ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です。

今回は合宿回でのメインイベント(?)と言っても過言ではないあの枕投げですw



それではどうぞお楽しみください!!


33話 西木野家別荘 枕投げの乱

「え~っと、これは一体どういう事かね?」

 

「少し説明していただけると助かるんだが・・・。」

 

風呂から上がり、パジャマに着替えてリビングに出てきた志郎と幸雄は目の前に広がる景色を見て困惑せざるを得なかった。

 

「え?どういう事って、布団だよ?ここで寝るから敷いてるだけだよ。」

 

穂乃果はきょとんとした様子で現状を説明する。

 

「いやそれは見れば分かるんだがな・・・。」

 

「そうじゃなくてなんで布団が11枚敷かれてんだよ?」

 

幸雄の言う通り、布団はリビングに11枚敷かれていた。

 

「普通こういう時って男女は分かれて寝るべきではないのか?」

 

「え?志郎くんたちも一緒に寝るんじゃないの?」

 

「いやいやいやいや、さっきの展開からその発言が飛び出てくるってなかなかすげー思考回路してると思うぞお前!?」

 

「じゃあこうしよっか!うちらと一緒に寝るって罰を追加すれば文句なしやん?」

 

志郎たち男性組と穂乃果が問答をしているところに希が仲介に入る。

 

『それ折衷案になって無くね!!?』

 

志郎たちが同時にツッコミを入れるが希はどこ吹く風といった様子だったし、最終的には『妙な事をしたら海未に制裁してもらう』という条件で志郎たちはμ'sのみんなと同じ部屋で寝ることになった。

 

 

 

 

「じゃあ電気消すわよ~。」

 

『はーい。』

 

にこがそう言って部屋の電気を消すと、みんなそのまま寝静まった。

 

(ふぅ・・・。何とか無事に1日目が終わったな。)

 

志郎が布団の中で安堵していると、

 

「・・・ねぇ。」

 

と、誰かの声が聞こえた。

 

(誰だ・・・?)

 

小声だからか、誰かの声は判別できなかったが、次の日の練習は早朝に行われるため早く起きないといけないのでその声に答えて話に興じてしまって睡眠時間を減らすのは下策だと思った志郎は気にしないことにした。

 

「ねぇ、ことりちゃん・・・。」

 

「ぅん?どうしたの、穂乃果ちゃん・・・。」

 

「なんだか眠れなくって・・・えへへ。」

 

「はあ、そうやって話してたらもっと眠くなるぞ?」

 

「あ、ごめん!」

 

志郎にたしなめられた穂乃果は志郎に謝った。

 

「志郎の言う通りよ。海未を見なさい、もう眠ってるわよ。」

 

「おお~。」

 

穂乃果は海未の眠りに入る早さに感心している。

 

「穂乃果ちゃんってよく眠れる方だよね?」

 

「というか授業中によく寝たり寝坊したりしてるよな。」

 

「うん、だけどなんかもったいないって言うか・・・。せっかくみんなでお泊りなんだし。」

 

「何度も言うけど遊びに来てるわけじゃないのよ。明日はしっかり練習するんだから、早く寝なさい。」

 

「はーい。」

 

絵里の言葉に返事した穂乃果はそのまま自分の布団に潜り込んだ。

 

「真姫ちゃん、寝ちゃった?」

 

すると今度は希が真姫に話しかけた。

 

「何よ?」

 

「本当にそっくりやな。」

 

「なんなの?さっきから。」

 

真姫は希の言葉の真意が読めずにそう言うが、希は何も言わずに微笑んでから目を瞑った。

 

(やれやれ、今度こそ眠れそうだな・・・。)

 

志郎はそう心の中で呟くも、そうは問屋が卸さなかった。

 

 

 

バリッ!

