ラブライブ! 若虎と女神たちの物語   作:截流

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どうも、截流です。

今回からアニメ1期12話に突入です!


それではどうぞお楽しみください!!


40話 雨上がり

穂乃果は学園祭のライブで倒れ、志郎によって保健室に運び込まれた後に早退し、それからしばらく風邪という事で学校を休んだ。そして学園祭から数日経ったある日、志郎たちは穂乃果の家にお見舞いに行った。

 

 

『申し訳ありませんでした!!』

 

穂むらに入ると、絵里と志郎がそう言って頭を下げた。

 

「あなた達・・・。な~に言ってるの!どうせあの子が全部できるできるって背負い込んだんでしょ?昔っからずっとそうだったんだから!」

 

『・・・。』

 

志郎たちの予想に反し、穂乃果の母はあっけらかんとした様子でそう言った。彼女の言葉には「気にすることはない」と言外に志郎たちに伝えられたように感じられたが、実際にその通りだったので志郎たちは言葉を返せなかった。

 

「それより、退屈してるみたいだったから上がってって!」

 

「え、それは・・・!」

 

「ずっと穂乃果ちゃん、熱が出たままだって・・・。」

 

穂乃果の母が志郎たちに上がっていくように誘ったのに対し、絵里とことりは困惑していたが、

 

「一昨日辺りから下がってきて、今朝にはもうすっかり元気よ!」

 

と、穂乃果の母は明るく答えた。

 

そんなわけで志郎たちは家に上がり、穂乃果の部屋に行った。

 

「穂乃果。」

 

「あ、海未ちゃんことりちゃん!」

 

海未が穂乃果を呼びながら部屋の戸を引くと、穂乃果はベッドでプリンを食べていた。穂乃果の母の言っていたように熱が下がっているのか、顔色も良くなっている。

 

「よかったぁ、起きられるようになったんだ!」

 

「うん、風邪だからプリン3個食べていいって!」

 

「心配して損した。」

 

そんな穂乃果を見てにこは呆れていたが、内心嬉しそうにも見えなくはなかった。

 

「お母さんの言う通りやったね。」

 

「それで、足の方はどうなの?」

 

「そうだ、あの時お前足くじいてたよな。大丈夫か?」

 

にこと志郎は穂乃果にライブで倒れた時にくじいた足の容態を聞いた。

 

「あ、うん。軽くくじいただけだから腫れが引いたら大丈夫だって。」

 

穂乃果はにこと志郎にテーピングを巻いた足を見せながら答えた。

 

「本当に今回はごめんね、せっかく最高のライブになりそうだったのに・・・。」

 

「穂乃果のせいじゃないわ、私たちのせい・・・。」

 

「ステージ作りにかまけていてみんなの様子を見れなかった結果こうなったのだから俺たちにも責任はあるさ。」

 

穂乃果がみんなに自分のせいでライブが失敗してしまったのを謝ると、絵里と志郎もまた自分たちにも責任があったと謝った。

 

「でも・・・。」

 

「はい、真姫がピアノでリラックスできる曲を弾いてくれたわ。これを聞いてゆっくり休んで。」

 

絵里はそう言って穂乃果にCDを渡した。すると穂乃果は窓を開け、

 

「真姫ちゃんありがと~!」

 

と、下にいる真姫に手を振りながら大声で礼を言った。

 

「何やってんの!」

 

「あんた風邪ひいてんのよ!」

 

もちろんすぐに絵里とにこにベッドに引き戻されたが。

 

「な~にやってんだか、あの病人。」

 

「大きな声出すから・・・。」

 

それに対して幸雄と真姫が呆れた様子で呟いていたが、

 

「嬉しいんだよ。」

 

「ふふっ。」

 

凛は2人にそう言って、花陽は穂乃果の元気そうな様子を見て嬉しそうに笑った。

 

 

「ほら、病み上がりなんだから無理しないで。」

 

「ありがとう。でも明日には学校に行けると思うんだ!」

 

「本当?」

 

「うん!だからね、短いのでもいいからもう一度ライブ出来ないかなって!」

 

穂乃果がそう言うと、みんなの表情が曇った。

 

「ほら、ラブライブの出場グループが決まるまであと少しあるでしょ?なんて言うか埋め合わせっていうか、なんかできないかなって!」

 

そんな穂乃果の提案を部屋にいた1年生と幸雄以外のメンバーが聞いている中、絵里は意を決して穂乃果には伝えにくい現実を伝える。

 

「穂乃果・・・。」

 

「ん?」

 

「ラブライブには、出場しません。」

 

「・・・え?」

 

 

「理事長にも言われたんだ、無理しすぎたんじゃないかって。こう言う結果を招くためにアイドル活動をしていたのかって・・・。だからみんなで相談し合ってエントリーを取り止めることにしたんだ・・・。だからもうランキングにμ'sの名はもう・・・ないんだ。」

 

