不本意ながら奴隷を買うことになった《凍結》   作:こめぴ

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昨日はすごかった……うん。
今まで10話、だいたい10日で
「お気に入り100いきそう!」
とか喜んでたのに昨日の夜から今日の昼までで一気に3倍の300だもんなぁ…。
1時間当たりのUAもいつもは投稿後2時間で100なのに昨日は普通に500とか行くし。

そんなことを喜んでいるこめぴです

ちょっとテンション上がってたのか今回は長くなりました。


第14話「お出かけ①」

「あの…ジン様」

 

仕事が終わってひと段落しているとアイラが話しかけてきた。

こいつが来てから一ヶ月経ったが、だいぶ慣れてきたと思う。

それと同様に俺たちもアイラに慣れてきた。

最初の頃は奴隷であるアイラを見下すような、ゴミを見るような目で見るやつも少なからずいた。

それはしょうがない。時代が奴隷をそういう認識にさせているんだから。

だがアイラの一生懸命に仕事をする姿や、ちょこちょこと屋敷内を走り回る姿が微笑ましくて、今ではちょっとしたマスコットのような扱いになってきている。

みんなの子供のようなものだ。

 

だがアイラ自身は心を開くというか自分から話しかけるのは数人しかいない。

俺、メア、バーリル、あとなぜかマラードだ。

アイラがマラードに何かされないか心配でしょうがない。

 

おっとアイラを放置してしまって不安そうな顔で見てる。

 

 

「すまん。ちょっと考え事をな。どうした?」

 

「お忙しかったですか?なら時間を改めますが。」

 

「大丈夫ちょうどひと段落したところだし。」

 

「えっと…すこし頼み事があるのですが……」

 

アイラが俺に頼み事とはまた珍しいことがあるものだ。

アイラはどれだけ行き詰まっても主人である俺に迷惑はかけられないと俺にだけは頼らなかったのに。

そのせいで頼られるのがすこし嬉しく感じてしまう。

 

「街に……遊びに連れて行って欲しいのです。」

 

「………」

 

「あの……ご迷惑でしたか?」

 

「いや、違うんだよ。ちょっと驚いただけでね。」

 

いやほんとにびっくりした。

せいぜい仕事関係のことかなと思っていたらまさかの遊びのことだったのか。

 

そんなことをすこし恥ずかしそうにしていたのか?

 

駄目だ駄目だ。奴隷であるアイラにとってご主人様に頼み事、しかも遊びに誘うなんてかなりのことだったんだろう。

俺も真剣に答えないと。

 

「別にいいが……どうしたんだ?急に。」

 

「メアさんがお給料の使い道がないなら遊び行ったらどうかと言われまして。それで遊び方がわからないのでメアさんに一緒に遊んでくれないかと頼んだのですが、忙しいからジン様に頼むといいと。」

 

 

あいつか。確かに以前なかなか距離が縮まらないと相談のようなことをした覚えはあるが。

そういう時は事前に言ってくれると助かるんだがな。

 

「そういうことか。わかった。前にも断られたけど誘ったしな。でも俺も仕事一筋で生きてきたから遊びというのをよく知らん。街をぶらつく程度になるがいいか?」

 

「はい。もともと目的はお金の使い道を見つけることですので。」

 

そんなこんなでアイラと出かけることになった。

 

 

 

 

眩しい。

外の日差しがまぶしくて思わず目をつぶってしまう。

やはり仕事が忙しいからといって篭りきりってのはダメだろうか。これからは定期的に外に出るようにしよう。

 

隣のアイラはもっと重症のようだ。心なしかフラフラしている。最後に出たのがあの職場見学だしな。だいたい一ヶ月ぶりか。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「はい。だいじょうぶ、です。………暑い。」

 

大丈夫じゃないようだ。

 

「やせ我慢するな。ちょっと待ってろ。」

 

たしか帽子があったはずだ。

 

……なぜか麦わら帽子しかない。メアの仕業か。

 

まあいいこれでいいか。なぜあるのかわからんが。

 

「ほらこれかぶってな。」

 

「きゃっ!」

 

遠慮しますとかのやり取りが面倒くさいのですこし強引にかぶせる。

 

悔しいのか恥ずかしいのか頬をすこし染め、帽子のつばを掴んでこっちを睨んでいる。

「む〜」とか聞こえてきそうな睨み方だ。

いやアイラが睨んでも可愛いだけだから。

 

やってきた時と比べてアイラは表情豊かになった。あの時は微妙な違いはあれど、ほとんど無表情だったからな。

良きかな良きかな。

 

 

 

アイラは街を馬車の中から見たことはあれど、実際に出てきたのは初めてだろう。その辺りを考慮して歩いて行くことにした。俺も近頃運動不足だったからその解消も目的の一つだ。

 

 

アイラは基本的に自分から話しかけてこない。話しかけてくるのは仕事のことのみ。雑談なんてしたこともない。

だから必然的に今の俺たちの間に会話はない。

まあアイラにとって外の世界は目に入るすべてが珍しいんだろう。自身は周りの景色を見るのに一生懸命のようだが。

 