 

 

 

 

暗闇の中、何かを砕くような音がいきなり鳴りだした。

 

「ちょ、何の音?」

 

慌てた様子の絵里が何の音なのかをたずねた。

 

「私じゃないです!」

 

「凛でもないよ!」

 

「だ、誰か明り付けて!」

 

絵里がそう言ったと同時に部屋の明かりが付けられ、みんなが周りを見回すと、

 

『あ~!』

 

なんと怪音の正体は布団の中でせんべいを食べていた穂乃果だった。

 

「むぐっ!?ゴホッゴホッ!」

 

皆の驚いた声にびっくりしたのか穂乃果も喉を詰まらせて咳をしていた。

 

「なにやってるの穂乃果ちゃん?」

 

「えっと、何か食べたら眠れるかなって・・・。」

 

「全く、いつの間にそんなものを仕込んでたとは・・・。」

 

志郎が穂乃果の言い訳に呆れていると、

 

「も~、いい加減にしてよねぇ!」

 

と言いながらにこが起き上がった。

 

『うわっ!?』

 

顔中にパックを塗り、キュウリを付けているにこの顔を見て、その場で起きているみんなが驚いた。

 

「な、なによそれは?」

 

「美容法だけど。」

 

「は、ハラショー・・・。」

 

にこに何をしてるのかをたずねた絵里は、ただ苦笑いするしかなかった。

 

「ったく、せっかく人が気持ちよく寝てるのに騒がしいぞ。」

 

今度は幸雄がそう言って起き上がった。

 

「・・・ツッコんだら負けな気がするが、なんだそのアイマスクは。」

 

志郎は幸雄の顔を指差しながらたずねた。幸雄の顔には『炯眼』と書かれたアイマスクが付いていた。

 

「何が可笑しい!!!」

 

「いやキレるなよ。」

 

「いやそっちこそマジに受け取るなよ、る○剣ネタなんだから。」

 

「知ってはいるが、他の奴らがびっくりするだろ。」

 

急に声を荒げた幸雄を志郎は宥めたが、幸雄もまた真面目に受け取る志郎を宥めるというシュールな掛け合いが行われた。

 

「こ、怖い・・・。」

 

「うん・・・。」

 

にこの顔を見た花陽と凛が怖がってるのを聞いて、

 

「なんだ、オバケでも出たのか?」

 

と幸雄がアイマスクを外してにこの顔を見ると、

 

「うわあああああ怪物だああああああああ!!!」

 

と、大げさな演技なのか本当に怖がってるのか区別が付かない叫びをあげた。

 

「誰が怪物よ!いいからさっさと寝るわ・・・ぐふっ!?」

 

にこが幸雄に抗議しながらリモコンを手に取って電気を消そうとしたらいきなり彼女の顔に枕が飛んできてど真ん中にクリーンヒットした。

 

「真姫ちゃん何すんの~!」

 

「え?ちょっと何言ってんの!?」

 

すると希はわざとらしい棒読みで真姫が枕を投げたかのように言い放った。場所的に志郎と幸雄は希が投げたのを分かってたが、他のメンバーは本当に真姫が投げたのかと思っている。

 

「あんたね~!!」

 

「いくらうるさいからってそんなことしちゃダメやん!」

 

希はそう言うと今度は真姫の使ってる枕を掴んで凛に向かって投げつけた。

 

「にゃ!何する・・・にゃ!!」

 

凛はその枕を顔の前でキャッチすると希に投げると見せかけて穂乃果に投げつけた。

 

「よ~しっ!」

 

そして穂乃果は真姫に枕を投げつけた。

 

「投げ返さないの?」

 

希が真姫を挑発すると、根が真面目な真姫は見事にこれに引っかかり、

 

「あなたねぇ・・・!わっ!」

 

と希に向かって枕を投げようとすると、今度は絵里が真姫の顔に枕をぶつけた。

 

「もう!!いいわよ!やってやろうじゃない!!」

 

真姫が怒って枕を思いっきり投げたのを皮切りに枕投げが始まった。

 

「あーあー、明日早いのにいいのかこれ?」

 

「まあ、一度こうなったら場の空気を変えるのが如何に難しいかはお前さんなら分かってるはずだぜ?」

 

「はあ。触らぬ神に祟りなしだ、俺は寝・・・うお!?」

 

布団に潜り込もうとした志郎の顔に枕がぶつかった。

 

「志郎くんってば隙だらけにゃー!」

 

ぶつけた犯人は凛だった。

 

「やれやれ、そんなに俺と戦いたいか・・・。ならば受けて立とうじゃない・・・か!!」

 

志郎は顔にぶつかった枕を掴むと枕を思いっきり幸雄に向かって投げつけた。

 

「どわっ!?なんで俺に!?」

 

「流石に俺の全力を凛にぶつけたらまずいかと思ったけど今さら加減できなかったからとりあえずぶつけさせてもらった。」

 