あのライブの後、絵里と共に理事長室に呼び出された志郎が穂乃果にμ'sがラブライブのエントリーを辞退したという事実を申し訳なさそうな表情で淡々と伝えた。

 

「そんな・・・。」

 

「私たちがいけなかったんです。穂乃果に無理をさせたから・・・。」

 

「ううん、違う・・・。私が調子に乗って・・・。」

 

「穂乃果ちゃん・・・。」

 

それを聞いて落ち込む穂乃果を海未がフォローしようとしたが、それでも穂乃果は自分のせいだと自分を責めるのをやめなかった。

 

「誰が悪いなんて話してもしょうがないでしょ、あれは全員の責任よ。体調管理を怠って無理をした穂乃果も悪いけど、それに気づかなかった私たちも悪い・・・。」

 

「絵里ちの言う通りやね。」

 

そんなお通夜ムードがみんなの周りに漂っていたが、それを見かねた絵里は誰かに責任を求めるのはお門違いであるとして、全員がそれぞれ悪かったという事で話を終わらせた。

 

 

 

 

「で、結局穂乃果にあの事を話したってわけか。」

 

「ああ・・・。」

 

穂乃果の見舞いが終わったあと、志郎と幸雄は近くの公園でジュースを飲みながら穂乃果にラブライブのエントリーを取り止めたのを伝えたことについて話し合っていた。

 

「でも下手に隠すよりはスパッと後腐れなく伝えることができてよかったんじゃねーの?」

 

「そうなんだがな・・・。」

 

幸雄の言葉に重々しく頷く志郎の脳裏には穂乃果の落ち込んだ顔がまだ鮮明に残っていた。

 

「理事長に言われたことが引っかかってんのか?」

 

「そうだな。やはりあの手の言葉はどうにも耳が痛いし、心にズシリと来るもんだ。」

 

「他人事じゃあねえもんな。」

 

「ああ・・・。」

 

穂乃果やみんなが落ち込んでいた様子ももちろんだが、ライブの後に理事長に言われた『こんな結果を招くためにアイドル活動をしてきたのか。』という言葉も、志郎の心に暗い影を落としていた。

 

『こんな結果を招くために』、それは長篠の合戦で武田家に大打撃を与え、そのまま滅亡の一途を歩ませたという武田勝頼としての人生で残した結果を持ち、そして諏訪部志郎としての今回の人生では勝頼だった頃の二の舞を防ぐために悪戦苦闘している彼にとってはもっとも厳しく辛い言葉であった。

 

「落ち込む気持ちも分かるけどよ、前向きに行こうぜ!雨降って地固まるって言葉もあるくらいだ、きっといいことあるって!今回の事を教訓にすりゃあ絶対次は上手く行くさ!!」

 

二重の意味で落ち込む志郎を幸雄はいつもの調子のいい物言いで励ますが、

 

「その次は来年になるんだぞ。」

 

「あ、そっか・・・。」

 

二回目のラブライブの開催が来年になるであろうという事を臭わせる志郎の言葉に幸雄は『やっちまった』と言いそうな表情になった。

 

「だが確かに前向きになることは大切だよな、ありがとう幸雄。」

 

それでも志郎は幸雄の自分を励ましてくれようとした気持ちを汲んで彼に礼を言った。

 

「・・・いいってことよ!俺たちゃ親友だろ?」

 

「ああ、そうだな。」

 

2人はそう言うとゴミ箱にジュースの缶を投げ捨てて公園を後にした。

 

 

 

 

 

その夜・・・。

 

「お姉ちゃーん、ご飯できたって~!今日は下で食べるの~?」

 

雪穂が部屋にいる穂乃果を呼ぶが、返事が返ってこなかった。

 

「お姉ちゃん?もう寝てんの~?あっ。」

 

戸を開けると、穂乃果はベッドの上でパソコンを見ながら泣いていた。

 

パソコンの画面にはラブライブのランキングが映っていたが、そこには夕方に志郎が告げたようにμ'sの名は無かった。穂乃果は悔しさと、自分のせいでこうなってしまったという後悔と罪悪感に打ちひしがれていたのだ。

 

雪穂はそんな姉に対して欠ける言葉が見つからず、ただ見ていることしかできなかった。

 

 

 

一方その頃、ことりは自分の部屋で留学のための荷造りをしていた。

 

「・・・。」

 

ことりは荷造りを進めながら、壁に掛けてあるファーストライブの衣装を眺めていた。

 

「はい。」

 

ドアをノックする音に応えると、理事長が入って来た。

 

「穂乃果ちゃんには話したの?」

 

どうやら理事長は、ことりが留学の事を穂乃果に話したのかを確認しに来たようだった。

 

「うん、明日話す・・・。」

 

「ちゃんと話しなさいよ、大切な友達でしょ。」

 

「うん・・・。」

 

ことりは理事長の言葉に弱々しく頷いた。

 

 

 

