不本意ながら奴隷を買うことになった《凍結》 作:こめぴ
ではお楽しみください
どうもお久しぶりです。
最近お母さんもこの屋敷で働き始めて嬉しいアイラことリーナです。ですが、皆さんにはアイラの方が呼ばれ慣れているのでアイラでお願いします。
あれからお母さんも私と同じく家事をし出しました。私はお母さんも長年奴隷だったのだから料理が出来ないだろう、私が教えてあげようなんてドヤ顔で期待していたのですが……なんと普通に出来たのです。そういえばお母さんが奴隷になったのは20過ぎでしたね……それなら納得です。
これはそんな私の日常の一コマです。
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「アイラちゃん、おつかい頼みたいんだけど……いい?」
ある日私は家事もひと段落したので本を読んで休憩している時にメアさんにそう言われました。
「もちろんです。何を買ってこればいいですか?」
もちろん二つ返事で了承しました。まだまだいろいろと足を引っ張っているので役に立てるところで立ちたいのです。
「メモにまとめてあるから。はい。」
そう言われて渡された一枚の紙切れには紙、インク、塩、牛肉、人参、トマトなど計15種類のものがありました。なかなか多いです。
「これお金ね。無くしたり落としちゃダメ。ちゃんと持っておいてね。」
「わかりました。では行ってきます。」
すこし子供扱いが過ぎるのではないでしょうか。その扱いは5歳とかの子供にする扱いでは?奴隷で少々世間知らずといってももう14歳ですよ?その扱いでは不満を覚えます。
………言いませんが。
そんなことを思いながら私は屋敷の扉をでました。
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「ジン様、出発しましたよ。」
「ああ、ごくろう。」
どうも。アイラのご主人様なジンだ。今の会話からわかるようにアイラのお使いは俺が指示したことだ。もうそろそろあいつもこの世界に慣れてきた頃だろうと思ったからな。きちんとやっていけるか、まあテストのようなものだ。
……さて、いくか。
「じゃあ俺ちょっと用あるから3時間ほど外すわ。」
「ついていくんですね。」
「いやちがう。ちょっと用が「ついていくんですね。」……はいそうです。」
なんでわかるんですかね。メアさん怖すぎですな。
「まったく……。最初から素直に心配だからついていくと言えばいいでしょうに。」
「うるさいな……。お前もどうせついてくるんだろ。ほら、いくぞ。」
「はい、わかりました。」
こうして俺とメアのストーキングが始まった。
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外に出ると思ったよりも気温は低く身震いしてしまいました。まあ、今は秋なので当たり前ですかね。秋になった証拠に道の木の葉は赤く染まっています。すこし前まで暑かったのに不思議です。
この街は自然も多く住人も明るく私は好きです。
すこし前までは外に出るたびにキョロキョロキョロキョロしていましたがもうだいぶ外の世界に慣れたのでそんなこともしません。ジン様とお出かけしてからメアさんの買い出しに付き合ったりとか何度か外に出ましたしね。そんなはしたないことはもうしません。
さて、商店街の方に到着しました。ここには八百屋やら肉屋やらいろんな店が立ち並んでいます。どこか他のところにはこれらが一つになったむちゃくちゃ大きな店があるらしいのですがここにはないです。
「お!アイラちゃん今日は一人かい?」
「はい、メアさんに頼まれまして。」
「アイラちゃん!今日は秋刀魚が安いよ!どうだい?」
「すいません。今日のリストにはないので遠慮しておきます。」
「アイラちゃん!新作ケーキあるよ!どうだい?」
「な……なんですって……!でも……そんなお金は………一つください。」
なんということでしょう。私がいろんな人から話しかけられています。皆さんの心境を表すならこんな感じでしょうか。
伊達に私もなんども来ていないのです。皆さんとお知り合いになるのなんて朝飯前。……ほとんどメアさんの助力あってですが。最初は私が奴隷ということもあっていい顔をしない人ももちろんいたのですが、今ではこんなに暖かく迎えてくれます。
ケーキ?もちろん自分のお金です。そのへんはしっかりしているつもりです。新作なんて逃せるわけないじゃないですか。……一応持ってきてよかったです。
それにしても、昼頃に出てきたのは間違いだったでしょうか。かなり人が増えてきました。今にもぶつかってしまいそうです。わたしは小さく見えにくいので自分が避けるしかありません。
「いたっ!」
とまあ、こんな風にぶつかってしまうこともしばしばです。
「すいません…。」
ちゃんと振り返って謝ることも忘れません。
あれ……?いない。