「んの野郎・・・おっと!」

 

「わぶっ!」

 

今度は幸雄がどこかから飛んできた枕を躱して志郎の顔にぶつけた。

 

「あ、ごめんごめーん!」

 

今度は穂乃果の投げた物だったらしい。

 

「こうなったら全力で戦に加わるしかないな。」

 

「ああ、投げる阿呆に受ける阿呆。同じ阿呆なら楽しまなきゃ損損ってな!」

 

そう言うと志郎と幸雄も枕投げに本格参戦した。

 

ある時はことりが自分の枕で飛んできた枕を弾き、またある時は希と絵里に挟み撃ちされそうになった真姫が2人による同時攻撃をギリギリで躱したりと、部屋中(といっても布団のあるエリアだけだが)を戦場とした敵も味方もない枕投げのバトルロワイヤルが繰り広げられ、縦横無尽に枕が乱れ飛んでいた。

 

 

 

だが、惨劇は唐突に訪れた――――

 

 

 

『あっ!』

 

なんと誰かが投げた枕が、熟睡していた海未の顔にぶつかってしまったのだ。海未は腕をわなわなと震えさせながら枕を両手で鷲掴みにすると、ふらりと立ち上がった。

 

「・・・何事ですか?」

 

海未の声は普段からは想像できないほどドスの効いた低い声だった。

 

「あわわわわわ・・・。」

 

「え、えーっと・・・。」

 

穂乃果とことりは、殺気を放つ幼馴染みの姿を見て戦慄していた。

 

「これ、もしかしなくてもヤバい奴だよな・・・。」

 

「ああ、これはマジギレですわ・・・。一学期の中頃に穂乃果に海未のポエムノートを見せてもらったのが見つかった時の声と同じトーンだわ・・・。」

 

「お前そんな事してたのか!?」

 

幸雄が一度海未を本気で怒らせた事があるという出来事の真相を聞いた志郎は思わず頭を抱えた。

 

「・・・どういうことですか?」

 

「ち、違うのよ!狙って当てたわけじゃ・・・。」

 

「そ、そうだよ!そんなつもりは全然なくって!」

 

真姫と穂乃果は海未にわざとじゃないと弁明したが、海未の怒りが収まる気配は微塵も無かった。

 

「明日、早朝から練習すると言いましたよね・・・?それをこんな夜中に・・・。」

 

「お、おう。そうだな・・・。」

 

歴戦の強者である志郎でさえも冷や汗をかきながら海未の言葉に頷くことしかできないようだった。

 

「お、落ち着きなさい海未・・・!」

 

絵里は何とかなだめようとするが、

 

「マズいよこれ・・・。」

 

「海未ちゃん、寝てるところを起こされると凄く機嫌が悪くなって・・・。」

 

「それなのになんで枕投げなんて始めたんだよ・・・。詰んでるじゃねーか!」

 

ことりの説明を聞く限り、宥めても無駄な事が明らかになった。すると次の瞬間、

 

「・・・!」

 

海未は枕を強く握りしめ、

 

「ぬんっ!!」

 

『ひっ!』

 

志郎の全力投擲すら凌ぐほどの速さで投げられた枕が、穂乃果とことりと花陽の間を一瞬ですり抜けて、

 

「ぬわっ!!」

 

枕はにこの顔面に直撃し、にこはその衝撃で後ろに倒れた。

 

「にこちゃん!・・・だめにゃ、もう手遅れにゃ!!」

 

凛はにこを抱き起してみるが、強烈な一撃を喰らった彼女は気絶してしまっていた。

 

「超音速枕・・・!」

 

「ハラショー・・・。」

 

花陽はそんな海未の必殺の一撃に名前を付け、絵里もその破壊力に戦慄していた。

 

「うふふふふふ・・・覚悟はいいですね?」

 

スクールアイドルとはとても言えないような恐ろしい笑顔で笑う海未が呟いた言葉は、この場にいる者たちを皆殺しにすると宣言しているようにさえ感じられる。

 

「ど、どうしよう穂乃果ちゃん!」

 

「生き残るには戦うしか・・・うご!」

 

「ぴぃ!?」

 

海未を止めるには徹底抗戦しかない・・・。そう断じて先陣を切ろうとした穂乃果は真っ先に海未の凶弾に倒れた。

 

「ごめん海m・・・うっ!」

 

