ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です!


いよいよ今回から1期の最大の山場である学園祭編が始まります!アニメを見た読者の方々にはもうお分かりかと思いますが、この36話からは恐らく原作以上にシリアスな雰囲気の部分も出てくる可能性があるので、心して読んでください。



それではどうぞお楽しみください!!


36話 さらなる躍進と小さな歪み

夏休みが終わり、2学期が始まって少し経った頃のとある朝―――――

 

「まだまだ暑いなあ。早く秋になってくれたら嬉しいんだが・・・。」

 

「おーーーーい!!志郎ーーーーーー!!!」

 

志郎が9月になっても8月譲りの暑さが続いていることに対して愚痴をこぼしながら歩いていると、後ろから幸雄が大声で志郎を呼びながら全力疾走してきた。

 

「なんだよ幸雄、珍しい慌てっぷりじゃないか。」

 

「むしろ俺はお前の冷静さにびっくりしてるよ・・・。『アレ』を見てどうしてそんないつも通りでいられるんだっつうの!」

 

「『アレ』ってなんだ?」

 

「はああああああ!?お前まさかまだ見てないのか!?」

 

「ニュースはいつも見てるがそんな驚くようなものは・・・。」

 

「ち、が、う!!ラブライブの予選のランキングだ!!お前、μ'sの補佐役でありながらチェックを怠るってどういう了見だ全く!!」

 

幸雄は志郎に対して文句を言いながらポケットからスマホを取り出してその画面を志郎の目の前に突き付けた。

 

「なになに・・・。なっ!?19位だと!!?」

 

志郎は画面に映っていた数字に驚いた。予選ランキング19位、ラブライブの本戦に出られるのは20位までだからμ'sも本戦への出場権に手が届いたという事になる。

 

「幸雄・・・!これ・・・これ・・・!」

 

「すげえだろ志郎・・・!言葉も出ねえだろ・・・!」

 

「ああ!!あの寂しいファーストライブからだいたい4、5か月・・・。どん底からのスタートだったというのによくぞここまで・・・!!」

 

志郎と幸雄は互いに肩を組みながら、喜びを嚙みしめた。

 

「いやぁしかし感慨深いもんだ!!」

 

「そうだな。だが、ここで喜んでばかりはいられんぞ幸雄。」

 

志郎は先ほどまで喜んでいたが打って変わっていつも通りのテンションに戻った。

 

「やれやれ、もう少しぐらい喜んでてもバチは当たらんだろうに。」

 

幸雄は志郎の変わり身の早さに苦笑いしながら言った。

 

「こうやって何事も上手く行っている時が一番危ないんだ。慢心していれば足元を掬われる・・・。あいつらに俺と同じ轍を踏ませてはならんのだ・・・!」

 

「気持ちは分かるがね、もう少し気楽に行ったらどうよ?」

 

「・・・すまん。お前の気遣いは嬉しいが、こればかりはどうにもならんのだ。」

 

志郎は自分の肩に置かれた幸雄の手をゆっくりと離しながら言った。

 

「そうか・・・。だが、そんな辛気臭え態度はあいつらの前では取るなよ?」

 

「そうだな。いつもどおりが一番かもしれんな。」

 

志郎はそう言うと、強張っていた表情をほぐすために笑ってみせた。

 

「それにしても、きっと穂乃果はすげえ舞い上がってんだろうな。」

 

「凛あたりもそうかもしれんな。あとにこも表面は隠してても案外・・・。」

 

志郎と幸雄は、話を切り替えて音ノ木坂学院へ続く道を歩いて行った。

 

 

 

 

 

そして志郎が教室に着くと、穂乃果の席の周りが少し賑やかになっていた。

 

「よぉ、どうしたんだ?」

 

「あ!志郎くん!!私たち19位に」

 

「それはさっき幸雄から聞いたぞ。」

 

「ちぇー・・・。もうちょっと喜んでくれてもいいじゃん!」

 

「すまんな、さっき幸雄と盛大に喜んでたんでな。それよりもミカはなんで色紙なんか持ってるんだ?」

 

志郎はミカが持っている色紙を指差してたずねた。

 

「ああこれ?実は穂乃果と園田さんにサインを書いてもらったんだ!」

 