会話がないことで周りの音がより聞こえる。

風の音。鳥の鳴き声。走り回る子供の笑い声。ところどころ犬だろうか、何か動物が吠えているのも聞こえる。

その度にアイラが反応するのも見ていて面白い。

思わずクスッと笑ってしまう。

 

おっと。アイラに睨まれてしまった。自重しないとな。

 

 

 

「そろそろ疲れたんじゃないか?すこし休もうか。あそこにいいカフェがあることだし。」

 

「いえ、大丈夫です。」

 

そうくると思ったよ。

 

「あのカフェ、マスターが俺の知り合いというかよく行ってたから知り合いなんだよ。商品も美味しいし。だから行かないか?」

 

「まあ、それなら。」

 

わざわざ理由付けしないと了承しないのも面倒くさいよなぁ。もっと素直になればいいのに。

 

 

 

店のドアを開けるとカランカランと軽い音がなる。

この音理由はないが好きなんだよな。なんか聞いてると落ち着くし。

店は壁がガラス張りで太陽の光が入ってきていい雰囲気だ。コーヒーの匂いが俺の鼻孔をくすぐる。

 

「おっ!ジンさんじゃないか。久しぶりだね。」

 

先ほどの俺に話しかけてきた男。

彼がこの店のマスター。すこしぽっちゃりしているがヒゲが似合うダンディーな人だ。さっきの理由付けは別に嘘というわけじゃなく本当に昔は通いつけだった。俺が貴族になると言った時も我が身のように喜んでくれたいい人だ。

 

「久しぶりマスター。3年ぶりくらいか?このところ忙しくてね。」

 

「わかってるよ!貴族になったんだからしょうがないよ。今日は連れがいるのかい?可愛いお嬢さんだね。」

 

可愛いと言われ慣れてないのか顔をうつむかせて俺の背中に隠れた。

 

「おやおやシャイなのかな?まあいいや。奥、空いてるよ。」

 

「ありがとう。座らせてもらうよ。」

 

 

 

「………こんなら傷だらけの私を可愛いと言ってくれるなんて……さすがジン様のお知り合いですね。」

 

まあ確かにあいつはいいやつだ。

アイラを気遣って目の届きにくい奥に案内してくれるくらいには。

 

確かにマスターは奴隷はそんなに差別しないが、他は違う。店にいた他の客は明らかにアイラを不快そうな目で見ていた。

 

 

「やっぱりアイラは可愛いんだよ。メアもよく言っているだろ?」

 

「メアさんはまた違います。あの人のはなんというか……妹に言っている感じですかね。」

 

「まああながち間違っちゃいないけどな。」

 

 

 

「ご注文はお決まりですか?」

 

マスターが改めて訪ねてきた。

そうか、まだ注文してなかったな。

 

「どうする?俺のオススメで勝手に注文してもいいか?」

 

「お手数おかけします。」

 

「いいって。じゃあこれと、オレンジジュース、あとコーヒー。」

 

「了解しました。」

 

そう言ってマスターは下がっていった。

 

「お待たせしました。」

 

しばらく待っているとマスターが注文したものを持ってきた。

その間の会話?例によって無言だよ。

 

「コーヒー、オレンジジュース、あとショートケーキです。」

 

「ほら、これがお前のな。」

 

俺はアイラにケーキとオレンジジュースを渡した。

 

「わたしのはこれですか…。」

 

アイラは不思議そうにケーキを正面から、横から、上からじろじろみている。

 

「気に入らなかったか?」

 

「いえ、見たことないものでしたので。本で読んだのでケーキというものは知っているのですが、食べたことはありませんでした。」

 

「そっか。じゃあ初ケーキだな。美味しいから食べてみろ。」

 

 

アイラはフォークを使ってケーキを切り取る。

 

すこしじっと見たあと口に入れた。

 

 

 

その瞬間、アイラが固まった。

 

 

「アイラ?」

 

反応がない。どうしたんだろうか。

 

そう思った瞬間すごい勢いで食べ始めた。

 

「ア、アイラ?」

 

なにも反応しない。

まあそんなに喜んでもらえると俺も嬉しいけど。

もうアイラはマスターがサービスでくれた二切れ目に突入している。

 

コーヒーを飲みながらじっと見る俺を無視してアイラはケーキを食べ続けた。

 

そう時間がかからないうちに食べ終わった。そりゃあんなに早く食べてりゃな。

アイラはといえばむふーと満足そうな、幸せそうな顔をしている。

 

 

「うまかったか?」

 

その言葉にアイラはぎょっとして俺を見た。

いや、俺がいるのも忘れるくらいに美味しかったのか?

 

「うまかったか?」

 

念のためもう一度尋ねてみた。

 

アイラは頭から湯気が出そうなほど顔を赤くして俯いてしまった。

そりゃ恥ずかしいよなぁ……。

 

「うまかったか?」

 

もう一度尋ねてみる。

 

それに対してアイラは

 

「…………はい。」

 

と蚊の鳴くような声で答えた。

 

 

かわいいなぁ……。

 




評価をくれるのはうれしいんですが、欲を言うなら1とか2とか低めの評価をつけるときは一言でどういうとこが悪いのか言ってくれると助かります。


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