絵里も意を決して海未に攻撃を仕掛けようとするがこれまた瞬殺されてしまい、犠牲者は3人に増えた。

 

「なんてこった・・・。幸雄!何か策は・・・ってあいつどこに消えた!?」

 

志郎は海未を倒すための策を幸雄から聞き出そうとするが、いつの間にか彼の姿は消えていた。

 

「ふふふ、三十六計逃げるに如かず。あんな化け物相手に正面切って戦うなんて殺してくれって言ってるようなもんさね。」

 

幸雄はソファーの裏に潜みながらそう言った。

 

「おのれ幸雄!分が悪くなった時の離脱能力だけはホントに達者な奴・・・がふっ。」

 

幸雄に対する恨み言を言ってるうちに唯一海未に対抗できそうだった志郎も撃破されてしまった。

 

「凛ちゃん・・・。」

 

「かよちん・・・。」

 

凛と花陽は目の前で繰り広げられていた海未による一方的な殺戮を目の当たりにして、ただ隅っこで震えることしかできなかった。

 

「次はあなた達ですね・・・。」

 

もはや慈悲という言葉すら忘れた修羅となり果てた海未の矛先は、震えてる2人にも向けられた。

 

『た、助けてー!!』

 

2人の悲鳴が上がると同時に超音速枕が2人に向けて投げつけられ、2人そろってもうダメかと諦めたその時、

 

「ふぅ・・・。怯えてる奴を相手に、少しおイタが過ぎるんじゃないか?」

 

なんと、海未の攻撃で倒れたはずの志郎が凛と花陽の盾となり、腹で超音速枕を受け止めていたのだ。

 

『志郎くん(さん)!!』

 

救世主の復活に2人は歓喜の声を上げた。

 

「邪魔をするなら容赦しませんよ・・・。」

 

海未はそう言うや否や枕を志郎に投げつけるが、

 

「ぬぐっ!」

 

なんと志郎は海未の放つ超音速枕を右手で止めてみせた。

 

「すごいにゃ!海未ちゃんの超音速枕を片手で止めたにゃ!!」

 

「片手と言っても右腕を左手で支えなければ右手が変な方向に曲がりかねないんだがな・・・くっ!」

 

凛の言葉に苦笑いで答えながらも、海未の第二撃を防ぐ。

 

「ふん!ぬっ!」

 

「うぐっ!うっ!!」

 

海未が枕を投げ、志郎がそれを防御するという激しい攻防の応酬が繰り広げられていたが、何回も超音速枕を受けていた志郎の防御にも限界が訪れようとしていた。

 

「志郎さん、大丈夫ですか!?」

 

「大丈夫だと言いたいところだが・・・、あと一発が限界みたいだ。」

 

「そんな・・・!」

 

志郎が限界であることを知った花陽は驚きと落胆の声を上げる。

 

「だから次の海未の攻撃を防いだあとに勝負に出る!」

 

志郎はそう言うと左腕で顔をガードしつつ右手に枕を掴んで、攻防一体の構えをとった。

 

海未と志郎、2人は互いに構えをとったまま動くことなく睨み合った。

 

『・・・ごくり。』

 

そんな緊迫した状況を前に、凛と花陽が息を呑んだ。その瞬間、

 

「ふっ!!」

 

「はぁっ!!」

 

海未と志郎が同時に枕を投げた。志郎の計算では、速さで勝る海未の攻撃がまず先に志郎の顔(正確にはガードしている左腕)に命中し、その攻撃とすれ違うように志郎が投げた枕が海未の顔に命中する・・・という予定になっていたのだが―――――

 

 

ばふっ!!

 

 

 

なんと空中で2人の投げた枕同士がぶつかり合い、相殺された。

 

(しまった!海未は初めから俺の右腕を狙っていたのか・・・!!)

