不穏なタイトルですが今回はちょっとしたおふざけ回です。そして今回はあのキャラも登場します!
それではどうぞお楽しみください!!
「もう、しょうがないわね~!」
『おお~。』
穂乃果、ことり、真姫の3人は満更でもない様子で11人分の料理を作るにこを意外そうな表情で見ていた。
「ごめんね~、私が料理当番だったのにもたもたしてたから・・・。」
「あたたたたたたたたたた~!!」
にこはことりの言葉には意も介さず、凄まじい包丁さばきでキャベツをみじん切りにし、手際よくカレーを煮込んでいた。
「しっかし意外なもんだな。にこの奴、あんなに手際よく料理を作れるとは。」
幸雄もまた目を丸くしながら、敏腕シェフと化したにこを見て言った。
「はあああ・・・!」
「な、なあ花陽。」
「はい、なんでしょうか志郎さん?」
「その、なんで花陽の分だけご飯とカレーが別々になってるんだ?しかもどんぶりに山盛りだし。」
志郎はどんぶりに山盛りにされているご飯を見て目を輝かせていた花陽に何故彼女の分だけそうなっているのかをたずねた。
「あ、これは私がにこちゃんに頼んでやってもらったものなので気にしないでください!」
「お、おう。」
自信満々で応える花陽に志郎はただ頷くことしかできなかった。
「それにしてもにこちゃん料理上手だよねえ。」
「ふふん!」
穂乃果に料理の腕を褒められたにこは誇らしげな様子だった。
「あれ?でも昼に料理なんてしたことないって言ってなかった?」
「言ってたわよ。いつも料理人が作ってくれるって。」
「ゔっ。」
だがことりと真姫に昼に言っていたことと矛盾していることを突かれると一転して気まずそうな表情になったが、
「いや~ん!にこ、こんな重い物持てな~い!!」
とスプーンを持ちながら得意技であるキャラ作りで誤魔化そうとした。
「いや~、流石にきついっすわ。」
「そ、それはいくら何でも無理がありすぎるんじゃ・・・。」
もっともそれはほとんど効果がないと言っても過言ではなく、幸雄と穂乃果に突っ込まれる羽目になった。
「う、うるさいわね!!これからのアイドルは料理の一つや二つぐらい作れなきゃ生き残れないのよ!!」
完全に退路を塞がれたにこは突然立ち上がって、逆ギレするように持論を語った。
「開き直った!」
「俺、あんたのそーゆー潔いところ嫌いじゃないぜ。」
穂乃果はそんなにこの開き直りに驚き、幸雄はにこの態度を褒めていた。そうして、他愛もない会話をしながら志郎たちは食事を楽しんだ。
「は~食べた食べたぁ!!」
みんなが夕食を食べ終わると、穂乃果はソファーに寝そべった。
「いきなり横になると牛になりますよ。」
「もう、お母さんみたいな事言わないでよ~。」
「幸雄を見習ってください。普段はあんな感じですがどういうわけか穂乃果よりも礼儀正しいですよ!」
海未はそんな穂乃果を諫めながら幸雄を指さすと、
「なあ海未さんよ、あんたの恨みを買った覚えはないんだが少し辛辣じゃね?」
幸雄は不服そうに言うがそれに割り込む形で、
「よーし!じゃあ花火をするにゃ~!!」
と凛が言った事で幸雄の言葉は海未には届かなかった。
「その前にご飯の後片付けをしなくちゃだめだよ!」
花陽は幼馴染らしく凛を諫めるが、
「あ、それなら私がやっておくから行ってきていいよ。」
「え、でも・・・。」
「そうよ、そういう不公平はよくないわ。」
絵里はことりの言葉に異議を唱え、
「絵里の言う通りだ。自分の食器は自分で片付けるべきだと思うぞ。」
