ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です。

今回も(というかこの先も)シリアス度濃厚でお届けします!あ!閲覧者さん逃げないでくださーーーい!!



それではどうぞお楽しみください!!


37話 憂う若虎

志郎と幸雄が空き教室での密談を終えて、穂乃果たちと合流するために部室へ向かっているとにこを先頭にμ'sが揃って歩いているのを見つけた。

 

「お前らこんなとこで何してんだ?」

 

「まだ練習は始まってないのか?」

 

「ええ。でもその前に私たちには決めなくちゃならないことがあるのよ。」

 

志郎と幸雄の疑問に絵里が答える。

 

『決めなきゃならないこと?』

 

2人はそれが何なのか思い当たらず、首を傾げた。

 

「見れば分かるわ。付いて来て!」

 

そうして絵里たちに付いて行った先にあったのは―――――

 

 

 

 

 

 

「やったやったー!!」

 

「部長ー!!」

 

「茶道部、午後3時からの1時間、講堂の使用を許可します!」

 

『やったー!!』

 

学園祭における講堂の使用権を決めるくじ引きの会場であった。会場と言っても、それは生徒会室を利用した小規模なものであった。

 

「・・・なんで講堂がくじ引きなわけ?」

 

「昔から伝統らしくて・・・。」

 

納得いかないような表情で呟くにこに対して、絵里は苦笑いで答えるしかなかった。

 

「いやいや、これは残しておくような伝統でもないだろ。」

 

「というかそもそも茶道部が講堂を1時間も使う必要ってあんのか・・・?」

 

志郎も幸雄も、本当にこのくじ引きが必要なのかどうか疑問を抱いていた。

 

「にこちゃん!」

 

「!!」

 

部長としてくじ引きを任されたにこは、覚悟を決めて抽選器に向かって歩き出した。

 

「では、続いてアイドル研究部・・・ひっ!?」

 

「・・・見てなさい!!」

 

「が、頑張ってください・・・。」

 

にこのあまりにも険しい表情に抽選会の役員を務めている生徒も気圧され、ただ苦笑いで健闘を祈る言葉をいう事しかできない様子だった。

 

「にこちゃん、頼んだよ!!」

 

「講堂が使えるかどうかでライブのアピール度は大きく変わるわ!!」

 

「これでこの後の戦略に大きく影響が出るぞ!!」

 

穂乃果や絵里に続いて、志郎もにこへ期待の言葉をかける。にこはメンバーの期待を一身に背負い、抽選器のハンドルに手をかけ、抽選器を回した。

 

穂乃果は結果が気になるのかにこの側に付き、ことりと海未と絵里は緊迫した表情でそれを見守り、一年生たちは生徒会室の隅っこで不安そうな表情で成り行きを見守り、希はどこから取り出したのか、数珠を持って手を合わせてにこに念を送っていた。

 

一方で志郎たちは、

 

「南無八幡大菩薩に諏訪大明神よ、どうか我らにご加護を・・・!」

 

「白山大権現よ、どうかにこにお力を・・・!」

 

と、自分たちがかつて信奉していた神仏に祈りを捧げていた。それほど大事な局面だという事が伺える。

 

「・・・!!」

 

そして遂に抽選器から、穂乃果たちの運命を決める玉が落ちてきた。その色は―――――

 

 

「・・・っだああああ!!?」

 

白。それは福引においてハズレを象徴する色だった。

 

「残念!アイドル研究部、学園祭で講堂は使用できません!!」

 

そのあまりにも残酷すぎる現実を告げる言葉に、その場にいたμ'sのメンバーもみんな床に崩れ落ちた。

 

「・・・うそ。」

 

にこはその現実を目の当たりにして呆然とするしかできず、

 

「ファッキンジーザス!!!」

 

幸雄は頭を抱えながら怨嗟の言葉を叫び、

 

「くそっ!分かっていた・・・。天運が如何に人に対して残酷なものか分かっていたのに・・・!!」

 

志郎も拳を床に打ち付けて、天運が如何に残酷であるかを改めて実感させられた。

 

 

 

 

 

 

「どおおおおしよおおおおお!!」

 

穂乃果の悲痛な叫びが屋上に響き渡る。

 

「だってしょうがないじゃない!!くじ引きで決まるなんて知らなかったんだから!!」

 

「あー!開き直ったにゃ!!」

 

「うるさーい!!」

 

「ひぃー!」

 

凛がにこを責めるが逆に一喝を受ける羽目になっていた。

 

「うう・・・、なんで外れちゃったのぉ~・・・?」

 

花陽に至っては本気で泣き出す始末であった。

 

「ま、予想されたオチね。」

 

