不本意ながら奴隷を買うことになった《凍結》 作:こめぴ
爵位に上下関係は存在しない。
2話のところ色々変更しました。そんなに影響はないので見ても見なくても大丈夫です。
一応変更点を。
侯爵は上の人間なので逆らえないという設定から、親が裏の人間とコネがあり息子が頼むと親バカなのでそいつを潰してしまうか逆らえない。
という風にしました。
あくまで親が、という風にしたのは侯爵自身は無能にしたかったからです。
他の部分もこれに合わせて変更していきます。
そんなこともあり、今回は少し短め
では本編どうぞ
目の前ではまるで物語のような感動の再会が起きているが、二人共お約束通り抱き合うなんてことはせずにいた。
娘は何を話そうかで頭はいっぱいになっていて、母はただただ驚き戸惑っていた。俺か?俺は完全に空気になっている。二人共お互いしか眼中にないといった感じだ。
「お母さん……ほんとに、ほんとにわたしがわかるの?」
「当たり前じゃない……。自分の娘なのよ?」
もう母親は一筋どころではなく涙がどんどん溢れていた。
「でも……もう最後に会ってから8年だよ?わたしもかなり変わったし……。正直気づいてくれるか心配だった……」
アイラは今まで敬語を辞めたことはなかったが今だけはやめている。
「あなたがどんな風に変わろうと、娘であることに変わりはない。気づかないなんてありえないわ。」
「っ!」
アイラはついに感極まって母親に抱きついた。母親は汚れているがそんなこと全く気にせずに抱きついた。母親の胸に顔を埋めているアイラは声は聞こえないが泣いていることだろう。母親は仕方ないわねと頭を撫でている。
微笑ましい親子の光景はしばらく続いた。
「すいません!見苦しいものを見せてしまって!」
最初に正気に戻ったのは母親だった。彼女は正気に戻るや否や光のような速さで土下座をし、頭を地面にこすりつけている。アイラも母親ほどではないがかなり申し訳なさそうだ。よく見ると彼女の体が震えている。こういう時暴力に怯えてしまうのも奴隷に共通していることだ。
「いや、気にするな。俺としてもいいものを見れたと思ってるから、頭を上げてくれ。」
母親は俺を驚きの表情で見つめる。ふむ、やはり奴隷からすると簡単に許されるのはありえないことなのだろうか。アイラだけじゃないんだな。
「自己紹介が遅れたな。俺はアイラの今の主人のジン・アルフォード。伯爵だ。お前の名前は?あ、さっき言ってたリーナってアイラのことか?ああそうだ。アイラってのはお前の娘につけた仮の名前だ。」
「えっと……」
わかりやすく彼女の頭にはクエスチョンマークが浮かんでいる。少々がっつき過ぎたかな。
「ああすまんな。俺としてもアイラの母親に会えたっていうからすこし興奮してしまってな。」
「いえ、こちらこそ質問にすぐ反応できずすみませんでした。わたしの名前はエディスです。数々のご無礼、お詫び申し上げます。」
そういって再び土下座をするアイラの母親ことエディス。俺としては土下座されるのは慣れてなく、かなり違和感があるからやめてもらいたいが……どうやら言ってもやめてくれなさそうだ。しょうがないからスルーすることにする。
「さて、一つずつ質問させてもらうよ。まず一つ目。さっきリーナって言ってたが、それはアイラの本当の名前か?」
「はい。リーナが生まれた時、わたしがつけました。」
「リーナか……。うん、いい名前だと思うよ。」
「ありがとうございます。」
なるほどリーナか。本当の名前が分かったことだし今度からそっちで呼ぶべきだろうか。やっぱり本当の名前を呼ぶべきだろうな。何てことを考えながらアイラを見るとアイラと目があった。
「あの……私としては今まで通りアイラと呼んでいただきたいのですが……」
「どうしてだ?本当の名前の方がいいだろう。」
「それは……今までと呼び方を変えると間違えたり違和感があったりしますし、ジン様が前おっしゃっていたように名前が人間の識別番号だとするなら、変えるのはおかしくないですか?それに……」
「もういいよ。で、本音は?」
「ジン様につけてもらったこの名前が好きだからです。……はっ!」
「しょうがないなぁ。ならこれからもアイラで通すよ。」
相変わらずのせられやすいなぁ。してやったりとドヤ顔をする俺。すごく大人気ないです。
悔しさと恥ずかしさで顔を赤くして睨むアイラ。すごくかわいいです。主人を睨むのはどうかと思うがまあ置いておこう。
「ふふっ」
クスクスと笑う声が横から聞こえてきた。俺とアイラでそちらを向くとエディスが手を口に当てて笑っていた。
「すみません。とても仲がよろしいのですね。」
「そんなこと……」
「いえ、とても仲が良いですよ。奴隷と主人という関係じゃ想像もつかないくらい。こんなに仲が良い奴隷と主人はいないでしょう。」
「まあ、そうでしょうね。奴隷を初めて買うことになって奴隷の世界を知りましたが、それはもう酷いものですしね。」
「そうです。だから私はあの時、リーナと離れ離れになった時とても不安でした。酷いことをされないかと。」
そういうエディスはその時を思い出しているのか、苦しそうな顔をしていた。
「その傷を見るにかなり酷い目にあってきたんでしょう。だいたい予想はしていましたが、やはり悲しかった。でもそれ以上に嬉しいのです。」
「うれしい?」
「はい。あなたのような素敵な人にリーナは出会えたのですから。リーナ、優しい主人に会えたようで安心したわ。」
エディスは誰もが見惚れるような美しい笑顔でアイラにそういった。
お知らせです。
来週の火曜日から金曜日の4日間、学校の学習合宿ですので更新できません。前日にもう一度おしらせします。