ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です。

今回も一年生組加入回です!そしてアニメでは触れられることがなかった凛ちゃんへのアプローチ回です!

あと、お気に入り件数が20件になりました。読んでくれてる皆様、そしてお気に入りにしてくれた皆様、誠にありがとうございます!


それではどうぞお楽しみください!!


11話 新しい仲間 中編 炯眼は星空を見据える。

志郎が花陽と一緒に真姫の家に行っていた頃、幸雄は絵里と希と共に理事長室に来ていた。

 

「彼女たちのライブには生徒は全く集まりませんでした。スクールアイドルの活動は音ノ木坂学院にとってマイナスだと思います。」

 

(黙って聞いてりゃあ随分と好き勝手言ってくれてるじゃねえか。確かに人が全然集まらなかったのは事実だが、何も全くって程じゃねえだろうに。よっぽどあいつらのことが気に食わないらしいな・・・。)

 

「学校の事情で生徒たちの活動を制限するのは・・・。」

 

「でしたら、学院存続のために生徒会も独自に活動させてください!!」

 

「それはだめよ。」

 

理事長は絵里の提案を認めなかった。

 

「なぜですか!!」

 

絵里は食い下がろうとするも、

 

「それに、全然人気がないわけじゃないみたいですよ。」

 

理事長はそう言って絵里たちにパソコンを見せた。

 

「あっ・・・。」

 

「こいつは・・・!」

 

「この前のライブの・・・。」

 

パソコンに映っていたのはμ'sのファーストライブの様子だった。誰が録っていたのか、スクールアイドルの動画サイトにあげられていたらしい。

 

「誰かが録ってたんやなあ。」

 

そう言って希は目を絵里の方に向けた。幸雄はその希の様子を見逃さなかった。

 

 

 

「「「失礼しました。」」」

 

絵里たちが理事長室から出てきた。理事長への嘆願はもちろん上手く行かなかったからか、絵里の表情は険しかった。

 

(自分の思う通りに行かなかったから・・・、と言うほどこいつも幼稚ではあるまい。こいつの表情からは焦りとどういうわけか『困惑』を感じる・・・。)

 

「ねえ。」

 

「はい?何か御用で、会長さん。」

 

唐突に絵里が幸雄に声をかけ、幸雄は慇懃な口調で返事をする。

 

「さっきからずっと気になってたんだけど、なんでついてきたのかしら?」

 

「どうしてって言われましてもねえ・・・。俺も仮所属とはいえ、生徒会の一員ですし会長たちの仕事をサポートするのも仕事の一環かなって思いましてね?」

 

「別に今ついてくる必要はないと思うのだけど?」

 

「いやあ、今回は面白そうなものが見れそうだなと思ったんですが、当てが外れましたな。」

 

「面白い事、ですって・・・?私たちは真面目に学院存続を考えてるのよ!ふざけたこと言わないで!!」

 

幸雄の一言で絵里が激高する。

 

「別に俺はふざけてなんかいませんよ。そう見えるだけで普段からまじめですよ。」

 

絵里の一言を受けて幸雄の表情がいつもの飄々としたものから、一変して真剣なものに変わった。

 

「俺から言わせればふざけてるのはあんたの方だ。真面目に廃校阻止を望むなら何故あいつらの活動を否定する?」

 

「それは、彼女たちの活動がお遊びにしか見えないからよ!そんな遊び半分で物事を考えてほしくないのよ!」

 

「お遊び半分とはずいぶんな言い草だ。じゃああんたにはあいつらの活動よりも崇高で真面目な代案でもあるのか?」

 

「うっ・・・、それは・・・。」

 

絵里が幸雄の反論に言葉を詰まらせる。

 

「ないんだろう?それほどこの学校は追い詰められてるんだ。体面なんか気にしないでがむしゃらに頑張ってるあいつらの方がよっぽど利口に見えるぜ?大体なぜあんたはそこまであいつらのスクールアイドルの活動を否定する?体面ばかり気にしてて息苦しくねえのか!?」

 

「・・・。」

 

幸雄の一方的な反論に押され、絵里は黙ってしまった。その表情は少し悲しげに見える。幸雄はその表情に既視感を感じた。

 

「・・・すまんな。少し言い過ぎたわ。」

 

「いいのよ。私もカッとなってごめんなさい。」

 

「えりち・・・。」

 

「今日は先に帰るわ。じゃあね。」

 

そう言って絵里は帰っていった。

 

「やれやれ、俺もガラじゃねえってのに熱くなりすぎちまった。」

 

「えりちはしっかりしてるように見えるけど、案外打たれ弱いんや。もうあんなことはよしといてね。」

 