と志郎は自分の食器を流しに持っていきながらみんなに言い聞かせるように言った。
「それに、花火よりも練習です。」
今度は海未が練習をするべきだと主張し始め、
「え?これから・・・?」
にこは軽く引いてる様子で海未に聞き返す。
「当たり前です。昼間あんなに遊んでしまったんですから。」
海未が当然と言わんばかりに反論するも、
「でも、そんな空気じゃないっていうか、穂乃果ちゃんはもう・・・。」
ことりは海未を宥めるように言いながらソファーの方に目線を移した。他のメンバーもソファーを見てみると、
「雪穂お~、お茶まだ~?」
「家ですか!」
と穂乃果はまるで自宅にいるかの様子で、その場にいないはずの雪穂にお茶を頼んでいた。もちろんそれに対して海未は間髪入れずにツッコんだ。
「いやここ穂乃果のうちじゃないからな?」
「若年性アルツハイマーじゃねえんだから・・・。」
そんな穂乃果の様子に志郎と幸雄は呆れかえっていた。
「じゃあこれ片付けたら私は寝るわね。」
真姫が食器を持ち上げながらそう言うと、
「え!?真姫ちゃんも一緒にやろうよ、花火。」
と凛が言い出すと、
「いえ、練習があります。」
と海未がそれに反対し、
「本気・・・?」
「そうにゃ!今日はみんなで花火やろ?」
とにこの言葉に便乗するように凛はさらに自分の意見を押し出す。
「いいえ、そういうわけにはいきません!」
海未もそれに対して一歩も譲る気は無い様子だった。
「かよちんはどう思う!?」
「わ、私は・・・お風呂に。」
凛に意見を求められた花陽は、なんと『お風呂に入る』という新しい意見を出してしまった。
「第三の意見出してどうすんのよ!」
にこは呆れながらツッコミを入れる。
「雪穂~お茶~~!」
穂乃果はそんなことはお構いなしと言った様子であった。
「なあ志郎、俺こういうのなんていうか知ってるぜ。小田原評定っていうんだけどな・・・。」
「政康の奴がこれを見たらなんて思うだろうな・・・。」
「さあ?あいつμ'sファン最古参にして割とガチ勢だからな。泣いて喜ぶんじゃねえの?」
「ええ・・・。」
志郎たちは泥沼状態に陥った食卓を眺めながら進まない会議という意味を持つ『小田原評定』の故事の作り主ともいえる北条氏政もとい政康の顔を思い浮かべながら他人事のように話していた。
そして会議はこのままさらにもつれ込むかと思われたその矢先に一筋の光明が差した。
「じゃあ今日はもうみんな寝ようか。みんな疲れてるでしょ?練習は明日の早朝、それで花火は明日の夜にすることにしよ。」
希が凛と海未の意見をうまく平等にまとめてみせた。
「そっか、それでもいいにゃ。」
「確かに、練習もそちらの方が効率がいいかもしれませんね。」
希の出した折衷案に凛も海未も納得していた。
「じゃあ決定やね!みんなでお風呂入ろっか。」
希は笑顔でそう言った。
「じゃあ俺たちは食器でも洗うか!」
「そうだな。みんなは明日に備えてゆっくり入って疲れを癒してくれ。」
『はーい!!』
『ふぅ~・・・。』
穂乃果たち女性陣は露天風呂に入ると気持ちよさそうに息を吐いた。
「気持ちいいねぇ。」
「うん。」
「明日はちゃんと練習ですよ?」
海未は露天風呂を満喫している穂乃果とことりにくぎを刺すように言った。
「分かってるって~。」
「でもこうやって一緒にお風呂に入るのって初めてにゃ~!」
「すごく楽しいです!」
「花陽、先輩禁止。」
「あ、すいま、ごめん・・・。」
「うふふ、そうよ。」
