ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です!

いよいよラブライブの最初の山場、ファーストライブ回が始まります!!

上手く書けてるか不安ですが、是非とも温かい目でご覧ください!!


それではどうぞお楽しみください!!



9話 初陣 "ファーストライブ"

「いよいよ明日か・・・。」

 

「ここまで長かったような短かったような・・・。でもあいつら練習もカンペキにこなして、歌も踊りも何とか形になったんだから心配はいらんだろ!」

 

穂乃果がスクールアイドルをやると言い出してからおよそ1ヶ月が経ち、ファーストライブ本番が翌日に控えてる状態だった。志郎も幸雄も主に練習方面でのサポートに従事しており、彼女たちの成長を実感していた。

 

「ムフフフフ・・・。いいでしょう。もし来てくれたらここで少しだけ見せてあげちゃいますよ~。お客さんだけに特別に・・・。」

 

「もしお友達も一緒に連れてきていただけたらもう少し!」

 

「「本当!?」」

 

志郎たちが校門に入ると、少し先の方に穂乃果とことりが何やら別の女子生徒を相手に何か怪しげな商人のように話しかけていた。

 

「何やってんだお前ら。」

 

「あ、志郎くん、幸雄くん!」

 

「実はね、この人たちに少しだけ踊りを見せてほしいって言われてね。ライブに来てもらう代わりに最初の部分だけ見せようとしてるとこなんだ!」

 

「はあ、そういうのはやめた方がいいだろ。ネタバレになっちまうし、何よりプレミア感が薄れちまうだろ?」

 

幸雄はそう言って穂乃果たちをたしなめる。

 

「えー!別にいいじゃん!」

 

負けじと穂乃果も幸雄に対抗する。

 

「まあ、俺からすればどっちでもいいんだが・・・。」

 

「ほら志郎くんもこう言ってるし!」

 

「本気か志郎!?」

 

「それより、海未がいないのにどうやって見せるんだ?」

 

「「「え?」」」

 

志郎が海未の不在を指摘して、穂乃果たち三人はようやく海未がいなくなってることに気が付いた。

 

 

 

 

「・・・やっぱり無理です。」

 

四人で学校中を探し回り、海未を見つけたのは屋上だった。

 

「えー、どうしたの?海未ちゃんなら出来るよ!」

 

そう言って穂乃果は海未を励ます。

 

「・・・できます。歌もダンスもこれだけ練習してきましたし・・・、でも人前で歌うのを想像すると・・・。」

 

「なるほど、海未はあがり症だったのか。」

 

「そうだ!そういう時はお客さんを野菜だと思えってお母さんが言ってた!」

 

「ああー、そいつは名案だな。」

 

幸雄は穂乃果の緊張の解消法に賛成したが、

 

「私に一人で歌えと!?」

 

海未は少し考えてから穂乃果の案を拒否した。

 

「どうやったらそういう結論になるんだ・・・。」

 

「大方、無人島で野菜に囲まれてる想像でもしてたんじゃねえの?」

 

「はあ、困ったなあ。」

 

「でも、海未ちゃんが辛いなら何か考えないと・・・。」

 

「無理強いするわけにもいかんしなあ~。」

 

「ひ、人前じゃなければ大丈夫なんです!人前じゃなければ・・・!」

 

そう言って頭を抱える海未を見て穂乃果は、

 

「色々考えるより慣れちゃった方が早いよ!」

 

そう言って海未の腕をつかんで立ち上がらせた。

 

「じゃあ行こっか!」

 

そう言って穂乃果たちが向かったのは・・・。

 

 

 

たくさんの人が行き交う電機街とオタクの街、秋葉原だった

 

「ひ、人がたくさん・・・!」

 

「当たり前でしょ!そういう所を選んだんだから!」

 

「しかし、穂乃果にしちゃ考えたもんだな。ここでビラ配りしてれば海未のあがり症を克服にも貢献できるし宣伝にもなるからな!」

 

