ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です!

今回は絵里加入編中編です!とりあえずこの話は今週中には終わらせたいなぁ…(フラグ)。


それではどうぞお楽しみください!!


20話 絢瀬絵里のやりたいこと

穂乃果たちが絵里にダンスを教わるか否かを話し合っているとき、絵里は家で妹の亜里沙と、その友人である雪穂を相手にオープンキャンパスでやる予定である音ノ木坂学院を紹介するスピーチの練習をしていた。

 

「・・・このように音ノ木坂学院の歴史は古く、この地域の発展にずっと関わってきました。さらに当時の学院は音楽学校という側面もあり、学院にはアーティストを目指す生徒に溢れ、非常にクリエイティブな雰囲気に包まれていたと言います。そんな音ノ木坂ならではの・・・。」

 

スピーチを聞いている亜里沙の表情は少し退屈そうで、雪穂に至ってはこっくりこっくりと居眠りをしているという有様であった。そして雪穂の体勢は次第に後ろの方へ傾いていき、

 

「うわあっ!体重増えたっ!!!」

 

と叫んで目を覚まし、

 

「あ、すいません・・・。」

 

と顔を赤くして消え入りそうな声で絵里に謝った

 

「ごめんね、退屈だった?」

 

絵里はそんな雪穂を見て申し訳なさそうに言った。

 

「い、いいえ!面白かったです!後半すごい引き込まれました!」

 

と雪穂は絵里に気遣ってそう言った。

 

「オープンキャンパスまでに直すから遠慮なく言って。」

 

と絵里が言うと亜里沙が立ち上がって、

 

「亜里沙はあまり面白くなかったわ。」

 

と言った。

 

「ちょっと!?」

 

と雪穂が小声で止めようとするも、

 

「なんでお姉ちゃんこんな話をしてるの?」

 

と絵里に問いかける。

 

「学校を廃校にしたくないからよ。」

 

「私も音ノ木坂は無くなってほしくないけど、でも・・・。これがお姉ちゃんのやりたいことなの?」

 

亜里沙からそう言われた絵里は何も言い返すことは出来ず、先ほどに幸雄が絵里に向かって言い放った言葉が彼女の頭の中をよぎった。

 

 

 

 

「嫌でしょ?自分の学校が廃校になったら。」

 

その次の日、絵里はその時のことを希に話した。

 

「それはそうやけど、廃校を阻止しなきゃって無理しすぎてるんやない?」

 

と話を聞いた希はタロットカードを片付けながら言った。

 

「そんな、無理なんて・・・。」

 

そう言って顔をしかめながら絵里は椅子に腰を下ろした。

 

「絵里ちも頑固やね。」

 

「私はただ、学校を存続させたいだけ。」

 

絵里がそう呟いたあと、生徒会室のドアを誰かがノックした。ドアを開けると、穂乃果とことりと海未の3人が立っていた。

 

「どうか私たちにダンスを教えてください、お願いします!!」

 

と穂乃果が言ってから3人は頭を下げた。

 

「私にダンスを?」

 

「はい!教えていただけないでしょうか?私たち、上手くなりたいんです!!」

 

絵里は穂乃果の言葉を何も言わずに聞き、そして海未の目を見た。その時、絵里の脳裏には前に公園で海未に言われた、

 

『あなたに私たちの事をそんな風に言われたくありません!』

 

という言葉がふとよぎり、

 

「わかったわ。」

 

と穂乃果たちの頼みを受けた。

 

「本当ですか!?」

 

「あなた達の活動は理解できないけど、人気があるのは間違いないようだし、引き受けましょう。」

 

と言って海未を見た。海未は笑顔になっていた。

 

「でも、やるからには私が許せる水準になるまで頑張ってもらうわよ!いい?」

 

と、絵里が厳しい口調で言うと穂乃果は目を輝かせ、

 

「はい!ありがとうございます!!」

 

と絵里に礼を言った。それを曲がり角の陰からにこ、真姫、凛、花陽、志郎、幸雄の6人が見守っていた。

 

「嫌な予感しかしない・・・。」

 

とにこは苦々しく呟き、

 

「さて、これが吉と出るか凶となるか・・・。」

 

と幸雄はニヤリと笑いながら言った。

 

そして希も絵里を見ながら、

 

