」
「望む所です! 我が爆裂魔法の真髄を今度こそその身に刻むがいい……!」
「……ほら、言わんこっちゃねえ」
何やらカズマが頭を抱えて項垂れている気がするが、もはやそんなことは心底どうでもいい。今意識にあるのは如何にして凍結魔法を放つかただそれのみ。
杖を構え、現れたジャイアント・トードに魔法の矛先を向ける。全魔力をこの一撃に注ぎ込み、今こそ史上最強の魔法を発動する……!
「黒より黎く、闇より昏き漆黒に、我が真紅の昏黄を望みたもう。覚醒の刻来たれり、無謬の境界に堕ちし理、無業の歪みとなりて現出でよ」
「白より皓く、光より輝かし白銀に、我が深蒼を請い願う。起源と終焉、虚無と永劫、相反する理さえも内包する世界よ、今ここに現出せよ」
空が漆黒の白銀の魔力に彩られ、魔力の奔流が世界を満たす。
空の景色さえも変貌させてしまうその力は、正しく最強に相応しい。
「踊れ、躍れ、踴れ! 我が力の放流に望むは崩壊なり。並ぶものなき崩壊なり。万象等しく灰燼と帰し、深淵より来たれ!」
「閉じよ、閉じよ、閉じよ! 我は永遠の刹那、無限の瞬間を掌握せし者なり。森羅万象よ、我が世界に閉じよ。無謬の刹那をその身に刻め!」
それこそ究極にして唯一無二。
全にして一を司る最強の攻撃魔法。
今、前哨を高らかに謳い上げる。
「これが、人類最大の威力にして攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法!」
「これが、人類最大の威力にして攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法!」
見るがいい、そして慄くがいい。
他を競わぜず、圧倒的な力を前に平伏せ……!
その呪文の名前は―――!
「―――エクスプロージョンッ!!」
「―――エターナルフォースブリザードッ!!」
刹那、極限にまで高められていた魔力がその呼び声を糧に魔法へと変貌し、二つの極限魔法はまるで絡み合いながら食い合うカドゥケウスのように互いを破壊しながら天へと昇っていく。
爆発で灰燼が舞えばそれを一瞬で氷結させ、宙に舞った氷華は刹那に蒸発して白い煙と化す。それが触れれば万象を滅ぼす攻撃魔法だと理解していても思わず見惚れてしまう刹那の煌めきがそこには存在した。
「昇華ッ!!」
「砕け散れ……」
二人の声が重なり、二つの魔法は使用者の意志に従うように最後に死に様を誇るように一際輝きを見せると跡形もなく消え去った。残ったのはその威力が証明されている巨大なクレーターのみ。
それを見届けて―――
「スっゲェ……これが魔法かぁ。って、さっきの魔法で別のジャイアント・トードが目覚めたのか!? めぐみん、ゼロ! いったんその場から離れ、て―――」
ズザァーと、身動き一つ取れずそのまま草原の地べたを這いつくばりながら滑り墜ちた。
「……へぁ?」
「……我が究極の魔法である爆裂魔法はその絶大なる威力ゆえに魔力消費も激しく、つまり私の魔力量を超える魔力を使うのでこのように魔法を撃った後は動けなくなります」
「同じく。つまり逃げれません。あの、カズマさん割りとマジで助けて下さいお願いします。このままだと俺らマジで喰われて―――あ」
暗転し、生暖かい感触に身体が包まれる。
結論―――カエルの中は、以外に温かった。
◇
「……カエルの中って、生臭いですけど以外に温いんですね」
「……ああ、そうだな」
夕方、太陽の日差しがすっかり沈み赤色に染まった頃に俺達のパーティーはカエルの粘液でドロドロになりながらもようやく街に帰ってくることが出来た。
背中に背負っためぐみんのドロドロとした生臭い臭いに嘆息付きながらもトボトボ歩く。
「そういや、ゼロはめぐみんと違って歩いているけど大丈夫なのか?」
自身も食われ泣きじゃくるアクアを慰めていたカズマがふと俺の様子を見て問いかける。
「ん? ああ、それならこの杖のおかげだな。この杖には所持者の魔力をほんの少しだけ回復させる効果が付与されているんだ。つっても、せいぜい歩くのが限界で走ったり魔法を使うのは無理だけどな」
「へぇー……。まあそれはさておき、二人共これあらは爆裂魔法と凍結魔法は禁止な。これからは他の魔法で頑張ってくれよ」
「使えません」
「使えねえよ」
「……は?」
「だから、私は爆裂魔法しか使えないんです」
「同じく、俺も凍結魔法以外使えん」
「……マジ?」
「マジです」
「マジだ」
何やらカズマの視線が今まで俺達をたらい回しにしてきたパーティー達と同じような視線になってきたが、その理由を天高く腕を突き上げながら宣言する。
「確かに他の魔法を覚えれば冒険が楽になるでしょう」
「だが、駄目だ。それを追求しているからこそ俺は俺なんだ。凍結魔法を使わないゼロなどゼロじゃないんだ」
「例え、一日一発が限度だとしても」
「例え魔法を撃った後倒れるとしても」
「私は―――」
「俺は―――」
「「爆裂(凍結)魔法を使うためだけにアークウィザードになったのだから―――!!」」
それは魂の宣告。
我が我であるため、己が己であると理解する為の契約。
ゆえに、この誓いが破られる時はこの身が死す時だけだろう。
「と、言うわけで、これから宜しく頼むぜ、カズマ」
「これからも末永く爆裂魔法を宜しくお願いします!」
満面の笑顔でそう言ってやれば、何やらカズマは頬を引き攣らせながら何かを言おうとしていた。だがその面は何度も俺達をパーティーから引き剥がす時に見ているので想定の範囲内である。
「いやいやいや、ちょっとそれは―――」
「めぐみん、噛み付くだ。行け!」
「ガブゥッ!」
「え、ちょ待っギャアアアアアアァァァッ!?」
こうして、俺達は駆け出しパーティーと組む事になった。
これから先、いっあいどうのような冒険が俺達を待っているのか。
その未来に不安と希望を入り混ぜながら、俺は杖を天に掲げながら背後から聞こえてくる悲鳴をBGMに空へ叫ぶのであった。
「この素晴らしい世界に凍結を!」