と志郎に色紙を見せた。

 

「ほぉ・・・。でっか!穂乃果の字でかすぎだろ!?でかすぎて最後の『果』の部分だけ小さくなってるし!もう少しバランスを考えて書いたらどうなんだ全く・・・。」

 

志郎は色紙に大大と書かれた『高坂穂乃』と小さく書かれた『果』の字を見て呆れかえった。

 

「えへへ・・・。サインとか書いたことないし・・・。」

 

「まあこれも味があるとして、海未のサインはどこにあるんだ?」

 

志郎は海未のサインがどこにあるのか、色紙を隅から隅まで見ながら探していると、

 

「小せえ!?今度はよく見ないとわからんぐらい小せえ!!」

 

色紙の隅っこに丁寧な字で書かれた『園田海未』の字を見てまたツッコミを入れた。

 

「すいません、恥ずかしくって・・・。」

 

「いやいや、流石にサインくらいはもうちょっとでかく書いても平気だろうに・・・。」

 

顔を赤くしながら弁明する海未に対しても志郎は呆れていた。

 

「実はさっき矢澤先輩にも頼んだんだけど、『すいません、プライベートなんで。』って断られちゃって・・・。」

 

フミコはにこにもサインを頼んだらしいが素っ気なく断られたらしい。

 

「なんて言うか、どんな感じで言ってたのかが目に浮かぶな・・・。」

 

「私たち、芸能人ってわけじゃないし・・・。」

 

志郎と穂乃果はにこの様子に苦笑いしていた。

 

「まあ、とにかくにこのそれはアイドルとして意識の高さから来てるものだから許してやってくれ・・・。」

 

「あれ?諏訪部くんも先輩後輩やめてるの?」

 

「ああ、一応俺たちもアイドル研究部員ってことでな。」

 

「すご~い、こっちはマネージャーみたい!」

 

志郎はヒデコに穂乃果と同じように先輩の名をフランクに呼んでいることを指摘され、それに対して答えた。

 

「あれ?そう言えばことりちゃんは?」

 

穂乃果がそう言うと、その場にいた5人が一斉にことりの席を見た。

 

「なんか用事でもあるんじゃないか?」

 

「幸雄もいませんね。さっきの話を聞いたところ、一緒に来てたように聞こえたんですが・・・。」

 

「ほんとだ。幸雄め、いつの間に何処に消えたんだか。」

 

 

そんな話をしていた頃、穂乃果たちの教室がある階の階段にて・・・。

 

「・・・。」

 

ことりが手に何かを持って立っていた。その表情は明るいとはお世辞にも言えないものだった。

 

そしてことりが立っている壁のすぐ近くの曲がり角で・・・。

 

 

(なんかことりの様子がおかしいと思って付いて来てみたら、なんか不穏な臭いがしてきたぞ・・・?しかも手に持っているのは・・・エアメールの封筒じゃねえか。)

 

幸雄は、志郎と一緒に教室に向かう時にことりとすれちがい、彼女の様子がおかしいと感じたのでそのまま付いて来ていたのだ。

 

「・・・これは何か厄介なことになりそうだ。勝頼さまの耳にも入れておく必要があるな。」

 

幸雄は、乱世で培ってきた直感から一波乱ありそうな予感を感じ取り、無意識に昌幸時代の口調でことりに聞こえないように呟くと、足音を出すことなくその場を後にした。

 

 

 

 

 

「・・・そうか。ことりの様子がおかしいとは思ってはいたが、そのような事があったとはな。」

 

放課後の誰もいない空き教室で、幸雄は朝に見たことりの様子を志郎に報告した。

 

「ああ。だがことりが何を思い悩んでいるかまではこの俺の目を以てしても把握はできなかった。」

 

「そりゃお前は超能力者ではないから無理もないだろう。それにしてもエアメールか・・・。」

 

「そこが引っかかるんだよな。いっそことりに聞いてみるか?」

 

「いや、それはまだ時期尚早だ。もう少し様子を見てからでも遅くは無かろう。」

 

ことりに悩みの内容を聞いてみるという幸雄の提案を志郎は却下した。

 

「志郎、さっきも言ったがお前少しばかり慎重すぎやしないか?昔のようにとは言わんが、もう少し突き進むように動いてもいいと思うんだが・・・。」

 

