ミズガルズの精鋭、ハルケギニアへ行く   作:MP5

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ハジメ達のいた世界では、イサミを筆頭に探索を指揮していた。


七話  ゴーレム退治はお手のもの

「起きろハジメちゃん」

 自分の上司であるイサミの声で目を覚ますハジメ。隣ではトキオも起きようとしていた。

「局長、俺は・・・」

「二人はここで眠っていたんだ、大丈夫か?」

「それより局長、光の謎が・・・!?」

 突然左手の甲に激痛が走る。堪えて見ると、見慣れないルーンが刻まれていた。

「トキオ、大丈夫か!?」

「うん。でも胸に痛みが・・・」

 ローブで隠れて見えないが彼女の胸には自分に刻まれたものと違うルーンが刻まれていた。

「・・・冗談だろ」

 二人はまた眠りについてしまった。その様子に動転してしまうイサミ。

「おいおいまるで焼印押された家畜みたいじゃないか。誰だ俺のカワイイ部下にそんなことした奴は!」

 

 

 

 

「起きなさいハジメ、トキオ!」

 今度は馬車の中だった。改めて左手を見ると、夢で見たルーンが刻まれていた。

「・・・説明しろルイズ。寝ている隙に何をした?」

「だって・・・普段絶対に契約してくれないから、爆睡してる時にしかできないでしょ?」

「なるほどしてやられたか。俺の負けだ、忠節ではなく友義という形でどうだ?」

 諦めたかのように納得した二人。ルイズは正直驚いている、勝手なことをしたら激怒して自分の命すら奪われる可能性もあった。しかし、彼らは意外にあっさり認めたのだ。

「夢見てたの?」

 心配そうにタバサが声をかける。

「あぁ。局長が俺を起こしてくれて、ルーンを刻んだ相手を探そうとした夢だ」

「「「局長?」」」

「話してなかったな。俺とトキオの所属してる部隊、シンセングミで一番偉い人だ。俺にとって親父みたいな人だ」

「両親いないの?」

「俺は孤児でな。ミズガルズで育って、物心抱いたときから刀を振っていた。剣術と生き方を教えてくれたんだ」

 最後にスケベが欠点だと言いながらも、少し誇らしげに語る。

「さて昔話は終わりだ、今どこだ?」

「フーケを見たって情報を元に道を辿っています。もう少しのハズですが」

 外の風景を見ていると、木々が生い茂っており人気がないように見えた。ハジメはロングビルの話に疑問を抱いた。

「ルイズちょっといいか?」

「?」

「お前が宝物庫に来たとき、ロングビルはいたか?」

 彼女は首を横に振る。話によればロングビルは騒動のあと、単身で情報収集に当たったらしく、自分達より遅れて登場してきたらしい。

「そうか。それで疲れた顔をしてたのか」

「え?」

「気にするな、考え事だ」

 

 

 

 

 馬車が目的地付近に到着し、ここからは徒歩での移動となる。さすがに長旅だからか仮眠を取ったとはいえ体力が全快したわけではないようだ。ロングビルの指示に従って目的地に向かう。

「ありました、あれです」

 指を差す方向に小さな小屋があった。

「俺が先行する。待機していろ」

 氷雨丸を手に小屋まで移動する。

「デルフ、魔法のオーラみたいなの感じるか?」

「うんにゃ、気配すらしないぞ相棒」

「留守か・・・」

 恐る恐るドアを開け内部を確かめると、埃被った小屋の中に、剣に長柄をつけた武器が置いてあった。ハジメはその武器を知っていた。

「破壊の杖って、巫剣だったか。しかもこれ、ベクターが無くしたって言ってたものだ」

 それを手に取ると、急いで仲間のもとに向かう。

「トキオ・・・これってやっぱり・・・」

「ベクターの巫剣だね、柄に名前も堂々と書いてあるし」

 二人の会話について行けない面々は、重大な事態に気づく。ロングビルの姿がないのだ。しかもどこからか地響きもする。

「ようやくおでましか。ゴーレムさん?」

 三十メイルある巨大な土のゴーレムを見て、異世界で友人の忘れ物を発見してしまった困惑の表情から、一転してブシドーとしての好戦的な顔に変わった。

「これ持って逃げろ。俺達でこいつを倒す」

「私も戦うわ!真の貴族は逃げないものよ!」

「馬鹿野郎!そのセリフは実力つけてからだ。さっさとしろ!」

 巫剣をルイズに持たせるとタバサはシルフィードを呼び、三人を乗せたことを確認すると上空へ非難した。

 

 

 

「行くぞ、このポンコツを潰す」

 ゴーレムの攻撃を避け、足に逆袈裟の一撃から上段の構えを取る。ダメージの箇所に土が集まって癒えていることがわかった。幸い修復速度は遅いため、同じく回復する氷竜よりマシだと判断した。

「一気に攻め込むぞ」

「うん」

 呪言を唱えたかと思えば、ゴーレムの動きが鈍くなった。トキオが唱えたのは力祓いの呪言といい、対象の力を弱くする呪言である。ツバメ返しの連撃で一気に攻め立てサイズを人間大にまで小さくした。だが、ここであることに気がついた。