 

志郎は海未の狙いが自分の撃破ではなく、攻撃の無力化だと知って内心で舌打ちをした。右腕は枕の投擲に、左腕は顔のガードに使っているため、どちらも次の枕を拾って投擲するには時間がかかり過ぎる。

 

志郎は自分が出せる一番の速さで右腕を動かし枕を拾うが、海未は既に次弾の投擲態勢に入っていた。

 

「くそっ、間に合わん・・・!」

 

志郎が諦めかけたその時、

 

「ゔっ!うぅ・・・。」

 

と呻き声をあげて海未が倒れた。

 

「真姫ちゃん!」

 

「希ちゃん!!」

 

海未を倒したのは希と真姫だったようだ。海未が起き上がってこないのを確認したことりは指で丸を作って、「もう大丈夫」という合図を送った。ジェスチャーで表したのは海未を起こさないようにするための彼女なりの配慮だろう。

 

「いやー、ナイス奇襲だったぜお二人さん!すべては俺の策の内だったわけだ!」

 

幸雄は鼻高々と言った様子でソファーの裏から出てきた。

 

「人が一番大変だったときに隠れてた奴がよく言うぜ・・・。」

 

志郎はため息をつきながら幸雄に悪態をつく。

 

「あんな一撃で人を気絶させるような攻撃手段持ってる相手に挑むなんて自殺行為もいいとこだろ。そういう意味じゃ俺の判断は間違ってないがな。」

 

「それにゆっきー君から『海未ちゃんの死角に潜め』って言われたのは本当の話やしね。」

 

希が幸雄からあらかじめ策を授けられていたことを明かした。

 

「俺は囮かよ・・・。」

 

「でも志郎くん凄いにゃ!にこちゃんも絵里ちゃんも穂乃果ちゃんも一発で倒しちゃう超音速枕でも倒れないなんて!」

 

「どうして志郎さんは平気だったんですか?」

 

花陽が首を傾げながらたずねると、

 

「特にこれといった仕掛けはないぞ。ただ俺は生まれつき体がかなり丈夫で、小学生の頃から体を鍛えてたら更に丈夫になっただけさ。まあそれでもあと一発喰らってたらあそこで転がってる奴らの二の舞だったわけだから、まだまだ修行不足だな。」

 

志郎は苦笑いしながら、海未の攻撃を耐えきった防御力の秘訣を話した。

 

「あれで修行不足ってお前ホント身体能力が色々おかしいぜ・・・。」

 

志郎の話を聞いた幸雄は顔を引きつらせながら呟いた。

 

「まったく、とんだ目にあったもんよね・・・。」

 

真姫がそう言ってため息をつくと、

 

「でも元はと言えば真姫ちゃんが始めたにゃ。」

 

と凛が反論した。

 

「ち、違うわよ!あれは希が・・・。」

 

「うちは何にも知らないけどね~。」

 

真姫は希が始めたと言おうとしたが、その希は笑いながらしらを切っていた。

 

「あんたねえ!」

 

「えい!」

 

「って何するのよ希ぃ!」

 

「自然に呼べるようになったやん、名前。」

 

「え。」

 

希にそう言われた真姫は一瞬戸惑った様子だったが、ことりや凛、花陽、そして志郎と幸雄たちはやっと、素直に名前で呼べるようになった真姫を微笑ましそうに見ていた。

 

「本当に面倒な子やな。」

 

希が笑顔でそう言うと、

 

「べ、別にそんなこと頼んでなんかないわよ!」

 

と、顔を赤くした真姫は照れ隠しをするように希に枕を投げつけた。

 

「はいはい、イチャイチャするのはそこまでにしろー。」

 

「イチャイチャなんかしてないわよ!」

 

真姫は幸雄に反論するが、

 

「とりあえず戦後処理をしてからさっさと寝ようぜ?」

 

と、真姫の言葉を軽く流した幸雄は死体のように転がっている穂乃果たちを指差して言った。

 

「そうだな。せめてタオルケットをかけ直すくらいはしてやらんとだな。」

 

志郎がそう言うと、起きているメンバーで倒れてるメンバーを元の位置に戻してタオルケットをかけ直してから、改めて眠りについた。

 

この時の出来事がきっかけで、μ'sの間でとある暗黙のルールが生まれた。それは・・・。

 

 

「寝ている(あるいは眠そうな状態の)海未を無理やり起こしてはいけない。」

 

 

 

それを破ることは、あの惨劇を再び巻き起こす事となることを意味するので、その日以降誰もそのルールを破るものはいなかったという・・・。




いかがでしたでしょうか?

超音速枕を喰らっても倒れない志郎くん強い(小並感)

いよいよ次回で合宿編も終わりとなります。次回はアニメでの尺の都合上で普段より少し短くなるかもですが、ご容赦ください。



それでは次回もまたお楽しみください!!
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