不本意ながら奴隷を買うことになった《凍結》 作:こめぴ
「あの…それで私は何をすれば…」
お風呂を出てからの第一声は私の一言だった。
「そうね…。とりあえずは家事ね。料理、洗濯、洗い物、色々ある。ちょうど一人抜けたところだったからちょうど良かって言えばちょうど良かったのかしら。」
「ちょうどよかった…?」
「うちってね一応は貴族なんだけど他と比べてそんなに裕福というわけじゃないの。もちろん普通の人よりは裕福だけどね。なのに伯爵っていう高い地位なのはジン様の能力が高いから。
そんなジン様は人件費はなるべく抑えたかった。だからメイドとかの人数はギリギリなのよ。なのにこの前一人辞めちゃったからね。なんか実家が大変らしくてね。こんなご時世だからしょうがないけど。」
メイドにも色々あるようです。この屋敷も思っていたより余裕があるというわけでもなさそうです。そんな時に私のようなお荷物を買うことになってしまいすこし申し訳なく感じます。
「それじゃもうそろそろご飯の時間だから準備しましょうか。キッチンの使い方とか場所教えるね。」
どうやらいつのまにかキッチンについていたようです。
さすが貴族の屋敷のキッチンだけあって高級レストランにも負けない広さがあります。調理器具もきちんと揃えてあります。あれは確か中華鍋でしょうか。お釜らしきものもあります。ほかにも遠くの国で使われている道具もいくつかあるようです。
掃除も欠かさずやっているのでしょう。かなり清潔感にあふれています。
キッチンにはこの屋敷のメイド、執事であろう方々が何人か既にいました。
しかし私はふと疑問思いました。
「今更ですが私たちが作るんですか?シェフとかではなく?」
そう、今までにお仕えしたご主人様のお食事はすべて専属のシェフが作っていたのです。しかしこの屋敷ではそれらしき人は一人も見かけることはありませんでした。
「まあ不思議に思うでしょうね。これもジン様が決めたこと。
ジン様はシェフの作る高い料理は美味しいんだけど俺には合わない。やっぱり普通の料理がいいとかいってた。
まあ本音は人件費節約なんでしょうけど。」
「ここってそんなに余裕ないんですか?」
「そういうわけじゃないの。人件費はもちろんだけど、ああゆうシェフって美味しいものを作ろうとしすぎて食材もバカ高いやつを買うことが多いの。その出費が痛いそうよ。もちろん客を招く時はその都度シェフを雇ってそれなりの料理を出すようにしているけど。」
そんなことを説明しながらもメアさんはテキパキと下ごしらえを済ませていきます。さすがです。お風呂で聞いた話が嘘のようです。
周りでは他のメイドの方々も各々の作業をしています。
それぞれに役割があるようで私がでしゃばって狂わせても申し訳ないのでなにか命令されるまで待機しておくことにしました。
「じゃあアイラちゃん。このフライパン見といて。」
なるほど見ていればいいんですね。
じーーーーー
じーーーーー
じーーーーー
……なんか黒くなってきましたね。匂いもお世辞にもいい匂いとは言えない匂いになってきました。
「アイラちゃん!」
声のした方を見るとメアさんが驚いた顔で私の顔とフライパンを交互に見ています。
「あー、これはもうだめね。完全に焦げてる。アイラちゃんフライパン見ておいてって言ったじゃない。」
「はい。だから見てました。」
なにを聞かれているんでしょうか。きちんと言われたことをやったのに。
「アイラちゃんさ…もしかして、料理できない?」
メアさんが顔を引きつらせながら私にそう尋ねました。珍しいですね。
料理ができないか?そんなの答えは決まっています。
「はい。」
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「なるほどねぇ…これは誤算だな。最近の奴隷の扱いを考慮すべきだったかなぁ…。」
「いえ、私もすこし考えればわかることでした。」
「それにしても家事ができないのか…。どうするかなぁ。俺の仕事は手伝えないだろうし。」
あのあとメアさんはジン様を呼びに行きました。
どうやら事情を説明したようです。
ジン様は予想外だったのかすこし頭を抱えています。
そもそも奴隷に家事をやらせようとするのが間違っているのです。普通は奴隷に家事なんてやらせません。家事ならメイドがやってくれるんですから。ジン様が異常なだけなのです。異常なんて口が裂けても言えませんが。
私もらしくない。慣れないことの連続だったからでしょうか。言い訳ばかりしてしまいます。
どうやらさっきの「見といて」というのは料理ができるならわかる言葉でただ見てるだけじゃダメだったようです。
なるほどだから驚かれたのですね。
私が料理ができるからわかると思っていた。
それにしても目の前で自分の使い道を考えられるのはあまり気分がいいとは言えませんね。
いえ、それだけならよくあることなんですがここまで頭を唸らせられると私っている意味あるのか?と考えてしまいます。
放り出さないところはジン様の優しさから来ているというのは重々承知しているのですが。
「まあとりあえずは家事を少しずつ覚えていくってことにしようか。」
「しかし時間を割くことのできる人はいませんが…」
「そこはアイラが独学で頑張ってもらうしかないな。バーリルが俺の仕事やっちゃって暇になった時とか俺も教えれるから。」
「そんなジン様にご迷惑をかけるわけには…」
「そんながっつり手伝うわけじゃない。それにさっさと覚えてもらったほうがメアたちも楽になるからな。」
確かにメアさんの話だとジン様は家事もかなりできるようなので教える分の力量はあるんでしょうが…。
「それとお前はすこしばかり常識に疎い。これは奴隷だったからしょうがない。だけどやっぱりこれから働いてもらうために治さないといけない。
ついてきて。」
そう言ったジン様について行った先は書斎でした。
「すごい…」
圧巻の一言です。
見渡す限り本、本、本です。何百冊あるのか想像もできません。息を吸うと紙の心地よい匂いがします。
ぱっと見なので詳しくはわかりませんが、様々な種類の本があります。
「すごいだろ?ここには俺が今までに買って読んだ本全部がある。他のやつも読めるようにって置いといたんだが、なぜか他のやつらも自分の本を置き始めてな。こんな量になってしまった。
この部屋自由に入っていいから。本も自由に持っていっていい。もちろんきちんと元の場所に返すことが条件だけどな。」
「いいんですか?」
「いいぞ。確か料理とか家事の本も確かあったはずだ。それで勉強しろよ。」
「本当に何から何まですいません…」
「いやいいよ。この恩はきちんと働いてかえしてくれればいいから。」
そういってジン様は私の頭をくしゃりと撫でました。
わたしはその行為の意図がわからず首をかしげるだけでした。
そのあとわたしは料理の本を持ち、その本と実際に料理をしているメイドさんを見比べながら勉強をしていました。
なるほど料理というのはなかなか奥が深くて面白そうですね。はやく人並みくらいはできるようになりたいものです。
いつも思いついたこと書いてるけど、もっといろいろ考えたほうがいいのかなぁ
あと文字数ふやしたほうがいいのかな
どれくらいがいいんだろ