「私のせいで黒森峰の十連覇と言う歴史的快挙をダメにしてしまいました」
西住さんの口からあの時の大会後の話を聞くことになった。あの大会後、西住さんは同じ戦車道の仲間から色々な嫌がらせが始まったらしい。最初は西住さんに聞こえるように陰口を言われていたそうだ。
「皆から『西住流の汚点』とか『西住流の出来損ない』なんか言われました」
「たった一回負けただけでそんな酷いこと言われたのか」
「それだけだったら私も耐えられました。でも…三年生の皆さんはそれだけじゃ気がすまなかったそうなんです」
どうやら西住さんに対しての嫌がらせは陰口だけで終わらず次の段階に進んだそうだ。次の段階は嫌がらせではなくもはやイジメだった。
「私の机にマジックペンで死ね、くたばれって書かれたり、教科書を破かれたりされました」
話を聞いてるだけで苦しくなってくる。一回、たかが一回負けただけなのに…
「私に対するイジメはもっと酷くなりました」
イジメの主犯である三年生は学校で人気のない所に西住さんを呼び出し、西住さんを殴ったり蹴られたりその後性的のイジメも行われたそうだ。しかも、それが毎日続けられたらしい。
「多分一時間ぐらい続いてたと思います。お腹を何回も殴られその後に無理矢理服を脱がされて…やめてと言っても三年生の皆さんはやめてくれなくて……」
西住さんの体が少しだけど震えてるのが分かった。
「西住さん大丈夫かい?体が震えてるよ」
「あっ…ごめんなさい。でも、秋葉さんに聞いてほしいんです」
西住さんは一回深呼吸した後に再び話始めた。
「私、あの時やった行動は間違ってたのかな…って思い始めたんです。だって、私がイジメられている理由は試合より仲間を助ける事を優先したから…もし、私が試合を続けてたらイジメも無かったのかなって思ってきたんです」
「西住さん…」
西住さんの目から涙がこぼれ落ちていた。
「私は誰からも必要とされてないし、何が良くて何が悪いのかも分からなくて。だから私…」
「死のうって考えたんでしょ」
「なんで、分かったんですか!?」
西住さんは驚いた表情でこちらを見ている。
「手首にカッターで切ってる跡がチラッって見えたから。もしかしてって思ってね」
「そうなんです…でも、リストカットしてる所をお父さんに見られて、それでやっと今まであったことを話したんです」
「そして、大洗に来たんだね」
「はい。大洗には戦車道も無いから普通の生活が出来るって思たんです…」
「思った?」
「昨日、生徒会の角谷さんに『戦車道を始めるから戦車道を取ってくれ』って言われて」
「それで、今日に至るって事なんだね」
西住さんはゆっくりと頷いた。ずっと一人で悩んで苦しんでたんだな…俺に出来ることは俺が思っていることを西住さんに伝えることだ。
「西住さん」
「何ですか?」
「西住さんは何も悪い事なんてしてない。あの時やった行動は何も間違ってない。それだけは言えるよ。後、辛いことがあったらここに来なよ。俺に出来ることなんて相談にのることしかないけど、俺は西住さんの味方だよ」
「秋葉さんだけです。私に優しい言葉をかけてくれたり、私の事を庇ってくれたのは…うっ、うぅ…」
「西住さん」
「うわぁぁぁん!!」
俺はもう一度西住さんを優しく抱いた。西住さんは俺の胸のなかで大きな声で泣き出し、西住さんが泣き止むまで俺は頭をゆっくりと撫でた。
皆さんどうも、ぱすてこです。今回の話は西住さんの昔話でした。書いてて胸が痛くなった…