不本意ながら奴隷を買うことになった《凍結》   作:こめぴ

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第11話「寝起きサプライズはお断り」

あの後アイラは特にこれといった病気はないのだが、一応安静にするということで夜の仕事は無しにして寝かせておいた。いつものごとく、私は寝るのは床で十分とか、ベッドはいらないとか、挙げ句の果てには寝ないなんて言い出したが、命令とだけ言うとおとなしくベッドに入った。

そして目をつぶったかと思ったら速攻で眠ってしまった。

やはり慣れないことの連続で疲れていたんだろう。

寝顔は奴隷云々を無しにした年相応で可愛らしかった。

俺はアイラが目を覚まさないよう、電気を消してゆっくりと部屋から出た。

 

 

「「お疲れ様です」」

 

部屋から出るとメアとバーリルが待っていた。

 

「具合はどうでした?」

 

「もう落ち着いて寝ちゃったよ。大丈夫。心配ない。」

 

それを聞いたメアはホッと安心した表情を見せる。

 

「なんだバーリル。何か言いたそうな顔してるぞ?」

 

「……私は、アイラをここで働かせるとは反対です。」

 

途端にバーリルにメアの突き刺すような視線が向けられる。

 

「メア落ち着け。で、理由は?」

 

「第一にここで働くには幼すぎます。それに世間知らず。今回のように変な手間がかかるかもしれません。」

 

「いきなりどうしたんだ。お前もアイラと握手してたじゃないか。」

 

「あの時は新しいお手伝いという感覚でしたが、先ほどのアレを見るとこれから私たちに害があるようにしか思えません。」

 

「しかしだからといってなくすと人手が足りなくなります。この前一人メイドがいなくなったのは知ってますよね?」

 

「それでもなんとかなるだろう?実際今日の夕飯だってアイラにすこし時間をとられたがきちんと作れていたじゃないか。」

 

「だからといって売れと?…まあいい。他に理由あるんだろ。」

 

「はい。ジン様の評判に関わります。ジン様は平等を売りにしている部分もあります。そんな人が差別の代名詞のような奴隷を買うなんて……。」

 

「別に平等は売りにしてないんだけどな……。」

 

「ジン様がそういうつもりがなくても世間ではそういうことになっています。平民と貴族を差別しない、依怙贔屓しない、信用できる数少ない貴族と。」

 

「ほんとか?」

 

なるほど俺は世間ではそういう扱いなのか。

『信用できる数少ない貴族』ね……。

自然と頬が緩んでしまう。

 

「ジン様?なんですか?その顔は。」

 

バーリルに向いていた視線が俺に向く。

美人は怒ると怖いって本当なんだなぁなんて関係ないことを考えてしまう。

 

「んんっ!なんでもない。で、話を戻すけど残念だけどそれだけだとアイラを雇うのをやめる理由にはならないな。

無能で迷惑がかかるってことならメアは今ここにいないし、雇うことで評判が下がるってことなら……。後はお前が一番わかってるな?」

 

バーリルはすこし苦い顔をしてからハイ……と不服そうにうなずいた。

 

「お前のことだからどうせジン様に迷惑がかかるかもしれないから、とか思ってたんだろ。俺に迷惑がかかろうが、何であれアイラは俺が買ったんだ。あいつは俺のもの。きちんと最後まで面倒をみるさ。」

 

ふとメアの眼差しが微笑ましいものを見るかのように変わったことに気づいた。

俺もしかして今結構恥ずかしいこと言った?

そう自覚した途端急に恥ずかしくなってきた。

 

「さすがジン様。いい言葉です。」

 

「バーリル?そんなことを言うのは無粋というやつですよ?」

 

やめて!恥ずかしいから!

