碧く揺らめく外典にて   作:つぎはぎ

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Q.オッケー! カモンベイベー!?

A.
ヒッポメネス「イエーーー!!!」
アタランテ「・・・・・」
ヒッポメネス「どうしたの?」
アタランテ「乗れと? これに?」


追撃の為に

  酷く、長い夢を見た。

  青年が後に英雄の一人として語られる出来事をビデオを視聴するように頭に流れてきた。

  カウレスは目覚めたばかりだというのに肩の重みを感じた。

  あれがヒッポメネスとアタランテの馴れ初め。

  サーヴァントとマスターの契約によって繋がった因果線による記憶の共有は、思いの外負担がかかるとカウレスは理解した。

 

「カウレス君、おはよう〜」

 

  部屋の隅で霊体化を解いたバーサーカー(ヒッポメネス)。昨日見張り台で眠り落ちてしまったはずだ。バーサーカーは眠りに就く前のマスターの言いつけ通り、カウレスを自室のベッドまで運んだのだった。

 

「ああ、バーサーカーおはよう」

 

「よく…眠れていないようだね。嫌な夢でも見たのかい?」

 

「…そういうわけじゃないけどな」

 

  カウレスは立ち上がって、机に置いてあった眼鏡を掛けた。

  さて、休憩は十分取れた。“赤”の陣営ーーーいや、天草四郎時貞への巻き返しの時だ。

 

 

 

 ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

「…やっぱり飛行機は難しいか姉さん」

 

「ええ、やっぱりというかままならないものね」

 

  血族の魔術師との情報連絡、そしてユグドレミニアの資産から使用できる飛行機の数と調達の期間を考えても三日かかる事が判明した。

  いち早く天草四郎の思惑を打破せねばならないというのに動くことができないことに歯がゆい思いであったが、その前にやらねばならない問題も判明した。

  フィオレとカウレス、そして雑務を手伝うアーチャーとバーサーカーがその問題に頭を悩ませる。

  他の者に相談したいが残りの血族であるゴルドは未だ血族用の会議室に顔を出していない。

  ホムンクルスの一人に聞くと、ホムンクルス全員の肉体の調整に朝方まで掛かったそうで現在深い眠りについているそうだ。

  あのゴルドがそんな事をしたのも驚きではあるが、ここでゴルドに相談したところでいい案があるとは思えないのでこのまま眠らせておく事にした。

 

「やはり、ルーラー達と相談すべきですね」

 

「フィオレさん、“赤”のセイバーとそのマスターには相談しないんですか?」

 

「ダメです。魔術協会の獅子劫界離に借りを作れません」

 

  ユグドミレニアと魔術協会は敵対関係であり、協力体制を敷くとなると情報を開示しなければならない。それを避けたいフィオレは獅子劫への協力を却下した。

 

「ルーラーと“赤”のセイバーを除くサーヴァントがいれば戦力的に問題はないでしょうし、それで構わないでしょう」

 

「確かに相手が一騎でこちらはホムンクルスのジークを含めば五騎だからな、大丈夫だろう」

 

「ええ、ではアーチャー、バーサーカー。申し訳ありませんが彼女達に連絡をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「はい、お任せください」

 

「うん、任せて」

 

「先ほどルーラーが城塞へ入ったと聞きました。恐らくジークの部屋でしょうからそちらへお願いします」

 

 

 

 ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

  アーチャーとバーサーカーは共にジークの自室…というよりライダーの部屋に向かっていたが、途中でやんややんやと騒がしい喧騒が廊下へ響いてきた。

  言い争っていると思わしきは二人。アーチャーと共に開きかけの扉の隙間から顔を覗かせると。

 

「ジーク君は子供なんです!サーヴァントである貴女がしっかりしないと悪影響となるでしょう!!」

 

「マスターは子供じゃないよ!立派な大人さ!大体悪影響ならノックもせずに勝手に入ってきた君だろう!朝からボク達の寝室に入ってくる君が破廉恥だ!」

 

「ノックはキチンとしました!貴女が寝ぼすけなだけです!それと今は昼です!あと軽挙妄動は慎むように!」

 

「断る!ボクはマスターと寝る事で闘志が沸き立つんだ!」

 

「そんな闘志あるわけないでしょう!!」

 

「おや。修羅場ですか?」

 

  口を押さえてくつくつと笑うアーチャーの姿は珍しい。不意に掛けられた声にルーラーとライダー、そしてライダーのマスターであるジークがアーチャーとバーサーカーの姿を認識した。