絵里に指摘されて慌てる花陽を見て、絵里は微笑ましそうに笑っていた。こうして女性陣がお風呂を楽しんでる一方で志郎たちはというと――――
「なあ、勝頼さまよぉ。」
「なんだ昌幸。」
「俺たちの正体、あいつらにいつ晒すよ?」
「なんだ唐突に。」
穂乃果たちが風呂に行ったあと、2人は皿洗いをしながらある話題に興じていた。自分たちの正体を彼女たちに教えるか否かについてだ。
「いやほら、俺たちが普通の人間じゃないってことはもうA-RISEにバレちまっただろ?それなのに穂乃果たちには教えないってのも少し不公平なもんだと思いましてな。」
「確かにそうだな。」
志郎は幸雄の言い分を聞いて頷く。
「そこでだ、この時代では対等な親友同士ではあるが一応俺の主君である勝頼さまの意見を聞きたい。」
「俺の意見か・・・。今となっては成立することはあり得ないが、俺個人としては別に正体を明かす必要はないとは思っていた。」
「思って『いた』?何故に過去形なんだ?」
志郎の意味深な言い方に幸雄は首を傾げた。
「確かに俺たちはあの時代に生き、そして命を終えると同時に、あの時代の記憶を持ち越してこの時代に生を享けた。あの時代の記憶を持ち、幸雄の知略や『炯眼』のように、そして俺の武勇のように生前から持ち越された力を振るえる以上、お前は真田昌幸であり、俺は武田勝頼なのだろう。だが、俺たちはこの時代に命を授かった時点で真田昌幸でも武田勝頼でもなく、ただの一般市民である武藤幸雄と諏訪部志郎となったのだ。」
「・・・つまり?」
「ふふ、流石に伝わりにくかったか。簡単に言ってしまえば俺たちはこの時代に生まれた時点で武田勝頼や真田昌幸とは全く関係のない人間に生まれ変わったという事だ。だから俺は正直なところ、誰かに請われでもしない限り自らの正体は明かさず、ただの『諏訪部志郎』として生きていくつもりだった。もっともお前と出会い、A-RISEに普通の人間でないと見破られ、そして政康ら他の転生者と出会ったことでその目論見は瓦解したようなものなんだがな。」
「なるほど、それで思って『いた』という過去形を用いたというわけか。」
「ああ、既に瓦解し、成立することのない目論見を考えていてもしょうがないと思ったからな。」
「それで?正体はいつ明かす?」
幸雄は志郎に判断をゆだねるように問いかける。
「そうだな・・・。流石に今明かすのは早すぎるな。なんせ今はラブライブ本選に向けての大事な期間だ、あいつらの集中を削ぐような真似はしたくない。」
「一理あるな。ではラブライブで優勝した暁に・・・というのは如何かな?まさにサプライズな感じでいいと思うのだが。」
「おお、なかなか面白いな。だがそのサプライズを成功させるためにはあいつらを何としてでもラブライブ本選に出場できるように支えてやらねばいかんな。」
志郎は幸雄の意見を聞いて闘志を燃やす。
「あ、でもあいつらが俺たちの『正体』を知ろうとするようになった時は話が変わってくるがね。」
幸雄はニヤリと笑ってそう言った。
「どういうことだ?」
「気づかなんだか?もう既にメンバーのうち2、3人ほどではあるが、俺たちが尋常ではないと勘ぐり始めている。」
「それはお前の目で見たのか?」
「ああ、俺の目に狂いは無い。それにそのうちの1人は多分勝頼さまにも心当たりがあるはずだ。」
幸雄にそう言われた志郎の脳裏には、音ノ木坂に初めて登校した過ぎ去りし日に言われた言葉がよぎった。
―――――志郎くんってなんか他の人とは違う雰囲気がするんよね。どうしてだろう?
