A.
ヒッポメネス「貴方のイベントは少し先ですから落ち着いてください征服王」
アタランテ「Fate/Zeroコラボ、イスカンダル実装おめでとう。作者の財布が爆死しないことを祈っておこう」
イスカンダル「がははははっ! 余の軍門に降るならば考えんでもないぞ!! ーーー待て、しかして希望せよ、という奴だわい!!」
エルメロイ二世「王よ、分かりやすいネタ提供はどうかと?」
イスカンダル「征服征服ゥ!!」
城塞内は謎の霧へと包まれ、痛みに行動を縛られた者たちが城塞の内部に閉じ込められていた。
この謎の霧は“黒”のアサシンの宝具『暗黒霧都』の力であった。
産業革命頃のロンドンは工業の発達とともに発生した煤煙と立ち込めた霧により汚染空気となっていた。煤煙に含まれた二酸化ガスは大気中で変化し、霧状の硫酸となる。
その霧に包まれたサーヴァントは敏捷ランクがワンランク下がり、人間や魔術師は霧状の硫酸に眼を、肺を、肌を傷つけられる。そして、その霧の中を縦横無尽に動き回れるのは“黒”のアサシンのみ。
だが、その霧は城塞内部まで届いていない。
城塞内部で対面するのは“黒”のアサシンと“黒”のバーサーカー、そしてフィオレだった。
「…君が、“黒”のアサシンか」
小さな体躯に短く切られた白髪、感情が感じないアイスブルーの瞳と愛らしい顔立ち。少女の姿をしたサーヴァントに“黒”のバーサーカー、ヒッポメネスは苦虫を噛んだような顔となった。
「あなたが“黒”のバーサーカー? お嫁さんと金色のりんごで結婚した英雄だよね」
「ああ、そうだよ」
サーヴァントはその英雄の最盛期の姿で現界する。最も肉体的に動け、逸話を打ち立てた年齢で現れる。
ならば、アサシンの少女の姿はジャック・ザ・リッパーとして暗躍した時期として喚ばれたこととなる。
そのことにバーサーカーは酷く悲しげにアサシンを見つめた。
「なんでそんな顔をするの? お腹でも痛いの?」
「…心が痛むのさ。 サーヴァントとはいえ君は幼い女の子だ。 正直、手を合わせたくない相手だよ」
「へえ、優しんだ」
「優しくないよ。甘ったれたことを言っておいて、結局やる事は変わらないから」
バーサーカーは小剣と槍を同時に扱う独特の構えを取る。アサシンも反応するように腰に吊るした大量の鞘からナイフを二つ取り出した。
「貴方、とっても弱いって聞いたよ?」
先に飛び出したのはアサシンだった。抜いたばかりのナイフをバーサーカーの首元目掛けて投擲した。小剣を振り、叩き落すと低い身長を活かしたアサシンが一気に懐へと忍び込んできた。
残ったナイフを逆手に持ち、臓腑を抉らんと突き刺そうとした。
「ーーー甘い」
膝をアサシンの肘へと叩き込む。肘に受けた衝撃で握力が弱まり、ナイフの握りが甘くなった。
小剣を振り下ろし、ナイフの峰へ当てるとナイフは根元からパキンと軽微な音と同時に折れた。
バーサーカーは勢いを殺さないと半歩後退し、片手で持っていた槍を回し、槍の石突きをアサシン目掛けて横薙ぎにする。
肘の衝撃で手が痺れるのを我慢しつつ、アサシンは頭を後ろに仰け反った。槍を回避はできたアサシンだったが、避ける事だけに気を取られすぎて腹部への蹴りを真正面から喰らう。
「かはっ!!」
壁を突き破り、フィオレ目掛けて走った廊下へ押し戻された。
「
魔力による推進力を得た槍の投擲がアサシンの心臓へと飛ぶ。
アサシンはその槍を軽い体躯を活かし、重量を感じさせない素早い動きで後ろへ後退しながら避けた。
アサシンは口から流れる血を拭いながらフィオレを守るように立つバーサーカーを睨みつけた。
「貴方が弱いって言った魔術師の人、嘘つきだね」
「いや、その人は間違ってない。 君が戦った“赤”のセイバーに殺される寸前までにされたからね。 ただ、これでも狂戦士なんで、暗殺者に負けるほどの脆弱さは持ち合わせてないだけさ」
良くも悪くもこの聖杯大戦には世界に名を轟かせ、覇を競う英雄たちが集まりすぎている。
十六騎の英霊の中で間違いなく
だが、それでもサーヴァントとしての実力は備えていた。
アサシンは奇襲を取り柄とし、バーサーカーは狂化によるステータスアップを取り柄とする。
そのアサシンは今、奇襲を失敗し姿を露わにしている。戦場で暴れまわるバーサーカーと奇襲ができないアサシンが正面からぶつかりあえばどちらに勝敗が上がるか?