「ああ、これぞ約束された勝利のオチってヤツだな・・・ハハッ。」

 

真姫は随分とドライな様子で割り切っていたが、似たようなセリフを言った幸雄は目が死んでいるうえに乾いた笑いを浮かべていた。

 

「にこっち・・・。うち、信じてたんよ・・・?」

 

「うるさいうるさいうるさーい!!悪かったわよぉ~~!!」

 

希の言葉を受け、散々責められ続けていても耐えていた流石のにこも参ったのか、地団太を踏みながらみんなに謝る。

 

「まあ、こればかりは本当に天運次第だから仕方ないさ・・・。」

 

志郎はにこの肩を叩いてフォローした。

 

「志郎の言うとおりね。とりあえず気持ちを切り替えましょ。講堂が使えない以上他のところでやるしかないわ。」

 

絵里はみんなに気持ちを切り替えるように促す。

 

「とは言ってもだ。ライブで使えそうな体育館やグラウンドは当然のことだが運動部に占拠されてるぜ?」

 

「ではどこで?」

 

幸雄が体育館やグラウンドが使えないことを示唆すると、海未をはじめとして他のメンバーは他に仕える場所がないか考え始めた。

 

「・・・部室とか?」

 

「狭いよ!!」

 

にこは部室を挙げたが、穂乃果の指摘であっさり却下となった。部室も普通の教室並みの広さなのでライブをやるのが難しいから無理もない話である。

 

「あ、じゃあ廊下は?」

 

「馬鹿丸出しね。」

 

「にこちゃんがくじ外したから必死で考えてるのにー!!」

 

「まあ、廊下は出し物の宣伝をする奴らや客が通るし・・・。」

 

今度は穂乃果が提案するが今度はにこにあっさり却下された。穂乃果は納得いかない様子だったが志郎がそれを宥めた。

 

「他には・・・。」

 

絵里が周りを見回しながら使えそうな場所を考えていると、

 

「じゃあここ!!屋上でやろうよ!!」

 

『えっ?』

 

穂乃果が突然出した提案に彼女以外のメンバーは驚きの声を出した。

 

「ここに簡易ステージを作ればいいんじゃない?ここならお客さんもたくさん入るだろうし!」

 

「屋外ステージ?」

 

「確かに、たくさん人は入るけど・・・。」

 

希とことりも穂乃果の案は悪くないとは思っているようだが、まだ決定に踏み切れそうな様子でもなかった。

 

「何よりここは私たちにとってすごく大事な場所!ライブをやるのに相応しいと思うんだ!」

 

穂乃果は屋上がμ'sにとって大事な場所であり自分たちのライブに相応しい場所でもあることをみんなに語り掛ける。

 

「野外ライブ、かっこいいにゃ~!!」

 

凛は穂乃果のアイディアに乗り気であった。

 

「でも、それなら屋上にどうやってお客さんを呼ぶの?」

 

「確かに、ここだとたまたま通りかかる事もないですし・・・。」

 

絵里と海未はどのように観客を呼ぶのかを穂乃果に聞いた。屋上は目立ちにくいので海未の言う事ももっともである。

 

「下手したら1人も来なかったりして。」

 

「えぇ!?それはちょっと・・・。」

 

「じゃあ、おっきな声で歌おうよ!!」

 

「はあ、そんな簡単な事で解決できるわけが・・・。」

 

「校舎の中や外を歩いているお客さんにも聞こえるような声で歌おう!そしたらきっと、みんな興味をもって見に来てくれるよ!!」

 

穂乃果の突拍子もない思いつきに呆れるにこの言葉を遮り、穂乃果は自分たちの歌声で観客を呼ぼうとみんなに提案した。

 

「ふふ、穂乃果らしいわ。」

 

「・・・だめ?」

 

「いつもそうやってここまで来たんだもんね、μ'sってグループは。」

 

「えへへ・・・。」

 

穂乃果の提案を聞いた絵里はそう言って穂乃果に微笑んだ。それは、敵というわけではなかったがμ'sの前に立ちはだかり穂乃果たちの事をよく見てきた彼女だからこそ言える言葉であった。

 

穂乃果もそんな絵里の言葉を聞いて顔をほころばせた。

 

「決まりよ!ライブはこの屋上にステージを作って行います!」

 

「確かに、それが一番μ'sらしいライブかもね。」

 

「よ~し!凛も大声で歌うにゃ~!!」

 

「大声で歌うってのも悪くはねえが、学園祭で喉を嗄らしちゃあシャレにならねえから、俺たちはチラシとか作って客引きしてやるよ。」

 

絵里の決定に反対する者は無く、満場一致で屋上でライブを行うことが決まった。

 

