不本意ながら奴隷を買うことになった《凍結》   作:こめぴ

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どうも。リアルの知り合いにこれが見つかって恥ずかしいこめぴです。

今回はあまり話が進まないです。


第17話「あいつはやはり邪魔者だ」

「……は!?」

 

お母さん?あの奴隷がアイラの母親?確かにどこか面影がある気がするが……。どことなく顔立ちも似ている。

 

「え?声に出てましたか?」

 

俺が反応したことに驚き尋ねてくる。どうやら無意識に出た言葉だったらしい。

 

「ああ、思いっきりな。それより本当に母親なのか?」

 

「私の記憶が正しければ、ですが。といってもそんなに長い時間を共に過ごしたわけじゃないので確実とはいえませんが……。」

 

なるほど。やはりあの人が母親なのか。

 

さて、ここで俺はどうするべきなのだろうか。

 

第一候補として会わせる。アイラの欲望に従わせてやるとこの選択肢になる。だが不安なのはあちらがアイラのことが分かるかということだ。アイラは母親の元に居たであろう時からかなりの年月が経っていることだろう。それにうちにいる間だけでもかなり変わった。

それに加えかなり焦燥しきっているように見える。そんな娘のことを考えていられるほど精神状態に余裕があるだろうか。

 

アイラにとって母親に認識されないというのはかなりの苦しみだろう。それを考えると会わせるのはどうなんだろうかと思ってしまう。

 

 

かといって会わせないというのも考えもの。

今まで通りに何も知らなかったふりをして生活する。実際的なデメリットはないがアイラにとってはやっと会えた母親。そこにいるとわかっているのに関われないというのはやはり苦しいものだろう。

 

……やっぱりアイラの好きにやらせよう。すこし考えた結果そういう結論が出た。

 

 

「アイラはどうしたい?」

 

「どう、したいとは?」

 

「話しかけるか?やめるか?ってことだ。俺はお前に任せる。好きな方を選べ。」

 

アイラはそこで思案顔になる。先ほど俺が考えていたことと同じようなことを考えているのだろう。

 

「私は…「みなさま、お集まりいただいてありがとうございます!」

 

タイミングが悪いことに主催者が登場した。小太りの中年の男だ。後ろには今日誕生日の男の子がいる。さすが貴族の息子。その身なりも大したものである。

 

「また後で話そう。」

 

それだけいってひとまずは切り上げる。あいつもすぐに帰るようなことはないだろう。アイラもひとまずは頷いて了承する。

 

 

「今日のパーティーは招待状にも書かせていただいたように、ここにいる私の息子の10歳の誕生日パーティーでございます。私の息子は……」

 

なにやら話しているが先ほどのことが気になって全く耳に入ってこない。ぶっちゃけるとあいつの話はほとんど意味がないので聞かなくても特に問題はない。あいつ個人に話しかけられても適当に相槌を打っていればなんとかなる。

 

アイラに至ってはあの公爵なんて眼中になく、アイラの母親を凝視している。向こうは気づいてないようだが気づかれると色々と面倒なので体を軽く叩いて注意する。

 

気づくと主催者の挨拶は終わり、公爵はパーティーの参加者と奴隷の話を弾ませていた。主役であるはずの息子は蚊帳の外である。そいつ自身も慣れているのか黙々と食べ物を食べている。なんだかすこしかわいそうになってきた。だからといって何かするわけではないが。

 

周りの目から外れるためアイラを連れて廊下に出る。奴隷とよく話しているとまた嫌味な奴らに色々言われそうだからだ。

 

「改めて聞こうか。どうするんだ?」

 

「私は……「あ!いたいた!探したよ〜」

 

なんだ今度は!本当によく邪魔が入るな。

 

恨みをぶつけようと振り向くと例の侯爵がいた。

 

「お久しぶりです。」

 

突然の再会に動揺したが顔には出さない。自然な表情を出す。幸いあちらは気づかなかったようだ。

アイラもこいつのことは覚えているようで恐怖からか表情が強張っている。それでも無表情を保とうと努めているところはさすがである。

視線を横にずらすと彼も奴隷を連れている。見覚えがある。たしか俺がアイラを買った時にこいつに買われていたやつだ。あの時より心なし傷が増えてるし表情も死んでいる。

そしてアイラを羨ましそうな目で見ている。アイラを良い扱いをされているのがよくわかるのだろう。確かによくよく考えれば奴隷を着飾るなんてかなり良い待遇だ。

 