幸雄は、頑なに慎重な行動をしようとする志郎を心配していた。

 

「お前の言いたいことは分かる。だが、今はあいつらにとって大事な時期なんだ。俺たちが勝手な行動をとって足を引っ張るようなことはあってはならん。それにμ'sは9人で1つのグループなんだ、1人が動揺すればそれが瞬く間に全員に伝播して士気にも影響が出かねん。それに何より・・・。」

 

「お前の二の舞を演じさせたくない・・・だろ?」

 

「そうだ。あいつらには俺と同じ過ちを犯させてはいけない。まして成功続きで勢いに乗っているこの時が一番怖いのだ。もしそんな時に長篠の戦に匹敵するような失敗を犯してしまうようなことがあってみろ、下手をすればμ's自体が・・・。」

 

「おいおいおいちょっと待てよ志郎、そいつは考えすぎだぜ。確かにお前さんの経験から来るその危機感は分からんでもないが・・・。あいつらが、ましてやあの穂乃果がそんなことで折れるわけが・・・。」

 

幸雄は悲観的な考えに進む志郎をフォローするが、

 

「いや、何も俺は被害妄想でこんなことを言っているわけはないんだ。それに、考えすぎでもないし根拠もあるんだ。」

 

と志郎は首を横に振りながら断言した。

 

「根拠だと?」

 

「ああ。実はこの時代に生まれてから、何か悪い事が起きる前になると昔の夢を見るようになったんだ。」

 

「昔の夢・・・。」

 

「しかもそのほとんどが長篠での戦か俺が死ぬ前の甲州崩れの時の夢なんだ。大体この夢を見ると悪い事が起きるんだ。その夢が鮮明であれば鮮明であるほど近いうちに悪い事が起きるようになっているんだ。」

 

志郎が言うには、悪い事が起きる前触れとして長篠の合戦や、甲州征伐、天目山・田野の戦いの夢を見ることがあり、その夢が鮮明か曖昧かで凶事が起きる時期が変わってくるらしい。

 

「小学生の時もひどく鮮明な長篠の戦の夢を見て、その次の日に交通事故にあったことがある。」

 

「マジかよ・・・。」

 

(もっとも、神峰橋高校にいた頃に秋山がいじめられてるところを見て神崎たちを叩きのめした時も、前日に天目山の夢を見たんだがな。だがあの事件は音ノ木坂で知り合った奴には黙っておこう。)

 

幸雄は、志郎の言う夢のジンクスがそれなりに根拠のある話だと知って驚きを隠せなかった。

 

「それで、志郎は今日その昔の夢を見たのか?」

 

幸雄は恐る恐る志郎にたずねた。

 

「ああ、見たとも。だが、今回見た夢は霧がかかっててぼんやりとしていた。恐らく凶事が起こるのはまだ先の事だろう。」

 

「そうか・・・。まあ、時間があるってんならそれなりに対策が立てられそうだな。」

 

幸雄は志郎の言葉に安堵のため息をつきながら答えた。

 

「ああ。ゆえに出来るだけ慎重に、そしてわだかまり無く解決できるようにしなくてはならん。」

 

「やれやれ、今までで一番厳しい任務になりそうだ。」

 

「分かってはいるだろうがここで話したことは誰にも漏らすなよ?μ'sは繋がりが強い分、噂が広がるのも早い。この動揺をこれ以上広げてはならない。」

 

「分かってるさ。お前さんがそう言うなら俺もその通りに動く。」

 

幸雄は志郎の言葉に同意した。

 

 

 

2学期が始まり、μ'sはさらなる躍進を遂げようとしていたが、その影で小さな綻びが生まれつつあった。




いかがでしたでしょうか?


今回は話の配分の都合でいつもに比べるとかなり短くなってはいますが、作者なりに内容のある話を書けたと思っております!

この学園祭編はとにかく気合を入れて書く所存なので、温かい目で見守ってくださると幸いです。あと感想もじゃんじゃん書いてくださったらモチベーションが上がって更に新しく瑞々しいアイディアが浮かんでより素晴らしい作品になるかもしれません!どうかよろしくお願いします!



それでは次回もまたお楽しみください!!
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