ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です。

今回も合宿編です!海で遊ぶμ'sと志郎と幸雄の笑いあり!ラッキースケベあり!そしてほんのちょびっと真面目要素もあり!?な合宿模様を楽しんでください!!



それではどうぞお楽しみください!!


30話 夏色バケーション

「おーい!早く早く~!!」

 

にこが呼びかけると水着に着替えたμ'sのメンバーが海へと走っていく。

 

「お。真姫はいかんのか?」

 

幸雄は穂乃果たちに混ざらず、ビーチチェアに座って本を読んでる真姫に声を掛けた。

 

「私は別にいいわ。あなたこそ行かないの?」

 

「ああ、俺はPV撮影のカメラマンも兼ねてるからなあ。だから少しの間は海で遊ぶのもお預けってわけよ。」

 

幸雄はビデオカメラで海で遊んでる穂乃果たちを撮影しながら真姫の質問に答えた。

 

「でも志郎も向こうにいるわよ?」

 

真姫がそう言って指をさした先では・・・。

 

 

 

 

 

「それ~!!」

 

「やったな~!」

 

そこでは穂乃果や凛、花陽ににこが海で水をかけ合って遊んでいた。

 

「志郎くんも喰らうにゃ~!」

 

「うわっぷ!?」

 

志郎が凛の攻撃を顔に思いっきり喰らう。

 

「ふふふ、この俺を敵に回すとは・・・。なかなか度胸がある・・・な!!」

 

志郎は顔を腕で拭うとその剛腕を海に突っ込み、力任せに大波を巻き上げて穂乃果たち4人にまとめて水をかけた。

 

「うわあ~!」

 

「志郎さん、強いです~!」

 

「す、すごいにゃ~!」

 

「つーかなんであたしまで巻き込むのyぶぶっ!!」

 

にこが志郎に反撃しようとするも、

 

「えへへ・・・。」

 

と笑うことりの餌食になっていた。

 

「やれやれ、ことりも参戦か。戦いに男女は関係ないからな、手加減無用でいkおぼぼぼ!!」

 

さっきと同じようにことりにも水を巻き上げてかけようとするも、にこと同じように顔に水鉄砲の射撃を撃ち込まれた。

 

「志郎くんが怯んだ!」

 

「一斉攻撃よ!凛と花陽も力を貸しなさい!」

 

「お返しにゃ~!!」

 

「志郎さんすいません!」

 

水鉄砲を顔に喰らって怯んだところを、穂乃果たちによって集中砲火を叩き込まれる羽目になった志郎は、

 

「うおお!5対1は流石にきつすぎる!!こうなったらいったん退いて態勢を・・・!」

 

志郎はそう言うとなんとかゴーグルを目に着けてそのまま海に潜って泳いで逃げた。

 

「あ!逃げた!!」

 

「まて~!」

 

もちろん穂乃果たちはそれを追いかける。志郎は穂乃果たちの方を見て泳ぎながら、

 

(ふふふ、水を掻きわけながら歩いたり走るなんて泳ぐのに比べたら鈍足にもほどがあるわ!さて、そろそろ立って奴らを待ち受け・・・う!?)

 

とほくそ笑んでいると、何かにぶつかり志郎は驚いて立ち上がった。

 

「い、今俺は何にぶつかったんだ!?なんか柔らかいというか人肌のような感触がしたが・・・。」

 

とゴーグルを外しながら周りを見渡してみると、

 

「・・・。」

 

と顔を赤くしながら胸を押さえて志郎を睨んでる海未と、それを面白そうに眺めてる希、そして苦笑いしてる絵里がいた。

 

「すまん。どういう状況なのかを教えていただけると幸いなんだが・・・。」

 

既に水浸しながら冷や汗をかいている志郎は絵里と希に何が起きたのかをたずねた。

 

「希が海未のことを集中的にビデオに撮るもんだから海未は恥ずかしがってしゃがみ込んでたのよ。」

 

「そんでそのしゃがみ込んでるところに志郎くんが突っ込んできたわけやんなぁ。」

 