「久し振りだねぇ。やっと見つけたよ。」

 

「私が来ること知っていたんですか?」

 

「知ってるもなにもあの人に君のことを紹介したのは俺だしね!君も奴隷を買ったんだから来るべきだと思ったんだ。」

 

やはりこいつだった。どうやらこいつの中で俺は奴隷マニアに近いものになっているらしい。冗談じゃない。確かにアイラは手のかかる娘みたいで好きだがそれは奴隷だからじゃない。アイラだからだ。奴隷自体が大好きな奴らと一緒にしないでほしい。

 

「お!ジンが買った奴隷もちゃんと連れて来てるじゃないか。でもすこしだけどドレスアップしたのはいただけないな。」

 

「すいません。なにぶんこういうパーティーに来るのが初めてでして、勝手がわかりませんでした。」

 

「そういうことなら言ってくれればよかったのに。なんなら俺がレクチャーを「結構です。」ああ、そう?」

 

「っ!すいません。失礼しました。」

 

しまった。つい話が終わらないうちに即答してしまった。しかも拒絶の言葉。気分を害してなければいいが……。

 

「別に良いよ。そんなことよりさ!覚えてるよね。これ、俺の奴隷。それ買った時に一緒にいたでしょ?」

 

よかった。気にしてないようだ。だがアイラをそれと言うとは俺が気分を害したぞ。

 

「なにぼーっとしてんだよ!おら!挨拶しろ!」

 

死んだような顔のままぼーっとしていたことが気に入らなかったのか奴隷を平手打ちし始めた。

 

「あ、あの俺は気にしてませんからその辺りで……。」

 

「そう?ごめんねこのゴミが。全く、世話かけさせんじゃねえよ!」

 

「っ!す、すいません……。」

 

俺に適当に謝りつつトドメとばかりに奴隷にさっきより強めの平手打ちをする。奴隷の口は切れて血がすこし出ている。

隣のアイラは今までなら今の対応が普通となんの反応もしなかっただろう。だがアイラは普通の暮らしを知って今のがおかしいことだと知ってしまった。だからアイラは誰もが見てわかるくらい嫌悪の表情をしている。幸い侯爵には気づかれてないからいいが後で注意しておくか。

 

殴られた奴隷はというとまるで同情なんてするなとでも言いたい目でアイラを睨んでいた。同情されるとますます惨めになるのだろう。恐らくだが奴隷売場では自分より傷がひどいこいつをどこか見下していたのだろう。それが今では立場は逆転。あいつの傷は増え、アイラはドレスアップをしている。

 

こういう差を見ると自己嫌悪してしまう。なにが平等だ。結局は自分の目の届く範囲だけ平等にして自己満足しているだけじゃないのか。そんなことを考えてしまう。

 

そのあとは特になにもない雑談だった。俺としてはあなたと話したくないオーラをガンガン出したつもりだったが、キチガイのこいつは感じてくれなかったようだ。結構長く話してしまった。

その間あいつの奴隷はずっとアイラを睨んでいた。それがなぜか悲しかった。

 

「じゃあね!パーティー楽しんでね!」

 

侯爵はそんな捨て台詞を吐いて去って行った。楽しめるわけないだろうが……。

 

 

 

「すまんな。何度も話の途中なのに。」

 

「いえ、あれもジン様の人付き合いでしょう。奴隷の分際でジン様の人付き合いに口を出すつもりはありません。私のことは優先してくれなくて結構です。聞いてもらえるだけで幸せですので。」

 

アイラが良い子すぎて泣きそうな俺です。

 

さて、邪魔者はいなくなったので話の続きだ。

 

「それで、話を戻すが……お前はどうしたい?」

 

 

 

「私は……お母さんと会って、話して」

 

そこまで言うと区切って一度黙ってしまった。まるで言うか迷っているようだ。

 

「アイラ?」

 

「会って、話して、……助けてあげたい……です。」

 

これが初めて俺に自分の願望をはっきりと口にした瞬間だった。




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