「『星』が動き出したみたいや。」

 

と言った。

 

 

 

 

 

そして放課後の屋上で、いよいよ絵里を加えての練習が始まったが・・・。

 

「どわわわ~!!いった~い!」

 

と凛が転んで尻もちをついた。

 

「全然だめじゃない!よくこれでここまで来られたわね!!」

 

それを見た絵里が穂乃果たちを叱責する。

 

「昨日まではばっちりだったのに~!!」

 

と凛が言うと、

 

「基礎が出来てないからムラが出るのよ、足を開いて。」

 

と言って凛に座った状態で足を開かせた。

 

「こう?」

 

と凛が足を開くと絵里はその背中を強く押した。

 

「うぎっ!痛いにゃああああああ!!」

 

と凛が悲鳴を上げた。

 

「うはあ、痛そ~。」

 

「意外だな。凛は体は柔らかいと思ってたんだが・・・。」

 

と、それを見て幸雄はうへーと言わんばかりに、志郎はなるほど、と言うように呟いた。

 

「これで?少なくとも足を開いた状態でお腹が床に着くようにならないと。」

 

と絵里が言うと、

 

「ええええええ!?」

 

とさらに凛が悲鳴を上げる。体が硬い人間からすればそれはもはや人間離れした技であるから悲鳴を上げるのは無理もない話である。

 

「柔軟性を上げることは全てに繋がるわ!まずはこれを全員出来るようにして。このままだと本番は一か八かの勝負になるわよ!!」

 

と絵里がみんなに言うと、

 

「嫌な予感的中~・・・。」

 

とにこが苦い顔で呟いた。

 

 

「ふっ!」

 

ことりが試しにやってみると、お腹どころか上半身全体がぺたりと床に着いた。それを見て、

 

「うわ!ことりちゃんすごい!」

 

と穂乃果たちが感心していると、

 

「感心している場合じゃないわ!みんな出来るの!?」

 

と絵里が凛の背中を押しながら穂乃果たちに檄を飛ばす。

 

「ダンスで人を魅了したいんでしょ!このくらいできて当たり前!!」

 

「うはあ、流石はバレエ経験者なだけあってスパルタだねえ。」

 

「それだけ今までが緩かったんだろう。」

 

とそれを見て志郎たちが話していると、

 

「あなた達二人もよ!!」

 

と二人にも檄を飛ばした。

 

「え!!」

 

幸雄が驚くと、

 

「当たり前でしょ!彼女たちを支えるんなら彼女たちと同じ、いえ、それ以上のことが出来なくてはダメよ!!ほら、あなた達もやる!!」

 

と志郎たちにもトレーニングに参加するよう促した。

 

「志郎、お前あれ出来るか?」

 

幸雄が志郎に質問すると、

 

「出来るぞ、ほれ。」

 

そう言ってことりのように上半身を床につけてみせた。

 

「マジかよ・・・。」

 

と幸雄が言うと、

 

「生徒会長も言ってたろ、柔軟性は全てに通ずるって。お前はどうなんだ?」

 

と幸雄にできるかどうかを聞いた。

 

「いや、まったくできないわけじゃないんだけどな?」

 

と言ってやって見せるが、あと少しの所で床に着かない状態だった。

 

「ほう、悪くないな。もう少しでつくから気張ってみせろ!」

 

「無茶言ってんじゃないよ!これでも少し無理してんだぞ!!」

 

と幸雄は志郎に向かって叫ぶ。

 

「叫ぶ余力があれば行けるだろ。」

 

と言って志郎は幸雄の背後に回った。

 

「やめろ志郎絶対押すなよ!フリじゃねえからな、マジで押すなよ!!ほんと死んじゃうから!!!」

 

「大丈夫だ、そう簡単に骨は折れんから問題ない!!」

 

と、幸雄の懇願を無視して志郎は背中を押した。

 

 

「・・・。」

 

幸雄の体は床に着いたが、彼自身は動かなくなっていた。恐らく激痛のあまり気絶してしまったのだろう。

 

「ん?やりすぎたかな?」

 

と志郎はどこぞの世紀末の病人になりすました男が言いそうなセリフを言って首を傾げた。

 

 

 

 

「あと十分!!」

 

「「「「「「「は、はい!!」」」」」」」

 