希が幸雄を諭そうとするが、

 

「いや、そいつは無理な相談だ。」

 

「えっ?」

 

「会長はどっかの誰かさんに似て不器用な人だ。もう少し柔軟になれなきゃ『あいつ』と似た様な末路をこの学校、そしてあいつもたどることになっちまう。それだきゃあ断じて阻止しなくちゃならねえ。それこそ、俺が嫌われ者になってもだな。」

 

「ゆっきーくん・・・。」

 

「とにかく、俺はこれからもしばらくはμ'sと生徒会のどっちつかずで行かせてもらうからよろしくな、希副会長。」

 

幸雄もまたそう言って去っていった。

 

「ゆっきーくんに志郎くん、そしてμ's・・・。あの子たちならえりちの事、変えてくれるよね?」

 

希は誰もいない廊下で、タロットカードを見ながらつぶやく。希の手にしていたカードは、「運命の車輪」だった。

 

 

 

 

「かあーっ!!実にやりにくいなあちくしょう!!」

 

幸雄は不機嫌な様子でげた箱から出てきた。

 

「あのまま会長をそのまま論破してやろうと思ったら、あんな黙りこくっちゃって!あんな表情されたらできるもんもできなくなっちまうっつの!」

 

(さっきのあの表情、ありゃ勝頼さまと同じ顔だった・・・。周りから理解されずに苦しむ勝頼さまの・・・。とにかく論破して心変わりさせるのはやはり無理があったか・・・。あの会長、志郎並みに強情だったからなあ・・・。次の手を打つ必要があるが・・・。)

 

「・・・ぱーい。・・・せんぱーい。」

 

「うーん・・・。」

 

「武藤せんぱーい!!」

 

そう言って誰かが急に幸雄の背後から飛びかかってきた。

 

「どわっ!?何しやがる!」

 

「さっきから声かけてたのに無視する先輩がいけないにゃ!」

 

飛びかかってきたのは凛だった。幸雄に無視されてたせいか不機嫌そうだった。

 

「あー、悪かった悪かった。俺も少し考え事してたんだよ。」

 

そう言っ幸雄は凛をなだめる。

 

「そういや小泉は一緒じゃないのか?」

 

「かよちんは用事があるって先に帰っちゃったにゃ。」

 

「そうなのか。」

 

「あ、そんなことよりも先輩に聞いてほしいことがあるんだ!」

 

「なんだよ。」

 

「実は凛ね、かよちんに一緒にスクールアイドルに入らないかって誘われたの。」

 

「なに!?そいつは本当か!」

 

幸雄は凛の言葉に目を輝かせるが、

 

「でも断ったにゃ。」

 

「何故に?」

 

「だって凛って女の子っぽくないでしょ?スカートだって似合わないし髪も短いし・・・。先輩もそう思うでしょ?先輩ってスクールアイドルの人たちのサポートしてるから、凛がアイドルなんて似合わないってわかるかなーって思って・・・。」

 

凛は自嘲気味に笑いながらそう話した。

 

「そんなこたぁ、ないと思うがなあ。」

 

「そうだよね、凛はやっぱり向いてな・・・って、え?」

 

凛は幸雄の想定外の返事に困惑した。

 

「星空は別に女の子っぽくないとは思わないんだがな。」

 

「え、でもだって・・・。」

 

(ふふふ、照れてるな。そういう所がいいと思うんだが無自覚なのがなあ・・・。いや、自覚ありでやられてもあざとすぎて困るが。)

 

「それにお前さん、こうやって地面に座るときに下にハンカチ敷いてるだろ?まず今どきの女子でもやらないことができる!これを女の子っぽくないと言えるだろうか!?いや言えない!!」

 

「だって、それは地べたに座るとスカートが汚れちゃうし・・・。」

 

「そうそれ!!そうやって細やかなとこまで気が遣えるのって女子としてはかなりポイントが高いと思うぞ!!」

 

「そうでも、凛は女の子っぽい恰好なんて似合わないよ!小学生の時だって男子に笑われちゃったし・・・。」

 

「星空・・・。」

 

凛の表情を見て幸雄は囃し立てるのをやめた。

 

(なるほど、こいつがアイドルをやりたがらないのはこういうわけか・・・。こういう過去の経験から来たコンプレックスってのは簡単には無くせないからなあ。本当に思ってることとはいえ煽ててその気にさせるって戦法はまずいか・・・。)

 

「ほら、先輩だってそう思ってるでしょ?」

 

凛は黙った幸雄に悲しげに笑いながらそう言った。

 

(違うそうじゃねえ!くそっ・・・!あまり他人に自分の腹のうちを明かすのはやりたくねえが、そんなみみっちい矜持で女を泣かせるわけにはいかん!腹をくくれ幸雄・・・いや、真田安房守昌幸!!本音をぶちまけろ!!)