そして穂乃果が復帰してから2、3日が過ぎた頃、ラブライブの予選は終わりA-RISEが1位で本戦に進出したことで話題が持ちきりであり、街中や通学路などに彼女たちが描かれたポスターが何枚も張り出されていた。

 

「・・・じゃあ辞退しちゃったんだ。」

 

「学園祭の時にトラブルがあったみたいでさー。」

 

「順位上がってたのにもったいないね~。」

 

「ほんとだよぉ。」

 

音ノ木坂学院の生徒たちの間には、μ'sのエントリー取りやめを惜しむ声が広まっていた。

 

「気にしないで。」

 

「・・・うん。」

 

校門前の階段でラブライブのポスターを眺めていた穂乃果をことりが慰めたものの、穂乃果は心ここにあらずといった様子だった。

 

「ほ、穂乃果ちゃん。あのね・・・。」

 

「・・・。」

 

ことりはなんとか留学の事を穂乃果に言いだそうとしたが、穂乃果はそれに気づくそぶりすら見せず、ことりはそんな穂乃果の様子を見て、また言い出せずに穂乃果の哀愁漂う背中を見ながらその場に立ち尽くしていた。

 

 

その様子を背後から三年生たちが見ていた。

 

「相変わらずやね。」

 

穂乃果の様子を見て、希が心配そうに呟き、

 

「学校復帰してからずっとあんな感じじゃない、希!」

 

それを見かねたにこが希の名を呼ぶと、

 

「任せといて!」

 

にこの言いたいことを察した希は両手を構えて穂乃果がいるところまで一気に駆け上り、

 

「わしっ!!」

 

と、穂乃果の胸を強かに揉み、

 

「うわああああああ!!の、希ちゃん!!」

 

穂乃果はそれに驚いて大きな悲鳴を上げた。

 

「ぼんやりしてたら次はアグレッシブなのいくよ~!」

 

「い、いえ・・・結構です!」

 

「あんたも諦めが悪いわねぇ!いつまでそのポスターを見てるつもりよ。」

 

2人の掛け合いににこが割って入って来た。

 

「うん、わかってはいるんだけど・・・。」

 

「けど?」

 

「けど・・・。」

 

「希!」

 

「ひっひっひっひ!」

 

「け、結構です~!」

 

穂乃果の煮え切らない態度に、にこはもう一度希を穂乃果にけしかけようとした。

 

「そうやって元気にしてればみんな気にしないわよ。それともみんなに気を遣って欲しい?」

 

絵里は笑いながら穂乃果にそう問いかけた。

 

「そういうわけじゃ・・・。」

 

「今日から練習に復帰するんでしょ?そんなテンションで来られたら迷惑なんだけど!」

 

「そうだね。いつまでも気にしてちゃしょうがないよね!」

 

「そうだ、その意気だぞ穂乃果。」

 

「あ、志郎くん!」

 

穂乃果がにこの言葉に明るく応えると、下から志郎がやって来た。

 

「いいか穂乃果、『名将とは一度大きな敗北を経験し、それを乗り越えた者を言う。』という言葉を知ってるか?」

 

「へ?ううん、聞いたことないや。」

 

「これは戦国時代の伝説的な名将、朝倉宗滴が遺した名言でな。大きな失敗をしてもそれを乗り越えることができれば必ず大きな成功を収めることができるようになるという意味があるんだ。だから穂乃果も、今回の事を糧に前向きに進むことが大事だと俺はおもうぞ!」

 

志郎は、かつて自分が生きた戦国乱世の大英雄ともいえる朝倉宗滴の名言を引用して穂乃果を励ます。

 

「志郎の言うとおりね。それに私たちの目的は、この学校を存続させること・・・でしょ?」

 

「うん!」

 

絵里が音ノ木坂学院の校舎を見上げながらそう言って、穂乃果もそれに頷いた。

 

 

「穂乃果~!昨日メールしたノートは~!?」

 

そうしていると、階段の上からヒデコが手を振りながら穂乃果に声を掛けた。

 

「あ!今渡す~!じゃあちょっと行ってくるね!」

 

穂乃果はそう言うと、階段を駆けあがっていった。

 

「大丈夫そうやね。」

 

希が穂乃果の背を見てそう言うと、にこと絵里は微笑ましそうに頷いた。

 

(穂乃果の方は何とかなったが・・・ことりの方はどうすべきか。)

 

その一方で志郎は沈んだ表情をしていることりを見て1人考え込んでいた。

 

 

 

なんとか穂乃果を立ち直らせることはできたものの、ことりの留学の件を如何にして穏便に対処するか、志郎の悩みは未だ尽きることはなかった。




いかがでしたでしょうか?

なんとか穂乃果を立ち直らせることはできましたが、この後の展開を思うと少し気が重いですねえ・・・。しかしまだまだ志郎には思い悩んでいただきますw

12話から13話にかけてはかなりの長編でお送りしたいと考えておりますので是非ともご期待ください!


それでは次回もまたお楽しみください!!
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