「その顔を見るとマジみたいだな。さて、皿洗いも終わった事だしシリアスな話はここまでにするか。」
幸雄は手を拭きながら話を終わらせた。
「でも穂乃果たちが入ってからそこまで経って無いぞ?何するよ。」
「そうだな・・・。あ、やっぱこんな時だからこそやれることをしようじゃないか。」
そう言って幸雄はポケットの中からスマホを取り出した。
「スマホで何をするんだ?」
「ふふふ、ビデオ通話するのさ。」
「誰と?」
「北村とさ。あいつにμ'sと同じ屋根の下で同じ釜の飯を食ってることを自慢してやるのさ!」
「お前なかなか悪趣味だな・・・。」
「褒めても何も出ねえよ。さて、繋がるかな?」
幸雄は笑いながら政康のスマホへとビデオ通話をつなげた。1分ほど経つと、
『なんだ武藤、こんな時間にビデオ通話なんぞ繋げおって。冷やかしならすぐに切るぞ。』
と政康が出てきた。
「よう北村!オフ会以来だな。元気してる?」
『まさかそんなことを言うためだけに掛けてきたわけじゃないだろうな?』
「とんでもない!色々話したいことがあってさ、実は志郎もいるんだぜ。」
『なに?何故貴様の家に志郎が?』
「ほら志郎、挨拶したらどうだ。」
「や、やあ政康。」
幸雄に促された志郎は気まずそうに話しかけた。
『本当にいるとはな・・・。で、貴様らは何をしてるんだ?』
「何って、合宿に決まってるだろ。」
『合宿だと?』
「アイドル研究部でな。だからμ'sも一緒なのさ!」
幸雄がそう言うと、
「な、な、何いいいいい!?μ'sと合宿だとおおお!!!?」
政康はものすごい声を上げて驚いた。
「声でけえよ馬鹿、近所迷惑じゃねえのか?」
『おっと済まん。だが今は両親は旅行中でうちのマンションは割と防音設備が整ってるから平気だ。とはいえ声の音量には気を付けねばだな。だがそれより、μ'sと合宿とはどういうことだ!』
政康は一言謝ると、合宿について追及し始めた。
「いや、そのままの意味だ。穂乃果の発案で、真姫の家の別荘を借りてやってるんだ。」
「しかも海の目の前でリゾート気分満喫し放題だぜ?」
『おのれ貴様らクソ羨ましいぞ!!』
「しかもみんなの水着姿を拝めたんだぜ?どうだ羨ましいだろw」
『おのれええええええ!!!』
「おい幸雄、あまり煽ってやるなよ。」
志郎は政康を煽る幸雄をたしなめるが、
「なんだよ志郎、お前こそラッキースケベで海未の胸触ったんだろ?俺の事言えた義理かよw」
と海未を推している政康にとって核爆弾クラスの威力になり得る爆弾が幸雄によって投下されてしまった。
『・・・おい武藤、貴様今なんて言った。』
「だから志郎がラッキースケベで海未の胸を触ったんだって。」
「お、おい!幸雄だってPV撮影するのに乗じてみんなの胸見て楽しんでた上にご丁寧にバスト測定までしてたじゃないか!!」
負けじと志郎も幸雄が昼にやらかした事を暴露した。
『――――――――す。』
「「え?」」
『貴様らああああああああああああ!!!ぶっ殺してやるうううううううううううああああ!!!』
「お、落ち着け政康!あれは事故だったんだって!!話せばわかる!!」
志郎は弁明を計るが、
『黙れ!結局触ったことに変わりは無いんだろうが!!』
政康の怒りが静まることは無かった。
『よりにもよって神聖不可侵領域ともいえるあの清純な海未さんの小振りな胸を、しかも海未さんの名前の一部でもある母なる海の中で触るなどと・・・。筆舌にし難い冒涜だ!』
「うわー・・・、布教した俺が言うのもアレだけど流石にガチ勢すぎて引くわ~・・・。」
政康にμ'sを教えた幸雄は軽く引いていた。
『全く貴様らは音ノ木坂学院の研究生であるのを笠に着てμ'sにセクハラをするとは何たる狼藉か!このような連中に一時的にも追い詰められた俺が恥ずかしいわ!!・・・触り心地は如何であったか?』