絵里と希は笑いをこらえながら志郎に状況を教えた。

 

「なるほど・・・。して、俺は海未の背中にぶつかったのか?それとも前・・・?まあ、海未の顔を見れば聞くまでもないんだろうが・・・。」

 

と志郎が恐る恐るたずねる。

 

「・・・志郎さん?」

 

「はい!!?」

 

海未の今までに聞いたことのないようなドスの効いた声に志郎は思わず後ずさりし、海未はそれに合わせて殺気を放ちながら迫ってくる。

 

「いくら私たちしかいないとはいえ海で泳ぐときは周りに気を付けるべきだと思うんです・・・。」

 

「お、おう。そうだな・・・。」

 

「それと、いくら志郎がわざとではないとはいえ乙女の柔肌に・・・しかもむ、胸に触れるなどと・・・!」

 

「ま、待て海未!これは事故だったんだ!話せばわかる!!絵里先輩!希先輩!!助けてくれ!」

 

志郎は絵里と希に助けを求めるが、

 

「あれ?先輩って付けるのは禁止って言ったやん?」

 

「ふふ、先輩禁止を守らない悪い子に助け舟を出すのは認められないわね♪」

 

あっさりと拒否されてしまった。そしてこの2人、恐ろしいことにこの修羅場を楽しんでる節があるようだ。

 

「よっ!ナイスラッキースケベ!!まあ海未の制裁はその代償だと思って諦めな~!」

 

さらに砂浜にいる幸雄からは完全に茶化してるとしか言えない言葉が飛んできた。

 

「ふざけんなてめええええ!!!あとで覚えてろ!!」

 

志郎は幸雄に向かって怨嗟の言葉を叫び返した。

 

「さぁ、もう言い残す言葉はありませんね・・・?」

 

海未が今にも志郎を仕留めんと両手を構えながら近づいてきた。

 

「ひっ!?」

 

「あなたは・・・。破廉恥ですッッッ!!!!!」

 

「ぐほおおああ!!」

 

どうやったか志郎には、というか周りで見てた絵里たちも理解できなかったが志郎の顔に海水が砲弾のように撃ち込まれた。

 

「あ、海未ちゃんも志郎くんを攻撃してる!」

 

「混ざるにゃ~!」

 

「なんかちょっと違うような・・・。」

 

穂乃果たちもそれに便乗して加わり、

 

「うちらも混ざろっか。」

 

「そうね、志郎には悪いけど面白そうだし。」

 

と希と絵里まで加わり、総勢8人によって志郎は強烈な水攻めを喰らうことになった。

 

 

 

 

 

 

――――――そして数分後。

 

「・・・う、うう。」

 

志郎はまるで荒波でもみくちゃにされた藻屑のように砂浜に打ち上げられていた。

 

「お疲れさん志郎。」

 

幸雄は志郎に労いの言葉をかけるが、

 

「マジで覚えてろよ昌幸ィ・・・!」

 

と志郎はものすごく低い声で返す。それはまるで非業の死を遂げた怨霊の呪いの声のようだった。

 

「しっかしまあ、微笑ましいとは思わんかね。」

 

「何がだ?」

 

突然話題を変えた幸雄に対して志郎は首を傾げた。

 

「ああやって女子高生が水着姿でキャッキャうふふと海で遊んでる姿だよ!志郎もそう思わないか!?」

 

「何を言い出すかと思えば・・・。」

 

志郎は幸雄の言葉に苦笑する。

 

「なんだよ、お前は見てて心が洗われないのか?あれを見てよぉ。」

 

「まさか、俺とてそれくらいは思うさ。だが俺が言いたいのは、お前が本当に何の下心も抱かずに見ているのかって事だよ。」

 

「あら?バレてらっしゃる?」

 

「バレバレだよ。で、お前はその自慢の炯眼をどのように悪用してるんだ?」

 

志郎は笑いながら幸雄にたずねた。

 

「悪用ってお前なあ、自分の欲望を叶えるために自分の力を最大限に活用することは悪い事じゃないだろ!もちろん人に迷惑をかけなければの話だがな。」

 