 

「やあ、疲れは取れているようだね。…いや、逆に疲れているのかな?」

 

「バーサーカー!!」

 

  バーサーカーの軽口にルーラーは激昂した。ライダーは何故か誇らしく胸を張り、ジークは言葉の意味が分からずに首を傾げた。

 

「もう、貴方までそんな冗談はやめて下さい」

 

「ごめんごめん。で、何があったんだい?」

 

「それは…どうでもいいことです。それよりも貴方達に聞きたいことがあるのです」

 

 

 

「夢の中で殺されかける、か…」

 

  ジークから説明された夢の詳細、“黒”のセイバー(ジークフリート)から心臓を貰い受けた日から、夢の中で自身がジークフリートとなり、悪竜との激闘を繰り広げられている。

  胸を抉られ、口から吐かれる猛火に身を焼かれる痛みに悶え、反撃しようにも通らない鋼鉄の甲殻に絶望を覚える。

  濃く鮮明に感じる世界は現実と変わりない程らしい。

  神々の知識を会得する“黒”のアーチャー(ケイローン)と魔術を扱う“黒”のバーサーカー(ヒッポメネス)に夢の解析を依頼するのだが。

 

「予め言っておきますが、断言はできません。と言うのもジーク、貴方は間違いなく世界で唯一無二、過去の聖杯戦争の歴史から見ても一度たりとも有り得なかった存在です」

 

  初めての現象であり、未知数。ジークの肉体がどう変化するのも完全に予測することは難しいのだ。

 

「死に体であった貴方はジークフリートの心臓により生き延び、ヒッポメネスの黄金の林檎によりサーヴァントへと昇華するまでに進化しました。

  問題は、心臓。その心臓は本来なら“黒”のセイバーの消滅と共に消え去る。だが、心臓は貴方の魔術回路に結びつき、一種の受肉した状態になっています」

 

  アインツベルンのホムンクルスは自己管理能力を持った聖杯の器、即ち小聖杯としての機能を持っている。

  だが、その機能はゴルドとダーニックが此度の聖杯大戦で不要と判断し、構造的には器となれる程度に設計された。

  ジークもそれは例外ではない。サーヴァント一騎ですら受け止められない器であったが、サーヴァントの臓器一つ分ならば、受け入れることが可能となったのだ。

 

「その夢も間違いなく心臓の影響なのでしょう。問題はそれがただの夢であるかどうか。ジーク、貴方はどう思いますか?」

 

「ーーーいや、違うだろうな。あれは、夢ではない」

 

  そう言い切るジークには確証がある。夢ならば、竜と会う前に契約を結ぶライダーの生前の記憶を見ていたのだ。

 

「なるほど、バーサーカー」

 

「はい」

 

  アーチャーに言われバーサーカーは小剣を抜いた。ライダーとルーラーはそれに反応し、思わず戦闘態勢を取ってしまった。

 

「何をするつもりですかバーサーカー!」

 

「ちょ、なんで剣を抜いてんの!?」

 

「落ち着け、二人とも」

 

  二人を諌めたのはジークだった。

 

「バーサーカーは水の属性に特化した魔術師だ。俺の心臓の侵食具合を確認するために魔術礼装である剣を抜いたに過ぎないのだろう」

 

「その通り。さすがだねジーク君」

 

  バーサーカーの意図を理解し、ほっと息を吐くルーラーとライダー。その二人を受け流し、バーサーカーは小剣の切っ先を僅かにジークの胸に突き刺した。

 

「…調べると分かっていても、胸に剣が突き刺されているのは心臓に悪いですね」

 

「ねえ、バーサーカー?大丈夫だよね?グサっといかないよね?」

 

「君達が騒いで体勢が崩れたらグサっといくかもね〜」

 

  二人は大人しく行く末を見守ることに決めた。バーサーカーは魔術礼装でもある小剣に魔力を流し、詠唱を紡いだ。

 

淵源=波及(セット)

 

  ぞるり、と魔力がジークの血管に流れる。魔力に意識を転移させ、バーサーカーの意識はジークの設計された幼い肉体中を駆け回った。動脈から静脈へと流れ、大静脈から右心房へと目指す。

  黒く、濃く、重くなるような血の流れの先に一点の収束した力を感じ取る。

  暴虐。そう暴虐だ。あの収束した力は暴れ狂っている。細胞の一つ一つを大人しく、抉るように侵食している。

  あれに触れてはならない、と本能で感じた。指先の一片でも触れたりしたら、あの暴虐がこちらまで食らいついてくる。

 

  ーーーこれは、不味いかな?