「ひどいなー、幸雄くん私だって結構やればできるんだよ!」

 

「まあ、名案であることには間違いないな。」

 

「私もいいと思うよ。でも、海未ちゃんが・・・。」

 

「ん?」

 

ことりが見ている方に志郎たちが目を向けると、

 

「・・・あ、レアなのが出たみたいです。」

 

海未はガチャガチャを回していた。

 

「どうやらいきなりここは刺激が強すぎたらしいな・・・。」

 

 

結局、志郎たちは学校に戻って校門付近でビラを配ることにした。

 

「μ'sのファーストライブをやりまーす!よろしくお願いしまーす!」

 

「ありがとうございます。ぜひ来てください!」

 

「よろしくお願いします!」

 

「あ・・・、あの・・・。」

 

「だめだよそんなんじゃ!」

 

「穂乃果はお店の手伝いで慣れてるじゃないですか。」

 

「ことりちゃんだってちゃんとやってるよ?ほら、海未ちゃんも!それ全部配るまで帰っちゃだめだからね!」

 

「ええ!?無理です!!」

 

「海未ちゃん、私が階段5往復できないって言った時なんて言ったっけ?」

 

「・・・わかりました、やりましょう!お願いします!μ's、ファーストライブやりまーす!!」

 

穂乃果の言葉で奮起した海未を見て、穂乃果は微笑んだ。

 

(穂乃果はすごいな・・・。さっきまで目も当てられない状態だった海未をここまで奮起させるとは・・・。やはり、只者ではないようだな・・・。)

 

志郎は穂乃果と海未の様子を見て改めて穂乃果の潜在的なカリスマ性に感服していた。

 

「あ、あの・・・。」

 

そんな志郎の後ろから誰かが声をかけた。

 

「お、小泉じゃないか。どうしたんだ?」

 

「あ、はい・・・。ライブ・・・、見に、行きます・・・。」

 

「おお、そうか。それはありがt」

 

「ほんと!?」

 

「来てくれるの!?」

 

志郎を押しのけて穂乃果とことりがやってきた。

 

「でしたら、一枚だけとは言わずこれを全部・・・。」

 

「海未ちゃん!」

 

「分かってます・・・。」

 

「まあ、とにかくそういってくれて嬉しいよ。」

 

そう言って志郎は花陽にビラを渡した。

 

 

 

そしてビラ配りが終わり、穂乃果と海未、そして志郎と幸雄の四人は穂乃果の部屋に来てスクールアイドル、『A-RISE』の動画を見ていた

 

「うーん、やっぱり動きのキレが違うよね。」

 

そう言って穂乃果は振り付けの練習をする。

 

「気持ちはわかるが別にそこまで気にする必要はないだろう。」

 

「そうそう、ありのままのお前らで勝負すればええんやで。」

 

「うーんそうは言っても・・・。あっ!!」

 

「どうしました?」

 

穂乃果が急にパソコンの画面に張り付いたので不思議に思った海未は穂乃果に何があったのかたずねた。

 

「ランクが上がってる!きっとチラシを見た人が票を入れてくれたんだよ!!」

 

「嬉しいものですね!」

 

「な、俺の言ったとおりだろ?」

 

「おまたせー。」

 

そんな明るいムードの中、ことりが袋を持って入ってきた。

 

「あ、それってもしかして衣装!?」

 

「うん、お店で最後の仕上げをしてもらったの!」

 

そう言って期待に胸を膨らませる穂乃果や息を呑む海未の前でことりは完成した衣装を取り出した。

 

「ジャーン!!」

 

「うわあ、かわいい・・・!本物のアイドルみたい!!」

 

「本当!?」

 

そう言って喜び合う穂乃果とことりとは打って変わって海未は目を見開いて呆然としていた。

 

「なかなかいい衣装だな。なあ、幸雄。」

 

「おう、こりゃなかなかいいなあってどうしたんだ海未?そんな顔して。」

 

「ことり・・・、そのスカート丈は?」

 

「あ。」

 