「いや、確実に人に迷惑をかけそうなアレじゃないのか?」

 

「まさか!ただ個人で楽しむだけさ。お前も男だ、気になるだろ?」

 

「う・・・。気にならないと言えば嘘になるな・・・。」

 

志郎は顔を逸らしながら幸雄の問いに答える。

 

「よっしゃ。でもあまり具体的には言えないからヒントをやるよ。そこから俺が何を考えてるか当ててみな!」

 

「受けて立とうじゃないか。」

 

「よし。んじゃ、あそこで遊んでる奴らを並べるとだな・・・。希、絵里、花陽、ことり、穂乃果、海未、凛、にこ・・・となる。さて、これは何順だ?」

 

「んん?何か規則性があるとは思えんが・・・。」

 

志郎は考え込むが、ふとあることに気がついた。

 

(炯眼・・・。有効活用・・・。希と絵里と花陽が先頭・・・まさか!)

 

「幸雄、貴様それはバスト順ではないのか・・・!?」

 

志郎は真姫に聞かれないように幸雄に小声で答えを伝えた。

 

「お、ご名答!さすがは志郎、勘が冴えてるな!さっきのラッキースケベで覚醒したな?」

 

それに対して幸雄が茶々を入れると、

 

「やかましい!それにしてもビデオを撮る振りして何やってんだか・・・。」

 

それに対して志郎は呆れかえった。

 

「うるせえ!ちゃんと仕事はしてるし、こんなに美少女がたくさんいるんだからいいだろ別に!」

 

「いやよくねえから!」

 

「ちなみに聞いて驚くなよ?俺の炯眼を以てすればバストサイズまで正確に見抜くことが出来るのだ!まず希から90、88、82、80、78、76、75、74・・・じゃなくて71だな。」

 

と幸雄は海で遊んでるメンバーのバストサイズを言ってみせた。

 

「す、すげえ。本当かは知らんが見ただけでそこまで・・・!」

 

これには流石の志郎も呆れを通り越して感心せざるを得なかった。

 

「まあ、水着という限りなく裸に近い状態だからこそできる芸当なだけあってだnってあべし!?何しやがる真姫!」

 

幸雄がドヤ顔で解説してるところに真姫が呼んでた本の背表紙を幸雄の頭に叩きつけた。

 

「何しやがるじゃないわよ全く。そっちこそ何変な事考えてるのよ。」

 

真姫はため息をつきながら言った。

 

「変な事とはなんだ!俺はあくまでも健全な男子高校生として当たり前の願望を叶えてるだけであってだな・・・。」

 

「そ、じゃあ当たり前の事なら警察署でも弁明できるわよね。」

 

幸雄が力説すると真姫はどこからかスマホを取り出して110番通報をしようとしていた。

 

「お願いします真姫さん110番だけは勘弁してくださいお願いしますお願いしますお願いします!」

 

それを見た幸雄は慌てて土下座して真姫に許しを乞いた。

 

(このプライドを捨てる早さがこいつが生き残った理由なんだろうな。)

 

志郎は土下座する幸雄を見ながら心の中で呟いた。

 

「まあ、別に私は物の数には入ってなかったから別にいいけど許しを乞う相手が違うんじゃない?」

 

と言いながら真姫は幸雄の後ろを指さした。

 

「え?」

 

と幸雄が振り向くと、

 

「へえ、そう言う事だったのね・・・。」

 

と不自然なくらいニコニコしてる絵里が立っていた。

 

「だからゆっきーくんもカメラ役を志願したわけなんやね。」

 

普段からニコニコしてる希の笑顔も若干不気味さが漂っていた。

 

「幸雄く~ん。そういうのはよくないと思うよ?」

 

ことりに至っては黒いオーラに『ゴゴゴゴ』の効果音が見えそうなくらいであった。もちろんそれ以外のメンバーも三人に負けないほどの威圧感を放っていた。

 

「いや確かに俺がそういう考えを持ってたのは確かだが志郎も共犯・・・ってあら!?志郎の奴どこ消えた!?」

 