その問いの答えは既に出ていた。
「アサシン、君が何を願い聖杯戦争に参加したかは知らないが…覚悟してもらう。 恨み辛みは今の内に吐いておいてくれ」
再び構えたバーサーカーの表情には悲しみや憂いは既にない。目の前の敵を討つ、それだけに徹していた。
「ううん。 私まだ死なないもん」
「逃がさない!」
「フィオレさん! 窓から離れておいて!!」
「ええ! 貴方はアサシンを!!」
あの■■のアサシンを追い、逃げ出した霧の中へと飛び込んだ。
霧の中では俊敏が下がり、視界も遮られている。魔術で祓おうにもこれは宝具であるため太刀打ちできない。
既に気配を感じないアサシンを探そうと意識を集中させようとした。
「私はここだよ」
一つの言葉が何重にも別れ、全方位から聞こえてくる。
バーサーカーは気づいた。自分は追ったつもりが、アサシンの罠に飛び込んでしまったのだと。
くぐもった声が横から、耳元から、上から、下から響いてくる。恐怖心を煽り、判断能力を鈍らせる。不味い、と思いつつ、背中を守ろうと城壁を探そうとした時。
「お兄ちゃんここだよ」
ひゅっ、と風切り音が聞こえた。視界の端で肉切り包丁が振られてくるのが見えた。
反応が鈍り、避ける事ができない。
まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい!!
せめて腕一本ぐらい犠牲にしてやろうと思考が判断を決めた時。
「ん!!」
アサシンの肉切り包丁の軌道が外れた。霧の奥から空気に穴を穿つように矢が飛来したのだ。矢が肉切り包丁を破砕し、奇襲してきたアサシンの姿を再び捉えた。
バーサーカーはこの矢を放った者の正体に気づいた。
「アーチャー!」
「バーサーカー、フィオレ様を守っていただき感謝します」
バーサーカーの隣へと現れたアーチャー。これでアサシンは二人のサーヴァントを相手にしなければならなくなった。
「…アーチャー」
「再び相見えました。これで決着をつけましょうか、“黒”のアサシン」
「いやだよ。他にもサーヴァントが来るんでしょ。“わたしたち”はバカな戦いかたはしないもん」
べぇ、と舌を出す仕草は明らかに子供だった。しかし、しっかりと引き時を弁えている。バーサーカーはアサシンの言葉の一つに反応した。
「だから、バイバイ」
アサシンが霧の中へと姿を消す。霧へ逃げれば気配を完全に見失ってしまう。
見逃してしまうとバーサーカーとアーチャーが追撃しようとしたがーーーアサシンに思わぬ一撃が入る。
「…え?」
呆然とするアサシンが自身の腕を見つめた。一線に引かれる紅い流線。そこから溢れでる血にアサシンは固まった。
アサシンに斬りつけたのは、ライダーの細剣を持ったジークだった。
眼は手で覆い、鼻と口は布を被っている。あれでは視界が定まらず、当たる訳がない。でも、ジークはアサシンを斬りつけた。
「…いたい」
そっとアサシンは傷口を触れた。いたい、とてもいたい。
自分を斬りつけた少年が何者かは知らない。しかしーーーこの男は“わたしたち”を傷つけた!!