「「?」」

 

志郎と幸雄はことりと海未のやり取りを怪訝そうに見ていたが、話を聞いてみるとどうやらスカート丈は膝下にするようにと海未がことりにあらかじめに言っておいたらしい。

 

「うーん、流石に往生際が悪すぎるのでは・・・?」

 

「ああ、流石に悪あがきじゃあ・・・。」

 

話を聞いて少し呆れ気味に二人はそう言ったが、

 

「何か言いましたか?」

 

「「いえ、なんでもありません。」」

 

海未のドスの効いた声と殺気のこもった眼で詰め寄られては流石の二人も形無しだった。

 

「そういうことなら、私は一人だけ制服で歌います!!」

 

そう言って海未は穂乃果の部屋から出ようとした。

 

「ええ!?」

 

「そんなあ!」

 

「そもそも二人が悪いんですよ!?私に黙って結託するなんて!」

 

「・・・だって、絶対成功させたいんだもん。歌を作ってステップを覚えて衣装もそろえて、ここまでずっとがんばってきたんだもん・・・!三人でやってよかったって、頑張ってきてよかったて思いたいの・・・!」

 

「穂乃果、お前・・・。」

 

穂乃果はそう言って窓に駆け寄ってから、窓を大きく開け放して

 

「思いたいのおおおおおおおおおおお!!」

 

「何やってんだ馬鹿もん!」

 

すかさず志郎の手刀が穂乃果の脳天に叩き込まれた。

 

「なにすんの志郎くん!」

 

「気持ちはわかるが近所迷惑だ、たわけ!」

 

「まったく、何してるんですか穂乃果は・・・。」

 

呆れる海未にことりが語りかけた。

 

「それは、私も同じかな。私も三人でライブを成功させたい!」

 

「そうそう。三人一緒にやり遂げてこそ、本当にやってよかったと思えるんじゃねえの?」

 

「ことり・・・、幸雄・・・。」

 

海未は穂乃果を見て、ため息をつきながらうなずいた。

 

「・・・いつもいつもずるいです。わかりました・・・!」

 

「海未ちゃん・・・!だーいすき!!」

 

穂乃果はそう言って海未に抱き着いた。

 

そしてその後、5人は神田明神でファーストライブが絶対に成功するようにと祈ってから家に帰った。

 

「明日のライブ、成功するといいですな・・・。」

 

「そうだな。だがそれは少し違うぞ昌幸。」

 

「違う、とは?」

 

「成功するといい、ではなく絶対に成功させる、そう思うのだ。あいつらのためにもな・・・。」

 

「勝頼さま・・・。そうですな。なら明日は死ぬほど忙しくなりそうですな!」

 

「ああ、明日は俺たちも忙しくなるぞ!!」

 

 

 

 

翌日、新入生歓迎会が終わりファーストライブが始まるまでの時間は残りわずかとなっていた。穂乃果たちは本番前の着替えなどの打ち合わせのため、先に講堂に行っており、志郎と幸雄はビラを配って客引きに勤しんでいた。

 

「μ'sのファーストライブはこのあとの午後4時から始まります!よろしくお願いします!!」

 

「しっかし、他の部活に客がどんどん取られちまってるな・・・。ビラの減りも昨日に比べると遅いし・・・。」

 

「弱音を吐くな幸雄!あいつらが頑張っているというのに俺たちがそんな弱気でどうする。絶対に成功させるのだ・・・。」

 

「手伝うよ二人ともっ。」

 

「「ミカ!?」」

 

「もう、なんでそんなに驚いてるの~。」

 

「いや、一人でいるのが珍しいって思ってな。」

 

「ヒデコとフミコはどうした?」

 

「二人は講堂で音響と照明の準備をしてるよ!」

 

「すまんな、お前たちにも手伝わせてしまって・・・。」

 

「いいのいいの!私たちだって学校のためにできることをしたいし!そんなことより二人は穂乃果たちのところに行ってあげて!」

 

「だが・・・。」

 