幸雄が弁明しながら志郎の方を見るといつの間にか志郎の姿は消えていた。

 

「志郎ならスイカ割り用のスイカと木刀を持ってくるって言っていなくなったわよ?」

 

「ファッ!?あいつ逃げ足速すぎだろ!?」

 

「さて、幸雄にもお仕置きが必要ですね。」

 

と海未はそう言うと同時に幸雄の肩を掴んだ。

 

「ひっ!?やめろ!は、離せぇ!」

 

幸雄はもがくも海未の手は離れない。

 

「海未ちゃん握力強いからね~。志郎くんなら逃げられたと思うけど、幸雄くんは逃がさないよ?」

 

「ちょ、穂乃果お前目が怖いって!」

 

「さ~て、このセクハラ野郎をどうしてくれようかしら?」

 

「やっぱ海だし海らしいお仕置きがいいにゃ!」

 

あれよあれよという間に、幸雄は8人の少女たちに担ぎ上げられた。

 

「うわあああやめろおお!は、花陽!お前は助けてくれるよな、な?」

 

幸雄は花陽に助けを求めた。

 

「えっと・・・。ごめんなさい!流石に擁護できません!」

 

と頭を下げられてしまった。

 

「よ~し、これで幸雄くんのお仕置きは決定だね!」

 

穂乃果がそう言うと、

 

『わっしょい!わっしょい!』

 

と幸雄を祭りの神輿のように運び出した。

 

「志郎~~!助けてくれ~!!」

 

幸雄が叫ぶと、

 

「悪いな幸雄~~~!!それがお前の代償だ!!諦めてくれ~~~!!!」

 

と、遠くから志郎の叫び声が聞こえてきた。嗚呼悲しきかな、因果は思ったよりも早く巡って来てしまったようだ。

 

「やめろおおおお!死にたくなあああい!死にたくなあああああああいいいいいい!!!」

 

幸雄の断末魔が夏の砂浜に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

――――そしてまた数分後。

 

「むうう・・・。」

 

花陽は目隠しをしながら木刀を構えてゆっくり歩いていた。

 

「かよちん頑張れ~!」

 

「いいよいいよ~!」

 

凛と穂乃果はそんな花陽を応援し、希は花陽に念を送っているのか不思議なポーズをとっていた。

 

「花陽!もう少し右だ!左じゃないぞ右だからな!!」

 

幸雄も花陽を応援しているがそれもそのはず、何故なら幸雄はスイカの真横に頭だけが見えるように埋められているからだ。下手をすれば木刀の一閃が脳天に直撃しかねないので必死に応援せざるを得ないのだ。

 

「ふふ~ん。」

 

にこが何かを思いついたのか悪そうな笑顔を浮かべると、スイカのそばまで走り、

 

「えいっ!」

 

と花陽が木刀を振り下ろすと同時にスイカを取り上げてしまった。手ごたえが無いのを不思議に思った花陽は目隠しを取ってにこの手にあるスイカを見て、

 

「あぁ!」

 

と残念そうな声を出した。

 

「2人ともかわいい~!」

 

「流石はにこね!」

 

ビデオを撮っていたことりと絵里は満足げにそう言った。

 

「ベタなお約束ではあるが、やっぱこういう女子たちがやると映えるねえ。」

 

幸雄は地面から頭だけが出てる状態でうんうんと頷いているが、実にシュールな光景であった。

 

 

「さて、次は俺もやらせてもらおうかな。」

 

志郎は花陽から木刀を受け取りながら名乗りをあげた。

 

「おお、志郎くん木刀を構えた姿が様になってる!」

 

「まるでお侍さんみたいやね。」

 

穂乃果や希が志郎を褒めそやす。

 

「でも志郎くんは運動神経がいいからただ目隠ししても意味ないし…、そうだ!そこからさらに15回回ってもらうにゃ!」

 

と凛が志郎に制約を加えた。

 

「ふふ、望むところだ。うおおおおおお!!」

 