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どうも絶賛ストーキングなうなジン&メアです。
俺たちは今完璧な尾行でアイラについていっている。
「何が完璧ですか。真昼間から柱に体を隠して、まるで不審者ですよ?」
メアが何か言っているが聞こえない。というかなぜ考えていることがわかった。
ところで今俺の眼の前では俺の認識を覆すようなことが起こっている。
「……なあメア。アイラはあんなに商店街の奴らに慕われてるのか?」
「そうですよ?なんかわたしが毎回連れて行ったら気に入られたみたいで。」
メアグッジョブ。自分の奴隷が他のやつと仲良くしているのを見ると嬉しいものだ。なんだろうか。人と関わらない娘に初めて友達ができたような感じだな。
「はぁ…よかったぁ。リーナはちゃんとうまくやれてるんですねぇ……。」
聞こえるはずのない声が聞こえた。ギギギ……と首を後ろに動かすと、なぜかエディスがいた。
「おい、なぜお前がいる。ていうかいつからいた。」
「最初からエディスはいましたよ?」
「いや気づいてたなら言えよ。」
「ジン様も気づいてるのかと思いまして。」
「ちゃんと今日の仕事は終わらせてきたのでノープログレムです。リーナのはじめてのおつかいなんて見守らない選択肢があるだろうか、いやない!」
なぜ反語……。相変わらずアイラのことになるとキャラが崩れるやつだ。
こいつは先日の件からうちで働き始めたエディスだ。思った以上に家事ができてメイド一同助かっているとメアからは聞いている。俺の何が気に入ったんだか結構フレンドリーに関わってくる。奴隷としてそれで良いのかと突っ込みたくなるがまあ、俺は気にしないし本人にも気にしないからそんなに硬くなるなと言っているのでいいか。
アイラは相変わらずいろんな奴にいろいろ勧められてるけど全部断っている。別にすこしくらい買ってもいいんだがな。得になるものばかりだし。まあメモに忠実だしいいか。
ん?
「おいメア。あいつケーキ買ったぞ?良いのか?」
「ほんとですね。まあ、きっと自分のお金でしょう。アイラちゃんはそのへんはしっかりしているので。」
アイラは俺があのカフェに連れて行ってからケーキをかなり気に入ったようで大好物となった。あのカフェにも度々行っているようだし。
なんだか人が増えてきた。まあ、昼時だししょうがないか。アイラは人に当たらないように体をクネクネと動かしながら進んでいる。いつか誰かとぶつかりそうで心配だ。現に隣のエディスはアイラが人とぶつかりそうになるたびに「ああっ!」とか「危ないっ!」とか言っている。もちろんばれたら困るので声量は抑えているが。
「いたっ!」
ついにアイラが通行人とぶつかった。相手はすこし強面のヤンキーのようなやつだ。そいつは謝りもしないでそのまま進んでいった。
「おいおい……。ぶつかったらとりあえず謝るのがマナーだろ……。なあ?」
俺は同行者二名に同意を求めようと横を向いたがそこには誰もいなかった。
「あれ?あいつらどこいった?」
歩きながらあいつらを探してみる。すると道からすこし外れた暗いところで二人を見かけた。なんとさっきのヤンキーも一緒だ。
「何やってんだあいつら……」
大方なんで謝らなかったんですか?バカなんですか?とかそんな感じだろう。そう思いながら近づいた。
「あなた、なんで謝らなかったんですか?バカなんですか?」
「ああ、すいません。バカだからヤンキーなんですね。失念してました。」
思ったことと一文字も違わずに行っているとは驚きである。
ヤンキーも最初は相手が女二人とあって強気にメアたちを睨んでしたが、すぐにその目は怯えの表情に変わった。
一回だけメアに説教されたことあるけど確かにあれは怖かったしな。怒鳴るなんてことはないが、なんていうか無言の圧力を感じるのだ。それもかなりの。
もうそろそろかわいそうなので止めようか。
「おい、何やってんだ。」
「「いたっ!」」
俺は二人の頭に軽くチョップをする。二人は軽く俺を睨んでくる。
いや、今回に限っては確実にお前らが悪いだろうに。
「すまんな、俺の部下が迷惑をかけた。だが、人にぶつかったら軽くでも謝っておけ。マナーだからな。」
「は、はい!わかりました!」
それだけいってヤンキーは走って去っていった。というか逃げていった。そんなに怖かったのか……。慣れてる俺が異常なのか?
「ですが、あいつはリーナに謝らなかったんですか。これだけで制裁を下す理由に……」
「ならねぇよ。」
ていうかメア。うんうんって頷くなよ。
「まあたしかに俺もすこしムカついたけどな、明らかに過剰反応だろうが。」
「わかりました……」
納得したようだがどこか不満げだ。もうめんどくさくなったので俺は歩を進めた。
……アイラを尾行するために。
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