「まあ、ミカがそう言ってくれるならお言葉に甘えよーぜ。」

 

「あ、ああ。すまん、後は頼んだ!!」

 

そう言って志郎と幸雄は講堂に向かって走っていった。そして穂乃果たちがいるステージ裏の控え室につき、

 

「おーいお前ら、入るぞー。」

 

志郎たちがノックして開けると、

 

「えーい!」

 

「いやあああああ!!」

 

なんと穂乃果が、海未がスカートの下にはいていたジャージを脱がせていた。

 

「なにしてんだよ・・・。」

 

「なっ・・・!破廉恥です!!」

 

「解せぬ!!」

 

海未は近くに置いてあった自分のカバンを志郎に投げつけたが、志郎がよけたので幸雄の顔面に直撃した。

 

「なんで避けたし・・・。」

 

「すまん、つい・・・。」

 

「いてて・・・。おお!みんな似合ってるじゃねえか!」

 

「海未ちゃん、かわいいよ!」

 

「ほらほら!海未ちゃん一番似合ってるんじゃない?ね、志郎くんたちもそう思うでしょ?」

 

「ああ、なかなか様になってるぞ!!」

 

「そうだな、確かに一番かもしれんな・・・。自信持てよ海未!」

 

「え、ええ・・・。」

 

男子二人に褒められてうろたえる海未に穂乃果は、

 

「それに、三人で並んじゃえば恥ずかしくないでしょ!」

 

「はい・・・。確かにこうしていれば・・・!」

 

「じゃあ、最後にもう一度練習しよ!」

 

「そーねっ!」

 

「じゃあ、俺たちは客席に行ってるよ。」

 

「健闘を祈ってるぜ!!」

 

そう言って志郎たちは控え室から出て行った。しかし、志郎たちの先には耐え難い現実が待ち構えていた。

 

 

「嘘だろ・・・?そんな、馬鹿な・・・!」

 

なんと講堂の客席には誰もいなかったのだ。

 

「すまん志郎・・・、こうなることは予測できなかったわけじゃないんだ・・・。」

 

「なに・・・?どういうことだ・・・!」

 

幸雄は絞り出すように話し出した。

 

「まずそもそも、新入生歓迎会の日にライブを開いたこと自体がミスだったんだ・・・!」

 

「ミス・・・?」

 

「ああ、新入生歓迎会の後には体験入部があるだろ。新入生歓迎会では部活の紹介があってそこで興味を持った一年生が自分が興味を持った部活へ行く。しかし俺たちは正式な部活じゃないから紹介できない。だから宣伝面では他の部活に遅れを取っていたんだ。」

 

「だが、何人かの生徒は興味を持って・・・。」

 

「それはあくまでも、『見る側』としての興味だ。メンバーになることなど露にも思ってなんかいないのさ。そもそも俺たちはここでメンバーを集めるはずだったろ?」

 

「あっ・・・!」

 

「それに一年生は30人しかいないんだ。ただでさえアピール力のない俺たちのところに来てくれる奴らは・・・。」

 

「なんで・・・。何故それを言わなかった・・・!!気づけなかった俺にも非はあるが何故言わなかったんだ・・・!」

 

「しょうがねえだろ・・・!あいつらはこの日のためにどれだけ努力してきたと思ってる!!それは一緒に練習してたお前が一番知ってるだろう・・・!」

 

「・・・!」

 

「俺はあいつらの努力をふいにするような真似はしたくなかった・・・!あいつらの純粋な想いを否定したくなかったんだ・・・!」

 

「幸雄・・・。」

 

『ヴーーーー!!』

 

始まりを告げるブザーが鳴り、ステージの幕が開いた。穂乃果たちは三人で手をつないで立っていたが、目の前の閑静な客席を前に呆然としていた。

 

「ごめん・・・、頑張ったんだけど・・・。」

 

そして穂乃果たちは自分たちに突き付けられた現状を理解して、泣きそうになりながら唇を噛みしめていた。

 