「じゃあ各自、歌いたい曲の候補を出してくること!じゃあ練習始めるわよ!!」

 

 

 

 

 

そして練習が終わった後、穂乃果とことりが校舎の前を歩いていた。

 

「ああ~!ライブ楽しみだなぁ!!ね、ことりちゃ・・・ん?」

 

「・・・。」

 

穂乃果は、来たる学園祭でのライブが待ち遠しくてしょうがないといった様子であったが、ことりはそんな穂乃果とは対照的に、どこか気分がすぐれてないような表情だった。

 

「あのね、穂乃果ちゃん・・・。」

 

「ん?」

 

「あのね・・・。」

 

「?」

 

「・・・ライブ、頑張ろうね!」

 

ことりは、穂乃果に何かを伝えようとしたがそれを言葉にすることができず、無理に笑顔を作って誤魔化していた。

 

「うん!行こう!」

 

穂乃果は、そんなことりの心中を知ってか知らずか陽気に返事をして、そのまま歩きだした。ことりがその後ろで再び憂鬱そうな表情に戻っていたことを知らずに・・・。

 

 

 

「盗み見なんて気が進まんのだがな・・・。」

 

「しょうがねえだろ!ことりの様子がおかしいからそれを探るにはこれしかねえんだってば!」

 

穂乃果たちが通り過ぎた後、校舎前の並木道にある木の後ろから先ほどの会話を覗いていた志郎と幸雄が出てきた。

 

「確かに大っぴらに聞くこともできんしな。それにしても結局ことりの悩みが何なのか、分からずじまいだったな。」

 

「ああ。だが状況はさらに厄介だって事は把握できたぜ。」

 

「何?それはどういう事だ!?」

 

幸雄の不吉な言葉を聞いた志郎は、食い気味にその意味をたずねる。

 

「見たまんまだよ。穂乃果の奴、ことりの様子がおかしいのに微塵も気づいちゃいなかった。」

 

「そうだな。確かにどう見てもことりが何か思い悩んでるのに気づいてる様子が見られなかった。」

 

「それが厄介なのさ。μ'sの実質的なリーダーである穂乃果がメンバーの異常に気づいちゃいねえってのはかなり致命的だ。お前ならこれが如何にヤバいって事が分かると思うがな。」

 

「ああ、リーダーたる者は常にメンバーの事を満遍なく気に掛けなくてはいかんのだが今の穂乃果はライブに気が向きすぎていてそれが出来ていない。確かにこれは色々致命的だ・・・。」

 

「あいつは一度物事を決めたらそれに向かって一心不乱に突き進む行動力が持ち味なんだが、それが最大の欠点でもある。」

 

「つまり、それを如何に欠点としての効果を及ぼさないようにコントロールするのが俺たちの役目・・・というわけか。」

 

志郎は不安そうな表情で自分たちの役目を認識した。

 

(まあ、その欠点が決定的な壊滅を呼ばなきゃいいんだが・・・。こればかりは天運に任せるしかないのかねえ。)

 

幸雄はそんな志郎を横目に、険しい表情でいずれ来るかもしれない最悪の展開が来ないことを望んでいた。

 

 

 

 

 

 

次の日、部室にて――――――

 

「ええ?曲を!?」

 

「うん!昨日真姫ちゃんの新曲を聞いたらやっぱり良くって、これを一番最初にやったら盛り上がるんじゃないかって!」

 

穂乃果はどうやら学園祭のライブに新曲を入れるつもりのようだ。

 

「まあね、でも歌も振り付けもこれからよ。間に合うかしら・・・。」

 

「絵里の言う通りだ。曲以外何も出来てない物を仕上げるのはかなり時間がかかるぞ。それを知らんというわけでもあるまい。」

 

「頑張ればなんとかなると思う!」

 

穂乃果は絵里と志郎の反論に対して、いつも通りの「頑張ればどうにかなる」という論調をぶつけた。絵里もそれに納得した様子を見せるが、

 

「でも、他の曲のおさらいもありますし・・・。」

 

「わ、私、自信ないなぁ・・・。」

 

今度は海未や花陽も穂乃果の提案に難色を示し始めた。

 

「μ'sの集大成のライブにしなきゃ!ラブライブの出場が懸かってるんだよ!?」

 

「まあ確かに、それは一理あるね。」

 

希は海未と花陽に対する穂乃果の反論に同調する。

 

「でしょ?ラブライブは今の私たちの目標だよ!そのためにここまで来たんだもん!!このまま順位を落とさなければ、本当に出場できるんだよ!たくさんのお客さんの前で歌えるんだよ!?」