 

  暴虐の正体に気づき、ここに用はないと意識を本体へと戻させようとした。

  しかし、立ち止まった。

  侵食しようとした細胞の下から、暴虐とは異なる猛威が溢れ出た。

  暴れず、狂わず。暴虐を抑え込むように猛威は包み込み、血流の終着点へと押し戻した。侵食された細胞は濁ったように黒ずんでいたが、再び湧き出た猛威が細胞の上へと溶け込み、正常な細胞により若く、強く、美しく変貌した。

  あの猛威は何なのか、いや、バーサーカーは知っていた。

  充分にジークの中に起こっていることを理解し、次こそバーサーカーは意識を本体へと戻した。

 

「…よし、そういうことか」

 

  目の前にはジークの姿、周りのルーラー達が心配そうに見つめていた。

  意識が完全に戻ったことを認識し、バーサーカーは小剣に力を入れた。

 

「ごめん、ジーク君。ちょっと我慢して」

 

「なに?」

 

  小剣を並行に動かし、真横にジークの胸を斬った。

 

「「ジーク(君)!?」」

 

  ジークの胸に横一線に斬られた傷口から血が流れ落ちる。少量とも言える血量がジークの座っていたベッドのシーツに染み込む。

 

「なにやってんのさバーサーカー!?ジークになんてことをーーー」

 

「ライダー、ジークの傷を見なさい」

 

  怒り、食ってかかろうとしたライダーが見たのは。

  傷口が既に塞がっているジークの胸だった。

 

「あ、あれ!?さっきまで血が流れていたよね!?」

 

「はい、確かに傷がありました。ですが、ものの数秒で完全に治癒されました…。これは…」

 

「ーーー黄金の林檎の影響ですね。バーサーカー」

 

  アーチャーが一瞬で傷口が治癒されたジークの現象を一瞬で理解した。

  バーサーカーは頷いて肯定した。

 

「彼の中で見たのは“黒”のセイバーの心臓がジークの肉体を侵食しようと暴れていることと、それを抑え込み整えようとしているリンゴの力でした。

  僕の宝具『不遜賜わす黄金林檎』の触媒たるリンゴは本当の果実とは違い劣化しています」

 

「口にしても不老不死には至らないということか?」

 

  黄金のリンゴを直接口にしたジークは己の肉体の様子を確かめる。

  心臓の鼓動、筋肉、神経回路、魔術回路の全てに異常は見られない。寧ろ調子がいいぐらいの快活さだ。

 

「宝具のリンゴの効果は『進化』。肉体を人類最高峰の物へと成長させ、最善の状態を維持する力を宿す。だからセイバーの心臓を持つ君は進化し、ジークフリートへと“為れた”。さっきの傷の治癒もリンゴの力が今でも君の肉体で働いているから成せた事象なんだ」

 

「でもさぁ、それを見せるならもっと僕達が安心できる確かめ方をしてよ。思わず槍で胸を貫いてやろうかと思っちゃったじゃないか」

 

  ライダーの物騒な発言に冷や汗をかきながら、ジークの肉体の変化の語りを続ける。

 

「僕の見立てはジークの見た夢は近いうちに収まると思うよ」

 

「え!本当に!?」

 

「黄金のリンゴが心臓の血を馴染ませようと働いていたからねぇ。徐々にジークの肉体に落ち着いて悪夢も自然と収まるだろう」

 

「…ですが、ジーク君がもう一度ジークフリートに為った場合は?」

 

  ルーラーの懸念はそこに尽きる。ジークは既に“黒”のセイバーに二回為っている。

  もし、今後“黒”のセイバーに為り続けたら?

  心臓の侵食が進み続けたら?

  ジークの命は、どうなるのだろうか。

 

「それこそアーチャーが言った通り未知数。だが、あまりお勧めしないことは確かさ。英雄の末路なんて大抵が悲惨なものだからね。人が英雄に近づくほど運命は残酷を好んでくるから」

 

 

 

 ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

  ジークの診察を終え、ルーラーとライダーをフィオレの指示通りに血族用の会議室へと連れてきた。

  ルーラーとライダーは当初、空中庭園へ乗り込むための飛行機が準備されたと思っていたが、飛行機はまだ準備されておらず、準備される前にとある一つの重要な案件が残っていることを告げられた。

 

「アサシン?“黒”のアサシンがどうなされたのですか?」

 