「すまん穂乃果!俺が悪かったんだ!!日程とか宣伝の仕方とか色々もっと考えてれば・・・!」

 

「違うよ幸雄くん!」

 

「なに・・・?」

 

「誰も悪くないよ。うん、よく考えたらそうだよね。最初っから上手く行きっこないよね!世の中そんなに甘くないっ!」

 

穂乃果は笑いながらそう言って見せたが、その目には涙がたまっていた。そして、堪えきれずに泣きそうになったその時、志郎が叫んだ。

 

「泣くんじゃない!歌え!!」

 

「志郎・・・くん?」

 

志郎は客席に向かって歩いていき講堂のど真ん中、穂乃果たちの真正面の席にドカッと座った。

 

「俺が・・・いや、この場にいる俺たちが観客だ!!俺たちが見守ってやる、見届けてやる・・・!だから歌うんだ!!お前たちの今までの努力や思いは無駄なんかじゃない!!アイドルがそんな悲しい顔をするな!アイドルなら笑顔で歌って・・・、俺たち観客を笑顔にしてみせてくれ!!!」

 

「志郎、お前・・・!ああ、そうだよな。その通りだ!!俺たちが見ていてやる!お前らは安心して歌え!!」

 

「志郎くん・・・。幸雄くん・・・!」

 

そんななか、一人の女子生徒がビラを持って講堂に飛び込んできた。

 

「はあ、はあ、はあ・・・。」

 

「小泉・・・!」

 

そう、小泉花陽だ。彼女は走ってきたのか息を切らしていた。

 

「あれ・・・?ライブは・・・?」

 

「・・・やろう!」

 

花陽を見て意を決した穂乃果は言った。

 

「歌おう、全力で!!だって、そのために今日まで頑張ってきたんだから!!」

 

「「!!」」

 

ことりと海未も穂乃果の言葉を聞いてはっとした。

 

「歌おう!!」

 

「穂乃果ちゃん・・・!海未ちゃん・・・!!」

 

「ええ!!」

 

「ああ、その意気だ・・・!」

 

三人の姿を見て、志郎は満足げに、そして誇らしげにつぶやいた。そして講堂が暗くなり、穂乃果たちの初ライブが始まった。志郎の近くに座った花陽は踊りだした穂乃果たちを見て目を輝かせていた。

 

(踊りそのものは今まで以上にできているがまだ他のスクールアイドルに比べてぎこちなさが少し残ってる・・・。だけどあいつらの顔・・・、充実してるな。さっきまでの雰囲気が全部嘘みたいだ・・・。勝頼さまの激励と、小泉が来てくれたという奇跡が彼女たちの絶望を覆したというのか・・・!)

 

幸雄はそうつぶやいて客席にいる志郎の方に目を向けると、花陽の隣に凛が座っており、客席の後ろの方で椅子の陰から顔を出してる人物、そして講堂の入り口付近に真姫を見つけた。

 

(いつの間にこんな・・・。確かにライブは失敗かもしれないが、完全に負けたわけではないみたいだな。勝頼さまがいなければあいつらも挫けてしまったかもしれんな。穂乃果たちもすごいが、あいつらを立ち直らせた勝頼さまも・・・。やはり勝頼さまも御屋形様の後継者たる男だったのだ・・・!)

 

そして曲が終わり、ライブが終了した。歌い切った穂乃果たちの顔は充実に満ちていた。志郎を中心とした10人といない観客たちは穂乃果たちに拍手を贈った。

 

そんな中、講堂の後ろからいつの間に来ていたのかステージに向かって絵里が降りてきた。

 

「どうするつもり?」

 

絵里は穂乃果に向かって問いかけた。

 

「続けます。」

 

「なぜ?これ以上続けても意味があるとは思えないけど。」

 

「やりたいからです!今、私もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。きっと海未ちゃんもことりちゃんも、こんな気持ち初めてなんです!!やってよかったって心から思えたんです!!」

 

そんな穂乃果の言葉を聞いて志郎はまた満足げに頬をほころばせた。

 

「今はこの気持ちを信じたい。このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。応援なんて全然もらえないかもしれない。でも一生懸命頑張って、とにかく私たちが頑張って届けたい!今私たちがここにいる・・・、この思いを!!」

 

そして穂乃果はさらに絵里に向かって、ある決意を告げた。

 

「いつか私たち必ず・・・、ここを満員にしてみせます!!」

 

(ははっ!大きく出たな穂乃果め。だが、あいつらならやってのけるはず・・・。いや、俺たちも絶対に実現させて見せるぜ!)

