不本意ながら奴隷を買うことになった《凍結》   作:こめぴ

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まずは謝罪。
昨日は投稿できずすいませんでした。忙しすぎたんです…。

次に今回の話について。
今回はみなさんの期待を裏切るかもしれません。話の内容でね?

お気に入り減るかもなぁ……。

私が言いたいの二つだけ。

「私にラブコメは書けない。」「まだ終わったわけじゃない。」

ということで本編どうぞ。


第30話「まさかの出会い」

今日の屋敷の雰囲気は何やらいつもと違いました。

なんていうのでしょう。なんだか皆さんせわしないです。あちらこちらへと走り回り何かの準備をしているよう。

 

今日は何かの特別な日だったでしょうか。今日の日付を思い出してみても何も思い当たるような祝日というわけでもありません。

 

今は10時過ぎくらいなのですが、もうお昼ご飯を作り始めています。しかも見るところいつもより量が多いです。本当になんなんでしょう。

 

一番おかしいのはジン様です。ご機嫌がいつもより確実にいいです。なんなら今にも鼻歌を歌いだしそうなほどです。いえ、あれは本当に鼻歌歌ってますね。

 

そんなみなさんをお母さんと一緒に眺めていました。もちろん作業をしながらですよ?

 

「お母さん何か聞いてる?」

 

「いいえ、聞いてないわ。」

 

やはり知らないらしいです。あまり期待はしてませんでしたけどね。知ってたらあちらにまざって忙しく働いているでしょうし。でもいったいなんなんでしょう。

 

「誰かお客さんでも来るのかな。」

 

「違うと思うわ。もしそうだとしたら私たちは自室で待機って言われるだろうし。」

 

そうですね。奴隷を持っているというのは一部の例外を除いてかなりのマイナスイメージですからね。それを隠したいと思うのは当然です。なので大体その例外じゃない方がいらっしゃるときは、自分の部屋で待機しているように言われます。

ジン様に恥ずかしい存在として扱われるのは辛いです。もちろんそんなこと思ってないことはわかっているのですが。

 

「まあ、人が来るとしたらこの屋敷のまだあったことない人かしらね。」

 

「なんで?」

 

「そんな差別をする人をジン様が雇うと思う?」

 

いや、そういう人もいると思いますよ?実際最初の頃は不愉快な視線を向けてくる人は普通にいましたしね。だいぶなくなってきましたけど。でも確かに顕著な方はいなかったかと思います。

 

 

「あ、メアさん。」

 

「お疲れ様です。メアさん。」

 

「お疲れ様、アイラちゃん、エディスさん。」

 

そこにメアさんが通りかかりました。ちょうどいいですね。彼女に聞きましょう。

 

「メアさん、今日は何かあるんですか?」

 

「ん?どうして?」

 

「何やらみなさんいつもと違ってるので。ご飯もこんなに早く作り始めてますし。」

 

「そっかアイラちゃんとエディスさんは会うのは初めてなんだね。」

 

「会う?ということはやはり誰か来るんですか?」

 

「ええ、今日到着するのは…「到着なさいましたー!」」

 

そのときメアさんの言葉を遮るように来訪を知らせる声がした。

 

「どうやら到着したようね。」

 

そう言ってメアさんは玄関に歩いて行きました。その足取りは心なし軽いです。メアさん自身もかなり機嫌がよさそう。

 

というか玄関に歩いていく?まさかお出迎えですか?主人であるジン様にもしないお出迎え?

周りを見ると他のメイドや執事達も玄関に向かって行きます。

 

今日くる人はジン様よりも偉い人なんでしょうか。どんどん今日訪れる人に興味が出てくるのを感じました。

 

ドアがゆっくりと開いていきます。開くにつれ私の鼓動も早くなっていきます。ジン様より偉いかもしれない人と会うのはやはり緊張します。

 

入ってきたのは何人かの男女。真ん中の女の人がきっとその偉い人でしょう。周りはボディーガードとか召使のやうな方々でしょうか。

 

とても綺麗な人です。ここに来る、もしくはいる女の人はみんな綺麗なんですけどどうなっているんでしょうか。

 

メアさんがお姉さんのような女の人だとするのなら、あの人はお母さんですね。

 

白い髪を後頭部で一つにまとめて、腰まで垂れています。俗に言うポニーテールですね。着ている服装の主な色も白なので益々綺麗に見えます。顔立ちもどこかお母さんのようで、その笑みはみんなに安心感を与えるようなものでした。

 

ですが私はその人を見てすこし違和感を感じていました。

 

この人がジン様にもしないお出迎えをするほど偉い人?