「どのゴーレムも復活するのかよ」

 最初の回復速度がウソのように早く元のサイズにまで復活した。世界樹に現れた全身鋼鉄ボディのゴーレムも、倒したこと思いきや体力の半分まで回復し復活したことを思い出した。もっとも、あれは魔法ではなく科学であるが。

「相棒、このゴーレムに俺を突き刺すんだ!」

「ちゃんと理由があるんだろうな?」

「俺ッチは魔法を吸収する能力がある、こいつは魔法で再生してるんだ!」

「それ、早く言え!」

 無双の構えからの無双連撃で脚を破壊しバランスを崩し、デルフで胴部分に突き刺すと、たちまち元の土くれに戻っていく。物理攻撃オンリーでよかったと、二人は安心した。

「二人とも!」

「終わったぞ。眼からビーム撃ってこなくてよかったぜ」

「何の話よ!?」

「ところで何時から降りてきたの?」

「破壊の杖渡そうと思ったら、勝負ついてたから出るタイミング失ったのよ・・・」

 どうやら戦闘中に降りてきたらしく、ゴーレムの対象がルイズに向いていたらと思うと背筋が凍る感覚を思い出した。

 

 

 

 

「皆さん大丈夫でしたか!?」

「ミス・ロングビルも無事でなによりです」

 奥から現れたロングビルに安心したルイズは彼女に巫剣を手渡すと、逃げるように走り出した。

「あっミス!」

「大丈夫よ、手は打ってる」

 鈴の音によって脚封じると、勢いよく転んでしまった。それを捕まえたハジメは、彼女を担ぎ上げ馬車を目指した。

「封じって便利よね・・・しょっちゅう頭封じられて声出なくなるから」

「ご愁傷様」

「苦労してるのね・・・」

「帰りましょう。彼女には帰りがてら事情を聞くわ」

 全員が馬車に乗り込むと、ハジメが手綱を取り学院を目指す。初めての遠征で疲れたのであろうか、ルイズが眠ったことを確認すると、トキオが事情聴取を始めた。

「ロングビル、いえ、フーケ。何故あなたは巫剣を盗み、私達を誘うマネをしたの?」

「あれの使い方がわからないからさ、いくら呪文を唱えても反応しないし剣として使う筋力がないから困ってた。でもトキオかハジメが異世界から来たって話をエロジジイから聞いて使い方を知ろうとしたけど・・・一方的にゴーレムがやられるなんて、計算外だった・・・」

「昔もっとすごいゴーレム倒した経験があるから、その要領で戦ったのよ」

 自分の鈴を手に取る。

「なるほど。でも残念だったわね、巫剣の使い方知らないわ。ドクトルマグスじゃないから」

「「「ドクトルマグス?」」」

「巫術と呼ばれる魔法もどきの力を使って戦う呪医。回復も戦闘もこなす万能な職業よ」

 トキオ曰く、巫剣は持ち主でしか力を発揮せず、たとえ戦闘慣れしたハジメといえどタダの剣に成り下がるとのこと。

「だからさっそく売った方が良かったわ。こうやって捕まることもなかっただろうし」

「ハハハ・・・じゃあ、意味ないことしたんだ・・・」

「?」

 力なく俯き、黙り込んでしまった。トキオは睡眠の呪言でキュルケを眠らせ、口の軽い人間はいなくなった。

「これで話せるでしょ?」

「あぁ、これでも義賊で通ってんだ、孤児院の子供たちに仕送りできなくなっちゃったんだ。どうしよう」

「本名は?泥棒が本名名乗らないでしょ」

「・・・マチルダ」

「これあげる」

 ポケットから取り出したのは十数枚のエン金貨。

「今日から泥棒稼業から足を洗って、孤児院の子供たちに胸を張れる職につけばいいわ。これを軍資金にしてもいいし、換金して寄付してもいいわ」

「まさか、逃がそうってかい!?」

「あなたは良い人よ、そのくらいわかるわ」

 道中向こうから馬車が来た。ハジメが手配していたコルベールが御者をする馬車だ。

「行きなさい、これからは自由よ」

「感謝するよ。いつか借りを返す」

 引き渡しを確認すると、二人が眼を覚ました。フーケがいないことに気づくとトキオに問いただす。

「雇った」

「「は?」」

「ゴーレム作って戦える人物が死刑なんてもったいないと思うから」

 何か納得いかない二人だったが、あのトキオが言うのだから本当なんだろうと信じることにした。

 

 

 

 

 後日、オスマンに雇用理由を聞いたハジメは、尻を触っても怒らなかったという、その単純かつ卑猥な年寄りに腹が立った彼は地走撃を食らわし医務室のベッド行きにした。

「・・・このジジイ、腹立つな」

「えぇ、同感です」

「スケベは嫌い」

「年寄りにこの仕打ちはないじゃろ・・・」

 




次回、気になる仲間が登場します
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