 

幸雄は穂乃果の宣言を聞いて不敵に笑いながらつぶやき、

 

(ふ・・・。やはり穂乃果は高みへと上り詰められる才があるのかもしれんな・・・。)

 

志郎はそう思いながら穂乃果を見据えた。

 

 

 

 

「ねえ、ちょっといいかしら。」

 

ライブの後始末が終わり、帰ろうとする志郎を絵里が引き留めた。

 

「なんでしょうか、生徒会長。」

 

「あなたはなぜ、彼女たちをサポートしようと思ったの?」

 

「と、言いますと?」

 

「彼女たちがやってることが実を結ぶとは限らないってことはこのライブを見てあなたも分かってるんじゃないのかしら?」

 

「確かに今回の件で俺たちがいかに無力かを実感しましたよ。」

 

「それならなぜ・・・!」

 

「羽ばたいていけると、あいつらには翼があると確信したからですよ。」

 

「翼・・・?」

 

「はい、あいつらにはどん底に落ちてもまた空高く羽ばたいていける翼があると穂乃果たちのやり切った顔を見て確信したんです。それに、俺は座して滅びを待つ主義ではないので・・・。あともう一ついいでしょうか?」

 

「なにかしら?」

 

「さっき会長はあいつらの活動を意味のある行為とは思えないって言いましたよね。」

 

「ええ、確かに言ったわ。」

 

「これだけは覚えておいてください。この世には価値の無いものこそあれど、意味を持たぬものなどない・・・と。では、失礼します。」

 

志郎はそう言って去っていった。

 

「意味を持たぬものなどない・・・か。あの子、いったい何者なのかしら・・・。」

 

 

 

 

「おーい、遅いぞ志郎!!」

 

校門には幸雄が待っていた。

 

「すまん、少し用事が残っていてな。」

 

「ほーん。で、どうするんだい?」

 

「聞くまでもないんじゃないか?」

 

「バレたか。あいつらはこんなところで止まってるような存在ではない。」

 

「ああ、故に俺たちはあいつらをさらに羽ばたかせなくてはいけない。今回のライブは長篠の戦だ。」

 

「長篠の戦・・・ですか。」

 

「ああ、今回のライブはあいつらにとっても俺たちにとってもかなり手痛い敗北だ。だが、『あの時』のようにそれを引きずるのではなく、糧にして立ち直らねばならん。」

 

「そうですな。」

 

「あいつらはさらに前を見据えてる。心情的には大丈夫かもしれんが、心意気だけでどうにかなるわけではない。だからこそ、俺たちがさらに補わねばならん。力を貸してくれるな?」

 

「無論にございます!俺もこのまま失敗しっぱなしでは気が済みませんからな!!」

 

「ああ、共に頑張ろう!!」

 

こうしてμ'sのファーストライブは終わり、穂乃果たちだけでなく志郎たちも新たな決意を胸に抱き、前に進んでいくのだった。




いかがでしたでしょうか。

今回はかなりの難産でした。ちゃんとうまくまとめられるか不安でしたが何とかまとめられました!

遂に志郎と絵里が真正面から対峙しました。これから二人の関係がどのようなものになるのか、ご注目ください!

次回は一年生組の加入回です。


あと、余談ですが最近学校が本格的に始まったので更新速度がさらに遅くなるかもしれません。ご了承ください。


それでは次回もどうぞお楽しみください!!
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