ミズガルズの精鋭、ハルケギニアへ行く   作:MP5

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最初は五人組ではありません、世界樹ファンの方々あしからず


一話 三番隊

 とある場所にある世界の謎や伝承を調査する知識の宝庫、ミズガルズ図書館。そこには今まで解き明かしてきた謎から日常生活の知恵まで様々な記録が本として残っている。実は各国の王室でも知らない精鋭部隊がいる。その部隊の名はシンセングミ。刀と扱う中年ブシドー、イサミの提案によって設立された普通の調査隊では手に負えない事案にのみ動く。某日、そのイサミに呼ばれた一組の男女が彼の部屋に入ってきた。

「よぅ、遅かったじゃないの」

「局長、お呼びでしょうか?」

 鍛え上げられた肉体に後ろの括った長髪の若い男、彼の名はハジメ。シンセングミ三番隊隊長を務めるブシドーだ。腕も確かで上段の構えからの剣技はシンセングミ一の強さだと称賛されるほど。

「ハイ・ラガードの件、残念だったな」

「ファフニールのことを理解しての行動でした。フラヴィオからそう聴いております」

「そうか。あの一件の後、ハジメちゃん達が調査の続きをして、始原の幼子を倒したんだったな」

「長くなります・・・局長、本題に」

 そう話を切り上げたのは容姿端麗だが青白い血の気のない肌に銀髪のおさげ、黒いローブを纏った少女。彼女の名はトキオと言い、呪言を扱うカースメーカーだ。

「わりぃトキオちゃん。耳にしてると思うが、最近各地で起きてる失踪事件の解決をして欲しいんだよ」

「突然現れた光に飲み込まれ、極少数が帰ってくるって言うアレですね」

「そうそう。普通の調査隊じゃ人口的に激減するだけと判断してよ、ハジメちゃん達三番隊に振ったのわけよ。トシもソウジも別んとこ行ってそれどころじゃないし」

「わかりました、二人で調査を始めようと思います」

「任せたよ、お二人さん」

 一礼し局長室をあとにすると、今度は自室に戻り荷造りを始めた。長旅になる予感がするからだ。

「トキオ。グリモアは持ったか?」

「うん、ハジメちゃんに前衛任せるからね」

 ミズガルズ図書館を出発し、まずエトリアに向かうことにした。遺都シンジュク等、世界樹関係の怪異の中でもっとも興味深いデータが残っているためだ。

「なぁトキオ。なかなか起きないぞ」

「しょっちゅう発生したら、大変だよハジメちゃん」

「それもそうか・・・ってなんだ!?」

「うっ眩しい!」

 突如現れた光の鏡になすすべなく飲み込まれた二人に残ったのは静寂だけだった。

 

 

 

 

 二人が最初に見えたのは粉塵だった。

「くっトキオ、大丈夫か!」

「大丈夫。でも、何だか騒がしいよ」

「そのようだな」

 粉塵が風によって無くなった先には、見慣れない恰好した少年少女がこちらに注目していた。中には指差して笑う者もいた。どうやら穏やかな展開ではなさそうだ。

「ルイズが平民召喚したぞ!」

 近くにいるピンク色の髪の少女がルイズと判断した二人は、彼女に声を掛けた。

「すまんが召喚ってなんだ、話が見えない」

「ミスタ・コルベール、もう一度召喚させてください!」

 コルベールと呼ばれた頭髪脱毛率85パーセントの中年男性が彼女を諭す。

「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール、儀式を続けなさい」

「なぁアンタ、儀式の詳細を教えてくれ。さもなくばあの子を俺の刀の錆にする」

 ハジメは腰の刀の鯉口を切る。その刃から放たれる冷気が彼の有無を言わせなかった。儀式、サモン・サーバントの内容を説明すると、二人の答えは一つだった。

「「断る!」」

「ですが、それだと彼女が留年なんてことも・・・」

「事情はわかった。だが断る」

「その前に彼らを静かにさせてもいいですか?」

 コルベールはなんのことかさっぱりわからなかったが、トキオが小さく呪言を唱えるとルイズとコルベール、そして、褐色肌の色気のある女性と隣にいた小柄な少女を除いて一斉に沈黙した。

「な・・・」

「あの二人には呪言が効かなかったか、耐性があるのかもな。安心しろ数時間経てば落ち着く」

 トキオが『畏れよ、我を』と唱え、一斉に恐怖状態に陥れたのだ。呪言には相手を弱体化させたり状態異常を引き起こしたりする等の力があるが、呪われた才能が必要なため限られた人物でしか使えない。

