不本意ながら奴隷を買うことになった《凍結》 作:こめぴ
おつかい中のアイラです。
人とぶつかってはその人が消え、ぶつかっては消えが何度か繰り返され、やっとの事で目的の店に到着しました。
と言ってもたいして問題は起こりません。
目的のものを選んで、お金を払って買うだけです。
さすがにこれくらいはできます。メアさんがいつもやってるのを見てましたから。
一つ買い、店を移動。また一つ買い、店を移動。そう繰り返して目的のものは全て買うことができました。
しかし……
「……重い。」
そう、重いのです。思いの外量が多く両手にパンパンになった袋をぶら下げています。いやまあ、15種類もあったらこれくらいになるのは当たり前ですけどね。何も考えず了承したのを後悔しました。まあ、了承する他なかったのですが。
重すぎて背が曲がってしまっていますし、手のひらが痛いです。
知識面ではかなり成長したと自負してますが、体力、筋力面では全くと言っていいほど成長してないので、こんなに重いのはきついです。
ですが、周りには助けてくれる方は誰もいません。しかも買ったものの中には生物が多いので早く持って帰らないと傷んでしまいます。
「がんばれ……がんばれ……」
自分で自分を励ましながらフラフラと帰り道を歩いて行きました。
……今目の前に最大の難所があります。
それは何かも言うと……言うまでもなくケーキ屋さんです。しかもここは休憩スペースがあって、そこで買ったケーキを食べることができるという素晴らしいお店なのです。私も何度か来たことがあります。
いや、わかってます。そんなことをする余裕はないと。でもですね、ここまで重い荷物を持ってきた私になにかご褒美があってもいいのではないでしょうか。最後のお店を出てから結構距離歩いてきましたし。
いやだめです!
せっかくメアさんが私に任せてくれたんですから、その期待に応えないと……!
ですが、このケーキ屋さんはかなり涼しいです。そんな涼しいならそんなに痛まないのでは?
いやでもおつかい中に寄り道なんて……そんな無責任なことできません。
意を決してケーキ屋さんの前を通り過ぎました。
心なしか体がケーキ屋さんの方へ傾いている気がしますが、入ってないのでノープログレムです。
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「………ねえジン様」
「なんだ?」
「だれ?あんなに多く頼んだのは。ジン様?」
「いや、俺はおつかいに出してくれとメアに頼んだだけだ。何を買ってきてとはいってない。」
「じゃあメアさんなのね……?」
おい、怖いぞエディス。目のハイライトが消えてるように見えるのは俺の気のせいか?
「はい、私ですが……。」
「ねえ、どういうつもり?リーナに頼む量じゃないでしょ?もっとリーナのこと考えなさいよ!」
そう言ってエディスはメアに飛びかかった。
二人でなにやら戦っている。もちろんアイラに気づかれないくらい小規模でだが。どちらも本気で怒っているわけじゃないし、メアがエディスの攻撃をすべて受け流しているので大したことにはなっていない。
そしてエディス……キャラ崩壊をどうにかしてくれ。
「まあ落ち着けよエディス。よく見てみろよ。これはこれで可愛くないか?」
「まあ……可愛いですけど。」
俺たちの視線の先には両手に袋を持って、チョコチョコと歩いているアイラの後ろ姿。なんだか保護欲を刺激されるようでとても可愛く見えてしまう。
エディスもちょろすぎじゃないか?