「筋力トレーニングもしっかりやり直した方がいいわ!!ラストもう1セット!!」

 

そして練習は15分に及ぶ片足立ちに、腕立て伏せ、腹筋、背筋の3つを含めて1セット、それをさらにもう1セットといういつもの練習以上に厳しいメニューだった。

 

「お前ら!あと1セットだ!!1セットで終わるから頑張れ!」

 

と志郎はみんなを鼓舞するが、

 

「だからぁ・・・!運動神経がカンストしてるお前とあいつらを一緒にしてやんなよ・・・!」

 

と幸雄は涼しげな志郎にそう言って穂乃果たちを指さした。

 

幸雄の言う通り、驚異的な身体能力を持つ志郎ならともかく、穂乃果たちの表情はかなり苦しげで、足もふらついていた。

 

「あ、うわ、わああ!」

 

限界が来たのか、花陽がバランスを崩して倒れてしまった。

 

「かよちん!かよちん大丈夫?」

 

「うん、大丈夫・・・。」

 

凛は花陽の側に駆け寄り花陽を労わる。

 

「もういいわ。今日はここまで。」

 

と絵里が練習をやめるように言うと、

 

「ちょっと、何よそれ!」

 

「そんな言い方ないんじゃない!」

 

と気に入らなかったのかにこと真姫が絵里に噛みついた。

 

「二人とも落ち着け、生徒会長の言う通りだ。これ以上の練習は体に無理な負担がかかって体を壊すぞ。」

 

と志郎が二人を諫めた。

 

「彼の言う通り、私は冷静に判断しただけよ。自分たちの実力が少しわかったでしょ?今度のオープンキャンパスには学校の存続がかかってるのよ。もし出来ないって言うなら早めに言って。時間がもったいないから。」

 

そう言って絵里は屋上から去ろうとしたが、

 

「待ってください!」

 

と穂乃果が絵里に声をかけ、他のメンバーや志郎と幸雄が整列した。

 

「ありがとうございました!明日もよろしくお願いします!!」

 

と穂乃果が言うと、みんなもそれに続いて、

 

「「「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」」」

 

と言った。絵里はそれを見て驚きを隠せなかった。そしてそのまま屋上から去っていった。

 

 

 

 

 

 

その日の夜、亜里沙はいつものようにμ'sの曲を聞いていると、絵里が部屋に入ってきた。

 

「あ、お姉ちゃん。」

 

亜里沙がイヤホンを外して絵里に反応した。そして絵里は亜里沙の側に歩み寄ると、

 

「それ貸して。」

 

と空いているイヤホンを耳に着けて曲を聞いた。

 

「私ね、μ'sのライブを見てると胸がかあって熱くなるの。一生懸命で、目いっぱい楽しそうで!」

 

と亜里沙はどうしてμ'sが好きなのかを絵里に語った。

 

「全然なってないわ。」

 

と映像を見て絵里は一蹴するが、

 

「お姉ちゃんに比べればそうだけど・・・。でもすごく元気がもらえるんだ!!」

 

と笑顔で亜里沙は絵里に言った。

 

絵里はそんな妹の表情を見て、複雑な表情をすることしかできなかった。

 

 

 

 

 

そして次の日の朝・・・。

 

「おはよー!!」

 

「おはよう。」

 

「おはようございます!」

 

真っ先に屋上に集まっていたのは穂乃果たち二年生組だった。

 

「さて、今日は生徒会長を入れての練習二日目だな。」

 

「まあ、無理しない程度に気張ろうぜ?」

 

穂乃果はそんな志郎と幸雄の言葉に

 

「うん!頑張ろう!!」

 

とやる気満々に返した。するとその直後、

 

「ちょ、ちょっと!」

 

と言いながら凛に押されて絵里が出てきた。

 

「あ、おはようございます!」

 

「まずは柔軟ですよね?」

 

と穂乃果が挨拶をし、ことりが絵里にメニューの確認をすると、

 

「辛くないの?」

 

と絵里が言った。

 

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

穂乃果たちが意外そうな声を上げると、

 

「昨日あんなにやって、今日も同じことをするのよ?第一、上手くなるかもわからないのに。」

 

絵里は穂乃果たちに練習をやめさせるつもりなのか、そう言って見せるが、

 