「…ゆるさない!」
「…それはこちらの台詞だ」
アサシンもジークも怒りを込めた言葉を吐いた。アサシンは“自分達”を傷つけたことを、ジークはーーーアサシンの霧によって死んでしまった仲間がいたことを怒る。
「つぎは、絶対にころすから」
そう言い残し、アサシンは霧と共に消え去っていった。城塞には霧が晴れたことによって夕陽の光が訪れる。
「ジーク、体は無事ですか?」
「ああ、傷以上には酷くない」
アーチャーが硫酸の霧によって皮膚が焼け、崩れ落ちるジークへと近づく。目もやられ、酷く傷を負っている様子であったが無事のようであった。
「アーチャー、アサシンのことだが…」
「ええ、先程のことにも関わらずもう顔が薄れてきてます」
あの■■のアサシンは■を使い、多くの仲間を傷つけた。何を使い、仲間を傷つけたのかはもう分からない。だが、あのアサシンは仲間を一人殺した。それだけは確かに覚えている。
「バーサーカー。 …バーサーカー?」
アーチャーの呼びかけに答えず、バーサーカーは自分の小剣へと視線を落としていた。小剣を見つめる顔はどこか苦悶に満ちており、徐々に苦しみから疑問の色へと変えていく。
「…アサシンの正体は分からないけど、何か」
既に消えた霧へと彼は見つめ直す。
「見逃してはいけなかった何かを、忘れたような気がします」
○ ○ ○ ○ ○
「
トゥリファス、旧市街地区の更に奥まった住宅地。そこに“黒”のアサシンとそのマスターが寝ぐらとして住み着いていた。
“黒”のアサシンがその場で霊体化を解くと、キッチンの奥から一人の女性が現われた。
「ジャック。 お帰りなさい、いいのよ貴女が無事なら」
憂いを帯びたような雰囲気と蠱惑的声音が特徴の女性、名を六導玲霞。 元々“黒”の陣営のマスター、相良豹馬から“黒”のアサシンを奪った一般人の女性であった。
元々、相良は玲霞を生贄にして“黒”のアサシンを呼ぶつもりであったが、“黒”のアサシンの性質が本来のマスターより玲霞を選んだため、一般人であった玲霞が“黒”のアサシンのマスターとなった。
「バーサーカー、つよかった」
「あら、この間襲った魔術師の方は一番“使えない”と自白したのだけれどねぇ」
ミレニア城塞への襲撃に対し、ルーラー、ライダー、アーチャーの三騎がいなくなったことを見計らいマスターを暗殺することを目的としたが、バーサーカーの実力が予測以上のもので失敗してしまった。
「もうあそこには攻められないね。 どうしようかなぁ。 あ、あとやっぱり聖杯は赤いほうに持ってかれちゃったみたい」
「残念ね。 …その聖杯はどこにいったの?」
「んー…、あの大きなのが持っていっちゃったんじゃないかなぁ…」
「恐らくそうでしょうね」
空中庭園が聖杯を奪取し、持ち去るところをこの主従は目撃していた。
“黒”のアサシンは“黒”と“赤”総力戦の時、密かに戦場でホムンクルス達を襲い、魔力を補充していたのである。
「どうしよっか、
「そうねぇ…」
話し合う姿はどこから見ても、親子の会話そのものであった。だが、話している内容は“黒”の陣営をどう皆殺しにするかだった。
いつまでも悩み、考えているうち、玲霞は一つの案が頭に浮かんだ。
「ねえ、ジャック?」
「貴女の霧で町を包んでみましょう?」
Q.古代ギリシャでは堅琴をよく弾いていたそうですが、二人は弾けるのですか?
A.
ヒッポメネス「僕は弾けるけど、特に特徴のないのが特徴と好評だったよ?」
アタランテ「私はダメだな。そういう教養は皆無なのでな」
ヒッポメネス「ケイローンさんに教えてもらう? 音楽は子供達に好かれるよ?」
アタランテ「…う、む。いいかもな…」
ケイローン「私で良ければ教えますよ? ふふ」