 

偉い人というのはそういう人なりの雰囲気があるのです。その人自身に力がなくとも、偉い人という雰囲気はあるものなのです。

なんというのでしょう。ぱっと見て、あ、偉い人だなとわかる感じです。私はそういう人たちが度々屋敷に訪れるのを見て、その雰囲気を感じることができるようになってきました。

 

ですが、あの人にはそんな雰囲気はないのです。言ってしまうなら街の人たちと同じくらいの雰囲気なのです。とてもジン様より偉そうには見えません。

 

ですが、そんな違和感を気にすることが不可能なくらいの衝撃が私を襲うことになりました。

 

 

「「「おかえりなさいませ、奥様。」」」

 

その言葉を聞いた瞬間、頭をガツンと殴られたような衝撃が私を襲いました。それと同時に私の胸がズキンと痛みました。なんの痛みでしょうか。

 

……は?奥様?奥様ということはジン様の妻ってことですか?

 

驚きで足元がぐらついているように感じました。

頭が何も考えられないくらい真っ白になりました。だめです、思考が追いつかない。

 

メアさんが女の人の元に歩いて行きました。このときまだ私の中に嘘であってほしいという希望が消えずにすこしのことっていました。

私の中でメアさんは他の人とは違う括りの中にいました。

そんなメアさんがこの事実を否定してくれるかもしれないなんてことを期待していたのかもしれません。ですがそれも

 

「おかえりなさいませ、奥様。」

 

なんて言葉で打ち砕かれました。

 

「久しぶりね、メア。どう?ジンは元気にしてる?」

 

「ジン様も奥様のお帰りを今か今かと首を長くして待っていらっしゃいました。」

 

「そう……。なら早く会ってあげないとね。」

 

そう言う女の人の顔は本当に愛おしそうで、嬉しそうで、あの人もジン様を思っているということを私に悟らせるには十分でした。

 

「あの人も隅に置けないわね。あんな綺麗な奥さんがいるなんて。でもあんないい人に妻がいるなんて当たり前ね。」

 

そんなお母さんの言葉が私の意識を現実に戻しました。

 

そうです。あんなにいい人なんだからそう言う人がいてもなんらおかしくもなんともないのです。

さすがジン様です。あんなに綺麗で、優しそうな人を妻に持っているだなんて。これで一層ジン様のことが誇らしくなりました。さすが私のご主人様。

 

……なら、今私の胸を支配しているこの痛みはなんでしょうか。このズキズキと心に突き刺さるような痛みはなんでしょうか。

 

ですが私はこの痛みを無意識に心の奥に押し込んでしまいました。

 

考えたくない。そう、今私の胸にあるのはジン様に対するさすがという気持ちだけ。ジン様に邪な感情なんて抱いていない。

 

そう私は自分に言い聞かせました。

 

「ひさしぶりだね。おかえり、ユリア。」

 

気持ちを押し殺す私に追い打ちをかけるようにジン様がやってきました。その表情はいつもより穏やかで、私の中に黒い感情が湧いてくるのを感じました。

 

名前はユリアと言うらしいです。ラストネームはなんでしょうか。あ、夫婦だからユリア・アルフォードですね、なんてすこし自虐気味に考えました。

 

「ただいま、ジン。」

 

そう言って二人はハグをしました。会えなかった長い時間を埋め合わせるようにしっかりと。

やめてください。私の前でそんなことをしないでください。なんでそんなことを思うのかわかりませんでしたが、そんなことが私の頭の中を支配しました。

 

「リーナ?大丈夫?」

 

突然お母さんに話しかけられました。

 

「何が?」

 

そう返す私の声は自分でも驚くほど低い声でした。イラついているようにも聞こえます。

 

「顔色が悪いから。どこか悪いの?休んでくる?私は奥様に挨拶してくるけどリーナはどうする?」

 

「……うん、ちょっと気分が悪いかも。休んでくる。」

 

「そう、ゆっくり休みなさいね。」

 

そう言ってお母さんはジン様の元へ歩いて行きました。

体調が悪いなんて嘘。なんとなく仲睦まじいあの夫婦を見たくないだけ。

 

向こうではお母さんが自己紹介をし、和気藹々としています。お母さんも、メアさんも、ジン様も、ユリアさんも、その周りのメイド、執事達も幸せそうに笑っています。

 

なんとなくもうその光景は見ていたくなくて彼らに背を向け歩き出しました。

 

 

私の背後ではみなさんの幸せそうな笑い声だけが聞こえていました。

 




前書きでも言いましたがもう一度。
「私にラブコメは書けない。」「まだ終わったわけじゃない。」

書けないなりに頑張りますけどね。

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