ミズガルズの精鋭、ハルケギニアへ行く   作:MP5

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一三話 白い影と冷気

 白影の男はライトニング・クラウドを唱えパーティ全体に攻撃するが、ギーシュのショックガードで防がれレオンのロングスライトを打ち込まれ一瞬だが薄くなったことがわかる。

「これは・・・」

「編在だな相棒。いわば魔法の分身だ」

「なんでもアリだな」

 悪態をつきながらもツバメ返しの一撃で編在の体力を奪い、トキオの呪言によって呪われた。編在が消えるのは時間の問題。

「ギーシュ、ワルキューレ展開。身代わりにする」

「へ?は、はい」

 四人と一匹の前にワルキューレを展開させ、編在の放つライトニング・クラウドの身代わりになってもらった。すると、技を放った編在が消えてなくなってしまった。

「呪いは与えたダメージの何割かが自分に返って来る。自滅を誘ったんだ」

「今さらですが、敵じゃなくてよかったです」

 剣を収めると、別に避難していた息が少し荒いワルドと衣服に木屑の付いたルイズがやって来た。どうやら何者かがこちらに奇襲してきたらしい。この時、ハジメとレオン、トキオは疑惑から確信に変わった。誰かが内通していることを。ヴェルダンデは落ちていたグリモア石を回収し終えると、ワルドと目が合い、震えながら自分の主の後ろに隠れた。

「ワルド子爵、僕のヴェルダンデが何かしましたか?」

「いやいや、傭兵の攻撃を自分の体を盾にして守るとは、素晴らしい使い魔だなと思ってね」

(((ボロを出したな)))

 タバサ、キュルケとも合流した一行は、二手別れることにした。ハジメとトキオ、タバサとキュルケで追っ手を撃退し、他のメンバーでアルビオンに向かうことにした。

 

 

 

 

「今回は任務組の足止めだ。手柄は考えるな」

「ハジメ兄さん。刀を」

 氷雨丸を抜き、タバサに渡すと固定化の魔法をかけてくれた。これにより、通常より攻撃力が上がっていることがわかった。

「助かる、では行くぞ!」

 先頭に立ったハジメはゲイルラッシュをメインに傭兵達をなぎ倒していく。途中、彼は違和感を覚えた。倒した傭兵のなかにメイジが混じっていたことだ。しかも身形も整っておりマントも着用している。大方片づけたところで撤退していくことを確認すると、次に遺体を調べることにした。

「妙だ・・・」

「妙?何が妙なのよ?」

「どうして傭兵だったんだ。ワルドはレオンの実力を知っていたんだから、メイジの数を増やして攻撃した方が、遥かに確実かつ金銭的にもかからない」

「ちょっと待ってハジメ、まるで子爵が裏切者みたいな話になっているのよ?」

「君達が来る前、ワルドと俺達は別に動いていたんだ。にも関わらず、ヴェルダンデのペットとしての能力を評価していた」

「でも、それだと近くで見てたって可能性もあるわ」

「そのまさかだ。彼は近くで戦っているのを見てたんだ、傭兵に紛れてね。ルイズは恐らく、樽の中とかに隠してから傭兵に紛れたんだろう。編在は恐らく奴のものだ、レオンが見抜いていたらしいからな」

「!?」

「奴の息が荒かったのは撤退時に全速力で走ったからなのと、編在は見たところ結構精神力使うみたいだし、疲れるのも無理はない。と、言うことで奴はクロだ」

 彼の目的こそわからなかったものの、ハジメは次の目的地、アルビオンに向かうことにする。

「タバサ。全員シルフィードに乗れるか?」

「出来る」

 

 

 

 

 任務組に追いつこうとした矢先、彼らに恐ろしい冷気が襲い掛かった。振り返ってみると、エイを巨大化した化け物が空を飛んでおり、ハジメ達を見つけるとゆっくりと降りてきた。ハジメとトキオはその生き物の名前を知っていた。エトリアの樹海に住む海上に来る者、コロトラングル。

「冗談抜きだろ、あのハリモグラだけじゃなくてコイツまでここに!?」

「みんな、構えて。かなりの強敵よ」

 コロトラングルは無慈悲にもアイスブレスによる全体攻撃で襲い掛かる。辺り一面が凍り付き、燃えていた箇所までも鎮火してしまった。

「うぅ寒い・・・ファイアーボール!」

 キュルケの放ったファイアーボールがコロトラングルの腹部に複数命中し、ダメージを与えたが、水のベールをまとい炎から保護する。

「キュルケ、これ以上は攻撃が通りづらい。トキオ、腕を封じてくれ!」

「わかった」

 封の呪言・上股を唱え、大海原の侵食を事前に阻止しアドバンテージを作り、ハジメの上段の構えからのツバメ返しの連撃を浴びせる。エトリアの時よりも強力になっているのか、まだしぶとく飛んでいる。

「タバサ、予防の号令を使え。早く!」

「は、はい!」

 予防の号令により状態異常予防が完了し、コロトラングルのアイスブレスが襲い掛かる。ブレスに催眠作用があるため、それを使わせた。

「これで終いだ!」

 とどめのツバメ返しでコロトラングルを打ち落とすと、ようやく大人しくなったことを確認する。

「これで大丈夫だ。薪を集めて少し暖を取ろう、追跡はそれからだ」

 

 

 

 思わぬ邪魔が入り、殿組は夜明け前ぐらいまで暖を取ることにした。特にキュルケは寒いのが苦手らしく、一番早く火に近づいた。

「ねぇまさかあの化け物もワルド子爵の?」

「まずないな。アイツはエトリアの亜人、モリビトの巫女シララでしか扱えないんだ。おそらく自分のいた樹海からここに飛ばされたことで混乱したんだろうな、そう思うとちょっと悲しいけどな」

 ハジメが暗い顔をする。

「正直言うと、俺もトキオも早く帰ってミズガルズ図書館の仲間達を安心させたい。コロトラングルもシララをはじめとしてモリビト達に会いたいと思うんだ・・・」

「・・・帰れるといいわね」

「そうだな」

 しばらく火を眺めていると、動かなくなったコロトラングルが再び動き始めた。しかし、今度はこちらに襲い掛かろうとしない。むしろ乗れと言わんばかりに背中を見せる。

「俺とトキオはコイツに乗って行こう。二人はシルフィードに乗って先頭で案内を頼む」

 ハジメ達は任務組に追いつくため、大空を飛んでいった。

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