「しょうがないわね。メアさん、許してあげてもいいですよ?」
「なんで私が怒られてるんですかね?」
「しらん。」
それからしばらく俺たちはフラフラと歩いているアイラを見守り続けた。
「「「………」」」
俺たちは周りから見たらさぞ気持ち悪いことになっているだろう。特に俺。
俺たち3人はモジモジしている。なにを言っているかわからないかもしれないが。モジモジというかウズウズかな。
その原因は目の前にいる。
そう、ケーキ屋に行くか行かないか迷っているアイラだ。
かなり葛藤しているようで、思い切った顔をして通り過ぎようとするも数秒後には「でも……」とでも言いたげな寂しい表情をしてケーキ屋の方を向くということを繰り返している。
心なしか周りの通行人もすごい心配そうに見ている。何か言いたげだ。
でもなんとなくこんなに必死で考えているんだから自分から結論を出させたいのかなにかいう人はだれもいない。
俺たち3人はもういっそのこと出て行って「食べていいんだよ!」と言ってあげたい気持ちに苛まれている。
言いたくて、言いたくてウズウズしているわけだ。
実際エディスが飛び出そうとして俺とメアで慌てて抑えた。だからエディス、キャラ崩壊をだな……。
結局アイラは食べないことをしたようだ。
でも体をケーキ屋の方に傾けながら歩くアイラが可愛すぎて3人で悶えてしまった。
「可愛すぎだな。」
「可愛すぎね。」
「可愛すぎですね。」
なんて可愛い可愛いと言いまくっていたのを周りから変な目で見られたのは言うまでもない。
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「ふぅ……」
ただいま公園で休憩中です。さっきケーキ屋さんだめだったのに?と思うかもしれませんが、割とリアルに私の体の限界が迫りつつあったのです。具体的に言うと腕と足がプルプルして思った通りに動かなくなったくらいです。
背もたれのあるベンチに座って、荷物を隣に置いてそっと一息。ついでに行きで買った新作のケーキも食べます。
うん、おいしいです。これは私のケーキランキング5位以内に入る美味しさです。また買いましょうか。
公園では滑り台やブランコ、鉄棒といった様々な遊具があり、子供達がワッキャワッキャと騒いでいるのが見えます。
「元気があっていいですねぇ」
いけない。なんだかおばあちゃんみたいになってしまいました。精神年齢が同年代より少し上というのはよく言われますが、おばあちゃんは行き過ぎですかね。
いやそれにしても落ち着きます。子供達の声もうるさすぎず、時々小鳥の鳴き声が聞こえてきたり、散歩中の老人の会話が聞こえてきます。
風も心地いいですし、出発した時は寒いくらいでしたがもう気温も暖かく、だんだん眠くなってきます。
ウトウトとして頭が前後に揺れてしまいます。
あ……これはだめだ……寝ちゃだめ
寝ちゃ……だめ……
「はっ!」
冷たい風に目を覚ましました。周りを見渡してみると空も赤くなって遊んでいた子供達もだれ一人としていません。
どうやら私は寝てしまったらしいです。
そう自覚したとんに顔が青くなったのを感じます。
まずいですよこれは……。あれから何時間経ちました?もう夕方ですよね。ということは2時間は最低でも経っていますよね……。
「……おわった。」
まあ、とりあえず帰りましょう。それ以外に選択肢はないですし。それできちんと正直に謝りましょう。
よし行こうと立ち上がった時でした。
私の肩から何かが落ちました。
「? なんでしょう。」
どうやらコートのようです。だれか優しい方が私が風邪をひかないようにかけてくれたんでしょうか。
……いや、でもこのコートどこか見覚えがありますね……。
「……あ。これジン様の……。」
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カランカラン
俺の仕事場の来客を知らせるベルがなる。どうやらアイラが帰ってきたようだ。
かなりかかったな。まあ、途中で寝てしまったからしょうがないかな。アイラだけ置いて帰るのはかなり心配だったが俺もメアも仕事があったからな。風邪をひかれると困るからコートだけかけてきたが。
コンコンとドアがノックされる。
だれだ?メアか?なんか用事だろうか。
「いいぞ入れ。」
「失礼します。」
そう言って入ってきたのはアイラだった。
「アイラ?帰ってたのか。どうしたんだ?」
「ジン様、直球で聞きますね。今日、つけてましたか?」
やはりばれてたか。まあ、コートで一発だしな。
一応抵抗しておくか。
「い、いや?つけてないが。」
「ならこのコートはなんなんですか?これ、ジン様のですよね。」
「…………ああ、つけてた。つけてたよ。心配だったんだからしょうがないだろ。」
「私ももう外に出てから結構経ったんです。そんな心配しなくても一人でできます。」
「そんなこといって、公園で寝ちゃったのはだれだ?」
「それは……」
そういってきまりが悪そうに視線を下に移す。
我らが天使は今日もかわいかった。
ちょっとオチが微妙かな?
お知らせです。
先日行ったように明日から学習合宿なので金曜まで投稿できません。次は多分土曜ですかね。
金曜に帰ってくるんですが、きっと金曜は疲れて無理ですので。
ではみなさん
土曜日にまた会いましょう。