 

「だから凛はアイドルなんか向いてな・・・」

 

「そんなことはない!!」

 

「え・・・?」

 

幸雄が突然大声を上げたので凛は驚いた。

 

「確かに昔お前さんのスカート姿を笑ったやつがいるのは事実なんだろう。だけどそいつらはお前の表面しか知らないから笑っちまったんだろう。だが今のお前さんを見たらきっと後悔するだろうぜ?『ああ、昔の俺はなんでこんなかわいいやつのことを笑ってしまったんだろう』ってな!」

 

「でもそれって凛の表面が女の子っぽくないってことだよね・・・?」

 

「それは違うぞ!お前さんはお前さん自身が思ってる以上に女の子らしいと思ってる!さっき言ったハンカチの件もそうだ、お前さんはほかの女子以上に女の子らしさが内面からにじみ出てる!だからきっとかわいい服も似合うと思うぞ?」

 

「・・・。」

 

凛は幸雄にまくし立てられて顔が真っ赤になっていた。

 

「まあ、もし笑うやつがいたら笑い返してやるがいいさ、ははははは!」

 

「ねえ、武藤先輩。」

 

「ん?なんだ星空?まだ足りないか?」

 

「ううん。先輩がかわいいって言ってくれるのは嬉しいし顔がすごく熱いんだけど・・・。ううん、そんなことより凛はアイドルに向いてると思いますか?」

 

そういう凛の手は少しだけ震えていた。

 

(凛め、震えてるな。よっぽど勇気を振り絞ったのか・・・。ならば俺も誠意を以て応えねばなるまい。)

 

一呼吸おいて、幸雄は口を開いた。

 

「ああ、お前・・・。いや、凛ならなれるさ。」

 

「ほんと?」

 

凛は幸雄に聞き返す。

 

「ああ、俺の人を見る目は誰よりも確かだからな。俺のこの『炯眼』に狂いはねえ、命だって賭けてやるさ。」

 

幸雄は自分の目を指さしながら笑った。

 

「・・・そっか。」

 

凛は静かにそういった。

 

「まあ、やるかどうかはお前さん次第だから強制はしねえ。ゆっくり考えな。」

 

幸雄は立ち上がって去ろうした。

 

「せーんぱいっ!凛すごく嬉しかったよ!でもまだアイドルをやろうかは迷ってるから家に帰ってから考えるにゃ!」

 

「そうか、考えな若者よ。」

 

「先輩は凛と一つしか変わらないのに変なの。」

 

(確かに見た目の歳はさほど変わらんが、中身はお前らの五倍近く差があるんだがな。)

 

「そうだ、これから一緒にラーメン食べにいこ?おすすめのお店があるんだにゃ!」

 

「ほう、そいつは楽しみだな。」

 

 

 

 

そしてしばらくして・・・。

 

「ふう、美味かったなあ。」

 

「でしょ?凛のおすすめラーメン屋第一位のお店にゃ!かよちんにしか教えなかったんだよ?」

 

「ほう、そんな店を教えてくれたのか。今度志郎と一緒にまた来ようかな。」

 

「諏訪部先輩になら教えてあげてもいいよ!」

 

「なんで上から目線なんだよ。」

 

「じゃあ先輩、凛はこっちだから。」

 

「おう、じゃあな。」

 

凛はそのまま走っていった。

 

「ふう、やれやれ。何とか上手く行ったみたいだな。あとはあいつの心次第だが。」

 

(肝心のコンプレックスは取り除くことはできなかったが応急処置はできた。あとは流れに身を任せるだけ・・・だな。)

 

幸雄はあとのことを考えながら帰り路を進んでいた。

 

「あ、かーちゃんに晩飯いらねえっていうの忘れてた。」

 

余談だが、この後ラーメンを食べてきたことを隠して夕食を食べて翌日の朝まで腹痛に苦しんだことは言うまでもなかった。




いかがでしたでしょうか。

今回は最初の理事長室の下り以外は完全オリジナル回でした!(絵里ちゃん推しの皆さんごめんなさい)

花陽ちゃんと真姫ちゃんにはアプローチして凛ちゃんだけ省くのはいかがなものかと思って書きました。上手く書けてたでしょうか?


感想やこうしたほうがいいんじゃないかという意見があればどんどん書いてください!

次回はいよいよ一年生組加入回完結編です!



それでは次回もお楽しみください!
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