「やりたいからです!」

 

穂乃果は毅然と絵里に言い返した。

 

「確かに練習は凄くきついです。体中すごく痛いです!でも、廃校を何とかしたいと思う気持ちは生徒会長にも負けません!!」

 

とさらに堂々と言い放った。

 

「だから今日もよろしくお願いします!」

 

「「「「「「「「お願いします!!」」」」」」」」

 

穂乃果たちがそう言って頭を下げると、絵里は何を思ったのか、そのまま何も言わずに屋上から去ってしまった。

 

「生徒会長!!」

 

穂乃果が呼び止めるも絵里は戻らず、みんなはどうしたらいいのか顔を合わせるが、

 

「海未、練習を頼む。」

 

と志郎が突然言い出し、

 

「どこに行くんですか?」

 

と海未が志郎に何をするつもりなのかを聞くと、

 

「生徒会長の所だよ。」

 

「まあ、ちょっとした野暮用さ。」

 

志郎と幸雄は、ただそれだけ言い残すと一緒に屋上から去っていった。

 

 

 

 

 

 

穂乃果たちから逃げるように屋上から降りてきた絵里は廊下を歩いていた。

 

『これがお姉ちゃんのやりたいことなの?』

 

『やりたいからです!』

 

『あんたはそれでいいのか?そんな堅苦しいことしてて息苦しくないのか、辛くないのか!?』

 

『これだけは覚えておいてください。この世には価値の無いものこそあれど、意味を持たぬものなどない・・・と。』

 

絵里の脳裏には亜里沙や穂乃果、幸雄に志郎に言われた言葉が次々とよぎっていて、それを一つ一つ思い出すたびに、その表情は悲痛に歪んでいっていた。

 

「うちな、絵里ちと友達になって、生徒会をやっててずっと思ってたことがあるんよ。」

 

ふと後ろから声を掛けられたので振り向いていると、希が立っていた。

 

「絵里ちは本当は何をしたいんやろって。」

 

「え?」

 

「一緒にいると分かるんよ。絵里ちが頑張るのはいっつも誰かのためばっかりで、だからいつも何かを我慢しているようで、いつも自分の事は全然考えてなくって・・・!」

 

絵里は希の言葉を振り切るようにその場から逃げようとするが、

 

「学校を存続させようっていうのも生徒会長としての義務感やろ!?だから理事長は絵里ちの事を認めなかったんと違う!?」

 

希の口調はいつもの飄々とした雰囲気ではなく、次第に感情的で強いものになっていき、

 

「絵里ちの・・・、絵里ちの本当にやりたいことは!?」

 

希が絵里にそう問いかけ、しばらく二人の間に沈黙が流れ、しばらくすると絵里の口が開いた。

 

「何よ・・・。何とかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃない!!!」

 

絵里は怒りを込めてそう言い、希は親友が初めて見せた激しい怒りの言葉に驚きの表情を見せる。

 

「私だって好きな事だけやって、それだけで何とかなるんだったらそうしたいわよ!!」

 

続けて絵里から吐き出された言葉には怒りだけでなく、悲痛さも籠っていた。そして希は絵里の顔を見て驚いた。

 

涙だ。絵里は初めて親友の前で泣いたのだ。

 

「自分が不器用なのは分かってる、でも!!」

 

悲痛な叫びをあげると、

 

「いまさらアイドルを始めようなんて、私が言えると思う・・・?」

 

そう弱々しく希に自分の感情を吐き出すと、そのまま逃げるように走り去っていってしまった。

 

 

 

 

 

「なるほど、そういうことだったんだな。」

 

急に廊下の曲がり角から声が聞こえたから振り返ってみると、幸雄が出てきたのだ。

 

「今の話、聞いてたん?」

 

希が少し恨めし気な声で幸雄にたずねると、

 

「ああ、覗きは趣味じゃないが盗み聞きは得意でね。おかげさまで気になっていたことがぜーんぶスッキリしたよ。」

 

と幸雄は一人合点するように希に応えた。

 

「気になっていたこと・・・?」

 

「ああ。なんで生徒会長はあいつらを目の敵にしていたのか、そして理事長に何故認められなかったのかだな。もっとも後者の方は大体予想はついてたんだが、どうにも前者の方の答えにはうまくたどり着けなくってね・・・。」