「あれはいったい?」

「呪言だ、まさか知らないのか?」

「はい、魔法ならともかく呪言なるものは」

「魔法だと。まさか空も飛べるのか?」

 今度がコルベールが二人に魔法や現在地について説明する。ここはハルケギニアと呼ばれる大陸のトリステイン王国内の魔法学院であること、魔法には四系統あって水・風・火・土があること、そして

「俺達はここに文字通り召喚されたってことか・・・」

「でもどうするの?しばらく宿無しだよ」

「先生、すまないが学院で一番偉い人と話させてくれ。それなら円満に話に決着がつき・・・」

「待ちなさい、平民が勝手に話つけないでよ!」

 無視されてイライラしている金切り声のルイズが話に割り込んできた。勝手に召喚されたあげく状況を掴めなかったストレスを溜めこんできたハジメだったが流石に我慢の限界がきた。

「騒ぐな。氷像にしたっていいんだぞ?」

 ドスの利いた声で黙らせ、刀を抜くと冷気が肌を伝う。この刀は氷竜を倒した際に得た、氷竜の翼骨を用いて作られた氷雨丸と呼ばれる幻の名刀だ。

「あ、あのう、名前をお聞かせ願います・・・」

「俺はハジメ・サイトウ。そっちが」

「トキオ・フジタと申します、お見知りおきを」

「ジャン・コルベールです、これでは授業どころではないので案内しますよ」

 隠れた実力者であるコルベールすら怯ませる、ただ者ではない二人。授業は中止となり彼は二人を学院の長、オスマンの部屋まで案内した。

 

 

 

 使い魔のことや今後のうち合わせ等の真面目に話している最中、ハジメは足元に気配を感じる。

「・・・っで、話聞いてんのかジイさん?」

「なんのことかの?」

「トキオの下、見ようとするんじゃねぇ!」

 彼女の足元にいたネズミを捕まえ、髪と同じくらい伸ばした髭を蓄えた老人にそれを見せた。

「いや、その・・・ほら、本能じゃ」

 ハジメの右ストレートが炸裂する。その吹っ飛びようにコルベールも動揺を隠せない。

「この国じゃ女性の下を覗きながら話をするのか?」

「そんなわけないですよ、オールドオスマンが筋金入りのスケベですから」

「はぁ・・・すまんトキオ、気を悪くしないでくれ」

「うぅん。大丈夫よ」

 とは言うものの、白い目でボロボロのオスマンを見る。

「はぁ・・・はぁ・・・部屋は手配するが、私からも良いかの?」

「条件次第だな」

「ミス・ヴァリエールの使い魔になってくれんかの、彼女は座学じゃトップの成績じゃ。貴殿らにも迷惑を掛けないよう言っておくから、の?」

「使い魔の契約はしない・・・だが、使い魔って字の前に(仮)って文字使うならいいぜ」

「無礼を働いてしまって申し訳なかった。そのうえ頼みを聞いてくださるとは、なんとお礼を言えば良いか」

「一発で済ませたんだ、あとは文句ねぇよ」

「ところで、部屋はどこですか?」

 コルベールが代わりに答える。

「嫌かもしれませんが、ミス・ヴァリエールの部屋になります。トキオさんは」

「俺は野宿なのか?」

「あなたには私の研究室を共同で使ってもらいます、少し汚いところですが」

「助かる。しばらく世話になる」

 

 

 

 

 彼の部屋を後にし、泊まる場所が見つかり一安心するが、宿主のルイズはそれを不服だと態度で表していた。トキオはその様子を見て声を掛ける。

「あなた。家柄いいでしょ?」

「当たり前よ。なんで平民なんかと同居しなきゃいけないのよ!?」

「その姿、あなたの父母に見せられるの?余裕のある態度は人を引き寄せるわ」

 呪言を使ったり顔色悪そうな見た目からは想像し辛いがトキオは非常に心優しい。しかも元豪族とあって礼儀作法はもちろん、カースメーカーとして重要な観察眼を兼ね備えている。

「か、感謝しなさいよね、住まわせてあげるのだから」

「礼儀がなってないわ。少し落ち着いて」

 首に下げてある鈴を鳴らし、頭の一部機能を封じた。これも呪言の一つである。声が出ないことに慌てふためくルイズの耳元に、優しく声を掛ける。

「淑女ならどんな相手にも平等に接するの、いいわね?」

 これを機にルイズはトキオとハジメに対して文句を言わなくなった。恐怖という意味で。




二人のボウケンジャーのモデルは・・・わかってますよね?
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