  “黒”のアサシン。ユグドミレニアの魔術師である相良豹馬のサーヴァントであり、真名を“ジャック・ザ・リッパー”。

  その“黒”のアサシンなのだが。

 

「情けない話、アサシンのサーヴァントを奪われたようなのです」

 

「おおう、本当に情けないや」

 

「…はっきりしていることが一つ、アサシンは暴走しています」

 

  ライダーの感想をできるだけスルーしつつ、バーサーカーがルーラーとライダーに新聞紙を運んだ。渡された新聞紙の記事を見てルーラーの顔が渋くなった。

 

  ーーールーマニアの切り裂きジャック、未だ正体掴めず。

 

  時に下世話な記事を載せる新聞紙も真実を語るときがある。 記事の通り、この犯行を行っているのはジャック・ザ・リッパー本人である。

 

  元々このジャック・ザ・リッパーはマスターであった相良豹馬がアサシンとして呼ばれるハサンに限界を感じたために打開策として呼び出した英霊である。

  ジャック・ザ・リッパーは最新の英霊にして、英国最大のミステリーである。ジャックが男なのか女なのか分からない殺人鬼。これまでの聖杯戦争で誰一人として召喚したことがないアサシンである。

 

「その新聞紙の記事で“黒”のアサシンがルーマニアに到着しており、魔術師とは思えぬ振る舞いを行っていることが分かった私達は調査に赴きました」

 

「結果は“赤”のセイバーと交戦となりアサシンには逃げられるわ、しかも“赤”のライダーとアーチャーが接近してくるわで散々だったよ」

 

  姉弟揃って苦々しい思い出なのか同時に顔を顰める。姉はアサシンを逃したことにより被害が拡大していることに、弟は“赤”の二騎が接近してきた恐怖に。

 

「…そして先ほど、トゥリファスの街にいる血族から一報が入りました。昨夜、我々が“赤”の側と交戦する直前、街に潜伏していた魔術師たちが連絡を絶ってしまったようです。数は十人、そのほとんどが一流には及ばずとも練達の魔術師でした」

 

  “黒”のマスターとして選ばれなかったものの、十人の内の何人かはカウレスよりも実力があり、家の歴史も古い魔術師だった。

 

「ルーラーとライダー、貴方達に頼みたいのは」

 

「“黒”のアサシンの討伐ですね」

 

  ルーラーとしてもこの事態を逃すことはできない。裁定者として呼ばれた特殊なサーヴァント。聖杯戦争が正しく行われるためのバランサーである彼女は“黒”のアサシンの行動は既にペナルティを課すべきものだと判断した。

 

「分かりました。“黒”のアサシンは速やかに排除します。ルーラーとしての役割を果たしましょう」

 

  ルーラーの言葉に頷き、フィオレは付け加えるに、と言葉を繋げた。

 

「“黒”のアサシン捜索および討伐に使用できる時間は飛行機を調達するまでの三日間。それ以降は『庭園』の追跡に時間を要しなければなりません」

 

「それってつまり、『三日以内に出発したいなら、協力しろ』って言ってるじゃん」

 

「我が家の家訓に『立っている者は鼠でも使え』という言葉があります」

 

  しれっと澄ました風に言うフィオレにルーラーはわずかな苦笑を漏らすも別に問題はないと判断して一つの自身の懸念をフィオレへと申した。

 

「アサシンの討伐に何の問題はありませんが、ジーク君の参加を見逃す方向でお願いします」

 

「…彼にも手伝って貰いたいところですが、そうですね。あのホムンクルスが“黒”のセイバーを憑依できるのは残り三回と聞いております。アサシン一騎に使うこともないでしょう」

 

  ルーラーはジークの安否が確約され内心でホッとする。

 

「それでは貴女達に私たちが交戦した“黒”のアサシンの情報を…」

 

  途中でフィオレの言葉が途切れた。何事かと全員がーーーいや、アーチャー以外の全員が彼女に注目する。

 

「アーチャー」

 

「ええ、マスター。私も貴女と同じ状況です」

 

  フィオレとアーチャーが自分達のみが分かる会話を始めた。それを真っ先に質問したのはカウレスであった。

 

「姉さん、どうしたんだ?」

 

「…“黒”のアサシンのステータスが、思い出せないの」

 

「ステータスが?」

 

「いえ、それどころかアサシンの姿すら思い出せない。()()()()()()()()()

 

「…アサシンの固有スキル、または宝具か」

 