 

穂乃果は話しているうちに熱くなってきたのか興が乗って来たのか、立ち上がった。

 

「私、頑張りたい!そのためにやれることは全部やりたい!!ダメかな!?」

 

穂乃果はそう言ってみんなに賛成か反対かをたずねた。

 

「・・・反対の人は?」

 

絵里がそう言うが、μ'sのメンバーは誰一人も言葉を出さなかった。つまり、穂乃果の意見に賛成という事になる。

 

このまま穂乃果の提案が通るかと誰もが思っていたが、ここで思わぬ伏兵が現れた。

 

 

「すまないが、俺は反対だ。」

 

 

そう言って手を上げたのは志郎だった。

 

「志郎・・・?」

 

穂乃果たちがスクールアイドルを始めた時からサポート役として彼女たちを支えて来た志郎が真っ向から穂乃果の意見に反対した事に、海未は驚いて思わず彼の方を見た。

 

「どうして!?志郎くんだって、ラブライブを目指すのは賛成だったはず・・・!」

 

穂乃果は食い入るように志郎に反対する理由をたずねる。

 

「ああ、確かにラブライブを目指すことに関しては俺も賛成だ。お前のそれに関する主張もその通りだと思っている。」

 

「じゃあなんで・・・!」

 

「だが、俺が反対する理由があるのはそこではない。」

 

「どういうこと?」

 

絵里は志郎の意図が読めず、彼にそれをたずねる事しかできなかった。

 

「俺が穂乃果の意見に反対する理由、それはお前のその突っ走りすぎている姿勢そのものにあるのだ。」

 

「私の・・・?」

 

「そうだ。お前の何か目標ややるべき事を見つけたらそれに向かって全力で突っ走るその性格は、何事にも勝る長所ではあるが、一方で最大の短所にもなり得る。それこそが俺が反対する理由だ。」

 

志郎はオブラートに包むことなく穂乃果の欠点を指摘した。

 

「でもそれと何が関係あるって言うのよ。」

 

真姫はいつもの癖で髪をいじりながら、志郎が指摘した穂乃果の短所と反対意見に関係があるのかどうかを聞いた。

 

「気負いすぎている・・・否、急ぎすぎているとは思わないか?」

 

『え?』

 

「確かに穂乃果の言う事はもっともだ。それにメンバーが次々と結集し、オープンキャンパスのライブが成功して廃校に待ったをかけ、アキバのゲリラライブのおかげで知名度が上がり、合宿では団結力をさらに深め、遂にラブライブ出場も現実的になった・・・。ここ最近でμ'sがとんとん拍子で力を付けている以上、その勢いに乗るのも戦略的には間違ってもいない・・・。」

 

「それなら何が気に食わないってのよ。」

 

真姫は志郎のはっきりとしない物言いにため息をついた。

 

「志郎が言いてえのは、勢いに乗りすぎるのが危ないって事だろ。」

 

今まで沈黙を貫いていた幸雄が口を開き、志郎の言いたいことを代弁した。

 

「ああ、俺の意見が及び腰で消極的だというのは重々承知している。だがそれでも俺はその勢いに乗りすぎるのは危ないと考えている。」

 

「どうして志郎はそう思うのかしら。」

 

「・・・知っているんだ。」

 

「え?」

 

「俺は知っているんだ。今の穂乃果のようにただでさえ普段から猪突猛進だというのに、絶好調続きでさらに勢いに乗ろうとして無茶をして・・・。それで取り返しのつかない失敗をした男を俺は知っている。その男と穂乃果は似ている。似ているだけではなく状況もあまりに整いすぎている。それゆえにあの時(・・・)の再現が、同じように取り返しのつかないような失敗を招いてしまうのではないかと思って怖いのだ・・・。」

 

(ファーストライブの時には挫けそうになった穂乃果たちを鼓舞していたっていう志郎がここまで及び腰になるなんて・・・。一体何があったというの?)

 

志郎の言葉を聞いた絵里は、普段の彼からは想像できないほどの怯え方に疑問を抱いた。

 

「そんなの、そいつはそいつで、穂乃果は穂乃果なんだから似たような事が起きるとは限らないじゃない!」

 

にこは志郎の態度に業を煮やして強気に反論する。

 

「分かっている!同じことが起こるとは限らないことも分かっているし、そうならないためにサポートするのが俺たちの仕事だというのも分かっている!!だが、もしもという事があるではないか!」

 

そんなにこの反論に対して、志郎も声を荒げながら言い返した。感情が高ぶっているためか、勝頼だった頃の口調が少し漏れ出していた。

 

「現に、今の穂乃果はことりnむぐ!?」

 

「おっとそこまでだ志郎!」

 

穂乃果がことりの様子が変であることに気付いていないことを指摘しようとした瞬間、幸雄が志郎の口を押さえた。

 

「むぐむぐぐ!?(何をする!?)」

 

(バッカ野郎、お前この場でことりの事を話す奴があるか!)

