ミズガルズの精鋭、ハルケギニアへ行く   作:MP5

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 ペット
 狼やクマなどの生き物にのみ適応される職業で、飼い主への忠誠心と人間にはない大胆な行動でパーティーの盾役になる


十話  FOEにご用心

 ワルドは計算外だった。レオンがアンリエッタからの任務を請け負ったことは聞いていたが、まさか同行者かつ許嫁の使い魔がこちらを警戒していたことが。

(平民だとは聞いていたが、まさかレオンと同格だったなんて)

 ワルドはわかっていないが、ハジメ達が警戒した理由は複数あった。一つはルイズを見る目がまるで犯罪者のような怪しさ全開なこと、二つ目は見た目が嫌いだったこと、そして三つめが

(こいつ、確か護衛メンバーにいなかったな・・・どこで情報を仕入れたんだ?)

 自分達の任務をどこで知ったのか疑問だったことだ。アンリエッタはルイズだけが信頼出来ると言っていた。仮にそれが真実と考えると、明らかに彼の登場がイレギュラーである。もっとも、レオンの話によればアンリエッタはウソや隠し事はヘタな部類らしい。

「気をつけろハジメ、トキオ。奴は俺から見ても怪しすぎる」

「だろうよ」

 

 

 

 

 遠くで出発したハジメ一行を見届けるアンリアッタ。近くにいたオスマンは内心ホッとしている。

「見送らないのですか、オールド・オスマン」

「見ての通り・・・自分の頬を撫でておりますのでな」

 この前の地走撃の一撃が未だ頬だけ治っていない。

「それに、ハジメとトキオは強い、並みのメイジでは勝てぬほどじゃ。ハジメ殿はこの前、トライアングルメイジのミスタ・ギトーを一瞬で戦闘不能にしました故」

「まぁお強い。実は、似たような方を存じ上げておりまして」

 三週間前に庭で発見された槍を振るう青年、レオンについて話した。

「ほぅ彼もあの二人と同じ世界の出身と」

「はい。彼には非常に感謝しております、薬の調合から武具の精錬方法まで様々なことを教えてくださいました」

 レオンが来てから街の産業が発展したのも事実だ。国が始めた職人育成事業のおかげで魔法に頼らない様々な産業が生まれ、特に新しい工芸品が増えたことで貿易も有利に立ち、黒字になった。

「なんでも、エトリア直伝だそうで」

「聞きなれぬ国ですな・・・彼らはこの国に新しい風を吹かせてくれる、そう信じたいですな」

 

 

 

 

 出発から半日が経ち、駅で馬を二回ほど乗り換えたころ、グリフォンに乗るワルド達の後方にハジメ達がいた。

「バカが・・・心を許しすぎだ」

 前方で鼻の下を伸ばしきっているルイズを見て思わずぼやく。二人がどんな会話をしているのか、想像もしたくないほどだ。

「あの子ってどれだけ家庭環境悪かったのよ」

「しかし、あのまま突っ走ったら置いて行かれるぞ」

 グリフォンの前をタカと同じ大きさの黄色い鳥が横切ると、驚いたグリフォンが暴れだし主とその許嫁を振り落とす。とっさにルイズを庇ったワルドは杖を抜き、鳥にウインド・アイシクルを放つがあっけなくかわされてしまう。すると、鳥は空中でホバリングし、力を溜める。

「これでどうだ!」

 エア・ハンマーを放ちダメージを与えたが効果は薄く、力を開放した鳥が二人を襲ったその時だった、一筋の槍が鳥を撃ち落とす。

「レオン・・・」

「似たような鳥は世界樹で見たことある。俺らがこいつを倒そう」

 この鳥、世界樹を旅する冒険者からは『破滅を呼ぶ光鳥』と呼ばれ、数々の冒険者を襲い葬ってきた強敵だ。一撃が軽いためか再び飛び上がる。

「氷の術式」

 トキオの放つ氷の矢が光鳥を襲い、時間差で冷気を帯びた槍が追撃する。光鳥は突き攻撃が弱点であり、怯んだすきに今度は刀の三連続斬りが決まり、命を落とした。

「見事なスピアインボルブだな、良い連携だったぜ」

「おいしいところ持って行かれたが、いい腕だハジメ」

「さすがレオン。ボクを負かしたことだけあるな」

「お前に褒められてもな・・・まぁいい、今後は離れずに行動してくれ」

 ハジメが飛んできた方向に目を向けると、予想通り光鳥の巣があった。おそらく巣が襲われそうになったと勘違いして先手を打ったのだろう。

「そこの髭、まさかわざと俺達を離そうとしてたんじゃないだろうな?」

「どうしてそう思うのかね?」

「そうだな、勘と言えばいいか」

 勘だと言いつつも、その眼にはとらえようのない確信があった。

 

 

 

 

 その後、何回か馬を替えながら飛ばしたため初日にラ・ロシェールという、港町の入り口に着いたが辺りは山であり海なんてない。ギーシュによればアルビオンは空の上にある大陸らしくそこから船に乗るらしい。自分達の世界に空を飛ぶものがあったか忘れたが、異なる文化だと割り切った。

「なぁギーシュ、今からお前のマント奪っても文句ねぇな?」

「え?」

 崖の上から松明が投げ込まれ、馬が驚いて前足を高く上げると四人は振り落とされた。ハジメはとっさに乱暴にマントを奪うと、投げ込まれた方向から来る矢の雨をマントを振るって凌ぐ。

「戦闘態勢に入れ。邪魔するなら始末する」

 その時、力強い羽ばたきの音が聞こえたかと思えば、崖の上にいた人物達の喚きが聞こえた。

「奇襲するなら、さっさと撤退するのが兵法だな」

 竜巻が襲い、数分すれば沈黙した。殲滅だろうが敗走だろうが、こちらを襲った奇襲部隊はいなくなったらしい。上空からワルドとレオンを除く面々が見慣れた竜が降りてきた。

「助かったぞ二人とも。シルフィードもな」

「ハジメ兄さんのため」

「朝方にヴァリエール達が馬に乗って出て行ったから、慌ててタバサを起こしてシルフィードに乗ってきたってわけよ」

 タバサの格好がパジャマだとわかると、トキオが持っていたかなり厚い探偵オースティンの事件簿の下巻を手渡す。

「ありがとね。お礼はこれでいい?」

「上等」

 レオンが何か言いたげだったが、ハジメが彼女達を紹介すると警戒を解いてくれた。

「お嬢さん方救援感謝する、俺はレオン。ハジメとトキオの友人でハイランダーだ」

「ハイランダー?」

 キュルケが頭をかしげる。

「命を槍に宿して戦う戦士の総称。オースティンの小説にも出てるわ」

「ホント?」

 読書を中断したタバサは興味深々にレオンに近づく。思わぬ行動に戸惑うレオン。

「小説で出てきた人と同じ」

「俺、あの作品に出てたんだ・・・知らなかった」

「タバサが興味深々とは珍しい。いい機会だし仲良くなっておけ」

 マントから矢を抜き終え、落胆するギーシュをなだめている。

「今夜はラ・ロシェールの宿に泊まって、朝一番でアルビオンに向かおう」

 こうして、ラ・ロシェールに入れた一行であった。これから先、激闘となることを知る由もなく。

「兄貴。マント代は誰に」

「エン金貨やるから換金して仕立屋に行け」

 今回一番の苦労人は、ギーシュに違いない。




この作品のタバサは探偵オースティンに夢中です

気になる方は世界樹の迷宮 オースティンで検索してみてはどうですか?
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