志郎はそれを受け入れると目隠しをしてから高速で回り始めた。

 

「あんなに回って酔わないんですか?」

 

海未が心配そうに言うが、

 

「多分、志郎なら目が回っても多少は平気なんじゃないかしら。」

 

と絵里は言った。

 

絵里の予想は当たり、志郎は多少ふらつきながらも確実にスイカの方へと歩みを進めていた。するとにこはさっきと同じくスイカを取り上げるべくスイカの隣で待ち伏せるが、

 

「にこ、志郎にそれは通用しないぜ。」

 

と幸雄がにこに忠告した。

 

「は?見えないんだから分からないに決まってるじゃない。」

 

にこは幸雄の忠告に小声で反論した。

 

「あいつが何を習ってたかは聞いたことは無いが間違いなく武術の心得がある。多分スイカを取り上げても気配を感じて確実にスイカを割りに行くぞ。頭をスイカもろとも割られたくなきゃやめておいた方がいいぜ・・・。」

 

「気配ですって?そんなの分かるわけ無いじゃない。」

 

とにこは幸雄の忠告を無視してスイカを取り上げた。

 

(あ~あ、やっちまったか。『諏訪部志郎』として武術を習ってたかは知らんが、志郎には『武田勝頼』だった頃に培った武術の心得がある。恐らく目をつぶってスイカを割ることなんざ造作もないだろう。)

 

幸雄は志郎が絶対にスイカを割るだろうという事を確信した。

 

そして志郎はスイカが置いてあった場所に辿り着き、確実にスイカを叩き割るために足元のバランスを整えてから、木刀を上段に構えた。

 

(ふふん、志郎も馬鹿ねえ。スイカはそこじゃなくてにこの手にあるんだから割れるわけ無いじゃない・・・w)

 

にこはそう内心で呟きほくそ笑んでいた。しかし、

 

「・・・。」

 

志郎はひとたび息を吐くと上段の構えから八相の構えへと木刀の構え方を変えた。八相の構えとは野球のバッティングフォームのような構え方で、袈裟懸けという相手の左肩から右わき腹へ刀を振り下ろす斬り方につながるフォームである。さらに志郎は向きを真正面から少し左の方へと体をずらした。にこが自分の左に立っているのを分かっているかのような動きであった。

 

「え、ちょ、志郎?嘘でしょ!?」

 

志郎の構えが変わったのを見て、幸雄の言葉が嘘でなかったことを確信したにこは動揺した。

 

「ふううう・・・!」

 

志郎が刀を振り上げ気合を入れ始めた。

 

「にこ!スイカをもう少し持ち上げろ!!顔の前ぐらいにだ!!」

 

「こ、こう!?」

 

にこが幸雄の言う通りにスイカを顔の目の前まで持ち上げた瞬間、

 

「おおおおお!!!」

 

という叫び声と共に――――

 

 

 

―――――ブオォン!!

 

 

 

 

にこの目の前にあるスイカめがけて木刀が凄まじい速さで振り下ろされ、スイカが叩き割られた。否、スイカは刃物で切ったもののように綺麗に切れたわけではないが、それでも棒で叩き割ったにしてはやたら綺麗に割られていたので『斬り割られた』とでも言うべきか。ちなみに割られたスイカの上の部分は下へ落ちたが、幸い皮が下になってたので実が砂まみれになることは無かった。

 

「にこちゃん大丈夫!?」

 

その瞬間を目の当たりにした穂乃果たちは驚いてにこの元へ駆け寄った。

 

「は、ははは・・・。わ、私は大丈夫に決まってるじゃない・・・!」

 

にこはそう答えるが声は震え、足はがくがくと震えており、どこからどう見ても大丈夫じゃなさそうだった。

 

「そんな事より志郎!あんたなんてことしてくれんのよ!!あと少しであたしのこのプリティーフェイスまでスイカと一緒にカチ割られるとこだったわよ!!」

 

と、顔にかかったスイカの赤い汁を拭かないまま志郎に文句を言った。

 