「え?」
『だからどのような感触だったのかと聞いているのだ!!』
「えー・・・。小さかったけどとりあえず柔らかかったです・・・。」
志郎は政康の質問に引きつつ、海未の胸を触った時の感想を教えた。
「人のこと責めてるけどお前も大概じゃねえか氏政ァ!!」
『ふん、貴様のような浅ましい魂胆で聞いたわけではないわ!本当に触ったかどうかをたずねるために聞いたのだ!!つまり具体的に感想が言えたという事は・・・志郎!貴様はクロだ!!』
政康は画面の中から志郎に向けて指を指して言った。
「しまった!!」
志郎はまんまと政康の術中にはまったことに気付いて頭を抱えた。
「志郎、お前それだから『信○の野望』とかで知略低めに設定されるんだよ・・・。」
基本的に志郎を弁護する幸雄でさえも今回ばかりは呆れざるを得なかった。
『そこで他人事のように呆れてる貴様もだ馬鹿め!!貴様ら、合宿が終わって東京に戻ったら背後に気を付けるんだな・・・。いつ貴様らの背後から奇襲をかけてもおかしくは無いからな・・・。』
「頼む!俺たちが悪かった!!合宿で撮った海未の写真全部くれてやるから許してくれ!!」
幸雄が土下座せんばかりの勢いで政康に許しを請う。
『・・・いいだろう。だが写真を受け取ったらその場で一発殴らせてもらうからな。』
「すまん恩に着る!!」
(それでいいのかお前・・・。)
政康から帰ってきた返事はまさかの減刑であった。これには幸雄は手を合わせて感謝し志郎は感謝しつつも内心呆れていた。
「さて、話は変わるがこれから合宿だからこそできることをしようと思うんだが北村もどうかね?」
「合宿だからできること?あれか、修学旅行とかの夜にやるぶっちゃけトークか?」
『なるほど、2人だけでは流石に話題が偏ってしまうから俺も呼んだわけか。』
「おいおい、お前ら流石に発想が貧困すぎるぜ。これだから童貞は・・・。」
幸雄が志郎と政康に対して呆れ顔で言った。
「あ!?そういう幸雄も人の事言えた義理じゃないだろ!!」
『そうだそうだ!と言うか貴様にだけはそうやって馬鹿にされたくはないぞ!!』
「はぁ・・・。お前らよく考えてみろよ?今は夜、そして穂乃果たちは今バスタイムなんだぜ?となるとやることは言わずともわかるだろ?」
「幸雄、お前まさか・・・!」
『ふざけるな貴様!みゅ、μ'sの入浴現場を覗こうなどと言語道断に過ぎるぞ!!』
「まあまあ落ち着けって2人とも。確かに覗きはまずいかもしれないがよく考えてみろよ、俺たちは今最高のチャンスを目前にしてるんだぜ?女神たちがあられもない姿で湯を満喫しているところを盗み見ることができるというビッグチャンスのよ!」
抗議する志郎と政康に対して、幸雄は芝居がかった様子で2人を説得し始めた。
「俺も男だからお前の言い分は分からんでもないが、俺たちはあくまでもあいつらのサポーターで、あいつらはスクールアイドルなんだ。ましてや異性同士なんだから節度を持って交流することが肝要であってだな、そういう不純な事はよくないと思うぞ!」
『俺も志郎に同感だ。それに俺はファンの1人として推しているアイドル達のそういうプライベートなところに踏み込みすぎてはいかんと思うのだ・・・!』
志郎と政康はあくまでも秩序や節度を前面に押し出して誘惑をはねのけようと試みる。
「やれやれ・・・。お前さんらは少しばかり枠に囚われすぎてる、そんなんだから滅亡するんだよ。もう少し自分の欲に正直になった方がいいぜ?」
「『いやいやいや!ここで正直になったらいろいろ終わるから!!』」
「北村よぉ、海未の裸体を拝むチャンスは今しかないぜ?後悔はやらないでするよりやってからした方が精神的にもいいと思うんだがなあ・・・。」