 

幸雄は他のメンバーに聞こえないように志郎の耳元で小声で諫め始めた。

 

「むぐむぐむ・・・。(いやしかし・・・。)」

 

「分かってるさ。お前の気持ちは俺が一番わかっている。穂乃果にことりの事を気にかけて欲しいって思ってることもな。」

 

「・・・。」

 

「しかしな。お前さんも大概熱くなりすぎて周りの事が見えなくなっちまいがちなのも事実、今のがそれだ。今この場でことりの事を言ってみろ?間違いなくあいつらの間に動揺が広がってそれこそ士気に影響が出て足並みがバラバラになっちまう、お前としてもそれだけは避けたいだろ?辛いだろうが、ここは耐えて足並みを揃えておくのが一番さ。あいつらが脱線しないようにフォローするのが俺たちの仕事だし、あいつらに欠けてるものは俺たちが補ってやればいい。そうだろ?」

 

「・・・むぐぐ。(わかった。)」

 

幸雄は志郎が自分の説得を聞き入れてくれたのを感じて拘束を解いた。

 

「わかった。反対意見は取り下げ、俺も賛成しよう。」

 

「志郎くん・・・。ありがとう!」

 

志郎が反対を取り下げたことで、他のメンバーはほっとした様子を見せ、穂乃果は志郎に頭を下げて礼を言った。

 

「だが穂乃果よ。俺が今言った言葉は完全に覚えなくてもいいし、頭の隅にでもいいから留めて、後々に活かしてくれ。」

 

「う、うん。」

 

志郎は穂乃果にそう忠告をし、穂乃果もそれに頷いた。

 

「すまん、色々熱くなりすぎたから頭を冷やしてくる。」

 

穂乃果が頷いたのを見た志郎は、そう言って席を外した。事態がなんとか収束したことを確認した絵里は話をライブのものに戻した。

 

「話を戻すけど、練習は厳しくなるわよ!特に穂乃果。」

 

「!」

 

「あなたはセンターボーカルなんだから、みんなの倍はきついわよ!分かってる?」

 

「うん!全力で頑張る!!」

 

絵里に練習がきつくなると釘を刺された穂乃果は、表情を引き締めてその言葉に応えた。

 

「・・・。」

 

そんな穂乃果を見て、ことりの表情がまた少し暗いものになっていたが、それに気付いたのは幸雄だけだった。

 

(ふむ・・・。話の腰を折ってみんなの気を悪くしないようにと志郎を抑えたが、果たしてこの選択は正しかったのか?)

 

幸雄はことりの表情を見て、自分の採った選択は果たして間違っていなかったのかと、自らの行いを心の中で省みていた。

 

 

 

 

 

 

その一方で志郎は、(物理的な意味で)頭を冷やすために水道で顔を洗っていた。

 

「確かに幸雄の言う通り、俺はあの時の失敗が再現されてしまう事を恐れるあまりに、自分が恐れていたグループの足並みを崩してしまうという愚行に走ってしまう所だった・・・。」

 

志郎はさっきの会議での自分の行いを振り返り、反省していた。

 

「だがこれしきの事で挫けるわけにはいかん・・・。俺は誓ったのだ。あいつらに俺と同じ道を歩ませないと、武田家衰亡の二の轍は踏ませないと!!だから、何としてでもあいつらを支えてやらねば・・・。」

 

 

志郎は悲壮的な決意を胸に抱き、歩き出す。

 

だが、そんな彼の想いとは裏腹に運命は悲劇に向かって回りだしていた。




いかがでしたでしょうか?


最近、1期がクライマックスに近づいてきているという事で、テンションMAXかつ全速力で書き上げています!!

何故かって?そりゃあもう皆さんに早く物語の山場を読んで欲しいからですよ!最近評価やお気に入り件数が低迷しているので頑張らざるを得ません!!もちろん穂乃果ちゃんみたいな無理はしませんがねw

創作は自分のやりたいようにやるのが一番ですが、人様に見せている以上評価されてナンボだと私は考えております!えー、何が言いたいのかと言いますと・・・。


感 想 が 欲 し い で す !!


はい、以上です。(違反行為じゃないよね・・・?違反行為だったら消します)


とにかくこれからの展開も目が離せないものとなっておりますのでどうぞご期待ください!!


それでは次回もまたお楽しみください!!
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