  一度見たはずの情報を忘却、または消失させる能力。“赤”のセイバーも自身の真名を隠す能力を持つ宝具を有していた。“黒”のアサシンもまた自分の能力を隠匿させる宝具ないしスキルを持っていた。

 

「これはまた厄介な力の持ち主みたいだね」

 

「じゃあ僕達はアサシンの真名を知っているだけで後はなーんにも分からないってこと?」

 

「その通り…ですね」

 

  ライダーの言葉にフィオレは陰鬱な表情で頷く。しかし、アサシンを無視するわけにはいかない。彼らがアサシンの討伐に取らなければならない行動は。

 

「探すしかありませんね」

 

  ルーラーがきっぱりと宣言した。皆が他にいい案を出せない以上、それ以外にやれることはない。

 

「それではこちらで当世風の服を用意します。そちらは目立たぬように行動を」

 

「あ! なら新しい服がほしい! 最新流行で斬新でコケティッシュなやつで!」

 

「…ライダー? 遊びにいくわけじゃないんですよ」

 

  フィオレの視線が途端に冷たくなる。いや、隣に座っているはずのルーラーの視線も絶対零度まで降下するもそれを気にするライダーではなかった。

 

「分かってる分かってる! あ、マスターを連れて行きたいナー」

 

「ライダー、ジーク君は留守番だよ。 さっきルーラーが言ったじゃないか」

 

  フィオレとルーラーの目元がひくつき始めたのを見たバーサーカーはライダーを止めに入った。というよりもこの中で一番ライダーと付き合いが長いバーサーカーにカウレスがなんとかしろと念話を送ってきたのだ。

 

「えー、でも今から昼だし夕方まで時間があるよ。 ちょっと遊びにいくだけでーーー」

 

「今日でアサシンを討伐できたら残り二日間はジーク君と遊び倒せるよ」

 

「よーし行こう! ぱっぱっとジャック・ザ・リッパー退治だ!」

 

  やる気が急上昇したライダーに全員のため息が溢れる。それにしてもこの男の娘単純である。

 

「んじゃ、バーサーカー着替えよう! さっさと街へ繰り出すよ!」

 

「いえ、バーサーカーにはこの城塞で待機してもらいます」

 

「え? なんで?」

 

「もしバーサーカーが単騎でアサシンと相対した時に勝てるかどうかが分からないからです」

 

  どのような姿かは覚えていないがフィオレとアーチャーはアサシンが“赤”のセイバーと渡り合っていたことだけは記憶していた。

  昨日の戦いでライダーと共に“赤”のセイバーと戦ったバーサーカーだが後少しジークの助太刀が遅かったら脱落しているところだった。

 

「仮にアサシンが“赤”のセイバーと同等の技の使い手ならバーサーカーが敵うかどうか分かりません。 ここに四騎のサーヴァントがいるのであれば一騎はここで万が一の奇襲を予想して残したほうが無難だと思い、バーサーカーには残ってもらうことにしました」

 

「アサシンを倒せるかどうかは分からないけど、援軍が来るまでは持ち堪えれることはできそうだからね〜」

 

  アーチャーは実力は語るまでもなく、スキル『単独行動』を持っているためもし一人で戦うこととなっても切り抜けられる。

  マスターが必要なく実力もあるルーラーも問題ない。

  ライダーは豊富な宝具を保持しているため、いざという時に対処ができるはずだ。

  バーサーカーの宝具である『不遜賜わす黄金林檎』は対象を引きつける能力だがサーヴァントを脱落させれるかどうかと問われれば微妙な実力である。

 

「うーん、そうかぁ。この際バーサーカーと遊びにいこうかと思ったのに」

 

「それはアサシンを討伐してからね?」

 

  呑気にするライダーに頭を痛めはじめるフィオレとルーラーを思い宥めるバーサーカー。

  彼も自分がライダーのストッパーもとい世話係的立場となるとは召喚当時は思わなかっただろう。

 

「…ともかく。そういうことなのでアーチャー、ルーラー、ライダー、カウレスと案内係のホムンクルスでアサシンの捜索をお願いします」

 

  話が逸れそうになりながらもこうしてアサシンの討伐計画が開始された。

  …上手くいくかどうかは分からずとして。

 

 

 

 




Q.一目見た時に「あ、この人実は性欲強そうだなー」と思っちゃった人を聖杯大戦参加者の中から答えてください。

A
ヒッポメネス「“黒”のランサー」
アタランテ「“黒”のランサー」
ヴラド三世「謂れのない誹謗中傷!?」

“黒”のランサーファンの人はごめんなさい。
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