『し、しかし海未さんのあられもない姿を見るわけには・・・!』
「でも見たいんじゃろ?」
『うっ、それは・・・、見たいです・・・!』
政康は唇をかむように言葉を絞り出した。関東の覇者と言えども今は健全な男子高校生、やはり欲には逆らえない。
ましてや中身こそは成熟していても思春期の真っただ中なのだから、憧れである女性の胸を触った志郎に対して嫉妬もするし、裸を見たいという欲求も湧き出てくるのは当然の摂理であった。
「くっ!政康が堕ちたか!」
「志郎はどうなのさ?」
幸雄が志郎にも矛先を向ける。
「俺は・・・。俺は・・・。」
志郎は幸雄の言葉に、心を激しく揺さぶられた。
―――――実のところ、幸雄と女子の話題をすると桂の事を引き合いに出して誤魔化してはいるが全く興味がないわけではないのだ。正直に言わせてもらうと今日見た穂乃果たちの水着姿はどれも可愛かったし綺麗だった。
普段は制服や練習着、ごくたまに私服姿を見る程度でさほど彼女たちの身体を意識したことは無かったが、今日彼女たちの水着姿を見た瞬間に物凄く意識するようになってしまった。そして事故とはいえ海未の胸を触った時の感触を今でも鮮明に覚えてしまってるくらいだ。
何せ元からスタイルが良い絵里や希、そして女子力の塊ともいえることりはともかく、スレンダーな体つきの海未や凛、そしてにこもそれが見事に強調されてるし、控えめな花陽なんかはその性格とは裏腹に胸の自己主張が激しい。
極めつけは、普段は長篠以前の俺のように前しか見てない無鉄砲で色々と無頓着な穂乃果でさえ1人の女性として美しく見えてしまったくらいなのだから、裸を見てみたいかと尋ねられたら答えは決まっている――――――
「―――――み、見たい・・・です。」
遂に堕ちた。音ノ木坂学院アイドル研究部男子部員(2人しかいないが)の良心である諏訪部志郎が遂に欲望に屈した。
「おぉ志郎、まさかお前からその答えを聞けるとは思わなかったぞ!」
幸雄は予想外の結果に頬を紅潮させた。
『剛健なる若虎は失墜し、世界は落陽に至る・・・。気に病むな盟友よ、人間一度は欲望に屈する時もあるさ。』
「すまない・・・。欲望に勝てない男で本当にすまない・・・。」
政康は葛藤の末に欲望に屈した同朋である志郎を慰めた。志郎はどこぞの竜殺しの大英雄のように自虐的な言葉を漏らすことしかできなかった。
「さて、堅物2人の承認も得られたことだし早速作戦に移ろうじゃないか!」
「こうなったら野となれ山となれだ!しかし政康はどうするんだ?」
『そうだ、俺はこれだから何もできん。言っておくが野郎の実況だけを聞いて我慢しろと言うオチはごめん被るからな!』
ビデオ通話中の政康はそう言って幸雄に釘を刺した。
「心配すんなって!お前さんの目の前にある薄い板があるだろ?」
「なるほど、ビデオ通話のカメラを使うのか!」
『確かにそれならば隙間から覗くことができるな!』
「まあ、細かいカメラの調整は政康のガイドに従えば問題ないな。」
「よし!これで準備は整った!さあ行こう、禁断の楽園へ!!」
「『おお!!』」
幸雄が声高らかに志郎たちを鼓舞し、志郎と政康もそれに鬨の声で応えた。
「ふ~ん、ずいぶん面白そうな話をしとるんやねえ。」
「そうそう、俺たちはこれから禁断の楽園に・・・え?」
「・・・あ。」
志郎たちは後ろから聞こえた声に答えて振り向くとそこには、
『・・・。』
―――――――――地獄があった。
いかがでしたでしょうか?
今回はちょっと悪ふざけが過ぎた気もしますがまだもうちょっとだけ続きますw果たして志郎たちの運命や如何に!?
まあ合宿編とオリジナル回1話終わったら1期11話に突入してシリアスが多くなるのでここで思う存分ふざけておこうという算段でありますw
それでは次回もまたお楽しみください!!