「ふう、すまんすまん。こう見えても俺はなかなか負けん気が強くてな。スイカを取り上げられ何もない地面を叩いて恥を晒すよりは取り上げた奴の手の中にあるスイカを叩き割ってさらに場を盛り上げようと思ったんだがなあ・・・。少し刺激が強すぎたか?」

 

志郎は目隠しを取るとそう言ってにこに詫びを入れた。

 

「刺激どころか死を覚悟したわよ!!」

 

にこがそう言って顔にかかったスイカの汁をまき散らしながら志郎に詰め寄ったが、

 

「だから言ったじゃねえか、志郎には通じねえって。まあこれに懲りたら下手な方法で志郎をからかうのはやめとくんだな。」

 

と、幸雄は顔以外が地面に埋まった状態でケラケラと笑った。

 

「まあまあ、とにかく志郎が割ってくれたスイカを食べましょ。」

 

絵里は地面に落ちたスイカの片割れを拾ってそう言った。

 

「お~い!真姫ちゃんもスイカ食べな~い!?」

 

穂乃果はそう言ってみんなから離れた場所にいる真姫を誘うが、

 

「え?私は別に・・・。」

 

真姫はそう言って誘いを拒んだ。

 

「なるほどね。」

 

「真姫はなかなか大変そうね。」

 

「ふふふ・・・。」

 

そんな真姫の様子を見ていた希と絵里が話していたが、希は絵里の方を見て少し笑った。

 

「何かおかしい事言った?」

 

絵里はきょとんとした顔で希にたずねたが、

 

「別に。」

 

と笑顔ではぐらかされた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、海で遊び終わった志郎たちは別荘に戻り、リビングでくつろいでいた。

 

「買い出し?」

 

「なんか、けっこうスーパーが遠いらしくって。」

 

「じゃあ行く行く!!」

 

これから夕食の準備をしようというところだったが、別荘には食料が備蓄されていたわけではなかったらしく、買い出しに行くとことりが言い出すと、穂乃果がそれに同行しようとする。

 

「別に私が一人で行ってくるからいいわよ。」

 

「え?真姫ちゃんが?」

 

「私以外、お店の場所分からないでしょ?」

 

真姫はそう言って1人で行こうとするが、

 

「だったら志郎を連れて行きな。この人数だから仕入れる食料もバカにならねえだろ?だったら男手があった方が楽だと思うぜ?それに用心棒代わりにもなるしな。」

 

幸雄はそう言って志郎を連れて行くように促した。

 

「男手があった方が楽と言うならお前も同行してもらおうか。」

 

志郎がそう言って幸雄の服を掴んで引きずると、

 

「イヤ~ン、俺さまお前さんとは違って力仕事そんな好きじゃないし~。」

 

幸雄はオカマ口調でごねた。しかし志郎が、

 

(真姫はどうにも他の連中と上手く打ち解けられてない。目ざといお前なら分からんはずが無かろう?ここはサポーターたる俺たちの出番だ。)

 

と小声で幸雄に言うと、

 

「あ~はいはい、それなら俺も出ざるを得ねえな。くひひ。」

 

幸雄は笑いながら志郎の誘いに乗った。すると2人のやり取りを聞いていたのか希も、

 

「じゃあうちもお供する。」

 

と手を挙げながら言った。

 

「え?」

 

それに対して真姫は意外そうな反応を見せるが、

 

「たまにはええやろ?こういう組み合わせも。」

 

と希が言うと真姫は一瞬納得いかないような顔をしたが、4人で行くことに応じた。

 

 

 

 

 

「おお~!綺麗な夕陽やねえ!」

 

「ああ、なかなかいいものだな。」

 

「山に沈む夕陽もいいが、海に沈む夕陽も格別だな!!」

 

夕食の買い出しでスーパーに向かう途中、希や志郎と幸雄は夕陽を見て楽しそうに話していた。

 

「3人ともどういうつもり?」

 

すると真姫は3人に向かって何故付いて来たのかたずねた。

 

「別に。真姫ちゃんは面倒なタイプやなぁって。」

 