 

と幸雄は希に自分が何を考えていたのかを明かした。

 

「うちはゆっきーくんの事やから全部わかり切ったうえでやってたと思ってたんやけどね。一昨日の事とか、ファーストライブの後の事とか。」

 

「いくら頭が回るっつっても俺も完全無欠じゃないんでな。寧ろ世の中分からないことだらけで常に手探りで生きとるわい。その方が生きてて面白いだろ?」

 

と幸雄は笑いながら希に言った。

 

「・・・絵里ちも幸雄くんみたいになれたらあそこまで溜め込まなかったんやろな・・・。」

 

と希は悲しげにつぶやいた。

 

「まあ、あのお嬢さんは義務感と、そこから湧き出てくる意地が無駄に強いからなあ。そういう意味じゃ志郎にそっくりだわ。」

 

「え!?絵里ちが志郎くんに?今まで志郎くんを見てきたけどそんな風には見えんかったなあ。」

 

幸雄の言葉に希は驚いた。

 

「まあ、とはいっても『昔』の話っすからね、今じゃあだいぶ丸くなってますよ。そう言う意味ならある意味あのお嬢さんよりも大人だわなあ・・・。」

 

幸雄はどこか懐かしむように呟くと、

 

「さーて、知りたいことは全部知れたし、俺はこの辺で失礼しますわ!」

 

と幸雄が回れ右をして去ろうとすると、

 

「え!?ここはゆっきーくんが絵里ちを追いかけるパターンじゃないん!?」

 

と希がツッコミを入れた。

 

「ああ、一昨日の事で分かったんだけど俺じゃああいつの心は動かせんよ?寧ろ俺みたいな舌先三寸手八丁な奴がいけば余計に拗れるだけだぜ。」

 

と幸雄が淡々というと、

 

「じゃあ誰が絵里ちの心を動かしてくれるん!?」

 

と希は幸雄のその態度に少し腹を立てたのかきつめの口調で言うと、

 

「それがあいつの、志郎の仕事さ。」

 

「志郎くんの・・・?」

 

「ああ、あいつは口先だけが達者な俺とは違って口下手だし不器用だし、上手く機転を利かせることも出来ないけどよ、人の心に踏み込むことが出来るのよ。」

 

「人の心に・・・。」

 

「そう、あいつの言葉は真っ直ぐで情が通ってる、まるで炎のようなもんだ。ファーストライブの時も、あいつの言葉が挫けそうになっていた穂乃果たちの心を篝火(かがりび)のように照らしたからこそあいつらは歌うことが出来たんだよ!だからここはあいつに任せよう。あいつならきっと生徒会長の冷え切ってしまった心を熱く溶かしてくれるだろうぜ。」

 

そう言って幸雄は歩き出した。

 

「ゆっきーくんはどうするの?」

 

希が尋ねると、

 

「俺か?俺は少しばかりやることが出来たんで志郎に任せていったん失礼させてもらいますわ。」

 

と窓の向こう、屋上で練習してる穂乃果たちの方を親指で指さしながらそう言って、希の前から去っていき、

 

「志郎くん、ゆっきーくん・・・。絵里ちの事、お願いね。」

 

希はそう言ってその場に立ち尽くしていた。

 

「さーてと、俺もあいつに任せたからにはしっかり仕事をこなさなくっちゃな。」

 

と希の声が聞こえていたのかそう呟きながら、屋上に向かって歩いていった。

 

「あ、生徒会長が入った時のために今までに言いすぎちまった分の清算をどうするかも考えとくか。」

 

 

 

一方志郎は、絵里を探して学校中を走り回っていた。果たして志郎は絵里の心を溶かせるのだろうか。

 

そして遂に炎の意志を持つ若き虎と、義務感と意地という氷で心を閉ざした少女が真正面から対峙する時が迫ろうとしていた。




いかがでしたでしょうか?

遂に若虎こと志郎が本格的に動き出しました!果たして志郎は絵里を見つけて話し合うことが出来るのか!?

次回、絢瀬絵里編完結!!(遊戯王ばりのネタバレ)

そしてラブライブ!サンシャイン!!放送まであと4日ですね。一週間をきると時間の経過が早く感じますねぇ…。


それでは次回もまたお楽しみください!!
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