 

「も、もういいから。この話は終わり!もう時間も時間だからさっさと寝る!」

 

「「おやすみなさいませ」」

 

 

 

俺が買った奴隷、アイラ。

彼女は俺には想像のつかないような辛い過去をもっている。それは今日の彼女を見ていれば火を見るよりも明らかだ。

俺は彼女の傷をすこしでも癒してあげることができるのだろうか。俺はできるならやってやりたい。

そのために明日から何をしてやろうか。そんなことを考えながら俺の意識は闇に落ちた。

 

 

__________

 

ガサゴソという音で俺は目覚めた。

窓から差し込む光がまぶしくて半目になってしまう。

誰かが俺の布団に潜り込んできたようだ。

布団に不自然な膨らみと、体に何か当たっている感触がある。

今までこんなことはなかった。誰だ?

周りの明るさからしてもう朝にはなっているのだろう。

貴族の中には毎朝処理をメイドや奴隷に頼んでいるやつもいるようだが、俺はそんなこと頼んでいない。

何度か他の貴族の話を聞いて自主的にやろうとしたメイドはいたことはあったが、きちんと遠慮した。

 

 

そんなことを未だに覚醒していない頭で考えていると、俺のズボンが下げられる感触があった。

 

まさか!

 

一気に目が覚め、布団をひっぺがす。

 

 

「お前は……何やってるんだ。アイラ」

 

そこには予想した通りアイラがいた。

しかもズボンは下げられ、パンツに手をかけた状態だ。

 

あぶなかった……。

 

「なにって……朝の処理を……」

 

心底不思議そうな顔でこちらを見てくる。

何を言ってるんだこいつはとでも言いたげな顔だ。

 

確かにこいつを買うようなやつはそんなことを頼んでもおかしくはない。今までやったこともあるのだろう。

でもさすがに頼んでもいないのにやろうとするなんて予想外すぎる。

体に染み込むほどやらされてきたのか。

 

「またお前はそういう……。だから言ったよな?俺に対してそういうことをしなくてもいい。ここは今までお前がいた場所じゃないって。だからそういうことはしなくてもいいんだよ。」

 

よくよく観察してみると目の下に隈ができている。

 

「お前、昨日俺が出て行ってからちゃんと寝たか?」

 

「は、はい。」

 

そう言うアイラにはんして体はわかりやすくびくっと反応する。嘘をつくのは苦手らしい。

 

「はい、嘘だろ。元気になるためにきちんと寝ないとダメだ。えっと今は…5時か。幸いまだ時間はある。部屋に帰って寝なさい。」

 

「いえ、私は…「いっておくがこれは命令だからね。」…わかりました。」

 

しぶしぶ部屋から出て行くアイラの背中を見て先が思いやられると感じた。

 

 

 

そのあと俺は二度寝した。いつもはだいたい時間にきっちり一発で起きるので二度寝の経験は少なく、寝過ごしてしまいメアに叩き起こされた。

本当メアってたまにお母さんみたいになるよな……。

 

次に朝ごはん。俺たちはいつも通りの朝食。アイラはコンソメスープを飲んでいた。飲んでいる途中、何度かえずいていたがなんとか飲み干したようだ。

やっぱり美味しいようで俺たちは美味しそうに食べるアイラを眺めて幸せな気持ちになっていた。

 

バーリルのことがすこし心配だったがあいつは何も変わっていなかった。どうやら杞憂だったようだ。

あいつ自身本当にいなくなってほしいというわけではなかったのだろう。

 

 

「アイラ!」

 

食べ終わって部屋に戻ろうとしたアイラを呼び止める。

 

「なんでしょう」

 

「お前今日俺と出かけるから。」

 

「お供なら他に適した人がいると思いますが……」

 

「いやお供じゃなくて、お前のための外出だから。あえて言うなら職場見学かな。俺の仕事の。」

 

アイラはなにか反論しようとするがそうはいかない。

 

「言っておくが命令だからね。それにこれは新しく入るやつにはやってもらう恒例行事なんだ。じゃ、しばらくしてから出発するから準備しておけよ。」




ちょっと終わり方が微妙ですかね
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