希ははぐらかすように真姫の問いに答える。真姫はそれを聞くと少し顔を俯かせる。

 

「本当はみんなと仲良くしたいのに素直になれない。」

 

「私は普通にしているだけで・・・!」

 

真姫は希の言葉に反論しようとしたが、

 

「そーそー、そういうとこなんだよなぁ。そうやって素直になれないとこ、俺さまの『炯眼』はお見通しだぜ?」

 

と幸雄が2人の間に割り込み、右手の人差し指と親指を丸くして右手の前にかざして言った。

 

「ていうかどうして私に絡むの!?」

 

真姫が2人の言葉に業を煮やしたようにたずねた。それに対して希は少し考えるようなそぶりを見せたあと、

 

「・・・ほっとけないのよ。よく知ってるから、あなたに似たタイプ。」

 

と、真姫に理由を語った。

 

(いつものどこかおかしい関西弁が消えた・・・。ということはこれが希の何一つ偽りのない本心と言うわけか。確かに絵里もしばらく前まではそうだったもんな・・・。)

 

志郎は希の態度を見て彼女の言わんとしてることを察した。志郎の脳裏にはμ'sに入る前の絵里の表情が浮かんでいた。

 

「希の言う通りだわな。まあ俺も希とは少し違うかもだが、お前さんに似た意地っ張りのほっとけない奴を知っている。なあ志郎?」

 

幸雄もまた、志郎の方を流し目で見ながらそう言った。

 

(こやつめ・・・。昔の俺に対する当てつけか。)

 

志郎は幸雄の言う『ほっとけない奴』がかつての自分であることを察して心の中で苦笑しながら呟き、

 

「ああ、そうだな。俺も真姫に似た奴を知っている。」

 

と、優しく微笑みながら言った。

 

「・・・なにそれ。」

 

真姫は素っ気なく言うが、その表情はどこか安堵してるような雰囲気が志郎にも見えた気がした。

 

「ま、たまには無茶をしてみるのもいいと思うよ?合宿やし!」

 

希は先ほどの真面目そうな口調から一転して元のおどけたエセ関西弁混じりの口調でそう言うと、また歩き出した。

 

「そそ、のぞみんの言う通り!合宿は普段とは違う『非日常』なんだから少しぐらいはっちゃけても罰は当たらないぜ!?」

 

幸雄もまたおどけた口調でそう言うと希の後を追いかける。

 

「まああいつらの言う事はともかくとして、少しづつゆっくりでもいいから皆に歩み寄ればいいと思うぞ。」

 

志郎は優しく諭すように真姫にそう言うと、2人を追って歩き始めた。

 

「ゆっくり・・・か。」

 

真姫はそう呟くと、3人の後を追うように小走りした。

 

 

 

「しっかし、希と幸雄は妙に仲がいいな。」

 

『そりゃあ俺たち(うちら)は音ノ木坂一の食わせ者コンビだからな(やからね)!』

 

「なにそれ意味わかんない。」

 

 

 

買い出しに行く道すがら、4人は他愛もない話をしながら歩いていた。

 

その時の真姫は相変わらず素っ気ない様子だったが幸雄が言うには、彼女は少し楽しそうに頬をほころばせていたという――――




いかがでしたでしょうか?


今回は海で水着だ!という事でラッキー(?)スケベ要素も入れてみましたが当然のことながら(志郎にとって)大惨事になっちゃいましたw

やっぱこの作品はシリアスとコメディ要素が似合う、はっきり分かんだね。



余談ですが、今日はいよいよAqoursの1stライブですね!!自分は今日だけではありますがなんとかライブビューイングのチケットを確保できたので行ってこようと思ってます!!ライブに行く方は入場前の暇つぶしに、そしていけない人もこの作品を楽しんでいただけると幸いです!(そこ、更新するなら戦国太平記にしろとか言わない)


感想や意見があればどしどし書いてください!!皆さんの感想が筆者のモチベーションです!!書いてくれれば書いてくれるだけガンガン筆が進みますのでどうか!!(土下座)


それでは次回もまたお楽しみください!!
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